総合トップ
起業
資金調達
会社設立
副業
マーケティング
事業承継
税・会計・法律
成長する人
失敗
セールス&営業
人材開発&育成

1つのことをコツコツ続けることが会社からイノベーションを奪っている?

目次 [非表示]

僕は小さい頃に、野球をやっていたのですが、野球でなくサッカーがやりたくなって親にそのことを言うと怒られました。英語を習っていたのですがそれもやめたいと思って言うと怒られました。

親の考え方は(マインドセット)は、1つのことをコツコツ続け努力すべきというものでした。そのためやっていたことをやめる=悪いこととして否定をされるという構図です。
これはうちの親に限った話ではなく日本全体がそのようなマインドセットで形成されています。社会システムとしてもそうですし、人の評価までもそのようになっています。1つのことをコツコツやることが正義で、正しいとなっています。
それができないと根性がないという烙印を押され、評価を下げる仕組みになっています。

確かに1つのことをコツコツ続けることは大切なことです。
ただ一方で失っているものがとても強烈にあるということです。

1つのことしかやらないことで、本来的には全然向いていないことを我慢してし続けなくてはいけない、ずっと同じ世界、同じ人と付き合うことになる、その世界の中で成果を出せないとその世界での出口(キャリアはじめ給与、ポジションなど)が決まってしまってモチベーションを失ってしまう、失敗者とみなされてしまう、縦割りの構造となり年長者偏重になる、どこかのタイミングから手段が目的にすり替わり固執してしまう、時代変化に全くついていけなくなる、イノベーションが起きないなどたくさんあります。

自分にとって野球よりもサッカーのほうがもっと楽しく、活躍できるということであればそちらを選んだ方がよいわけです。モチベーションがない英語に使う時間を他のモチベーションのあるものに使ったほうが全体としてよくなるかもしれません。(もちろんデメリットもあり、次々に変えてしまうと何も習得できないなど)

この1つのことをコツコツやるべきというマインドセットが、間違いなく日本を戦後の焼け野原から経済大国にした原動力だと思います。そのため一概に全てが悪いといっているわけではありません。間違いなく、構造的に人口が爆発的に伸びていて、供給より需要が強い時代にあってはそれでよかったわけです。
ただ、時代の変化や要請にマインドセットのアップデートが全くついていけていないのが今です。

日本一の旅館が陥ったコツコツ努力するマインドセットの行先

日本の強みとして言われることですが、改善がとても得意だと言われます。
改善のことを進歩と言います。
また、進歩に似た言葉でイノベーションというものがあります。ただ、進歩とイノベーションは全く違います。

進歩は今の延長線の中で物事を改善していくことです。
イノベーションは今の延長線にない全く新しいものを生み出すということだと思ってください。

この進歩=1つのことをコツコツやるということで世界で1番の経済的な力を誇った時期があるわけです。ただ最近では進歩では問題は解決しないどころか、進歩が行き過ぎてお節介化・コスト化していると言われるようになってきています。

たとえば、日本でナンバー1の旅館の1つに石川県の加賀谷さんがあります。
人気旅館ランキングで1位常連の旅館です。
加賀谷さんに限らず、一般的に旅館というのは、部屋に通していただいてから、仲居さんが部屋に良く来られますよね。

ここで少し考えてみてほしいのですが、
加賀谷さんの数年前の話です。
部屋に通されてから1時間で仲居さんが部屋に何回入ってきていたと思いますか?
僕は正直1回も入ってこないでほしいのですが。

正解はなんと8回です。

こんなことあり得ると思いますか?
8回ですよw7分に1回CMが入るような話なわけです。

もちろんお客さんに嫌な思いをさせようと思って加賀谷さんはやっていたと思いますか?
むしろ逆ですよね。お客さんを喜ばせようと思った結果が8回部屋に訪れるということになったわけです。

これは潰れた旅館の話だと思いますが、
日本ナンバー1の旅館のつい数年前の話なわけです。

これは
「できるだけお部屋に伺って、お茶を差し上げなさい」という

加賀谷さんの創業以来、大切な価値観=マインドセットとされていたものに全て由来します。ここから進歩が繰り広げられたわけです。
この価値観を崩さずに、もっと、もっとと考えて、改善をし、進歩を繰り返した結果が気がついたら8回の訪問になっていたわけです。

よくよく考えてみると、この仲居さんの8回の訪問をほぼ全ての人はマイナス、ストレスに感じるわけです。マイナス、ストレスなことをされているわけですが、この仲居さんの8回の訪問にかかる人件費は誰が払っているのでしょうか。お客さんが払っているわけです。

まさにお節介化、コスト化と言われるわけです。

進歩というのは往々にして自己満足的になってしまいますし、そのコストというのはお客さんが負担をします。行き過ぎると最悪の結果になってしまいます。


参考:日経ビジネス
「日本最高峰の旅館はなぜ自問自答するのか
接客サービスの棚卸しが始まった」
2018年1月19日

茶菓子、抹茶、煎茶、浴衣、観光パンフレット──。従来、顧客が到着して部屋に入ると、客室係が一つひとつ、部屋に持っていった。「失礼いたします」と声をかけ正座でふすまを開け、深々と頭を下げてから客室に入る。到着後の対応だけで、客室係が8回程度は客室を訪問していたという。この儀式のような接客は1時間に及ぶこともあった。「できるだけお部屋に伺って、お茶を差し上げなさい」。
これが長年受け継がれてきた理想の接客だ。

日本は本当に進歩が得意なわけです。ただ、あまりにも進歩が行き過ぎてしまい
あらゆるところでこのような異常ともいえることが起きています。

関連記事