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吉野家の行列から透けてみえる日本人の国民性(あすへのヒント)

ポイント
  1. 時間に対する概念
  2. 日本人は行列を好む文化がある

目次 [非表示]

今年2月2日の金曜日、牛丼チェーン大手「吉野家」の各店の様子は、普段とまったく違っていた。吉野家は、この日限定の「牛丼無料クーポン」を、ソフトバンクのスマートフォン利用者に限定して配布した。このため各店舗で大行列が発生。ロードサイド店では入店待ちの車が列をなし、これが原因で渋滞が発生する騒ぎにもなったという。

「たかが牛丼1杯で」と言うなかれ。この現象に日本人が抱えている「国民病」が浮き彫りになっているのではないか、と筆者は思った。理由は2つある。

1つ目は「時間に対する概念」だ。

「早い・安い・うまい」の三拍子が最大の売りであるはずの吉野家に、1時間以上も並ぶ人々。週末金曜日の貴重な時間を費やすのは、もったいないのでは? そんな概念があれば、通常300円の牛丼並盛に行列を作るという感覚にはならないだろう。

時給換算したとき300円以下という人でない限り、牛丼1杯が無料になったところで実質マイナスだからだ。多くの人が有限である時間に対する価値が希薄なのは明白だろう。

2つ目が、そもそも「日本人は行列を好む文化がある」かもしれない点だ。

著者が留学していた米国では、庶民的なレストランであっても、客は少しでも待ち時間ができるようでなら、すぐに次の店へと移動していった。経済大国といわれるヨーロッパ諸国でもこの傾向は変わらないだろう。飲食では高級店であっても予約がほとんどであり、行列を作り待つことへの耐性がそもそも低いのだ。

その点、日本人は行列に対して恒常的に慣れている。ショッピングモールやパチンコ店、競馬場……。開店前に列を作るのは日常的な風景だ。果ては、初もうでの参拝まで行列となるのは日本ぐらいではないか。新作のスマホやゲーム機に長蛇の列を作るのは、待っている時間さえもイベント化しているからかもしれない。

今回、吉野家の「牛丼無料」をキャンペーンとして打ったのは、ソフトバンクのプレミアムフライデー企画だ。これだけのニュースとなり大々的に記事として取り上げられれば、牛丼無料分の費用など広告費としては安いものだろう。企画としては大成功といえる。

良くも悪くも日本人は行列が好きだ。フリーランスのトレーナーやベンチャー企業の社長である我々は、この傾向を上手に活用することを考えるべきだろう。まったくお客が入っていないラーメン店よりも、行列ができていて活気のあるラーメン店に並びたくなるのは、日本人にとって自然なことだ。一過性のイベントとして「行列のできるパーソナル・トレーニング」のように、異質なものの組み合わせとして注目を集めるようなしかけは有効だろう。

ただ、その際にも十分に理解しておかなくてはいけないことがある。日本人の隠れた第3の国民性である「飽きっぽさ」だ。

ソフトバンクの牛丼無料企画は、今年2月の毎週金曜日に継続して実施される。後半にかかるにつれ、牛丼のために並ぶ行列はどんどん緩和されていくのではないか。イベントとしての鮮度が薄れ、多くの国民が「費やす時間を考えたら割に合わない」シンプルな真実に気づくからだ。

潮目が変わると「あっという間に引いていく」のが、行列に並ぶ日本人的な心理だろう。経営者としては、こうした本質を理解して上手に「打ち上げ花火を上げていく」必要があるのかもしれない。

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著者プロフィール

弘田雄士

弘田雄士

コンディショニング・コーチ、鍼灸師。アスリート・スポーツの世界でフィジカル強化・コンディショニング指導を専門としたトレーナーとして15年以上活動。MLBマイナーリーグでのインターンを経て、日本のプロ野球「千葉ロッテマリーンズ」のコンディショニング部門などを歴任。現在はラグビートップリーグ「近鉄ライナーズ」にてヘッド・コンディショニング・コーチを務める。著書に「姿勢チェックから始めるコンディショニング改善エクササイズ」(ブックハウスHD、2013年)。全国でのセミナーなども積極的に展開し、「コンディショニング」の重要性を伝えていく活動を展開している。