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【茨城県で起業!】人づくりから、まちづくりへ。つくばの未来を作る挑戦!

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地域で活躍する多様な起業家を特集するこの企画。

つくばを拠点に、行政のコンサルティングやまちづくり、コワーキングスペースの運営のほか、筑波大学生向けクラウドファンディングプラットフォームを運営する一般社団法人TFFの理事も務める堀下さん。昨年には二社目となる「合同会社for here」を設立し、2つ目のコワーキングスペースをつくば駅前にオープンしました。

―早速ですが、堀下さんが起業を考えた経緯について教えください。

堀下)僕、1年浪人しているんです。その時、予備校の生物の先生にすごくお世話になっていて、こういう人になりたいなと思いました。

その人は自分で塾を経営しつつ、大学の客員教授をやりながら、僕の通っていた予備校に週一で来ていました。経営者であり、自由でした。そうした生き方がいいなと思い、自分も起業家になりたいと思いました。

その後筑波大学に入学したんですが、その時から起業したい、お金を稼ぎたい、塾を作りたいと思っていました。なので、1年生の時に、ベンチャーの塾に企画書を持っていったところ、「それウチでやりなよ」と言われて、そのままその塾にジョインしました。

―今コワーキングスペースの運営をしている堀下さんからは想像しづらいですね。

そうかもしれないですね。ですが、そんな1年生の3月に東日本大震災が起こりました。

筑波も震度6強で2回揺れて、ライフラインが止まり、スーパーやコンビニからは物がなくなりました。そうした状況に直面した時、「あぁ、お金があっても人は案外簡単に死んでしまうな」と思ってしまいました。

そこから、人と人とのつながりが大事なんじゃないか?と思い、コミュニティデザイン領域に入っていきました。

2年生の時に塾の執行役員とは並行しつつカフェを立ち上げ、3年生からはフリーランスとして開業し、商店街の活性化に取り組み始めました。

その後、休学したタイミングで塾は辞め、行政コンサルティングの仕事を受けながら下地を作り、休学2年目に、1社目となる「株式会社しびっくぱわー」を起業しました。その会社では行政のコンサルティングや筑波大学前のコワーキングスペース「Tsukuba Place Lab」(以下、Lab)の運営をしており、今は2社目の「合同会社for here」を江本という共同代表と立ちあげて、つくば駅前のコワーキングスペース「Up Tsukuba」の運営もしています。

―大学生の起業は、筑波では多いんでしょうか?

大学別の起業家数で言うと、東大・京大についで、筑波大は3番目に多いとは言われています。

実際、筑波大でも起業家を生むようなプログラムが単位認定されていたり、地銀が大学生向けのプログラムを提供していたり、バックアップはかなり強いんじゃないでしょうか。

何かを始めようという時は、僕も理事をしているTFF(筑波フューチャーファンディング)という筑波大生向けのクラウドファンディングプラットフォームがあり、キュレーター的な立ち回りで、最初の資金調達やアーリーステージまでサポートをする体制もあります。

もともと、つくばは研究学園都市として国の計画で出来上がりました。

国立が30ほど、民間も入れると約3百の研究所があり、人口23万人に対して、博士号を持っている人が8、9千人、研究者が約2万5千人、筑波大生も1万2、3千人、140か国からの留学生や研究者がいるので、やはりそういう下地はあると思います。

今まであまりイノベーションが起きなかったのは、各研究所内にそれぞれが孤立していて、なかなかビジネスマインドには向いていなかったからです。

慶応・早稲田のような資金調達をゴリゴリにやって半年スパンで一気にexitまで行くようなITベンチャーではなく、特許や知財をどう扱うかまで含めて、10年、20年スパンで育てるビッグベンチャーが、筑波の気質に合っているんだと思います。もちろんいろんなタイプはありますが、研究所発ベンチャーならそっちを狙うべきで、そういった文脈が近年はうまく合致してきているのかな、という印象があります。

―今まで閉じていたものが、ここ最近ベンチャーとして始まることが多いのは閉じていた部分が少しずつ開かれてきたということなんでしょうか?

そうだと思います。ひとつは、純粋に協定の組み方が多様化してきています。

筑波大の場合、大学発ベンチャーと言っても先生が起業するケースも多いです。例えば、筑波大学学長補佐兼、ピクシーダストテクノロジーズ代表取締役の落合さんが、大学と組んでいる契約もすごく面白いです。

落合さんは大学の先生ですし、ご自身のゼミも持っていますが、実は大学に雇用されているわけではありません。彼は、ピクシーダストの代表取締役として筑波大学と契約を結んでいて、彼の知財は全てピクシーダストに所属して、大学には付属させていません。

その代わりに、第三者割当で株を増資するときは筑波大が優先的に買う権利があり、大学としては、落合さんの研究が伸びれば伸びるほど、株を先に買うことができるから利益を上げられる、落合さんも知財を自分の会社に有せるからどんどん増やしていけるっていう利害関係を結んでいるんです。

これは時代の最先端ですし、行き過ぎているかもしれないですけど、でもそういう兆候が少しずついろんなところで生まれているのを感じます。やっぱりこうして開いていかないと、ビジネス的にスケールしないっていうのはどこも分かっていることだからこそ、少しずつ規制緩和が進んで、表に出てきているのかなって印象は受けています。

―私立大学なら分からなくもないんですが、国立大学でそれができるのがすごいですね。

その他の分野でも規制緩和は進んでいるのでしょうか?

スタートアップという面で言うと、つくば市が今年度スタートアップ推進室を立ち上げて、行政の中に、起業してexitした経験のある人を雇入れるというかなり先進的な取り組みをしています。

それに、行政の若さはあると思います。市長もまだ39歳、副市長が28歳。当選したのは26歳で当時最年少の副市長でした。

筑波は出る杭を打つ人が少ないと思っているのですが、それはやっぱり今の研究学園都市ができてからはしょせん40年しか経っていないので、みんなビギナーなんです。だから新しい人、若い人が来て新しい取り組みをしていることに反感を持つ人は少ないかもしれないですし、社会増減が激しい町なので、風通しはいいのかもしれないです。

23万の人口に対して毎年2万人が出入りしているのが日常です。筑波大が毎年2500人ほど入ってきては3千人くらい抜けていくのをずっと繰り返し続けているし、お仕事で大人が出入りすることもかなり多い。歴史・文化がいい意味でないので、なにか始める時にその人を叩くような人は少ないのかな、と思います。

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―お話を聞いていると、筑波はいわゆる地方というような印象ではないように思います。

地方ではあるけど、東京が近いですし、地方っぽくはないのかもしれないですね。アクセスなんでしょうか。つくばエクスプレスで秋葉原まで45分で行けますし。

僕も熊本出身なので、地方の感覚はすごく分かります。

僕は仕事で札幌によく行くんですが、札幌は200万都市で人口規模、経済規模で言えば大都市ですが、東京と遠いというだけで地方だというのは感じます。

つくばなんて人口は札幌の1/10ですが、東京とのアクセスだけで持っているアドバンテージはあるな、というのは確かに思います。

―今のところ東京で起業する人が多く、地方での起業も注目され始めていると思うんですが、つくばはその中間にあるような印象を受けました。そうした状況の中、つくばで起業することのメリットと課題はなんだと思いますか?

なにで起業するかにもよると思うんですけれども、今筑波で起業して最大の恩恵を受けられると思うのは、テック系スタートアップか、ものづくり系です。

テック系に対しては、行政も各研究機関もアクセラレータプログラムを用意していたり、繋ぐ先がかなりあります。筑波のアクセラレータプログラムで優勝したチームがそのままIVSへの出場権を得られるような協定を結べるように、僕も今サポートを進めています。

そういう風に、起業した出口は提供できるようになってきていますし、特にテック系スタートアップ向けはかなり充実しています。

あとは、ものづくり系です。例えば水中ドローンの会社は水中で実験をしないといけないけど、なかなか実験地がないんですよね。あっても、すごくお金がかかる。ですが、つくば市がそこを規制緩和して、市で有している貯水池を無償提供して実験をできるようにするなど、そういった規制緩和は、市がかなりテコ入れしています。

あとは、なにより製造ラインとして面積を必要とする時に、地方なので純粋に地代が安いです。東京と比べれば土地は余っているので、面積を要するような企業体はメリットがあるかと思います。

課題でいうと、東京と比べて人材の密度は低いです。起業家同士や投資家と出会う確率はやっぱり低い。

ですが、それに対しても今いろんな人がテコ入れしています。民間であれば僕らが、行政であればスタートアップ推進室、研究所だったら産総研のアクセラレータプログラム事務局などが動いています。

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―地方だと、その立場を担うような人が少ないように感じます。

まさにそうです。鶏と卵のような話になってしまうんですが、その役割は大事とはいえ、地方では仕事にならないんです。そもそも起業家がいない中で、繋ぐ仕事がしたいですと言ってもなかなかできない。密度が低いとは言いつつも、筑波は今起業への機運が高まっている転換期だから成り立つお仕事だと思います。

―そういう意味でも、実際にコミュニティの空間を持っているのが強いと感じます。

これまでの活動をするなかで、意識していたことはありますか?

僕の仕事は売り上げで言うと、行政のものが中心です。市と連携してスタートアップを推進していくとか、県と一緒に創業支援をやっていくとか、その枠組みに僕自身が入っているので、Labはコミュニティとしてあればいいと思っています。

昨年オープンしたUp Tsukubaもですが、それをビジネスとして回転、展開させる先を今は作っているので。

Labが7時から23時まで開いていて、必ずスタッフがいる状態にしているのは、人と人とをつなぎ、新たな価値観に出会って、意見を自由に言い合いながら成長するための場を提供したいからです。それには、つなぐ人が必要だから必ずスタッフがいるようにしています。

お金は取らないと無責任になるので、無料の場所は運営したくないと思っていたんですが、お金が理由で機会を得られないのは嫌なので、学生は300円、大人もいろんな人が来てほしいから500円で自由に使えます。貸し切りも4時間3,000円で貸している上、企画や広報も手伝います。

僕は純粋に、「やりたい」を応援したいんです。。

10億の資金調達も応援したいけど、初めてのおつかいとかも応援したいし、不登校児もなんとかしたいと思うし、障がい者の方にも来てほしい。どれも一つの生き方として応援したいので、スタートアップ支援や場づくりは、僕にとっては一つのツールなんです。

なので、いろんな場を展開したいっていうのはあるかもしれない。もしかすると、コワーキングスペースじゃないやり方があるかもしれない、飲食のほうがいいかもしれないし、映画館のほうがいいかもしれない。それをつくばでやってみたいと思います。

―なるほど。最後に、堀下さんの今後の目標を聞かせてください。

僕は、短期のリターンより、長期のリターンが欲しいと思っています。目先に利益より、それが10年後、20年後に違うかたちで帰ってきたらいいと思います。

一つ具体例で言うと、昨年度Labを利用してくれていたすごく優秀な子がいるんですが、彼はジンジャーエールをいつもLabで飲んでいて。そしたら卒業して大手IT企業に就職してから、毎月Labにジンジャーエールを送ってくれているんです。それ自体はすごく小さいことかもしれないですが、その積み重ねだと思っています。そういうことを掘り起こしたいです。

関わるみんなのその先までを見たいです。それが複合的に重なった時にまちがどうなっているか、ひいてはまちの文化を作りたいです。

たしかに、まちは建物だけでなく、人がいて初めてまちになっているわけですもんね。堀下さんは、人をつくることから、まちをつくる、まちの文化をつくっているんですね。

本日はありがとうございました。

執筆者:北嶋 孝祐twitter

協力 ローカルクリエイターラボ

農山漁村地域の起業に、チカラを「INACOME」

農山漁村が活力を取り戻し、持続可能な発展を実現するためには、何よりもまず、雇用と所得を生み出すことが重要です。農山漁村には魅力的な資源が豊富にあり、これを活用した多様な事業を起こすチャンスに溢れています。農林水産省では、豊富な資源とやる気溢れる人材、そして必要な資金を組み合わせ、農山漁村地域に新たなビジネスを生み出すことを目的として、Webプラットホーム『INACOME』を設置しました。

『INACOME』はこちらからスクリーンショット 2019-11-21 18.07.32

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