司法書士と認定司法書士の違いを明確に知りたい

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司法書士の認定司法書士

以前司法書士は法務大臣の認定を受けると認定司法書士として、簡易裁判所で取り扱う民事事件において140万円以下の請求額の訴訟の代理人となることができると書きましたが、   具体的に内容を挙げますと、簡易裁判所での民事訴訟手続、訴え提起前の和解手続き、支払督促手続、証拠保全手続、民事保全手続、民事調停手続、少額訴訟債権執行手続、裁判外の和解の各手続について代理する業務、仲裁手続、筆界特定手続について代理する業務、などです。   そして、それは近年の話であり、訴訟代理業務は本来、弁護士の仕事であったことも書きました。   皆さんのイメージとしても、裁判=弁護士であり、なかなか司法書士とは結びつかないかと思います。映画やドラマでは弁護士が裁判で活躍しているシーンをよく見かけますが、残念ながら司法書士は見かけないですよね。   もっとも、そんなイメージのある弁護士でも実際に法廷に立って裁判をするのは業務の一部にすぎず、ほとんどは事務的な仕事なのですが・・・。ちなみに、イギリスでは、法廷に立つ弁護士をバリスタ、事務弁護士をソリシタと言い、日本の司法書士制度はこのソリシタを参考にしたとも言われています。   ここでかなり横道にそれるのですが・・・、英語で法曹界のことを “Bar”「バー」と呼びますが、これは、裁判所の中で傍聴席と裁判をする場が一本のバーで隔てられていることに由来するそうです。バーの向こうは法律だけが支配する別世界なのです。この区別がもしかしたらイギリスでは法廷弁護士と事務弁護士をわける歴史的経緯につながったのかもしれません。   さて、アメリカは訴訟社会であるということで有名ですが、日本はそうではありません。裁判に対しては負のイメージも強く、争い事を裁判で解決することを避ける傾向にありました。現在でもその名残があると思います。   これは、特に地方に行くとその傾向が強くなるように思います。ですから、訴訟を起こすと言っても訴訟代理人となれる弁護士は都市部に集中し、地方で活動する弁護士はあまりいませんでした。   それでも時代の流れから、裁判や法律による紛争解決に頼る人も多くなり、その状態が近年の司法制度改革まで続いていました。  

弁護士とは違う法律家

しかし、司法書士は違いました。司法書士は「まちの法律家」として全国各地にいたのです。そこで、司法書士で、法務大臣の認定を受けた認定司法書士が簡易裁判所で訴訟代理人となることができるようにすることで紛争のスムーズな解決につなげることとなりました。   認定司法書士として、認定を受けるためには、法務省が実施する「簡裁訴訟代理等能力認定考査」を受験し、合格しなければなりません。   もちろん、司法書士となる資格があることが前提ですよ。しかし、この「簡裁訴訟代理等能力認定考査」の受験資格はそれだけではありません。「司法書士特別研修」という厳しい研修を修了しなければ、受験資格は得られません。   日本司法書士連合会によると、2015年4月1日現在で全国に司法書士は21,658人いますが、そのうちの15,613人が認定司法書士です。司法書士全体の約3分の2といったところでしょうか。     司法書士も、ビジネスとして考えるなら認定司法書士は、冒頭に列挙したような簡易裁判所での色々な代理業務をすることができますので認定を受ければ業務の幅も広がることでしょう。   しかし、司法書士ともなればその使命は大きく、社会的責任も重いものです。ビジネスの視点からだけではなく、国民の権利を守るという大きな視点から見ると、司法書士試験に合格の後も勉強し続けなければなりませんし(もっとも試験のための勉強とは性質は違いますが)、認定を受けることもその一つなのではないでしょうか。

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