忘れてしまうと大問題に!!外国人労働者を雇用した場合の事業者の届け出義務

ポイント
  1. 外国人労働者の雇用の際、届け出が必要。
  2. 雇用をする際、ポイントとなるのは雇用保険の手続きを行なっているか否かだ。
  3. 外国人の雇用管理の改善も現代の課題だ。

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外国人労働者を会社で雇用した場合には、日本人の労働者では存在しない様々な手続きを行う必要も出てきます。

せっかく外国人労働者を雇用するのですから、手続きを忘れてしまっていて後になって処罰を受けないようにするためにも、しっかりと理解したうえで雇用をするようにしてください。

今回は外国人労働者を雇用した際の届け出制度を中心に解説していきたいと思います。

外国人雇用状況の届け出制度を理解しよう

外国人労働者を雇用したら届け出が必要

近年、日本で働く外国人が急増していますが、外国人労働者を自分の会社で働かせる場合には届け出が必要であり、届け出制度をしっかりと理解する必要があります。この届け出制度は雇用対策法の中にあり、外国人労働者を雇用するすべての事業主を対象とし、外国人を雇い入れる場合や辞める場合、いずれの場合も外国人の名前とその外国人の在留資格や在留期間を確認し、厚生労働大臣に届け出るというものです。これを怠ってしまったり、嘘をついたりすると30万円以下の罰金になってしまいますので要注意です。

届け出の対象となる外国人労働者はまず日本国籍を持っていない人であり、外交などの在留資格で来日している人以外です。日本国籍がない特別永住者はこの場合は対象外となっています。この制度は2007年10月から始まっており、外国人雇用状況の届け出の義務化と外国人労働者に関する雇用管理の改善や再就職支援の努力義務が課せられることになりました。国籍で差別をしないことや法令の適用を外国人にもすることなど、日本人と同様に扱うべきという内容になっています。

なぜ外国人労働者には届け出制度があるのか?

そもそもなぜこのような制度があるのかですが、これは外国人労働者の雇用環境の劣悪さにありました。この制度ができる前にも届け出制度はありましたが、あまり機能をしていたわけではありません。そのため、外国人であることを理由に劣悪な条件で雇用をしたり、不法就労を半ば黙認していたりし、外国人の雇用状況に関して大きな問題点を抱えていました。これを改善させるために届け出制度が誕生し、それを義務化することになりましたが、最初はなかなか浸透しませんでした。

それまでは任意提出という形だったため、義務化にした結果、数字上は4割程度増えた形になりました。また改正雇用対策法が施行される2007年10月1日までに行った雇用に関しては翌年の10月1日まで届出を猶予してもいい期間だったこともあり、実際はそれよりも多い人が働いているとされ、当初はその実態を完全には把握していませんでした。これで得られた数値を元に外国人労働者に対する対策を立てていくことに使うはずが現場の負担が増しているとして現場は乗り気ではないです。

この届け出制度の結果、外国人労働者が日本でどれだけ働いているかやどのような在留資格の外国人が働いているかが明らかになりました。そして、届け出制度が周知徹底されたことで、その捕捉率はかなり高いものになっています。特に外国人がよく働くコンビニや飲食店に関しては本部から届出の徹底がきつく行われており、そうしたことも数字につながっています。現状としては個人で営んでいるお店などが届け出制度を知らず、怠ってしまっている状況です。

その一方、1人の外国人が複数の仕事を掛け持ちすることで複数のカウントがされている場合もあり、届け出制度が完全に機能をしているとは言いがたい現状もあります。届け出がなされていない人、複数のカウントがされている人などその状況はやや複雑という状況ですが、近年大きく伸びを見せるのは技能実習の資格でやってくる外国人になります。技能実習生はここ数年で大きな伸びを見せており、技能実習は名ばかりで実態は安く労働力を確保しようという企業側の戦略とも言われています。

このように実際に届け出がなされることで、外国人労働者の実態を少しでも知ることができます。その一方でこの指標しか外国人の働き方に関するものを示すデータがないことからもかなり重要な制度であることは知っておきたい部分です。もし自分の会社に外国人を働かせる場合に何を用意すればいいのか、そのあたりも知らなければいけませんが、雇用する以上はしっかりとした待遇で雇用をしなければならず、怠ってしまえば罰金になってしまうことをしっかりと認識する必要があります。近年は不当に雇用をしたことが明らかになり、大きなマイナスを背負うことになり、経営を大きく揺るがすことになることから注意が必要です。外国人を雇用する時の必要書類と手続きを理解して安心して働ける環境を提供しよう

外国人労働者を雇用する場合、実際に厚生労働省に届け出を行うための届け出方法ですが、1つのポイントとなるのが雇用保険の被保険者かどうかです。外国人労働者が雇用保険の被保険者だった場合には雇用保険の手続きを行うことになります。その時にセットで外国人の雇用状況を届け出る形になっています。雇用保険被保険者資格取得届もしくは資格喪失届には備考欄があります。ここに様々な情報を記載することで届け出を行ったことになるというものです。
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届け出に必要なものを理解しよう

まずは在留資格、在留期間、国籍、そして雇う場合には資格外活動許可の有無が必要です。これらを記載することで届け出を行ったことになります。実際の届け出先は事業所を管轄しているハローワークであり、その期限は雇う場合には翌月の10日、辞める場合には翌日から10日以内というのが定められています。雇用保険の資格取得届を提出する際にはその前にどのような在留資格で日本にやってきたのか、いつまで在留期間となっているのか、どこの国籍なのかを調べなければなりません。

一方、外国人労働者が雇用保険の被保険者ではない場合には外国人雇用状況届出書という書類を提出することになりました。在留資格や在留期間、国籍に関しては同じように記載しますが、これとは別に外国人労働者の氏名や生年月日やせいベル、雇い入れを行った日もしくは離職をした日、そして事業所の名前などを記載します。届け出先は同じくハローワークですが、届け出期間は翌月末までになっており、若干のルールの違いが見受けられます。

この届け出を行う際に外国人労働者に対して在留カードやパスポートの提示を求めることになります。在留カードには氏名や生年月日などの個人情報や在留資格や在留期間なども記載されており、16歳以上の場合には顔写真もついています。このため、在留カードを見れば外国人雇用状況届出書が確実に記載できるというものです。住居地に関してはこれまでの住居地の変遷を見ることができるので、どのようなところに住んでいるのかについても把握ができるようになっています。ハローワークへの届出をしない、嘘をついてしまったなどの場合は30万円以下の罰金ということになりますが、在留カードを確認せずに届け出を行ってしまった場合はこれとは別の罪に問われることがあります。それは不法就労助長罪です。外国人労働者を雇用する際に不法就労者だったとは知らなくても在留カードを確認しなかったなどの過失があった場合に3年以下の懲役や300万円以下の罰金になってしまうことがあるので、絶対に忘れずに報告、確認が求められます。
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