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失敗パターンから学ぶ起業を成功させるポイント

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起業に成功した人の話は華々しく、そんなストーリーを見聞きして、「いつか自分も独立して事業を興したい!」と思っている方は少なくないと思います。

しかし、現実では、起業して1年後に残ることができている確率は約40%、10人の経営者のうち、4人しか経営を続けることができていないことになります。また、10年後での企業の生存率は、6%とも言われており、起業しても事業を続けることがいかに難しいかを感じていただけると思います。

1つの成功ストーリーがあれば、9つの失敗ストーリーがあるということです。その点で言えば、失敗パターンから学ぶことが多いといえそうです。しかし、失敗したことは誰も語りたくありませんし、あまり表に出てきません。

今回は逆説的に、なぜ事業を続けることができなくなったのか、失敗パターンから、起業を成功させるためのポイントを解説したいと思います。

最近の倒産原因は?

起業が倒産する原因にはどのようなものがあるのか、まずは平成30年の中小企業庁の統計を確認しておきましょう。

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資料:東京商工リサーチ調べ

ここでいう倒産とは、借入金が返せなくなり、事業継続が困難となり、民事再生などを行うことを差します。平成30年の倒産原因は、販売不振がほとんどを占め、その次に既往のしわよせ、連鎖倒産、放漫経営、過小資本(手元の資金が尽きた)と続きます。

事業を継続するには、このような事態に陥らないように、細心の注意が必要ですが、もう少し具体的な事例をもとに、解説していきたいと思います。

起業後に陥りやすい失敗パターン

実際の事例をベースに、起業後に陥りやすい失敗パターンをまとめました。

見込客のあてが外れた

「独立したら声かけて」「起業したら、〇〇さんにお願いするね」

独立したいと少しでも口に出すと、周りの優しい人たちはこのように応援の言葉をかけてくれるかもしれません。しかし、実際に起業してみると、必ずしも好意で契約してくれる人ばかりではありません。ビジネスシーンになると、冷静にニーズと照らし合わせて判断するものです。

起業を考えるなら、起業前に見込み客をできる限り開拓しておくことをおすすめします。それまでの人間関係から展開していくことも一つの方法です。それならば、自分の事業プランを話して、アドバイスをもらいながらブラッシュアップし、その過程を共有しながら味方につけましょう。もし、その人のニーズが合えば、なあなあではなく、正当にセールスをすることが大事です。

起業前の人間関係だけをあてにするのではなく、自分の事業は誰をどのように幸せにしたいのかを明らかにし、マーケティングしたうえで、集客できるしくみを作っていく必要があります。

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儲かると思って始めたが見込み違いだった

自分が思いついたアイディアについて、「これは儲かる!」と思って起業をしたけれど、思ったほどニーズがなくて頓挫してしまうパターンです。

このパターンのよくない点は2つあります。

1つ目は、「なぜこれをやるのか?」というWHYが「儲かる」ということだけだからです。岩盤浴が流行っているから岩盤浴をやる、タピオカが流行っているからタピオカ屋をやる、流行に乗ることはとても大切なことです。しかし、その動機が「儲かる」からだけでは、継続は難しいでしょう。

お客様にとっては、事業者が儲かるか儲からないかには関心が全くありません。この商品やサービスが、どう自分にとって役に立つのか、どうしてそれを選ぶ必要があるのかについてのみ関心があります。できる限り客観的な視点を持ち、それはお客様をどのように幸せにするのかについて熟慮し、メッセージを発信することが必要です。

2つ目は、「これは儲かる!」と思ったけれど、マーケティングができておらず、思ったほど市場規模がなかったということです。会社を辞めて、大勝負に出てしまったは、お金のみならず、手間も時間も経済的基盤も失ってしまうことになります。

事業を始めるには、必ず事前のマーケティングが必要です。可能なら、テスト・マーケティングと言って、限られた範囲で、試しに販売してみることです。

テスト・マーケティングとは

開発された新商品を本格的に販売する以前に、限られた地域で少数に対して販売するということ。これが行われるのは消費者からの新商品に対する評価を収集するためのテストという意味合いが大きく、テストマーケティングでの評価が高かったならばその商品は広範囲で大規模に販売されるようになるということである。逆にテストマーケティングを行った結果の評価が良くなければその商品は広く販売されること無く、テストマーケティングで終わるというわけである。テストマーケティングを行えばリスクを減らすことができたり、今後のマーケティング活動に向けての計画を効果的、効率的に行えるようになるといったメリットが存在する。

引用:テスト・マーケティング – Wikipedia

具体的には、自分の事業のお客様層に近い身近な知り合いに、実際にプレゼンテーションしてみて、フィードバックをもらうことです。

それから、こういうものを必要としている人がいるのかどうかについても、リサーチしましょう。リサーチ方法は人に聞く、インターネットで調べる、統計情報を活用するなど、方法はいくつもあります。

起業前にマーケティングを小規模でもしておくことで、無駄な準備をしなくても済みますし、何より貴重なお金と時間を節約することができ、失敗の確率を下げることが可能です。

キャッシュポイントをつくることができなかった

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「好きなことで起業する」「好きを仕事にする」このようなフレーズが昨今多く聞かれますが、好きなことを世の中に提供して、お金に換えるポイント、いわゆるキャッシュポイントをつくることができなければ、働いても働いてもお金にならない、つらい起業になってしまいます。

例えば、カフェが好きだからカフェを持ちたいという夢を持ち、オープンさせることができたとします。

しかし、一般的なカフェでは、コーヒー代プラスαくらいの客単価で、どのくらいの売上を確保できて、仕入代金や家賃など運営にかかるお金を賄えるかを計算すると、かなり難しいということが容易に理解できると思います。想定するお客様が本当に来てくれるかどうかも確証がありません。

このような事態に陥らないためには、起業する前に、数値計画を実際に作ってみることがマストです。かかるであろう固定費を積み上げて計算し、欲しい生活費を足すと、どのくらいの粗利が必要かがわかります。必要な粗利の金額がわかれば、必要な売上の金額もわかります。これが売上目標となります。

この売上目標を、どのようにして達成するかを考える必要があります。売上は客数×単価ですから、いくらのものを何人の方に提供して確保していくのか、カフェだけでなくイベントも組み合わせて売上を作るのか、現実的に考えてみることです。

また、他のカフェではどのような取組みをしているのか、キャッシュポイントの面で観察してみるとよいでしょう。「ここはフルーツの新鮮さを活かしてパフェが売りで、その結果客単価が1,500円になっているな」など気づきがあるはずです。その気づきを自分の店づくりに活かして、地に足のついた数値計画にブラッシュアップしていきます。

すでに競合が多すぎの業界で差別化できなかった

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自分の得意分野を活かして起業をしたものの、競合他社が多すぎて差別化できず、安くして売ることが多くなり、忙しいけれども利益が確保できず、廃業せざるを得ないパターンもあり得ます。

たとえば、ホームページ製作については、制作会社が非常に多く、今から参入しようとしてもライバルだらけという状況にあります。

起業前にしておきたいことは、顧客についてのマーケティングのみならず、競合他社がどのくらいあるか、どんなことをしているのかをリサーチしておくことです。そして、自分がやろうとしている事業が際立つポイント、つまり差別化ポイントを見極めておくことです。

競合が多い業界であっても、誰も満たしていないユーザーの「不」、つまり不便、不足、不満がどこかにあるはずです。それを見つけるのです。あるいは、新しいコンセプトや価値観を打ち出すことが必要です。

なぜあなたの事業を選ぶのか、その理由がなければ、特に競合の多い業界では、選ばれにくくなります。事前のマーケットリサーチと自分の差別化ポイントを明らかにしておくこと、これで失敗の確率を下げることができます。

資金調達が少なすぎて、資金が底を尽きた

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店舗や事務所が必要な事業でありがちな失敗パターンです。

例えば、ラーメン屋を開業するのに、開業設備資金のみを借入と自己資金で準備をした場合、とても危険です。なぜなら、開店してすぐにお客様が十分来てくれるわけではないからです。

お店を開店しても、事前のプロモーション(広告やプレオープン企画、プレスリリースに取り上げられるなど)がなければ、いきなりお客様がたくさん来てくれるとは限りません。

認知度を上げるには、ある程度の期間が必要になりますし、収支トントンになるまでには、タイムラグがあることがほとんどです。

それにもかかわらず、できるだけ借入を少なくしたいという理由で、開業設備資金のみの準備でとどめてしまい、開店数か月で資金が尽きてしまうということは、実は少なくありません。

これを防ぐには、開業前に、かなり厳しめの資金計画を作ることが必要です。開業初期の資金調達で、開業資金のみならず、黒字転換するまでの期間にかかる固定費についても賄えるようにするのです。

借入を少なくしたいという気持ちもわかりますが、借入を抑えるあまり、資金不足に陥ってしまう方が廃業の可能性が高まります。開業当初は思ったよりもお金が多くかかるもので、「思ったよりも少なく済んだ」というケースはほとんどありませんでした。

「悲観的に計画し、資金調達を行い、楽観的に実行する」

資金の余裕は心の余裕です。事業を軌道に乗せるまでの道を必要以上に苦しいものにしないために、十分な資金調達を行いましょう。

複数人で起業したが、意見が合わずに分裂した

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気の合う仲間で起業しよう!と決意し、株式を半分ずつ持ち、起業。お互いをビジネスパートナーと呼び、一緒に事業を作っていこうと意気揚々と始めました。しかし、実際に事業を一緒にやってみると意見があわないことが多くなり、不仲となり、分裂せざるを得なくなったというケースも実は少なくありません。

お互いにないものを補うために、パートナーを組むと思います。それぞれの役割分担と、もし意見が割れたときにどうやって決めるのかという方法や、お互い隠しごとをしないことなど、多くの細かいことでコンセンサスが取れていないと、長く一緒にやっていくことは難しいと思います。

「俺の方が稼いでいるのに、あいつは経費ばっかり使っている」など、不仲になるほど、お互いのお金の使い方についても口出しをしたくなってしまうようです。一緒にビジネスをやるというのは、同じ方向性に向かって一緒に協力していく意味では、結婚することと同じといえるかもしれません。

どんなことがあっても、共通の目的があり、なぜ一緒にやるのかという理由があり、コミュニケーションをとる努力ができるという相手なら、一緒に組んでもよいでしょう。

いきなり「いい会社」を目指した

「ワークライフバランス」や「ホワイト企業」という言葉が多く聞かれるようになりました。多くの起業の場合、事業を軌道に乗せるまでは、かなりのエネルギーが必要になりますし、多くの時間をビジネスに費やすことになります。

採用したスタッフにも、最初は売上の見通しも不安定ななか、負荷をかけて頑張ってもらうことが必要かもしれません。

それなのに、いきなり「いい会社」を目指し、福利厚生を充実させたり、仕事があるのに残業をさせなかったり、昇級をどんどんしたりと、待遇をよくしてしまい、固定費がかさみ、資金繰りを圧迫してしまうケースがありました。

社員は待遇をよくすれば、やる気を持って働くかといえば必ずしもそうではなく、一度決まった給与の額には慣れてしまうものです。給与が上がらなくなれば、なぜ上がらないのかと不満に思います。

見通しが立ってから待遇をよくすることでも十分遅くはありません。どのくらい頑張ったら、どうなるという希望を見せてあげ、一緒に頑張れる関係性をつくることが先決だと思います。

まとめ

税理士という立場上、多くの成功例も失敗例も身近にご一緒することが多いです。

ここまで失敗パターンを書いていますが、実は、成功した、失敗したということよりも大切なことがあります。失敗をどう活かすかということです。

失敗から学び、次なる成長につなげるなら、失敗は失敗ではなく、成功のためのヒントになりますし、その経験が次なる事業のアイディアにつながったり、人の役に立ったりすることもあると思います。

それでも、致命的な失敗は少ない方がいいです。これを読んで下さった皆さんには、あまり表にでない失敗事例を知ったうえで、起業する前にできることを1つでも多く取り入れてもらい、自己実現につなげていただきたいと思います。

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著者プロフィール

神佐 真由美

神佐 真由美

京都大学経済学部在学中から「プロフェッショナルになるために手に職を」と税理士を志す。卒業後は、税理士を顧客とする株式会社TKCに入社し、税理士事務所を顧客にシステムコンサルティング営業に4年間従事。本当に中小企業経営者にとって、役に立てるプロフェッショナルはどうあるべきかを問い続け、研究する。税理士試験5科目合格後、税理士業界へ転身。
自ら道を切り拓く経営者に尊敬の念を抱き、経営者にとって「一番身近なパートナー」になるべく、起業支援や資金調達支援、経営改善や組織再編、最近では事業承継支援など多くの経験を積む。経営計画を一緒につくり、業績管理のしくみづくりを通して、未来を見通せ、自ら課題を見つけ、安心して挑戦できる経営環境づくりが得意。大阪産業創造館のあきない・経営サポーターも務め、セミナー実績も多数。「経営者のための資金繰り基礎講座」「本当に自社にとって必要?事業承継税制セミナー」など。

<関連サイト>
角谷会計事務所
未来を魅せる税理士 神佐真由美のブログ