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中小企業で使えるマーケティングのステップと手法

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マーケティングというと、特に情報や手法が多く、なんだか難しいと感じられる方が多いのではないでしょうか。しかし、自社の製品やサービスの価値を伝え、お客様に喜んでもらうために、また、限られた経営資源を有効に使って目的に達するためには、欠かせない考え方です。

どの段階でどの手法を使うのかを明らかにし、簡潔にまとめました。

第1章 マーケティングはなぜ必要なのか

(1)マーケティングとは何か?

マーケティングとは、「商品や製品、サービス内容などを、市場ニーズにいかに適合させていくかを追求する理論あるいは方法論のこと」を指すと言われます。

現在の日本では、消費が成熟期を迎え、「もの」そのものに対して、人々が高い欲求を持つ時代ではなくなりました。逆に、「もの」が圧倒的に足りない発展途上国では、かつての日本のように、黙っていても人々はどんどん買ってくれるため、マーケティング手法は必要ありません。

「いいものを作れば売れる」「売れれば儲かる」という時代は終わりました。企業は、消費者の目線に寄り添わないと、お客様に喜んでもらうことができず、売上はどんどん下がっていきます。

かの有名なドラッカー教授も、「企業の目的は顧客の創造である」という有名な言葉を残しているように、企業に必要なのは、イノベーションとマーケティングです。これらが成果をもたらすとしています。

マーケティングは、どうやったら自社の商品やサービスが顧客に支持してもらえるのか、どうすれば喜んでお金を出して買ってくれるのかを追求する方法論です。

大企業では、マーケティングの専門部隊がいて、リサーチにも莫大なお金を使い、マーケティングを行っていますが、中小企業では限られた人材と資源のなかで、マーケティングを行っていかなければなりません。

(2)マーケティングとは「売れるしくみ」であって「売るしくみ」ではない

マーケティングは、単なる広告や販売ではなく、顧客のニーズを顧客満足を中心にして「売れるしくみ」「買ってもらえるしくみ」を企業内に作ることです。

ここで大切なことは「売れるしくみ」であって「売るしくみ」ではないことです。営業マンが懸命になって売ることではありません。極端に言うと営業マンがいなくても、しくみだけで売れていくという事を表しています。

まずは顧客を知ること、それから、自社の経営理念やビジョンを実現するための経営戦略との整合性を取ることが重要です。

第2章 マーケティングを考えるステップとステップ別手法

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マーケティングを考えるにあたっては、以下のようなステップがあります。

・環境分析

市場の機会と脅威、自社の強みと弱みを分析する。

・課題の特定

自社の課題を洗い出し、優先順位をつける。

・セグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(市場選定)

どの市場にアプローチするかを検討し、優位に立てそうなセグメントを選択する。

・ポジショニング

ターゲット市場内での自社の立ち位置を明確にする。

・マーケティング・ミックス

製品戦略(Product)、価格戦略(Price)、流通チャネル戦略(Place)、プロモーション戦略(Promotion)、のマーケティングの4Pの整合性を取りながら、トータルに戦略を考える。

・実行計画

数値計画と行動計画を立てて、定期的に進捗管理を行い、軌道修正していく。

それぞれのステップの内容と手法を紹介していきましょう。

(1)環境分析(SWOT分析)と課題の特定

・SWOT分析

戦略策定のためには、まずは自社の置かれている環境を正確に分析し、現状を把握することが必要です。そのために必要なのが、企業の外部環境分析と内部環境分析です。

こちらによく利用される手法がSWOT分析です。SWOT分析は、経営環境を内部からの影響と外部からの影響に区分し、それが好ましい影響を及ぼすものと好ましくない影響を及ぼすものに区分してマトリックスを作り、様々な情報を整理し、分析するためのツールです。

SWOTとは、マトリックスの4つの要素、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Oppotunity)、脅威(Threat)の頭文字を取ったものです。

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SWOT分析により自社の内部環境、外部環境に関する現状分析ができたら、自社の経営理念・ビジョンと自社が置かれている現状との間にギャップが生まれます。このギャップを埋めるために何をするかが、戦略です。戦略を考えるにはまず、自社がどの分野(事業領域)で事業を行うかを決める必要があります。これを「ドメイン」と言います。

・ドメインとは?

「ドメイン」とは、企業が持っている限られた経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)をどこに配分して投入していくかを決めることです。つまり、自社が「誰に、何を、どうやって」提供するのかを明確にすることとも言えます。

世の中には情報がたくさんありすぎて、魅力的に見える事業領域がちらちらと目に映ることもあるでしょう。しかし、ドメインを決定しなければ、自社が向かうべき方向が明確にならず、社内一丸となって同じ方向に進むことができません。

また、現在の事業領域に限定するのではなく、環境の変化に適応しながら、軌道修正の必要はあります。しかし、ドメインが広すぎると焦点がぼやけて、メッセージが伝わりにくくなります。

・成長戦略のために使えるツール1 アンゾフのマトリックス

企業が成長するために、自社のドメインのなかでどの方向に向かうかを決めるためのツールとして、アンゾフのマトリックスがあります。

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一般に中小企業は、たくさんの経営資源を必要とする「新商品開発」「多角化・事業転換」をすることは難しく、それ以外の戦略を取ることが多いようです。

・成長戦略のためのツール2 PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)

PPMとは、キャッシュ・フローからみて、資金をどの事業(商品や製品、サービス)に配分するのかを検討するためのツールです。横軸に市場競争力(相対的なマーケットシェア)、縦軸に市場成長率を置いて、4つの象限に区分します。

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PPMは本来ある程度市場シェアを持っている大企業でよく使われるツールですが、中小企業であっても、自社の製品・サービスがどのライフサイクルにあるのかを分析し、限られた資源をいかに集中して投下できるかを検討できます。ときには、新たな事業や顧客の開拓が必要だという事に気づくかもしれません。

以上のプロセスを経て、自社の環境分析を行い、課題を洗い出し、課題に優先順位をつけていきます。

(2)セグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(市場調査)

・セグメンテーション

次に、どの市場にアプローチするかを検討し、優位に立てそうなセグメントを選択します。自社は特に誰を幸せにすることに強いかを検討するのです。

「市場」というのは、ニーズやウォンツを持った人々の集合体です。共通する価値観を持つ人々または共通した行動を取る人をピックアップした者を「セグメント」と言います。

セグメンテーションとは、様々な視点から「市場」をセグメントに細分化することです。視点の例としては、地域や気候などの地理的な視点から、年齢や性別、家族構成、職業などの人口動態的な視点、ライフスタイルや趣味などの心理的な視点、購買パターンなどの行動的な視点などがあります。

郊外に住む人と、都心のマンションに住む人とでは、購買活動はまるで異なります。郊外に住む人にとっては、車は必須ですが、都心のマンション住まいではそうでもありません。このような場合に、それぞれに販売する自動車の種類も変わります。これがセグメンテーションです。

セグメントが異なると、ニーズ合わせた商品開発や広告宣伝、接客やアフターサービスまでを考えやすくできます。

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・ターゲティング

ターゲティングには、①すべてのセグメントを対処にする非差別化マーケティング、②複数のセグメントにそれぞれ違う製品・経営資源を導入する差別化マーケティング、③1つのセグメントに善経営資源を導入する集中化マーケティングの3つがあります。

①は誰もが毎日使うような日用品や食料品などが該当しますが、コモディティ化しやすく、競争力は弱くなりがちです。

②では、複数のセグメントにそれぞれ違う製品・経営資源を投入するので、売上も規模も大きくなりがち。

③は、1つのセグメントに自社の善経営資源を集中して投入するので、規模は小さくなりますが、専門性や独自性を高めたものを販売でいます。

・セグメントの判断基準

どのアプローチ方法をとるかを決めたら、セグメントを選びます。

判断基準である「6R」をご紹介しましょう。

①市場規模(Realistic Scale)

事業が成り立つ程度の市場規模は最低限必要です。どのくらいの市場規模があるのか?政府の統計などを使って読み取るとよいでしょう。

②成長性(Rate of Growth)

市場に成長性があるかを見極めます。人口減少下でも、どのくらいの成長性がある市場かどうかを検討します。

③競合(Rival)

競争が激しいかどうかは収益性に大きく影響を与えます。競合の会社はどこで、どんな動向を取っているかを確認します。

④顧客の優先順位(Rank)

どこに優先順位を置いてアプローチをかけるかを検討します。すべていっぺんには無理です。

⑤到達可能性(Reach)

地理的条件や告知方法など、顧客にアクセスできるかどうかが重要です。

⑥反応の測定(Response)

広告や満足度などの反応を測定、検証し、次の打ち手に繋げます。

環境の変化により、顧客が変化したり、ニーズが変わったりもします。スピードが早まっている現在においては、常に顧客の声に耳を傾け、定期的な見直しが必要です。

(3)ポジショニング ターゲット市場内での自社の立ち位置を明確にする

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ターゲットが決まったら、次は顧客に自社の製品について「認識」してもらう必要があります。

どんなに良いものを作っても、知ってもらわなければ買ってもらえません。ただ知ってもらうのではなく、「これは顧客にとって魅力的だ」と知ってもらう必要があります。

自社製品の価値や特徴を正しく理解してもらうために、顧客に認知させる行動のことをポジショニングといいます。

この段階でおすすめなのは、すでに販売している製品やサービスがあるならば、自社がなぜお客様に選ばれているのか、どう魅力的に思って選んで頂いているのか、顧客に直接聞いてみること、これが大きなヒントになります。

理想だと思う顧客にアンケートを取ってみると「このように認識されているのか」と客観的に知ることができます。

マーケティングのポイントは、客観的な視点を忘れないことです。作る側の情熱も大切ですが、今実際どのようなポジションに自社が認識されているのかを知ることは、今後の打ち手を考えるうえでとても有効な情報になります。

このようにして、顧客に訴える価値を決めていきます。

(4)マーケティング・ミックス

ターゲット市場において、自社商品のポジショニングが明らかになったら、今度は目標達成のためにどこに力を入れていくのかを検討します。

そのためには、マーケティングの4Pという概念で考えると有効です。4Pとは、製品戦略(Product)、価格戦略(Price)、流通チャネル戦略(Place)、プロモーション戦略(Promotion)です。これらのマーケティングの4Pの整合性を取りながら、トータルに戦略を考えることが必要です。

・製品戦略(Product)

何より製品やサービスがあって、ビジネスが成り立ちます。ここでいう製品とは、製品そのものだけではなく、アフターサービスや支払方法、接客までも含めた包括的な意味での製品です。顧客は製品だけというよりも、他に付随する様々な便益を総合して1つの製品を選んでいると考えられます。

製品戦略は、大企業には製品戦略部という部署があるくらい、考え抜かれる必要があるものですが、ごく簡単にまとめると、次のように集約されます。

製品コンセプトを3つの構成要素で考えます。キャリアウーマン向けの婦人服で躍進しているKaymeというブランドを例にしました。

①対象(ターゲット像)誰が使うのか?
例:(婦人服のKayme)プロフェッショナルとしてフルに働くキャリアウーマン

②利用シーン:いつどこで何に使われるのか?
例:(Kayme)ビジネスの場が中心

③顧客ベネフィット:主な価値は何か?
例:(Kayme)長時間着ていてもラクで、華やか。しわにならない。

・価格戦略(Price)

価格は製品の価値を表示するという重要な役割をになっています。消費者にとっては品質や効用を図るモノサシであり、企業にとっては利益を計算するために重要となります。

競争に巻き込まれて値下げするだけでは、結局選ばれず、収益は確保できません。戦略的に価格決定を行う必要があります。

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・流通チャネル戦略(Place)

製品とエンドユーザーを結ぶ経路を流通チャネルと呼びます。製品は製造業者から卸売業者、ディーラー、小売業者を経由してエンドユーザーに届けられます。それぞれの間に、運送業者や倉庫業者が介在する場合もあります。

どういったメンバーで流通させていくのか、また、メンバーを特約店などに独占的に販売させるか、誰でも参入をOKとするのか(チャネルの開放度)を自社の戦略や製品に合わせて考える必要があります。

最近では、ITを使ったダイレクトマーケティングも盛んに行われています。自社でできるのか出来ないのか、コストやリスクはどの程度なのか、そのリターンはどのくらいあるのかを総合的に考えながら、自社の採用すべき流通チャネルを決定する必要があります。

一度決定した流通チャネルは変更するには大きなリスクとコストがかかります。しかし、時代の変化が速い今、常に流通チャネルは検討すべき課題だと思います。

まずは、現在採用している流通チャネルが、有効に機能しているのか、またこの先も機能するのか、もっと有効な方法はないのか、一度見直してみるとよいでしょう。

・プロモーション戦略(Promotion)

顧客がどうやって製品の情報を取得し、自社の製品を知り、買おうと思って実際にお金を支払うのか、プロセスを考える必要があります。

ここでは「AIDMAモデル」というモデルに当てはめると考えやすいと言われています。

①注意(Attention)
気づく、呼びかけに反応する段階

②感心(Interest)
「なんだろう?面白そう」と製品に興味を持つ段階

③欲求(Desire)
「買いたい、使ってみたい」という欲求が起こる段階

④記憶(Memory)
「買ってもいい」という気持ちを持ち続ける段階

⑤行動(Action)
製品を実際に購入する段階

顧客がこのようなプロセスで購入するならば、企業はそれぞれの段階に応じた戦略を立てることが必要です。つまり顧客の注意を喚起し、興味を持ってもらうような活動を十分に行っていないにもかかわらず、顧客が買ってくれるのを待っていても、製品が売れることはないのです。多くの顧客がどの段階にいるのかを想定し、どうやって伝えるのかを考えなければなりません。

まずは、顧客の思考パターンと行動パターンを知ること。それから、顧客がどの段階にいるのか、それに対して、何を使って、どういう方法で伝えるのかを考える必要があります。

なんでも「販促・広告=お金をかけてメディアを使う」のではなく、顧客を知り、顧客に応じた伝達方法を取ることによって、コストをおさえて買ってもらうこともできるかもしれません。

よくやってもらうことが多いのは、どのように顧客が自社の製品やサービスを知って、興味を持ってもらい、実際に購入し、ファンになってもらうまでのストーリーを想像して作ってみることです。「AIDMAの法則」に沿って物語をつくるのです。

イメージできないところが、現在のプロモーションにおいて、盲点になっているところかもしれません。

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(5)実行計画

ここまでのマーケティング戦略が定まったら、数値計画と行動計画を立てて、定期的に進捗管理を行い、軌道修正していきます。

その通りにいくことも大切ではありますが、たいていの場合、想定の通りにはいきません。当初の見込みと比較して、どんなことにギャップがあったのか、その要因は外部にあるのか内部にあるのか、どのプロセスにあるのかを認識し、次なる打ち手を考えることに意味があります。

まとめ

マーケティングという言葉だけでも、たくさんの書籍と解説ページが出てきます。大企業には、必ずマーケティングの専門部隊が用意されているくらい、マーケティングは深く、そして企業活動にとって重要なものだと言えます。

しかし、経営資源が限られているなか、中小企業でたくさんのことができるわけではありません。今回は、中小企業であっても一度はじっくり考えて頂きたいマーケティングのプロセスについて、まとめました。

なかなか自社のことを客観的に見つめることは、思うよりも難しいものですが、やってみると、いろんな気づきや打ち手があることに驚かれることと思います。貴社の価値をより多くの方に届けて、喜んでもらうために、ご参考になれば嬉しいです。

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著者プロフィール

神佐 真由美

神佐 真由美

京都大学経済学部在学中から「プロフェッショナルになるために手に職を」と税理士を志す。卒業後は、税理士を顧客とする株式会社TKCに入社し、税理士事務所を顧客にシステムコンサルティング営業に4年間従事。本当に中小企業経営者にとって、役に立てるプロフェッショナルはどうあるべきかを問い続け、研究する。税理士試験5科目合格後、税理士業界へ転身。
自ら道を切り拓く経営者に尊敬の念を抱き、経営者にとって「一番身近なパートナー」になるべく、起業支援や資金調達支援、経営改善や組織再編、最近では事業承継支援など多くの経験を積む。経営計画を一緒につくり、業績管理のしくみづくりを通して、未来を見通せ、自ら課題を見つけ、安心して挑戦できる経営環境づくりが得意。大阪産業創造館のあきない・経営サポーターも務め、セミナー実績も多数。「経営者のための資金繰り基礎講座」「本当に自社にとって必要?事業承継税制セミナー」など。

<関連サイト>
角谷会計事務所
未来を魅せる税理士 神佐真由美のブログ