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開業前の準備と計画性が成功の秘訣! 士業事務所の成功確率をあげる方法とは

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綿密な計画のもとに突き進んだ独立前夜

社労士を目指そうと思ったのはいつ頃のことですか?

もともと、大学在学中から法律事務所に勤務しており、当時は弁護士を目指していましたが、ちょうどロースクールがスタートするタイミングだったこともあり、あらためて将来について考えてみたのがきっかけでした。
あまり学力に自信がないため、途方も無くいつまでも司法試験を受け続ける勇気が持てず、それであれば他の法律資格職に就くという将来像を描けないのか自問自答し、行き着いたのが社会保険労務士でした。かねてより、人を動かす仕事をする方が自分には向いていると感じていたこともあり、「自分で経営をしたい」という思いが強まり、将来は法律系の資格をとって独立開業をするという目標に変わっていったのです。

社労士の資格取得後は、法律事務所から社労士事務所に転職し、いくつかの社労士事務所で「社労士業務」というものを学ばせてもらいました。

しかしながら、どこの社労士事務所でも「営業」というものを垣間見ることはなく、年に数件ご紹介で入ってくる顧問契約で経営が成り立っているという感じでした。
当たり前ですが、退職が発生したらその穴埋めに採用をする程度で、もし退職がなければ、最後に入社した人がずっと新人(下っ端)、皆で共に歳をとっていくという構図が士業事務所にはあることをずっと懸念していました。

そのため、私は独立開業をしたら売上を上げて大きな事務所を作りたいと思っていたのではなく、士業事務所でも数十名規模で若い人からご年配のベテランまでいてまるで一般企業のような組織で法律の専門家ないしはそれを目指す人たち、携わっていきたい人たちを働かせてあげたいと思っていたのです。この考えは今でも変わっていません。
つまり、人をたくさん雇用するために売上を上げる必要があったということです。
当事務所も現在は20名弱の組織になり、家族同伴での社員旅行や同じく家族参加OKのバーベキューやレクリエーションなども行い、仕事だけの繋がりではない組織が自然と出来上がっているのを実感しています。

独立までの経緯について教えてください。

もともとは、40歳までに独立開業できればいいなと思っていたのですが、35歳のときにとあるタイミングがあって思い切って独立開業しました。
思い立って独立したため、コネも顧問先の候補もない状態でした。とにかくオープンまでの短時間でしっかりと準備をしようと決意し、とにかくスタートする時点でホームページが完成していること、完成までは事務所をオープンしないと心に決めていました。たくさんの士業事務所で勤務させていただいた経験から、料金表やサービス内容などのツールや体制がしっかり整っていることが重要だと確信していたので、事務所名も住所も電話番号も決まっていない状態でホームページの制作を依頼し、その間に物件探しやツールの準備を行っていました。

経験を重ね、あらかじめ準備しておくことの大切さ


法律事務所での経験が、独立に結びついたのですね。

独立すると言っていても、前述のとおり思い立って独立したため、最初は雲を掴むような状態でした。何をしていいのかわからない。ただ、いろいろな事務所を見てきたことで、「まずはホームページを作る」「来所型にする」「人を採用するには簡単なマニュアルが必要」など、1つ1つのピースを作って埋めていく感じでした。

独立開業するにあたって、もっとも重要だと思われることは何ですか?
想定できる範囲内のものはすべて事前に準備しておくこと。顧問を取りたいなら顧問内容のわかるツールやわかり易い料金表を用意しておくこと、従業員を雇うなら、雇ってからいろいろと試行錯誤するのではなく、あらかじめレールを用意しておくとか。行き当たりばったりで失敗したり、試行錯誤している時間や労力、そしてお金も勿体無いので。雇用の場合だと、入社してきた人が迷わない仕組み(環境)を整えておくことを開業したての1人ときから常に意識してマニュアルを作りながら業務を行っていました。

この5年間でいろいろな事務所を見させてもらって感じているのは、士業事務所には2つのパターンがあるなということ。1つは「所内体制を重視」して経営をしている事務所、もう1つは「お客さん目線」で経営をしている事務所です。
前者は、お客様から依頼があった場合に自身の事務所のやり方に合わせてもらって無駄を省き事務効率を上げているため従業員満足度の高い事務所、後者は、ある程度お客様のニーズに応えてあげるので顧問先が10社あれば10通りのやり方で業務を行わなければならないため労力は要するが顧客満足度は高い事務所ということになります。

どちらが優れているということではありません。所長の方針として、前者をとるのか多少は手間でも後者を取るのか。当事務所は明らかに後者です。できる限りお客様がやりたいような形でお受けする。お客様対応に手間がかかる分、事務所内の効率化を最大限に図り、現在は事務所内に紙のファイルが一切存在しないペーパーレスの状態で業務を行っています。
そういった事務所運営の違いを経営者が理解しておかないと、事務所全体をまとめることはできないと思います。

目標の設定ととらえ方について


独立後、数字的な目標は掲げていましたか?

決めていたのは「5年で1億円10名事務所」(4年で達成できましたが)ということだけです。
前述しましたとおり、売上ではなくスタッフ数を増やしたいのが私の目標です。しかしながらスタッフ数の数値目標だけでは正社員やパートの雇用形態の違いなどもあり、年にどれくらいの顧問契約を取ればよいのかなどが見えてこないため、あえて売上目標を数字で掲げ挑戦しました。
数字的な目標そして数値管理ができなければ、経営していくのは難しいかもしれません。

数値目標に対する手応えはいかがでしたか?

開業当初より毎年綿密な数値での経営計画書を作成しておりますので、目標に届かないかなと数字で見えてきた時には行政書士をグループ化し、さらに障害年金の部門を立ち上げて、軌道修正しながら予定よりも早く目標を達成することに成功しました。

苦労したこと(予想外だったこと)は・・・社労士業界はキャッシュの回りが遅いということ。
売上の構成比は顧問が半分、助成金や就業規則などのスポット業務が半分。助成金等の報酬は、半年から1年後にならないと入ってきません。

たくさんの士業事務所に勤務して参りましたが、当たり前ですが経営者として携わってきた訳ではなく単なる給与所得者だったので、事務所にとってのお金の重要性を全く理解しておらず、経営者感覚が培われていませんでした。キャッシュフローの重要性に気がついたのは、開業してから半年後ぐらいのときでしょうか。それからは資金繰りをしっかり行いマイナスイメージだった「融資」もビジネスの一部だと考えられるようになりました。

社労士業界と経営について思うこと


今の社労士の現状をどのように感じていますか?

所長社労士とパート2~3人、生活費が稼げればといった社労士業界の構図は今も開業した5年前とあまり変わりなく大半を占めているような気がします。でも今、私の周りにはそのような考えの先生方は全くいません。皆、前に進み必死に営業活動を行って少しでも事務所が大きくなるように頑張っている社労士さんばかりです。私がもし生活費程度に稼げればと思っていたなら恐らく同じような考えの先生しか周りにいなかったことでしょう。

誰かが何とかしてくれるということはこの世界にはありません。私が主宰しているダッシュ塾(開業塾)の塾生の中にも、塾に参加するだけで売上が伸びると勘違いしている方がいます。若い開業者はインターネットやSNSなどを巧みに利用して積極的に動けますが、40代後半ぐらいで開業した人達は、何をして良いのか迷っているうちに更に年齢を重ね・・・という悪循環に陥っているような気がします。

ちょっと手を差し伸べたり、ちょっと方向性を示してあげたりと背中を軽く押してあげるだけで一歩を踏み出せるような人が多いのも事実です。
私が主宰しているダッシュ塾に通え!と言っている訳ではありません(笑)
法改正が多い業界ですし、一人ではなかなか前に進めないこともたくさんありますので、気の合う社労士仲間を見つけて、情報共有をしたりアドバイスをもらったりするのも得策ですし、殻に閉じこもらずに活動していけば自分のステージに合った同じ思いを持つ仲間が必ず周りに集まってきます。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

起業すると必ず立ちはだかる壁が「人」の問題です。それを回避するためには、組織をつくる際に、「ブレない経営方針」を掲げることが重要だと思います。そうすれば、経営者として筋の通った組織運営ができるからです。

前言撤回や朝令暮改をくり返していては、人はついてきません。一貫性のある対応を心がけることが、統率力を高める秘訣だと思います。スタッフや周りの社労士、経営者の言動に流されて、コロコロと方針を変えてしまうようでは、組織を作っていくことは到底難しいでしょう。

貫した方針を常に掲げ、その方針にしたがってみんなが突き進める環境を整える。それが経営の難しさでもあり、醍醐味でもあると私は思います。


<プロフィール>

オーリンク社会保険労務士法人小田切朋子


平成19年   社会保険労務士試験合格
平成20年2月 社会保険労務士登録
平成21年5月 特定社会保険労務士付記
平成23年7月 千葉県船橋市にて
        小田切社会保険労務士事務所を開業

平成26年1月 オーリンク社労士事務所へ名称変更

大学卒業後、社労士試験に合格するまでの約10年間、法律事務所にて弁護士秘書から事務局長までを経験し、事件関係や裁判手続き等の一般的な法律事務はもとより、事務所経営に至るまで携わって来た経験を活かし、社労士となってから現在までの間に、小さな店舗(飲食業・従業員5人)から大手企業(派遣業・従業員約12万人)まで、飲食業やサービス業、IT、製造、士業など多種多様な会社様や事務所様の顧問、社会保険手続き、給与計算等に従事。

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