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【全1回】税理士が知っておかなければいけない法律のこと

目次 [非表示]

知っておかないと税務調査で問題が起きる!
税務と法務の間に強い永吉弁護士が教えてくれること

 
税のことを語ってくれる弁護士として、税理士向けのメーリングリストサービスや税理士のための法律サイトなどを運営するなど、日々税理士からの法律相談を受けている弁護士:永吉啓一郎氏に「税理士が知っておかなければいけない法律のこと」についてお聞きしました。
 
【プロフィール】
税のことを語ってくれる法律家
 
永吉 啓一郎(ながよし けいいちろう)
弁護士法人 ピクト法律事務所 代表弁護士
 
1985年愛知県生まれ
中央大学卒業。弁護士となり鳥飼総合法律事務所入所。
2015年に弁護士法人ピクト法律事務所を設立し、代表弁護士に就任。
 
現在は、80名以上の税理士が会員となっている「メーリングリスト法律相談会」を運営しており、税理士の相談を多数受けている。また、〜「税理士×法律」〜という税理士向けの法律情報サイトも運営し、情報発信も行っている。http://zeirishi-law.com/

 
――永吉さんの強みってなんですか?
 
永吉:普段から税理士さんの質問に答えているので、税務と法務の間のところがわかるという点と、あとはWeb関係に強い点でしょうか。
 
――なぜ永吉さんは、税務と法務の間の部分に強いのでしょうか?
 
永吉:前職のときに、税理士さん向けの事業の立ち上げをする機会をいただいていましたし、今はメーリングリストなどでも税理士さんの相談に日頃、答えているからですかね。 税法は、弁護士さんの中では馴染みが少ないかもしれませんが、税理士さん向けの事業を作っていた関係で、しっかり勉強しなければならなかったということがありましたね。
 
――同じサービスが出来る少数の弁護士さんの中で、永吉さんが差別化できる部分はなんですか?
 
永吉:もちろん、専門性というところはあります。税理士さんからの相談を受ければ受けるほど、自分の専門性は高まっていきます。あとは、サービスとして、オペレーションの改善やマーケティングの部分などかなと。サービスを創るとなると仕組み作りみたいなものが必要になりますが、そのあたりは、あまり意識されていない方が弁護士さんの中には多いのかなとは思います。
 
――税理士の先生からの法律相談で、特殊な点はどのようなところでしょうか?
 
永吉:一般のお客様と異なる点でいうと、税理士さんは、当然、関与先さまの税務判断をすることもお仕事ですが、その判断の前提として、民法などの法律の理解が必要になります。税務調査に備えて証拠をどのように残しておいたら良いか?などもあるでしょう。
 また、税理士事務所の経営については、税理士賠償責任という法的なリスクがありますので、このあたりでしょうか。
 
――税理士さんが知っておかなければいけない法律の前提って結構あるんですか?
 
永吉:税務判断では、経済的な取引行為などを税法に当てはめるとどうなるのかを判断します。その経済的な取引行為の法律的な意味は、民法や会社法の理解が前提になりますから、その点を加味して、税務判断をしなければなりません。基本的な話でいうと、「給与所得」なのか「事業所得」なのかという点もそうですね。
 
税法の観点も考慮されますので、必ずしもイコールではありませんが、ただ基本になるのは、民法の理解だったりします。
 
基本的な法律が理解できていないと、実務的に処理は出来るけど、税務調査で指摘されたときに応用を利かせて、反論できなかったりということが起こります。
 
――知っておかないと税務調査で問題が起きる?
 
永吉:調査官から「これおかしいじゃないですか」と言われたときにおかしくないと説明できる一つの材料として「法律」があって、税理士さんが税務に活かすという場面は多いかと思います。
 
 
――一番大きな目的は税務調査ですか?
 
永吉:もちろん申告が一番大事です。それによって調査が変わります。その申告内容が正しいか正しくないかが調査されるということになりますから、申告の段階で法務的な知識を活用し、根拠を持ったうえで申告をするというのが一番ではあります。
 
――税務対策という形で弁護士の方たちが教えていることってなんですか?
 
永吉:法律の問題が一点、先ほど話した民法の理解、例えば、武富士事件で問題になった「住所」の判断もですよね。民法の定義と一緒になる税法の「借用概念」などです。
 
あとは、法律論もそうですけど、証拠からの事実認定ですね。
 
例えば「貸倒損失」は、損金にできるかで言うと、結局、税法解釈上、当該事業年度で、回収不能か否かで決まることになります。そうすると規範が抽象的なので、正直だれもわからないという部分もあったりします。そういうときに弁護士の場合は、「法律論」とは別に、「証拠からどこまで事実を認定できるか」を考えます。調査になった時に回収不能かどうかの議論になりますが、どういう証拠を揃えておけば損金として落としても否認されないかなどにつながる視点かと思います。
 
――それは、例えば弁護士さんと組まれて仕事をしている税理士さんもいらっしゃると思いますが、税理士さん単独でもできることですか?
 
永吉:できると思います。もちろん、事実認定については弁護士になる過程でかなり訓練するので、税理士さんも弁護士と組んで業務をすることは良いことだとは思います。
 
――例えば永吉さんの講座を聞けばすぐわかりますか?
 
永吉:各場面によって異なってくるとは思いますが、結局は、実態に合わせて書面等を残すことが重要なので、できるかと思います。
 
 
 
 
――税理士の先生方は調査に来ないようにさせるのが仕事ですか? それとも来た時になんとかするのが仕事ですか?
 
永吉:できれば調査が来ないのが一番いいですよね。だからといって保守的な申告ばかりしているのも問題だと思います。
書面添付制度等をうまく利用されている先生方もいらっしゃるかと思います。いずれにせよ証拠に基づいた適切な根拠を持って申告をするというのが大切ではないでしょうか。
 
――仮に申告→調査→裁判まで段階が進んでいくとして、その間に揃えている資料はその都度増えていくものなんですか?
 
永吉:基本的には、その経済取引をしたときに何があったか、どういう事実があったかが重要なので、本来的には増えないんですが、例えば、契約書なしで取引をしていた場合に、ちゃんといままでの法律関係を確認するために確認書を作りましょうということはあります。なので、申告から調査までの間に、段階的に増えていくということもありますね。
ただ、最初からちゃんとできていたほうがもちろん証拠としての力は強いです。
 
――基本的に書類の準備は誰がするんですか?
 
永吉:それは、お客様の選択次第です。弁護士に頼む場合や(行政書士の資格を持っている)税理士さんに頼む場合もあるかと思います。
 
弁護士の契約書は、もちろん法務的なリスクをヘッジするために作成する場合が多いのですが、税務的なことを考慮する必要がある場面もあります。契約書と税務のミスマッチということもあるので、その辺のことを考えると税理士さんと弁護士が協力しながら作成した方が良いというケースもあるかと思います。特に事業承継等でスキームを設計をする場合は、特に協力した方が良いと感じます。
 
――もう一つ、先ほど、税理士事務所の経営に関して、税理士賠償責任の相談というのが特殊だとおっしゃっていましたが?
 
 そうですね。これも特殊かと思います。税理士賠償責任って、高度専門家責任といわれていて、税理士さんのサービスにはかなり高度な義務が課せられています。
 例えば、基本的に税法や通達等は、全部知っていて当たり前という前提で、賠償責任があるかないか判断されます。ですので、税法を知らなかったとかですと、明らかなミスということなってしまいます。
 税賠で税理士さんにミスがあったか否かという点で、争いになるのは、税理士の先生が事実をどこまで確認する必要があったかや、しっかり依頼者に税務リスク等について説明したかどうかという部分ですね。ちゃんと説明したかどうかという点でいうと、証拠をしっかり残しておきたいところですね。
 
――こちらも証拠が重要ということですか?
 
永吉:実は、税賠が起こるケースというのは、お客さんと関係が切れた後だったりします。実際に問題が顕在化するのが、3年後4年後だったりとか。お客さんとしても、説明を聞いたかどうかは、はっきり覚えていないけど、聞いてなかったと税理士さんを追求するケースも多いのではないかと思います。今だと、昔と違って、お客さんの方でも、税理士さんに損害賠償請求ができるという認識を持つ人は多くなってきていますし、関係が切れて、次の税理士さんを探している過程でそのような話を聞いたりするケースもあるんだと思います。なので、説明したことについての証拠作りは、しっかりやったほうがいいですし、今だったらメール等を活用すれば、以前ほどは難しいことではないかと思います。
 
 
――3年後4年後って、先生方がいくら頭が良くても忘れてしまいますよね?
基本的に先生方は必ず言っていると思うんです、書いてあると思うんですね。
でも相手は書いてあることすらちゃんとチェックしていないとも思うんですね。
実際そうですよね。そんなときはどうするんですか?
 
永吉:そこは、実際は事実認定の問題なので、「説明したでしょ、それを認定する資料としてここに書いてありますよね」というと、裁判所の方は説明してたという認定はしやすくなります。
 
――説明しても理解していないということありませんか?
 
永吉:そこに関しては、わかりやすく説明しなければいけないです。ただ裁判になれば、十分な説明がなされていたということが、客観的に証明できるかという点が重要になりますので、説明した証拠が大事になってきます。
 
――税理士の先生方も法務的な部分が大切になるんですね。
 
永吉:はい。もっと税理士さんと弁護士が協働できる領域は多いと思うので、そのようになればより、お客様を支えることができると考えています。
 
 

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