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事業承継税制で贈与税や相続税を猶予してもらう要件とは?

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現在日本にある中小企業経営者の半数以上は60歳を超えており、事業の承継を考えなくてはならない時期です。事業承継が行なわれず会社が解散すると、雇用や国民総生産の喪失につながります。中小企業の事業承継を押し進めるために事業承継税制という、贈与税や相続税を猶予する制度があります。

この制度を受けるための要件と、猶予を受け続けるための要件を解説します。

事業承継税制を受けるための要件とは?

中小企業の事業承継を後押しするため、これまで適用される会社が少なかった事業承継税制が平成30年に改正され、「特例事業承継税制」として、多くの中小企業にとって有利に事業承継することができるようになりました。

事業承継は経営者が元気であるうちに対策を進めていかなければ、円滑に承継できないことがあります。事業承継が滞りなく行なわれなかったことが原因で、会社が解散になることもあります。経営者にとって緊急性がないと後回しにされがちな問題ではありますが、今回改正された特例事業承継税制は期限のある制度です。有利な条件で事業承継をするために、制度の対象となるための要件を確認しましょう。

まず、制度改正にあたっての制度の変更点としては、猶予対象の株式が従来の80%から全株式になり、相続時の猶予対象評価額は80%から100%になり、被相続人も相続人もそれぞれ1人だったのが、条件付きで複数人認められるようになりました。

特に大きく変わったのは雇用の確保です。改正前、雇用数が5年間で平均8割を切ると納税猶予は取り消されていましたが、改正後は雇用が8割を切ったとしてもすぐに猶予を打ち切られることはなく、理由を記載した一定の書類を提出することで、納税猶予を受け続けることができるようになりました。

ここは人手不足などの理由により安定した雇用を確保しづらい中小企業が、納税猶予を取り消される理由の大部分を占めていたポイントで、改正により、納税猶予が使い勝手のいい制度になったと言えます。

特例事業承継税制自体が新しい制度なので、制度の内容を把握している人は多くありません。ただでさえ事業承継は中長期的に取り組む必要があり、後継者の育成や株式の譲渡にかかわる手続きなど、多くのプロセスがあります。さらに改正された事業承継税制が重なってより煩雑になっています。事業承継はスムーズにトラブルなく行なうためにも、税理士などの専門家の協力を仰ぎましょう。

納税猶予には都道府県知事の認定が必要

事業承継税制を受けるためには相続税の申告期限までに都道府県知事の認定を受けなくてはなりません。認定は、事業承継税制の要件を満たしているかどうか判定された上で行なわれます。

#事業承継税制の対象となる中小企業の基準とは

認定をもらうためには、会社が「上場企業」「中小企業者に該当しない会社」「風俗営業会社」「資産管理会社」「思想収入額または従業員数がゼロの会社」のいずれにも該当していないことが要件の一つです。

「中小企業者に該当しない会社」の基準については、中小企業庁のホームページで中小企業者の基準を確認することができるので、事業承継税制を適用したい会社がどちらに分類されるのか確認しておきましょう。

#相続する場合の申請期限は?

相続税の申告期限は、相続の開始から10ヶ月です。この申告期限を迎える前に都道府県知事の認定が必要になります。都道府県知事に認定を申請するのは、申告期限の8ヶ月前までに行ないましょう。この申請手続きは中小企業庁のホームページにある「事業承継税制に係る認定等の申請様式」から、必要な書類をダウンロードできます。

#先代経営者についての要件

先代経営者が会社の代表権を所有していたこと、相続開始の直前に議決権を50%以上保有していたことも要件に挙げられます。制度の改正により、先代経営者以外からの株式も猶予対象となっています。

#後継者についての要件

後継者は、相続開始翌日から5ヶ月経過する日まで、会社の代表権を保有していること、相続開始時点に親族等も含めて会社の議決権を50%以上保有し、かつその中でも最も多くの議決権数を持っていることが要件です。制度の改正により、後継者は3人まで認められています。

納税猶予期間中に満たしていなければならない要件

事業承継税制は納税を猶予するだけの制度なので、納めるべき税金が免除されているわけではありません。納税を猶予されている間も、一定の要件を満たしている必要があります。猶予を受けられる要件を満たしたまま会社の経営を続けていれば、半永久的に納税が猶予されることになり、実質的に免除されているような状態になります。

しかしこの要件を満たさなくなると、納税猶予が取り消されて、これまで猶予されていた分の税を一括で納めなくてはならない上に、猶予されていた期間の利子税も納める必要があります。

#納税猶予を受け続けるための要件とは

まず、納税猶予の取り消し事由に該当する場合は少なくありません。納税猶予は取り消されるケースで多い事由は何でしょうか。

承継から5年以内に後継者が会社の代表者でなくなった場合、後継者が取得した株式を他人に譲渡した場合、会社が解散した場合、継続届出書を提出し忘れた場合などが挙げられます。

継続届出書は、期間によって提出しなくてはならない時期が異なりますので特に注意が必要です。 納税猶予は会社が「上場企業」「中小企業者に該当しない会社」「風俗営業会社」「資産管理会社」「思想収入額または従業員数がゼロの会社」に該当しないことも要件なので、これらに該当するようになった場合も納税猶予の取り消し事由にあたります。

#経営承継期間内にしなければならないこと

この税制には期間があり、2023年3月31日までに特例承継計画を提出し、2027年12月31日までに事業承継を行なわなくてはなりません。特例承継計画を早く提出することで、事業承継の準備に多くの時間を割くことができ、後継者の育成にも時間をかけられます。

特例承継計画は、会社名や先代経営者の氏名、後継者の氏名、事業内容、承継実施内容などを記載します。これは制度を受けるための簡易的なものです。事業承継計画は、会社の経営状態や経営者自身の資産なども含めた現状分析や将来の展望、中長期の経営計画、事業承継の具体的な時期や方法も加えて作成しましょう。

事業承継計画を精緻に作り込んでから、特例承継計画の作成を行なうのがスムーズです。

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