初めて人を雇う際に知って必ず知っておくべきこと

ポイント
  1. 採用手段は様々あるが、費用などを加味したうえで活用方法を選ぶとよい
  2. 最低賃金は毎年10月頃金額改定が実施されている。労働基準監督署のチェック項目である為ちゃんと守って雇用しているか注意すること
  3. 適正な人件費算出方法「売上高人件費率」「労働分配率」をご紹介

目次 [非表示]

1.採用手段

採用の目的、予算、職種などにより、採用したい人材に対して、適切に訴求・アプローチできる採用手段を選択することが、上手に「人を雇う」ことの第一歩と言っても過言ではありません。

公共職業安定所(ハローワーク)

ハローワークは働く人と会社との間を橋渡ししてくれる国の機関で、現在は全国に545か所が設置されています。

(メリット)
「無料」で利用できます。ハローワークを活用する最大の利点は、費用が発生しないことではないでしょうか?窓口での求人相談から採用に関するセミナーを受講するなどの様々なサービスを無料で受けることができます。起業して間もない経営者の方にとっては、心強くありがたい存在であると言えるでしょう。

☆地域に合わせた求人支援を行っています。日本全国にあるので、地域の雇用事情に合わせたキメの細かい求人支援を行っています。

助成金を受給できるケースがあります。ハローワークに出した求人から採用に至った場合、助成金の給付を受けることができる場合があります。

(デメリット)
☆ハローワークを活用している求職者は、比較的失業されている方や年齢が高い方が多い傾向があります。トライアル雇用を併用した求人により、採用した人の仕事への適性を見極めるのが良いでしょう。

☆所定の求人票が活字主体での構成となっており、ビジュアル的な訴求は民間の求人サイトと比較すると弱いと言わざるを得ません。求人票には、所定のフォーマットに簡単な仕事内容の説明や労働条件が記載されているところが目に留まり、写真などでの訴求はほとんどできないと言っても良いでしょう。

転職サイト(インターネット)

インターネットの転職サイトは、「紙」の求人雑誌から「ウェブ」へ進化したものであり、現在、採用するための媒体の代表格となっています。

(メリット)
写真や動画を活用することができ、自社情報や仕事内容を求職者に対して、伝えやすい構成となっています。既出のハローワークのインターネットサービスと比較すると、掲載されている情報量が多く、求職者へ自社や仕事内容のポイントをPRしやすい画面構成となっています。また、業種などの検索機能も充実しているものが多いため、求職者が活用しやすくなっています。

☆それぞれのサイトにより特色があり、採用したい人材にあったサイトを選ぶことができます。業種や職種、地域や収入などに特化した転職サイトがあり、採用したい人材にピッタリ合ったサイトを選ぶことができます。

転職サイト→応募がシームレスに行うことができます。サイトの応募フォームから直接応募することができるため、求職者が応募しやすく、求人への応募をスピーディに進めることができます。

(デメリット)
費用が比較的高価になることが多いです。費用が数十万円からとなる場合が多いため、起業直後には気軽に利用できる媒体とは言いづらいかもしれません。ただ最近では掲載料が無料のサイトも登場しているだけに、利用をするためのハードルも低くなってきていると言えるでしょう。

☆検索結果が多かった場合には、世間に対しての認知度の問題から有名企業の方が有利になってしまう傾向があるのは起業直後の会社にとっては痛いところでもあるでしょう。

人材紹介会社(人材バンク)

人材紹介会社はあらかじめ登録している転職希望者の中から、経験や資格などをもとにして、求人している企業の求めている人材に合った人を紹介(推薦)してくれる仕組みになっています。

(メリット)
手数料の支払いは、成功報酬となっているため、実施に入社した時点での費用発生となります。

☆仕事の経験や資格、求人応募への意思を人材バンク担当者が確認してからの応募になるので、応募者の志望度合やマッチングの精度が、他の媒体と比較して高くなっています。

☆求人票の受付から入社日の調整に至るまで、人材バンクが会社と働く人との間に入って調整を図ってくれます。

(デメリット)
☆人材バンクへの紹介手数料は、年収の30~35%と設定されている場合が多く、費用が大変高額になってしまう傾向があることです。

☆人材バンクの登録者の中に紹介できる人材がいない場合、すぐに人材の紹介を受けることができないことがありますので、急に人材採用を行いたい場合には不向きであると言えるでしょう。

自社ホームページ

自社のホームページで採用活動をしている会社も少なくはないと思います。自社ホームページによる採用活動には、次のようなメリット・デメリットが考えられます。

(メリット)
掲載費用は、当たり前ですが無料です。何と言って自社ホームページへの掲載は、手数料などの費用が生じない点が魅力です。

☆自社に関心のある人材から採用することができます自社のホームページを閲覧している人が応募してくるので、会社にある程度関心を持っていることが考えられます。

(デメリット)
☆自社ホームページを閲覧している中からしか、採用することができません。広く仕事を探している人に対して、PRすることは難しいかもしれません。特に起業間もない会社の場合は、自社ホームページへの閲覧数も少ないので、採用はより難しいと言えるでしょう。

縁故採用

知人からの紹介による縁故採用は、起業間もない会社にとって、費用がかからず、かつ紹介される人が信用できるので安心できる採用手段の一つだと言えるでしょう。

(メリット)
☆紹介費用が無料です。知人からの紹介ですので、費用はかからず「0円」です。

☆人物を採用前に把握することができます。紹介者を通じて、事前に経歴や人柄を知ることができる場合が多く、安心して採用できる場合が多いようです。

(デメリット)
・入社後、会社や仕事とミスマッチを生じた場合の対応が難しくなることがあります。知人からの紹介であるため、会社や仕事内容、人間関係が合わなかったときの処遇は難しく、退職の場合は、知人との関係にも影響が出ることが考えられます。

採用手段ごとにメリット・デメリットをまとめると次表のとおりになります


 

  メリット  デメリット
公共職業安定所(ハローワーク) ・「無料」で利用できる ・地域に合わせた求人支援を行う ・助成金、給付金が給付できる  場合がある ・「トライアル雇用」という求人も可能 ・失業されている方や高年齢の方が比較的多い ・求人票のビジュアル的な訴求が弱い
転職サイト(インターネット) ・掲載情報が多く、自社や仕事内容を働く人へPRしやすくなっています ・サイトによって特色があります ・転職サイト→応募がシームレスに行うことができます ・費用が比較的高価になります ・検索結果が多い場合は、有名企業が有利になる傾向があります
人材紹介会社(人材バンク)

・手数料は成功報酬となっています・志望度合やマッチング精度は高いです

・人材バンクが調整してくれるので、会社の業務負担が少なくて済みます

・紹介手数料は大変高額となる場合が多いです(年収30~35%程度)・すぐに人材の紹介を受けることができない場合もあります
自社ホームページ ・ホームページ掲載費用は、「0円」です・自社に関心がある人材を採用できます ・応募対象が自社ホームページ閲覧者のみ限られます
縁故 ・紹介費用は、「0円」です・人物を採用前に把握できます ・入社後、ミスマッチが生じた場合の対応が困難です

あわせてこちらもお読みください。
創業メンバー失踪の原因(リアルな辞表を添付)、縁故採用のメリデメ、女性採用で気づいた会社の○○さ、創業期に絶対に採用してはいけない人の特徴、採用時の心構えを一気にまとめました

2:面接時のポイント

この節では、初めて人を雇うに当たって避けて通ることのできない面接に臨む際に会社側として、忘れてはならないポイントをいくつか挙げます。

面接を上手く活用して、選考することのみならず、応募してきてくれた人の入社意欲を高めるように心がけてみましょう。

面接とは? ~面接で聞くのは控えたい『NGワード』~

「面接」とは、応募者に直接会って、質問し選考することです。ただ選ぶ側だといっても何を聞いても良いという訳ではありません。

ここでは面接官としての『NGワード』を考えていきたいと思います。

【本人に責任のない事項の把握】
例:本籍・出生地、家族(職業・地位・資産など)、住宅状況(間取り、部屋数など)、生活環境、家庭環境

【本来自由であるべき事項の把握】
例:宗教、支持政党、人生観・生活信条、思想、尊敬する人物、購読新聞・愛読書

面接の進め方 ~質問のしかた一つで『good jobな面接』に~

面接で聞くのは控えたい事柄を確認したら、次はいよいよ面接本番です。ここでは面接の進め方や質問のしかたについて考えていきたいと思います。

<面接実施の流れ>

1. ウォーミングアップ
面接の冒頭ですので、まずは「あいさつ」から始めると良いでしょう。

面接官の紹介や応募者の自己紹介、会社の概要を簡単に説明するなど、応募者の緊張をほぐして、応募者に「素」を出してもらえるような雰囲気づくりを面接官として配慮するのが良いでしょう。

2. 定型的な質問
「定型的な質問」とは、自己PRや志望理由、これまでのご経歴についてなど、どの企業でも質問されることが想定される質問です。

応募書類にも記載があるかもしれませんが、応募者本人が話すことにより、応募者の人物面や当社への志望度、面接への準備ができているかを推し量り、確認することができます。

3. 確認していく質問
「確認していく質問」とは、応募書類を見ながら、具体的に確認していく質問をすることで、面接の「本編」となるフェイズです。

定型的な質問は、どの会社でも質問される多い質問内容となることから、応募者も準備している場合は多いと思われます。

この「確認していく質問」のフェイズでは、応募者がこれまで携わってきた仕事内容やマネジメント経験の有無、仕事での成果や失敗談などを確認しながら、質問を進め、内容の真偽や具体性を掘り下げていきます。

その際に必要なことは、しっかりと履歴書などの応募書類を面接前にしっかり読み込んでおくことです。

応募書類の内容から聞きたいことを事前に整理しておくと、限られた面接時間の中で、漏れなく質問を繰り出すことができると思います。

4. 応募者からの逆質問
面接の終盤、面接官からの質問が一通り終わると、応募者からの質疑応答を受け付けます。

ここでのポイントは、質問内容により応募者の志望度合いが分かるということです。

今日では、インターネットなどにより、面接を受ける会社や業種の情報を事前に取ることができるため、応募者からの逆質問は、事前に企業や業界の研究をしてきたかを確認するバロメーターとなります。

また、応募者からの質問に丁寧に応答することで、応募者へ良い印象を持ってもらい、貴社への志望度をあげてもらえる効果も期待できます。

5. クロージング
応募者からの質問も終わり、面接官から応募者へ本日の面接を終える旨を伝えて、面接を終了します。

面接結果の連絡方法や期日などの連絡事項を忘れることなく、応募者へお伝えして、玄関まで応募者をお見送りします。

面接官は、最後まで会社の顔だということを忘れないで行動するようにしましょう。

3:労務管理

労務トラブルの芽を摘む

労働条件は必ず書面に!
求人に応募者を面接してみたら、印象がこの上なくgoodで、「ネコの手も借りたい」状態なので、明日から働いてもらうことに...、起業してすぐの会社には、あり得ることですが、働いてもらう人にちゃんと労働条件を明示できているかは、重要なポイントになります。

労働基準法では、以下で挙げている項目に関して、書面での明示が必要とされています。

A 労働契約の期間
B 働く場所、仕事の内容
C 始業・終業時刻、残業・休日労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
D 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項
E 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

労働時間や休日、賃金など、誤解が生じるとトラブルにつながるものばかりですので、採用の際に必ず書面で明示をして、クリアにしておきましょう。

「時間外・休日出勤」には、届出が必要?
起業したての頃は、時間がいくらあっても足りないので、労働基準法で定められている1日8時間、週40時間をどうしても超えて働くこともありがち...、でも役所に届け出とかは不要なんだろうか?

通称「36協定」と呼ばれる「時間外・休日労働に関する協定届」を会社が労働基準監督署へ提出する必要があります。

たとえ1人でも雇っていたら、その1人の従業員を代表として、届に押印してもらうようにして、監督署へ提出する義務が生じます。監督署の調査が入った時に1番最初に36協定届の提出有無を確認しますので、失念することないようにしたいものです。

「ハラスメント」とは?
「ハラスメント」とは、他人に対することばや行動が、本人のおもわくに関わらず、相手を不快にさせたり、不利益を与えたり、おびやかしたりすることを指すこと言います。

職場でのハラスメントの代表例として、「パワー・ハラスメント」、「セクシャル・ハラスメント」の2つがあります。

「パワー・ハラスメント」とは、地位・立場などの職場内の上下関係を利用して、同じ職場で働く者(多くは上司から部下)に対し、業務の範囲を越えて、本人の嫌がることを強制し、職場環境を悪くすることを指して言います。一方「セクシャル・ハラスメント」とは、職場で相手(多くは異性)に対して不快や不安な状態に追いこむ性的な言葉や行動を指して言います。

上司と部下のコミュニケーションが少ない職場では、ハラスメントが発生しやすいと言われています。ひとたび、ハラスメントを起こすと訴訟にも繋がりかねません。

忙しい中でも、社員とのコミュニケーションに気を配ることこそが、ハラスメントの予防策となるのです。

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