第3章:ターニングポイントは意外なところに。インターネットとの出会い、起業、そして自分がオーソリティになれるものとは…〜メンターからの手紙 伊藤富雄氏〜

ポイント
  1. 次は不動産業界に。運命を変える出会いが
  2. インターネットとの出会いで人生が変わった
  3. オーダーメイドのアコースティックギターブランド「Allman」の誕生

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次は不動産業界に。運命を変える出会いが

今となっては、あの商社の部長に「君、向いてないで」と言われたときに、なんで自分でビジネスを起こそうと考えなかったかって後悔はあるんですが、僕は雑貨屋を辞めた後に大学の後輩に誘われて、今度は不動産業界に行くんです。ハウスメーカーの営業マンとして、個人に戸建住宅を営業するというBtoCの仕事をすることになりました。

住宅展示場で見学会したり、住宅建てるプラン考えたり。トータルで6年くらい在籍してましたが、後半にはマンション事業部にいて、そのときはバブルの最後期ですよ。日本中で土地やマンションの値段が上がりまくっていました。

そのときも、住宅業界ですごい業績上げてる人が上司にいて、その人からまたいろいろと薫陶を受けまして。「宅建とっとけ」っていわれて、全然興味なかったけど(笑)取りましたね。

そうこうするうちに、その後輩が会社辞めて独立すると言い出した。「頑張れよ!」って言ったら「伊藤さんもいっしょにやりましょうよ」って「え!?」って(笑)。
そこから、彼といっしょに不動産コンサルティング会社を起ち上げるんです。彼が社長で、僕と、建築設計士の先生と事務の女性と4人でスタートしました。そのときは33歳くらいです。

最初はとにかくなんでもやろうと、入ってきた仕事は全部受けてました。なんとか軌道に乗ってきたとき、阪神大震災が起こるんです。もう、いろんな建物がバカバカ倒れて。幸い、僕らの事務所が入ってたビルはびくともしませんでしたけども、そこからいわゆる「震災需要」が起きたんですね。

そのときは一時的にすごい年商になってましたけど、徐々に落ち着いていって、98年くらいにはマンションだけではなく駐車場を作ったりしてたんです。
その駐車場に管理者が必要ということでアルバイトが必要になって、僕が担当になって、面接して採用したりバイトのシフト組んだり、現場オペレーションのマニュアル作ったり、みたいなことしてたんですよ。

ここで、運命の出会いがあるんです。アルバイトで入ってきたとある女子大生が、ある日会社のパソコン触りながら「ピーヒャラララ」って音を鳴らしてるんです。「それなに?」って聞いたら「伊藤さん知らないんですか?インターネットですよ」って。眼の前で操作してるのを見せてもらったとき、背中に電気が走りました、「うわ、絶対世の中変わる」って。

インターネットとの出会いで人生が変わった

この女子大生が、僕の人生においては大場さんと同じぐらいに重要人物ですね。

当時、会社にはコンピューターはありましたけど僕はほとんど触ってなかったんです。原稿を手で書いたらそれをその子に渡してワープロで打ってもらってたくらいで、パソコンはそれで1つの独立したものであって、ネットワークで他とつながってるなんて思いもしなかったんです。Windows95が発売されて、CMやってたけどそれもなんのことかわかってなかった。これが、電話回線でメールやらテキストやらが、東京やNYとつながって送れる、受け取るなんて「これはものすごいこと起こるな」と思った。

それで、種火がカチッとついたんです。なんかできるかなって。明くる日にはパソコン買いに行って、その子にちょっとずつインターネットを教えてもらって、いろいろと手ほどきを受けました。
インターネットはくるな、だれでもできるなと思いました。だってオフィスも店舗もいらないでしょ。僕は楽器店に営業で回ってたので、どれだけ固定費かかるかわかってる、でもこれなら一人でできるやんか、と。

そして、その会社をやめて自宅で起業しました。その頃というのは、楽天市場が開業して、Yahooもショッピングを始めたくらいの時期で、今ほど便利じゃないにしても、インターネットでモノが売れるということの仕組みは理解できたんです。

じゃあどうするか?よそでも売ってるものを売っても絶対負けるのわかってたし、当時はまだインターネットは怪しいものでしたから、どんな質問がきても答えられるような信頼性を持たんとあかん、「オーソリティ」でないとあかんと思ったんです。

それは僕ならなんやと言うたら、楽器やったんです。しかも、ギターで、エレキじゃなくてアコースティックギター。これやったら僕は全部わかると。
そして生まれたのが、Allmanというアコースティックギター専門のネットショップなんです。

オーダーメイドのアコースティックギターブランド「Allman」の誕生

今は修理を受け付けてるくらいなんですけど、99年に、それこそ紙芝居みたいなサイトを一生懸命作って起ち上げたんです。大変でしたけど楽しかったですね。
Allmanにはコンセプトがあって、インターネットを使ったオーダーメイドなんです。これ、たぶん、日本で最初です。完成品並べたって、大手の有名楽器店には絶対負けるし、現物あったところで店舗はないから弾いてもらえない。そして何より在庫抱えたくなかったんです。そこで、わざわざネットで買う人はマニアかなと思ったからマニアの人だけを相手に、オーダーメイドでギター作ろうと思ったんです。

あとは、地方の人ですね。でかい楽器屋とかが近所にない人、そういう人らに役に立つ情報提供みたいなこともできれば、集客できるんちゃうかなと、半分、勘でしたけどね。

とはいえ、フルオーダーメイドは難しいので、セミオーダーメイドにしたんです。基本モデルを2つ作って、どちらもフィンガーピッキングでインストゥルメンタル弾くためのもの。それってつまりは自分なんですけど、だからこそどんなことでもわかるんですよ。

そして、HPから問い合わせてくれた人に宅急便でサンプルのギターを送って実際に弾いてもらうというトライアルサービスを始めたんです。楽器店だと店員さんも売り込んでくるし、人目もあるからゆっくり弾けないでしょ。でも自宅で、自分が持ってるものと弾き比べられたらいいんじゃないかっていうのは、僕自身が楽器やる人間だからニーズがわかってたんですよね。そこで気に入ってもらったらオーダーしてもらうと。

とは言え、やっぱり最初はビクビクですよ。でもね、ありがたいことにけっこう問い合わせ来たんですよ。みんな最初は半信半疑やからね、メールで「伊藤さん、トライアルギターが本当に来た!」って言うてきたお客さんがいて、そら僕が送ってるっちゅうねん(笑)。でも「ありがとう!」って言うてくれてね、ほんとに嬉しかったですねぇ。

そこから、まあ、いろいろ失敗もあったんですけど、Allmanは愛媛にいる塩崎さんというギター作家さんといっしょにオリジナルモデルを作ることになったんです。僕がT社にいたときにびっくりするくらいええ音するギターに出会ったんですが、それを作ったのが塩崎さん。ハイグレードなアコースティックギターをハンドメイドで製作する、日本の頂点にいる人です。99年頃に、電話して訪ねていったんです、愛媛の、塩崎さんの工房まで。

そこで、インターネットで、オーダーメイドのギター作って売りたいという話をしたんです。でも、彼はトップクラスのギター職人やし、インターネットなんて海のもんとも山のもんともわからんものだから怒り出すかなと思ったんですけど、「おもしろいな」って言ってくれたんですよ。

それは、タイミングも良かったんです。塩崎さんは個人作家として、取引先からオーダーされる決まった型のものをずっと作り続けてきて、ここらでちょっと新しいことにも挑戦したい、そういう時期だったんですね。

そこで、店舗もないし知名度もない僕のブランドでなら、今までとは違うものが作れるということで話に乗ってくれたんです。僕もオリジナルを作りたかったから、自分の考えている明確なコンセプトを説明して。そこから、塩崎さんの作るギターで、Allmanは売れるようになっていったんです。

僕がそれで確信したのは、お客さんも「オーソリティ」だということです。ギターなんて、わざわざネットで探して、会ったこともない、現物もない、トライアルで試したということだけで買うなんて、自分自身の経験から価値判断できる人じゃないとオーダーなんかするわけないんです。
しかも、ギターマニアの間では知る人ぞ知る職人の塩崎さんと一緒にできたことも良かった。彼は「SHIOZAKI」の名前を使わせてくれたし、ギターのボディ内に貼るラベルにサインも入れてくれて、無名の僕のブランドでも塩崎さんの名前があることだけで全然違うんですよね。

Allmanは、僕はものを企画して売る役割で、それを作るのは塩崎さんという提案やったんです。そういうこともあって、僕がビジネスでコンサルするときには「絶対一人でしないほうがいい」って言うんですよ。誰かと組めと。そうすることで役割分担もできるし、能力を掛け合わせることもできますからね。

(続く)

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