独占から「共栄」へ? 情報流出問題でも過去最高益のフェイスブックに見る「次の時代」(あすへのヒント)
- フェイスブックの問題発生後の決算
- GAFAの影響力

米フェイスブックが25日、2018年1〜3月期の第1四半期決算を発表した。フェイスブックはその利用者情報を、英国の選挙コンサルティング・マーケティング会社のケンブリッジ・アナリティカに不正取得されて、情報を流用された問題が3月下旬に発覚。これを受けて、創業者のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が米議会の公聴会に招致されて追及されるなどの窮地に追い込まれていた。
だが、ふたを開けてみると18年1〜3月期決算は、売上高は前年同期比49%増の119億6600万ドル(約1兆3000億円)で、市場予想の114億700万ドルを上回った。純利益も同63%増の49億8800万ドル(約5450億円)と過去最高を更新した。
情報流用問題の発覚後、フェイスブックは新たにセキュリティー部門の人材雇用などで人件費などコストも膨れ上がったようだが、スマートフォン向けを中心に広告収入が前年同期比で50%拡大し、月間利用者数(MAU)も同13%伸長。そのおかげでコストの増加分を吸収でき、増収増益となった。お膝元の米国などでは「フェイスブック反対運動」なども起きており、今後の成長見通しについて懐疑的な見方も残るが、スマホ広告など時代の流れに乗った収益基盤はまだまだ底堅いといえるだろう。
米国発祥で時価総額の高いIT関連の“巨人”を総称する「GAFA」という言葉が株式市場に定着して久しい。GAFAとはグーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップルの頭文字を並べた呼称だ。故・スティーブ・ジョブズが1976年に創業したアップルを除けば、グーグルは1998年、アマゾンは1994年、フェイスブックは2004年の創業で、いずれも四半世紀(25年)を超えない新興の企業ばかりだ。短い期間で世界を席巻する大企業となったGAFAの創業者や経営者らは米国ではもちろん、世界的にも人々が憧れ、尊敬する対象となってきた。
一方で、大きくなりすぎたことで羨望が嫉妬にかわり、社会的にも影響力が大きく高まったことで「反作用としてのアンチ行動」にも直面しやすくなっている。かつてパソコン用OS(基本ソフト)「ウィンドウズ」で世界を網羅した米マイクロソフトも、その独占的地位を欧米で問題視され、各方面でマイクロソフトを糾弾する動きも起こったことがあった。だが今では、GAFAと協業することがマイクロソフトにとって収益の柱となりつつあり、「iOS」や「アンドロイド」などスマホOS向けのアプリケーションで儲けるようになり、だんだんと「嫌われなく」なっている(「嫌われ者から提携上手に、マイクロソフトの協業マップ 徹底解剖マイクロソフト」日経xTECH 2018年4月25日配信)
となれば、今は“巨人”として世界の市場をぐいぐい侵食している大手GAFAも、その世界的なインフラと化したプラットフォームを開放して、協業で繁栄を求める姿勢に切り替わることが予想される。すでにグーグルなどはオープン化を社是にして成長を続けている。ここに、新規に事業を創り出していく起業家が食い込むべき隙があるはずだ。
GAFAの一角を占めるフェイスブックが直面した情報流出問題への対応と、それでも巨大化した収益基盤を守り伸ばしていこうとする姿勢をみると、プラットフォームの「独占」から、他社やスタートアップへの開放による「共栄」へとトレンドが変わっていくのではないか――。決算発表などから、そんな流れを感じる。
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