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起業にあたって、資金面が大きな課題になることがあります。
個人事業主であれば、資金0円であっても税務署に開業届を提出すれば起業することが可能です。しかし法人の場合、開業の手続きに資金が必要であり、起業後においても運転資金や各種税金、当面の生活費など、起業前後でそれなりに資金が必要となります。
もちろん起業してすぐに事業を軌道に乗せることができれば資金面に対して大きな悩みを抱えずにスタートダッシュが図れるかもしれません。事業を継続していくためにも、起業における資金計画は大切になります。
起業にあたっては、潤沢な資金がある人もいる一方で個人では賄うには大変労力が必要となる人もいます。起業をするのであれば、資金面の課題をクリアしてスムーズに事業を進めていきたいですよね。資金調達には、大きく分けて「融資を受ける」「個人から借入する」「補助金や助成金の支援を受ける」そして「出資を受ける」の大きく分けて4種類ほどの方法があります。
近年、多様な働き方が受け入れられる世の中に変化してきている中で、東京などの大都会だけではなく地方で起業をする人も増えてきています。地域経済において、雇用増加につながる創業・ベンチャー企業・成長性のある企業に対して大都市のような支援体制は十分とはまだまだいえない状況にあります。地域のビジネスポテンシャルが発揮されていないのが現状なのです。
今回は、地方起業をする人たちにとって参考になる資金調達の方法をご紹介します。中でも、出資について若手起業家や今後飛躍していくであろうベンチャー企業に対して積極的に投資を行う「ベンチャーキャピタル(VC)」について理解を深めていきます。
知っておきたい!ベンチャーキャピタルのこと
起業を目指す人は、べンチャーキャピタル(VC)という言葉を聞いたことがあるでしょう。東京などの大都市では起業家も集まり、自然と耳にする機会も多くなりますが、地方においても起業を後押しするVCの動きがあるのをご存知でしょうか?
ベンチャーキャピタルとは?
ベンチャーキャピタルとは、「ベンチャー企業など未上場企業に対して出資を行う機関」のことを指します。日本の金融機関ではリスク回避の志向が強いのに対して、VCは成長性を見込むことができる会社やビジネスに投資を行うので、成長志向であるといえます。
未上場の有望な企業に積極的に投資して企業価値を高め、上場後に株式や事業売却をすることで出資した額の差額の利益を得ることを目的としています。
VCは、複数の投資家の資金を使用する仕組みの「ファンド」を組成して無限責任組合員となり、ファンドに集まった投資家からの資金で各企業への投資を行っていきます。
(引用:株式会社ジャフコ 「ベンチャーキャピタルビジネス講座①」)
出資と融資の違い
ここで気になるのは、出資と融資の違いです。VCと銀行ではどう違うのか?
それは「返済が発生するか、しないか」ということです。VCは、企業の成長性を見込んで投資を行い投資先企業の利益を得ることで投資額の回収をしていくので、出資を受けた企業は返済の必要がありません。一方で銀行の場合は、担保をもとに融資することになるので調達した資金の返済とさらに利息が発生します。
信用や担保が必要な銀行の融資に対して、VCは事業のビジョンや遂行するスキルといったことの信頼ができれば担保がなくても出資してくれるのです。そのため、若手起業家やベンチャー企業が大規模な資金調達を必要とする場合は、VCから調達するケースが多くなります。
参考にVCのメリット・デメリットなどもぜひ確認してみてください。
VCにすぐお金を入れてもらうのってどうなの?メリットデメリットを考えてみた。
地方創生ファンド
VCはファンドを組成することで、有望企業に投資をしていくわけですが、今、地方に特化したファンドが数多くあるのをご存知でしょうか?安倍政権が掲げる「地方創生」を実現するためにも、全国の各地域ではベンチャー企業や起業家育成をする機運の高まりによって地方発ベンチャー企業が注目されています。
通常VCは、未上場の会社に投資して、上場後に利益を得ることで投資回収を行うことは先述したとおりですが、地方のVCは必ずしも上場にこだわらないという点が通常とは少々異なる点です。
では、地方創生に寄与するファンドとはどのようなところなのでしょうか?一部組織をご紹介していきます。
フューチャーベンチャーキャピタル株式会社(FVC)
地域活性や創業支援を目的とした地方創生ファンドで、日本有数の実績を誇ります。“創業者の想い”や“社会課題解決型のビジネスであること”を重視している創業支援ファンドです。
〝地域における創業率の向上、域内経済の活性化、雇用の創出に貢献する、地方創生の本格的な推進の手段として組成されるファンドです。
IPOを目指すベンチャー、中小企業を始め、IPOを目標としないベンチャー、中小企業や事業継承にエクイティファイナンスを活用したい企業等、幅広く投資が可能なファンドとして、全国の地域金融機関や地方自治体、政府系金融機関とも密接に事業者を支援いたします。〟
(引用:FVC HPより)
フューチャーベンチャーキャピタルでは、特徴として地域における創業率を向上する「創業」、地域の廃業率を減少させる「事業承継」、地域課題の解決に取組む「CSV」を地方創生実現に向けた組み合わせのパターンとして提案しています。また、同社ではこれらのファンドを適用した事業やビジネスモデルに対して、事業の永続化や価値向上を図る支援を行っています。
事例:おおさか社会課題解決ファンド
大阪で社会課題の解決に取り組む企業の資本と経営強化を支援することを目的として、大阪信用金庫とフューチャーベンチャーキャピタル(FVC)が出資し設立したファンド。一部地域を除き、大阪信用金庫の営業対象地域において、社会課題解決ビジネスに取り組んでいる企業が投資対象となっています。
株式会社地域経済活性化支援機構(REVIC)
金融機関等と共同して地域活性化を目的としたファンド運営や出資を行っています。観光産業、ヘルスケア産業、災害復興事業者向けなど幅広い産業に対応した活性化ファンドです。
〝REVICは、地域のステークホルダーと連携してファンドを組成します。例えば、地域の大学発技術シーズに関して事業化を支援するファンド、地方公共団体の産業振興施策と連携する特定地域向けベンチャー支援ファンド、地域の金融機関と共同で地域内企業の成長支援を行うファンド等を組成します。地域単位での創業支援、地域内企業の成長支援を促すことで、創業・ベンチャー・成長企業に対する地域内における支援体制の構築及び支援実績の蓄積を目指します。〟
(引用:地域経済活性化支援機構HPより)
事例:大学発バイオベンチャーへ出資・事業化支援
(引用:地域経済活性化支援機構HPより)
地域創生ソリューション株式会社
全国の観光活性化を通して地方創生を目指すファンド「ALL-JAPAN 観光立国ファンド」を設立。三菱UFJ銀行、積水ハウス、日本航空、三菱地所、大和不動産鑑定、三菱総合研究所、明治安田生命保険相互会社、三菱UFJリース、三菱UFJ信託銀行および地域金融機関と連携しています。
〝本ファンドはホテルや宿泊施設の新規開発、改装、コンバージョンをはじめ、宿泊施設の運営・経営改革、観光立国化を支えるベンチャー企業、伝統産業などの活性化など幅広いテーマを対象にビジネス展開を図ります。〟
(引用: ALL-JAPAN観光立国ファンド HPより)
事例:ものづくりに特化したコンサルおよびEC サイト運営の事業者へ出資
「日本ブランドを世界 No.1 にする」というビジョンのもと、日本のものづくり企業向けコンサルティングや、ECサイト「CRAFT STORE」を通じた商品販売を行うニューワールド株式会社に対して出資した事例です。
同社の事業を通じて、伝統工芸産業の活性化や地域の魅力発信に貢献すると評価されたことで決定しています。
おわりに
起業するにあたって、資金調達の方法はさまざまあります。今回は、VCについてお伝えしましたがあくまでも調達における選択肢のひとつです。ビジネスの規模に応じてさまざまな資金調達の選択ができることを覚えておいてください。
ファンドの出資や経営について支援を受けることで、大きく成長してきた企業は数多く存在します。地方起業、事業者におけるVCは上場を目指すことが必ずしも条件となるわけではなく、地域経済を活性させる事業に対して出資する傾向が強くなっています。地方起業の参考にしてみてくださいね。
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