独立・起業の本当のリスクとは。リスクがなくなっている!?

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独立、起業の話になると必ずほぼ最初にリスクの話がでます。リスクが大きいとか、リスクがなさそうだねという感じです。
その際の「リスク」とは何のことを言っているのでしょうか。

リスクとは主には経済的なリスクのことを言っています。
経済的なリスクというのは、独立、起業にあたって初期費用や固定費が大きくかかるものをいいます。結局はお金がなくなるのか増えるのかのことを主に指しています。

初期費用が大きいとお金が一気になくなってしまいますし、固定費というのは何もしなくてもかかってしまう固定のお金のことです。固定費を大きく持ってしまうと、その分以上の売上が毎月ないと赤字になってしまうわけです。
そのため事業をたてるときは、初期費用は抑えて、固定費は極力持たないでやるべきだと言われています。
(会社を辞めて、独立、起業すると会社時代の収入を失うわけで、このお金がなくなることも含めてリスクだと思われています。)

経済的なリスクを高める要因とは?

もう少し深掘りして経済的なリスクを高める要因を考えてみましょう。
それは、結局はあなた自身が稼ぐことができるのか?ということが未知数なので、そこがリスクの根底にあるわけです。稼げるかどうかは結局はやってみないとわからないのです。
未知な部分は確かにリスクヘッジしにくいので、見える部分をリスクヘッジしましょうということで初期費用や固定費部分をリスクヘッジしようとなるわけです。

そのため、あなたが稼ぐことができるのか否かのリスクを少しでも消す方法として、収入を全て失わないようにするために副業という形があったりするわけです。
会社を完全に退職して、決まっているもらえるお金=給与0で独立、起業して、売上が0だと、完全に収入がなくなります。そこで、会社の給与をもらいつつ、自分で稼ぎはじめるということです。

さらにこの稼ぐことというのを、深掘りしてみると、あなた自身のアイデアで0から起業、独立するのか、既に勝っている(稼いでいる)再現性のある事業モデルで独立、起業するという方法に分けることができます。

前者が一般的な独立、起業だと思ってください。後者はいわゆるフランチャイズシステムとなります。どちらがよい悪いでなく、やり方などの違いです。

フランチャイズシステムの最大メリットは、フランチャイジー(加盟者)は事業モデルなどを考える必要がなく、フランチャイザー(本部)のノウハウに基づいて運営をしていくことになります。フランチャイザー(本部)にお金を払うことでノウハウを使用させてもらうというイメージです。自らで事業モデルを構築するということは本来的には相当に難しいことですが、お金でそのノウハウ構築のショートカットや稼ぐこと(=良い事業モデルをつくる)の確率を上げているわけです。

もちろん実際にはフランチャイズシステムの理念通りいくことは少なく、フランチャイズ業界は玉石混交のノウハウです。全くノウハウといえない、詐欺的なものもあり訴訟になっていることもしばしばあります。そのため慎重に選択しなければいけません。

フランチャイズに加盟するのと、自らのアイデアで独立、起業することはわかりやすくいえば、会社設立するにしても、個人事業主として行うにしても、全然違う種目だと思ってよいです。

ただ、僕はこれからの時代にあっては、フランチャイズよりも、一層増える、フランチャイズに似た起業の仕方が圧倒的に数多くなっていくと思っています。それは、「スモールM&A・小規模M&A」です。スモールM&A、小規模M&Aとは、現在、実際に経営されている小さい会社や個人事業を第3者が買い取るというものです。買い取る金額として定義があるわけではありませんが、0円~1,000万円程度でたくさんの会社や事業を買い取れるチャンスがあると思ってください。経済産業省の発表では、2025年時点で、事業承継できないと言われている会社などが127万社あるといっています。大廃業時代がきます。

既にある小さな会社や事業を買うというのは少しフランチャイズに似ています。
なぜなら、0からあなたが事業モデルを構築する必要がないからです。既に売上があるわけですし、事業として成立しているものもあります。

独立、起業で一番難しいことは、何もないところから売上を立てることです。
とても難しいことで多くの人が苦戦しています。これが何もないところでなく、既にあるものを改善していくという形になれば、0からの独立、起業よりもやりやすくなる人はたくさんいると思います。会社勤めの長い人には、このようにあるものの改善という役割はとても経営やスキル的にもフィットします。

自由度が圧倒的に高いM&A

スモールM&Aや小規模M&Aは、フランチャイズよりも自由度が圧倒的に高いのも魅力的です。フランチャイズの場合には、ブランドビジネスに近いため、様々な制限があります。究極的にはフランチャイザーと運命共同体なので自分の命をある意味誰かに預けきってしまっているともいえます。

もちろん、スモールM&Aや小規模M&Aでも、会社や事業の見極めが結局は必要になります。全ての会社や事業が当たり前ですが優れているわけではありませんし、マイナスの会社や事業もあります。また、今後の時代を考えたときに今は何とかやれているかもしれないものの、長く続かないような会社、事業もあると思います。

ただ、事業を変えていくということは、どのような事業をやっていても必須のことですので、マイナスに考えることではありません。既にあるものを改善していくのか、全く何もないところから立ち上げるのかの違いだと思ってください。

独立、起業のリスク、つまり結局は稼ぐことができるのかという話をしていますが、今まで言われていたリスクはどんどんなくなっていきます。
副業、スモールM&Aや小規模M&Aなどの新しい形や、複数の会社で働くなどの複業者の増加により最低限必要なお金の確保をした形で独立、起業することができます。

また、そもそも前提となっている圧倒的な人口減少によって、働く人が減っています。この環境というのはある意味、働き手がいないわけなので仕事が余っているわけです。
そのため、クラウドソーシングによる仕事の受発注、BPO(アウトソーシング)の市場がとても大きくなってきています。

これからの時代の当たり前になることとして、独立、起業をしたけど、やはりちょっとうまくいかないので会社勤めに戻ろうとか、会社も悪くないし、会社自体の考え方が変わって副業・複業OKいうことで会社に一定所属しつつ自らの力を他でも生かすという選択が当たり前になると思っています。

これは事業のスタートのさせ方、撤退する基準さえしっかりと持っておけば大きなケガをしないで独立、起業ができますし、経済的なリスクも消せます。

実際に僕の周りでフリーランスのコンサルタントとして独立、起業していた人が辞めて、企業に入りなおすということを毎日のようにみています。つまりは独立、起業というものが0か100の存在ではなくなってきているのです。それは初期費用や固定費用を持たずできる事業が増えていること、仕事が獲りやすくなっていること、ダメだったときに戻れるようになってきていることなど色々な意味でどんどん独立、起業しやすい状況になってきているのです。

今の実際を知らないことで、未だに独立、起業はリスクが高いなどという抽象的な話をしている人がいたらその人の方がよっぽどリスクを抱えていると思います。人生100年時代に入り、あらゆる社会システムは100年間、人が生きることを想定しないでつくられているわけです。自らの力で稼ぐことができる力を持っている人が、新しい時代を豊かに生きていける人になりつつあります。

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著者プロフィール

伊藤 健太

伊藤 健太

1986年生まれ、横浜出身、慶應義塾大学法学部卒業。

23歳の時、病気をきっかけに、小学校親友4名、資本金5万円で株式会社ウェイビーを創業。

10年間で10,000人を超える経営者、起業家の「組織づくり」「売上アップ」に携わる。

社長がいなくても回る強い組織、仕組みをつくる「01組織クラウド

小さな会社、個人事業主のビジネス成長を実現する「01クラウド

の01シリーズを展開中。

2016年10月より、世界経済フォーラム(ダボス会議)の日本代表選抜
2018年9月より、徳島大学客員教授就任
2020年4月より、iU 情報経営イノベーション専門職大学客員教授就任

「行動の品質」「自分の力で稼ぐ力を身につける本」など著書7冊。
日経新聞、エコノミスト、NHKなどメディア掲載も多数。