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自分でゼロから起業することにワクワクする人もいらっしゃると思いますが、自分でイチから創り上げることに大変さを感じてしまう人もいらっしゃるかもしれません。
高度成長期に起業し、業績を伸ばし、経営を続けてきたけれど、高齢化や少子化の影響で親族で跡継ぎがいなかったり、候補がいても跡を継ぐ意思がなかったりと、後継者不足に悩む企業が増えてきています。
これからはおそらく有力な選択肢になると思われる第三者承継からの起業、つまり跡継ぎになって起業する方法について解説します。起業したいという自分の願いも叶えられ、さらに後継者不足や事業の存続問題を解決することができ、とても社会的意義のあることだと思います。
「もしかしたらこんな起業方法もあるんじゃない?」と視野を広げるきっかけになれば嬉しいです。
後継者がいない企業はこんなにある
現在、国家的な課題として、事業承継問題が挙げられています。
全国的に、中小企業経営者の年齢のボリュームゾーンは、この20年で40代から60代になりました。この間に起業している人もいますが、それ以上に、既存の企業において、事業承継が進んでいないということがわかっています。
2017年に発表された中小企業庁の試算では、今後10年で平均引退年齢の70歳を超える経営者は全体の6割超にあたる約245万人に達し、そのおよそ半数である約127万人の後継者については、「後継者が決まっていない」そうです。
後継者がいないため廃業する予定の経営者は、廃業予定企業の28.6%を占めています。
親族外での承継が増えているとはいえ、まだまだ跡継ぎ問題で廃業の危機を迎えかねない企業は少なくありません。これを放置してしまうと、その企業がなくなるだけでなく、地域の雇用、そして産業が失われてしまうことになります。
このように、起業を目指すなら、既にある会社の跡取りとして、事業承継をして起業するという方法も有効な選択肢となり、かなり注目されてきています。
さらに、昨年「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門」という書籍が出版されてから、会社を買って後継者として起業するという方法が注目されるようになりました。会社を買うことに関心を寄せる人が大幅に増加し、マッチングサイトにおける譲受希望者(買い手)の登録が急増したそうです。
「跡取り」になる案件を探すには?
そのような背景で、最近特に注目されている、地方の後継者のいない企業の「跡取り」として事業承継をする起業方法。
一通りのリソースが揃っている場合が多いので、ゼロから自分で構築しなくてよかったり、時流に合っていて注目されやすいなど、メリットが多数あります。
では、引き継ぐ企業はどのように見つけたらよいのでしょうか。マッチングの支援をしてくれる機関や会社等の選択肢をご紹介します。
事業引継ぎ支援センター
まずおすすめしたい相談先は、「事業引継ぎ支援センター」です。全国47都道府県に相談窓口を設置しており、無料で専門家やコンサルタントに相談することができます。
事業引継ぎ支援センターでは、後継者の人材バンクがあり、アトツギ起業を希望する場合は、この人材バンクに登録しておくと、後継者がいない会社の跡継ぎ候補として紹介される可能性があります。
起業したらすぐに人材バンクに登録したという方もいらっしゃいます。実際は起業家や起業志望の人材が登録されているようです。
まだまだ知名度は低いですが、後継者不足に陥った際に、後継者となってくれる人材とのマッチングを受けられた中小企業や零細企業が増加しているようです。
跡継ぎ起業も選択肢に入れたい方は、まずは登録してみてはいかがでしょうか。
8月21日の日経新聞では、このような記事がありました。
・中小後継者「お試し」支援 経産省 親族以外、譲渡前の入社に助成 候補者データ整備
後継者不足に悩む企業に、後継者候補を「お試し」入社を支援する制度を国が作っているというニュースです。具体的には、事業を譲り受ける人があらかじめ入社して働く機関の費用の一部補助を受けられます。
また、後継者候補を全国から探せるように、事業引継ぎセンターのみならず、民間のM&A支援会社、日本政策金融公庫などが持つ企業や人材のデータを共有できるようにするというものです。 事業承継マッチングを促進する取り組みで、今後も注目しておきたい動きです。
後継者求人のマッチングサイト
「後継者求人」と検索してすれば、驚くほどたくさんのマッチングサイトやマッチング会社を見つけることができます。今後の案件マッチングのために自分のキャリアを登録しておくことも可能です。
代表的なサイトをご紹介しましょう。
TRANBI
M&A専門のマッチングサイトで、事業承継や事業売買に特化したサイトです。中小企業の後継者探しのプラットフォームでもあります。成功事例も多く挙げられているようです。
CareerJet
日本中の求人情報が集まったサイトです。キーワードに「後継者」と入力すると、後継者募集の案件が多数見つかることがわかります。「社長候補募集」「後継者募集」このような募集が近年かなり増えてきました。
ビズリーチサクシード
人材紹介で有名なビズリーチ社が事業承継に特化したサービスサイト。事業譲り受け希望者
として登録しておくことが可能です。
あぐりナビ
農家の後継者探しに特化したサイトです。日本では、農業や酪農業の経営者の高齢化や後継者不足が深刻な問題となっています。その危機的な状況を脱するために作られたサイトです。
第一次産業ネット
漁業・酪農業・農業など第一次産業での求人サイトですが、経営承継希望のカテゴリがあり、そこから後継者募集状況を見ることができます。
「将来経営承継していただける方を募集します」という呼びかけもかなりあり、この分野で起業したい方にはよい選択肢になると思います。
地方の後継者マッチング支援策を活用する
近年、行政と民間の会社がタッグを組んで、事業承継問題を解決しようという気運が高まっています。石川県能登の七尾市でもこのようなプレスリリースがありました。
後継者不足により地方都市が存続の危機にビズリーチ、石川県七尾市と事業承継プロジェクト開始~外部からの後継者募集と事業承継M&Aサービスを同時に提供~
実際に後継者募集!石川県七尾市求人特集というビズリーチのサイト上で、後継者を募集しています。
このような後継者募集とM&Aを同時に支援する取り組みがこれから増えてくると思われます。もし、起業したい地域があるなら、その地域でのマッチング情報に注目しておくとよいでしょう。
行きたい地方があるならそこへ行ってみる
「売りたい」「引き継いでほしい」という潜在的な課題を持ちながらも、引継ぎ支援機関に登録をしていない企業も多数あります。
それは、まだまだ現役だと後継者がいないことを課題だととらえていなかったり、自分の代で廃業しようとしたり、引き継ぐ人を探していることを知られたくない等、様々な理由が考えられます。
もし、起業をしたい地方があるなら、現地に行ってみることも一つの方法です。行政には、企業活動を担当する部署があります。そこに相談するのもよいですし、起業・創業支援の窓口を通して、相談に乗ってもらうのもよいでしょう。商工会議所や商工会にも情報が集まっていることがありますし、相談先として有効です。地元の金融機関でも事業承継支援に力を入れているところを見つけて、専門の部署に問合せてみるのもよいでしょう。
地方企業とのマッチングイベントに参加する
このサイトを運営する株式会社ウェイビーさんでは、起業家や起業志望の方とともに、地方へ行き、現地の企業と交流する機会を持っています。というのは、地方創生事業にも積極的な会社であり、マッチングから定着までサポートされています。face to faceの出会いがもたらされると思います。
特に地方起業助っ人のサイトには、地方起業の事例や事業承継に関する個別相談会の情報など、選択肢や視野が広がる情報がたくさんあります。
まとめ
このように、起業を考えたときに、たくさんの支援機関や会社、そして選択肢があることをご理解いただけたと思います。ゼロからの起業か跡継ぎ起業家に関わらず、たくさんの起業事例を見てきて、やはり大切だと思うことは、独りよがりにならないこと、客観性を持つことです。
オープンマインドで自分の思い描くプランを人に語り、ブラッシュアップしていくことが大切です。既に基盤がある事業であっても、跡を継いだあとは時代の変化に対応した意思決定が必要となります。数ある支援機関や支援会社を活用して、起業の成功に結び付けていただきたいと思います。
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