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第3章:デザイン、映像、アート…あらゆるスタイルを貫くものが自分の「本当のスタイル」〜メンターからの手紙 ヒロ杉山氏〜

ポイント
  1. さらなる飛躍のために挑んだ現代美術のフィールド
  2. デザインとアート両方がモチベーションになる
  3. スタイルを持たないというスタイル

目次 [非表示]

ヒロ杉山氏 プロフィールはこちら

さらなる飛躍のために挑んだ現代美術のフィールド

僕は、デザインの仕事と平行して40歳の頃に現代美術を始めました。
というのも、理由は「残るもの」を作りたかったから。

35歳でEnlightenmentを始めて、いっきにブレイクしていろんな仕事を手がけました。
駅貼り10連ポスターや大きなキャンペーン、映像制作、そしてCM制作の監督もやるようになって。予算も、タレントさん使ったりするからどんどん大きくなった。

そこでガーーーっと作って、CMできました、放送されます、駅には関連ポスター貼られます、っていうのって、打ち上げ花火みたいなんですよ。
打ち上げ花火だから、やっぱり一週間くらいでそれは終わるんです。

で、またすぐに違うところで別のクリエイターが作った花火がドーンと上がる。それの繰り返し。
すごい消費されてると感じるようになって。
なんかすごいものを、命がけで作るんだけど、それが2週間とか3週間とかで消えていく。

広告業界のそういうシステムに、このままいっていいんだろうかとだんだん疑問を持ちはじめたんですね。





ヒロさんの手がけたもの。確かに、華麗なる顔ぶれです。

僕は20歳の頃に専門学校の親友と3人で卒業旅行でニューヨークに行ったんですよ。
すごい貧乏旅行だったけど、ギャラリー回って現代美術とかアーティストの作品とかをたくさん見て、そのときに一番なりたいのはアーティストだと思ったんです。

だけど東京に帰ってきて、湯村さんのところにもう就職が決まってたし、当時の東京には現代美術のマーケットはなかったけどグラフィックデザインはすごく活気があって、広告業界に才能のある人がすごい集まってるときだったから、僕も自然にそこに入っていって、いろんな仕事するようになって忙しくなって、それはそれですごい楽しかったんです。

でも、CMとか作って消費されてる中で、ふと「もうちょっと世の中に残るものが作りたい」と思うと、やりたいのはアーティストとして作品を作ることだったんですよ。

アートっていうのは、消費されないし、いいものを作れば美術館にも残るし、ずっと代々残っていくから。
そこで20歳のときの夢を思い出して、スタートしたんです。

デザインとアート両方がモチベーションになる

デザインとアートの違いっていうのは、消費されるか残るか。
そして、クライアントがいるかどうかですよね。

アートも、結果的には買う人はいるんだけど、それは次の段階の話。
自分がクライアントとなり、自分が納得するものを作るから、作ってる段階では誰のためでもなく自分のために作るのがアートです。

デザインは他人から発注されないと成立しないもの。これは「クライアントに120%喜んでもらえるものを提供する」っていうのがモチベーションになります。
そのかわり報酬をいただく。これが僕の中での「デザイン」です。

だから、デザインもすごく楽しいんですよ。
デザインは人のためにやってるし、いいものを作ってすごく喜んでくれる顔を見たときに、ああ、やってよかった、と思います。

アートも、すごくいい絵が描けたときにはすごく興奮するから、ああ、絵を描いててよかったなって思う。
結果としてそれが売れればもっと嬉しいですけどね(笑)。

僕の場合は、デザインとアートっていう2つのわらじがあって、アートっていうのは、常に新しいことを見つけてやっていくんですね。

新しいことやるっていうのは常に不安もあるけど「なにができるんだろう」っていうドキドキ感もあって、すごくモチベーションが上がるんですよ。

アートでモチベーションが上がると、デザインでも必然とモチベーションが上がってきちゃうんですよね。

つまり好きなことをやることがモチベーションにつながるっていうこと。

必ずしも好きなことがお金につながらないこともあるけど、楽しいし、モチベーションは上がる。
その状態でデザインの仕事をやると、その勢いでやりきれるっていうのはあります。

スタイルを持たないというスタイル

僕は、20代の頃はすごく「イラストレーター」になりたかった。

イラストレーションっていうのは、ひとつのスタイルを確立して、そのスタイルがある程度の評価を得ると、それで10年、20年と仕事ができちゃうんです。

僕も、なんとなくスタイルが確立してきた時期があって、それで仕事が来るようになったんだけど、でも、それだと前に進めないと気づいた。
スタイルを確立すると「あのときのあの感じで描いてください」って依頼されるから。

だから僕は、30歳くらいのときにスタイルを放棄しようと思ったんです。もう「スタイル持ちませんから」と。

そうしたら、クリエイティブがすごい楽になったんですよ。何やってもいいんだと。
僕にはスタイルがないんだから、仕事ごとにいろんなことやっていいんだって思えたんですよ。
それが、35歳のときのEnlightenmentを始めるきっかけなんです。

でも、それはすごく怖いことでもあって、スタイルがないってことは、依頼する側も何を頼んだらいいのかわからないから、選ばれにくくもなるんですね。
だけど、依頼が来るたびに、「これでもか!」ってぐらいのものを出してたの。

スタイルは違うんだけど、がんばってクオリティを高めて仕事をした結果「ヒロ杉山に頼むと間違いない、スタイルはいろいろあるけど、必ずおもしろいものを提供してくれる」っていうポジションを作った。

そしたら、代理店からは早い段階で「こういうキャンペーンで、こういう仕事なんですけど、なんか面白いビジュアルありますかね」という相談がくる。

スタイルがあったときは、「ああいう感じで書いてください」って言われてたけど、そうじゃなくて「なにか面白いことありますか」っていう相談の仕方に変わってきたんですよ。

イラストレーターは、やっぱりスタイルを作ることに一生懸命になりがちですが、僕はそうじゃないと思ったからスタイルを放棄した。
すると、アイデアが、泉のように湧くようになったんです。

自分のスタイルがあると、そのスタイルの中でものを考えようとする。そうするといろんなところからいろんなアイデアが降ってきても「これは僕のスタイルじゃない」とかって跳ね返しちゃうんですよね。

でも、僕にスタイルはなくてゼロベースだから、全部受け入れるようになったんですよ。
そしたらアイデアに困らなくなったし、すごく楽に仕事ができるようになった。

もちろん、人によっては、スタイルを持つことが強みになる人もいます。
ただ僕のやり方としてはそれが向いてなかった。
自分が作ったスタイルに自分がとらわれるということは、クリエイティブで一番怖いことだと思ったんですよね。

ただね、もう一つ言えるのは、スタイルを放棄して色んな仕事して色んな表現法をやってきたけど、でもやっぱり「僕の作るもの」なんですよ。
だから、全然違うものは出てきてないし、やっぱりいま振り返ってみても「自分らしさ」みたいなものが太いラインで見えてきたの。

これが本当のスタイルなんじゃないかなぁと思うんです。
無理やり作った細いラインのスタイルじゃなくて、こんな太い、大河のようなラインが見えてきたから、自由にやったとしても「僕が作るものなんだ!」っていうふうに思えるんです。

(続く)

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著者プロフィール

ikekayo(池田佳世子)

ikekayo(池田佳世子)

関西を拠点に活動するライター。 その人のもつ無形の価値に輪郭を描く仕事をしています。