【富山県で起業!】地方は作家にとって作品を製作しやすい環境〜ガラス作家の独立までの道!

地域で活躍する多様な起業家を特集するこの企画。

「将来的には地方で作家やクリエイターとして活動したい」このように思っている人は意外と多いのではないでしょうか。陶芸家、絵描き、伝統工芸職人など様々なクリエイターさんがいる中で、今回は富山県富山市でガラス作家として活動している西村青さんにお話をおうかがしました。僕は日常的に使われているガラスができあがるまでのプロセスを知らなかった。

—まずはじめに自己紹介していただけますでしょうか。

西村)西村 青と書いてにしむら せいと読みます。本名です。富山県でガラスの専門学校に4年間通った後、ピーターアイビーさんというガラス作家のアシスタントを5年間しています。

—ガラス作家のアシスタントさんとのことでしたが、最初にガラスに興味を持ったのはいつなのでしょうか。

今は富山県に住んでいますが、元々は奈良県出身で、高校までは奈良県にいました。今過去を振り返って考えてみると、自分は何かモノを作ってないと生きていけない性格で、気づいてたら絵を描いていたり、ダンボールで工作するような子でした。

なので将来的にはずっとものづくりの仕事をしたいと漠然と思い描いていました。

まずは、自分の手で何かを作る分野か、図面や設計図を書いて依頼するデザイナーや建築士という選択肢がありました。

その中でも、自分の手で何かを作るものづくり系の大学への進学を考えていくと、文系理系どちらにするか決めるように、どういう素材を扱うかというのが進路選択の分かれ目になるんです。

—自分はものづくりとは縁がなかったので、初耳です。素材というのは具体的にどういったものでしょうか。

素材でいえば、金属、木材、ガラスなどですね。

どういう素材を扱うか。素材選びになった時にふと思ったんです。「ガラスは普段から使っているのに、作る段階のガラスを知らないな。」と。

どうやって作られてるのかという興味から、ガラス作家の道にいくことに決めました。

実は、高校卒業の段階ではどの素材を選ぶか決めれず、浪人して、3ヶ月はイタリアに行ったりしていました。

ガラスに決めてからは、富山の専門学校に4年間通っていました。

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イタリア留学中に住んでいたボローニャの街並み

1日20の作品を作る。いいと思えるものはそのうち1個あるかないか。

—今は富山県の工房でアシスタントとして活動されているとおっしゃっていましたが、具体的に何をされているのでしょうか。

師匠であるピーターがデザインして考えたものを、自分が代わりに制作したり、ピーターが制作している補助をする仕事です。

小さな集落の中にある日本家屋の工房で仕事をしています。町内のど真ん中にあるので住民の方との距離も近いので、パーティーをやったりもします。

火を扱う仕事で外国人ということもあり、初めは警戒されていたようですが、今はすごく良好な関係を築けていると思いますね。

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—だいたい1日にどれくらいの時間工房にいて、いくつくらいの作品を作るものなのでしょうか。

土日は休みで平日は週5で朝8時から午後3時まで作品を作るのが基本です。昼休みも入れるとだいたい6時間程度でしょうか。

時期によって制作する作品は決まっているので、1日単位では同じサイズ同じ形のものを作り続けます。

1作品をつくるのにだいたい15分から20分ほどかかり、だいたい1日で合計で20個は作りますね。

—そんなに多く作るんですね。失礼ですが同じ作品を作り続けることで飽きてくるなんてことはないんですか?

飽きませんね。自分としては、スポーツをやってる感覚にかなり近いです。

技術的にできる・できないの壁があって、毎回クリアするたびにステップアップして、いいものだけが作れるようになる。同じものを20個作ることで、手が慣れてきて、制作がスムーズになるといったメリットもありますし、自分自身が向上してるのが感覚としてわかるんです。

なので、技術の向上に繋がってると思いますよ。

—スポーツと言われると納得できます。一歩一歩進んでいる感覚が作品を作る中であるんですね。1日で作る20個の中でいいと思える作品はどのくらいあるのでしょうか。

よかったと思うのでは20個のなかで1個あるかないかですね。できればそれだけを作りたいのですが、納得いく作品を作るのは難しいです。ガラスは途中で修正はできても、修正してる時点で完璧ではありません。

いい作品というのは、最初の段階から気を抜かず完璧に工程クリアできた時に産まれるんです。

だからこそ、自分で納得できるいい作品ができてきているなと思うときは気持ちいい感覚がありますね。

今後は自分の中でいいと思える作品の割合を増やすことが目標です。

地方は作家にとって空き家も多く工房も持ちやすく、作品を製作しやすい環境

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富山の景色はとても雄大。立山連峰に守られて生活をしている。

—なぜ数ある地域の中で富山県富山市を選んでいらっしゃるのでしょうか。

まず自分の中では、ガラスの専門学校があったのとピーターさんがいることが富山県に住んでいる一番の理由です。

「ピーターさんに技術を伝授してもらえますし、アシスタントが自分以外にもいるのでガラスに関する情報が入ってきやすいです。」

そもそもガラスの専門学校ができたのも「富山市にガラスを根付かせよう!」というまちづくりの一環としてやっていることが始まりだったりします。なので市も協力的です。

ガラス作家に限っては、富山県は起業しやすい環境が整っているのではないでしょうか。

—富山市がまちづくりの一環としてガラスを根付かせようとしていたのは知りませんでした。今後も富山市もしくは富山県を拠点にしていく予定なんですか?

そのつもりです!

富山県は非常に空き家が多いので、住宅兼工房を持ちやすいです。

総務省が出している持ち家比率は47都道府県の中で1位なのですが、若い人が都会に出たり、高齢化が進んだことで空き家が増えました。

ただ問題があって、その空き家が誰のものなのかがわからないことが多いんです。

自分も空き家があるか市役所に聞きにいったことがあるのですが、「個人情報なので教えられない。」と言われました。

空き家を手に入れるのはそこまで簡単ではないですが、土地も狭く高い都会よりは、はるかに作家が拠点を持ちやすい環境だと思います。

東京だと売れるものが、地方にいると売れない。定期的に東京で価値を再確認する

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作品名は「Gblet -X-」イタリアの伝統的な技法を用いている。

—今回のインタビューのテーマは地方と起業です。先ほど富山県を絡めて地方のメリットとして工房を持ちやすいとおっしゃっていましたが、逆にデメリットなどは感じますか。

デメリットはいくつかありますね。一部の観点から見ると、東京が羨ましいと思うこともあります。

例えば、情報の違い。東京は一番新しいモノが次々と入ってきます。ビジネスや販売を考えると、自分の拠点の近くに都会や大きな市場がある方が常にアンテナを張ることができます。

あと、価値観の差も大きいように個人的には思いますね。

特に作品の価格で感じるのですが、高い金額でも作品を買うという感覚は東京の人が多く持ち合わせており、地方だと高くても買うという価値観の人が少ない印象です。

その結果、地方にいると「良いものなら高くても売れる」という高いクオリティのモノを作ろうという意識レベルを常に保つのが難しいというデメリットが出てきます。

—東京は人口が多いのは確かですが、高級志向がある人も多いのかもしれませんね。ー

地方の価値観に染まりすぎないためにも、あくまで目安として、都会に行った際はどういう作品が売れてるのかを知ることは大切だと思います。

もちろん各地方でも良いものを良い価格で販売しているお店も多くあるので、一概に地方と東京という括りにはできません。

ただ、都会で制作するとなると人混みや物価などとストレスが多そうですし、僕は地方の暮らしをしながら作品作りをしていく方が性に合っていると感じていますね。

都会に行かなくても、他の作家がどんなものを作っているかなどインターネットを使えばわかるものはリサーチすることができますし。

そういった意味では地方であろうが都会であろうが、どこに住もうとも情報は素早く入ってくる時代なのではないでしょうか。

自分の作品制作時間が独立・起業の目安になる。

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今はアシスタントとしても活動されていますが、独立はいつ頃を考えていますか?

私自身は独立に焦りを感じていなく、ステップバイステップなので長い目で捉えてますね。

5年後かもしれないし10年かかるかもしれません。独立のタイミングは、自分の作品に対する需要と供給が増え、アシスタントの仕事の時間よりも自身の作品制作の時間が上回った時だと考えています。

すぐには結果も出ないので日々の積み重ねと新しい作品のことを考えることをやめないことを大事です。

ただ、ガラス工房はガラス溶解炉を動かすだけでランニングコストが破格な為、売れもしない作品のために工房を持ってまで制作することはできません。

また、個人工房の運営には、工房の維持管理、制作、検品、発送、営業全て自分でしなければならないので、無知での独立はほぼ不可能だと思います。

そのため工房運営に必要なノウハウを学ぶ必要があり、アシスタントとして働きノウハウを吸収しているとも言えます。

ーアシスタント以外に、独立に向けて取り組まれていることはありますか?

全国各地で催されるクラフト市に出店し、作品を販売しています。

一般のお客様だけでなく、ギャラリーやセレクトショップのオーナーが来場され、オーナーの方々はそれぞれ気に入った作家に声をかけお店で取り扱いを始めたりされます。

私自身も昨年のクラフト市をきっかけに、東京のセレクトショップでのグループ展に参加することが決まり、福井のセレクトショップでも作品の買い取りが決まりました。

このように自分自身が直接お客様に販売する場合もあれば、作品を気に入っていただいたショップに販売していただく場合もあります。

徐々に自身の作品が多くの方の目に触れ、世に広まっていくことで販売ルートを広げています。

しかし、数が売れればそれでいいわけでもなく、作品に表現した美しさが、最大限魅力的に感じられる空間に置かれ、お客様にも美しいと感じ取って使っていただきたいと思っています。

そのため、取り扱っていただくかどうかはショップやギャラリーのポリシーやコンセプト、人柄を踏まえた上で自分で決めています。

こうした自分の作品を最大限広げることのできる取り扱い店舗や作品の販売数を徐々に増やしていくことが独立に繋がります。

常に新しいものを試行錯誤して制作しているので、事業がうまく回り始めるまでには時間も資金も必要なため、応募できる支援金などの市のサイトや商工会の情報などリサーチもしています。

まとめると、独立のためにアシスタント活動、クラフト市での販売、そしてお金や他の作家さんのリサーチを行っています。

自分の作品で工房を回し、自分の作品で生計を立てる。それが僕の目標です。

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—富山県で富山市でガラス作家として続けていく予定の西村さんの今後のビジョンを教えていただけますでしょうか。

繰り返しになってしまいますが、自分の作品で工房を回していきたいです。まずは自分の作品で生計立て、長く愛され続ける工房を作りたい。

今、アシスタントとして働いている職場は師匠のピーターが下の若い世代を支える場所となっているので、できれば自分もそういう場所になればと思います。

そしてその目標は、明日作る作品を全力尽くしてうまく作ることから始まるので、目の前の一つ一つを大切にガラス作家として活動していこうと思います。

—最後になりますが、この記事を読んでいる、西村さんと同じようにこれから作家として地方活動していきたい人向けに一言いただけますか。

何するにしても、自分がどうなりたいかを大切にして欲しいですね。様々な情報が溢れていますが、流されず、自分の意思で決めて欲しいです。

作品が売れなければ作家としては、売れないし評価もされません。誰も買ってくれなければその作品はただの自己満足です。

そんな葛藤と戦いながらも、作品を制作し続ける職業。それが自分が選んだガラス作家という仕事なのだと感じています。

何年も作品づくりを続けてどんな作家に自分がなりたいかがわからない限り、どこに身を置いて作家活動するかも決められないですね。

もし東京で活動した方が、自分が目指すべき作品を作れるなら東京を拠点に置けばいいし、自分のように弟子入りしたい作家さんがいるなら、その地域に移住して活動するのも一つの手だと思います。

西村青さん;公式HP

執筆者:中村創 twitter
協力 ローカルクリエイターラボ

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