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なぜキャッシュフローが重要なのか?〜危険!あなたのそのドンブリ経営!〜

目次 [非表示]

なぜキャッシュフローが重要なのか?

売上が上がっているからと安心して何も考えずに経費を使ってしまい、結果的に手元にお金がない、もしくは、売上も利益も上がっているのに、預金口座のお金がどんどん減っていく、お金がない、そんな経験はありませんか?

いわゆるドンブリ経営の状態です。

なぜそうなってしまうのでしょうか?

それは、キャッシュフローが把握できておらず、どれだけお金を残すのか決めていないからです。だからお金の使い道を、思い込みや感覚だけで決めてしまっているのです。
しかし、そのままでお金を使い続けて、もし何かあって売上が大幅に下がってしまったとき、お金が残っているでしょうか?

そのまま預金口座のお金が減っていったらどうなるでしょうか?

月末の給与の支払いは?
取引先への仕入代金の支払いは?
銀行の返済は?

また銀行からドタバタで借入れしますか?
また経営者の個人的なお金を会社に入れますか?

もしかすると取引先への支払いは待ってくれるかもしれません。

しかし社員への給与が払えなくなったら、社員はどう思うでしょうか?会社に危機感を感じて辞めてしまうかもしれません。

銀行の返済もリスケと言って、返済をある期間だけ待ってくれるかもしれません。その代わりその期間は、新たな借り入れはできません。経営者の個人的なお金を会社に入れても湯水のようにあるわけではありません。家族の生活もかかっています。

最悪のケースとしては、会社が存続できなくなりお客様にも迷惑をかけることになるかもしれません。

実際に私の知り合いの経営者でも、キャッシュフローが把握できておらず、お金がなくなるギリギリのタイミングで何度も銀行に駆け込んでは融資を受け、そんな余裕のない心理状態で、事業へ悪影響を及ぼしてしまったり社員との関係にひびが入った方もおられます。

このように、キャッシュがあるかないかで会社の未来が、会社に関わる全ての人の未来が変わってくるのです。

急速に激変する外部環境

さらに外部環境の面から言うと今では前提条件がひっくりかえり(パラダイムシフトが起こり)、経営環境の急速な変化が起こる時代(VUCA=変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)です。人口構造の変化による生産年齢人口の減少、オープン化、テクノロジーの急速な進化、ネット時代の弊害、慢性的な人材不足、格差社会の拡大など、リスクは本当に来るのか?ではなく、いつ来るのかという状況。

今年の初めには日本の外の話だと思っていた新型コロナウイルス感染症の拡大も、今では日本全国に緊急事態宣言が出され(記事執筆4/末時点)経済や雇用に非常に深刻なダメージを与えています。

このように
いつ売上が減少するのか?
いつ支出が増えるのか?
いつ利益がなくなってしまうのか?

が分からない状況で、思い込みや感覚だけでやっていけるでしょうか?

それでは生き残れないということが、誰もが認識したのではないでしょうか。ではどうすれば、キャッシュフローを把握することができるのでしょうか?

経営者とは、「企業を存続させること」が最大の使命です。そのために、財務諸表の小難しい分析ができないといけないのでしょうか?キャッシュフロー計算書を作る必要があるでしょうか?

もちろんこれらも重要ですが、私はもっとキャッシュフローを分かりやすく把握できると考えています。そのことについてここからお伝えしていきます。

キャッシュフローとは何か?

ここからお伝えすることは、あくまでも中小企業における話です。

多くの税理士や経営コンサルタントの方々が解説する決算書の読み方では、大企業の例が出てきますが、実感を持てないと思いますので、皆さんに実感を持っていただけるように中小企業における話をしていきます。

まずは、キャッシュフローとは何か?ということから確認していきます。

キャッシュ(cash)とは、現金のことです。
経営においては、現預金とか、手元資金などと言われます。

キャッシュフロー(cash flow)とは、分かりやすく言うと、現金の流れのことを言います。そして、経営者は、キャッシュが今いくらあるのか?をタイムリーに把握しておく必要があり、そのために、キャッシュフローがどうなっているのか?を知っておく必要があります。

ということで、ここから会社のお金の流れがどうなっているのかを見ていきます。

会社のお金の流れが一目で分かる「ブロックパズル」とは?

会社のお金の入りと出までの流れを「お金のブロックパズル(下図)」という図を使ってお伝えいたします。

これは、西順一郎氏 著  「戦略会計 STRACⅡ」のSTRAC表から加筆引用したもので、そこから一般社団法人日本キャッシュフローコーチ協会理事の和仁達也氏によって作られたものです。
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まず、会社のお金の入り口は「売上」です。
 (ここでは決算書の考えは含まれておりませんので、自分で調達した自己資本や他人から調達した借入金などは考慮しません。)

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この「売上」からまず出ていく(支払う)ものがあります。それが、「変動費」です。「変動費」とは、字のごとく、変わって動く費用です。「売上」の増減に応じて、「変動費」も増減します。
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主なものは、原材料の仕入れです。売上が増えれば、原材料の仕入れも増えますよね。他にも外注費や燃料費なども「変動費」に該当します。何が「変動費」にあたるかは、業種・業界やその会社によって異なりますので自社の「変動費」が何か少し考えてみてください。

そして、「売上」から「変動費」を引いたものを「粗利(あらり)」と言います。粗い(大ざっぱな)利益です。合わせて、「売上」に占める「粗利」の率を「粗利率」と言います。
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この「粗利」「粗利率」は、自社の収益性を見る指標として非常に重要です。自社が儲かる体質になっているのか、この「粗利」で判断します。先ほど、業種・業界やその会社によって「変動費」が異なると申しましたが、「粗利」「粗利率」も同様です。

業界別のおおよその「粗利率」の平均は、

例えば、
歯医者:80%
飲食店(レストラン):70%
製造メーカー:50%
スーパー:30%
卸売:15%
と言われています。

業種・業界ごとに、目安となる「粗利率」が下記のサイトに公表されていますので一度、自社の粗利率を出してみて分析してみてください。(「TKC BAST値」と検索 https://www.tkc.jp/tkcnf/bast/sample/ この資料の中の、「限界利益率」が「粗利率」と同意なので、その数字を見て、自社のポジションを把握してみてください。)

「粗利」から「固定費」が引かれます。「固定費」とは、売上の増減に関わらず一定にかかる経費のことです。
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主なものは「人件費」です。それ以外の経費はまとめて「その他の固定費」と呼ぶことにします。中小企業では、大企業に比べて「人件費」の割合が多くなっています。「粗利」に対して「人件費」が、どれだけあるかを「労働分配率」と言います。中小企業では、人件費は割合として大きいので50~60%くらいとなり、大企業では、相対的に少ないので、30~40%ほどとなります。
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(「粗利」から「固定費」を引いたものが「利益」となります。(営業利益と考えてもらえればいいです。)

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そして、「利益」から、「税金(法人税)」が引かれ、残ったものが「税引後利益」となります。
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ここで、「税引後利益」に「その他の固定費」に含まれている「減価償却費」を足します。

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どういうことかと言うと、上の図で説明すると、今、「税金」の3を引いて、「税引後利益」が7残っています。この時点では、手元のキャッシュが7残っているということです。

そして、「減価償却費」とは、固定費に計上されていますが、実際はその分のお金は出ていっていないので、その誤差の帳尻を合わすために、「減価償却費」2を足すことで、実際に今、手元に9のキャッシュが残っているということになります。

減価償却費…
建物や車、設備などは、購入したその1年で使い切るものではありません。何年も使って、価値がなくなって(償却して)いくものです。例えば車であれば、6年で価値を使いきるとして、300万で買った車を、1年で50万円ずつ、「減価償却費」として計上していきます。

この「税引後利益」+「減価償却費の繰戻」を、「本業のキャッシュフロー」と呼びます。本業のというのは、売上の100から残ったキャッシュという意味です。
借入等で得られたキャッシュと区別します。

そして、「本業のキャッシュフロー」が原資となり、そこから銀行からの借入の「返済」が支払われます。

「返済」は経費ではありませんので、ご注意ください。

ここで注意いただきたいのが、「利益」が出ていないと「返済」ができない、ということです。
実際には、「利益」が出ていない場合には、手元のキャッシュから「返済」を支払っていくことになり、どんどんキャッシュが減っていってしまうので、必要な「利益」額は「返済」額以上と考えてください。
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さらに、経費にはならない高額の「設備投資」分が引かれます。
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そして最後に残ったものが、「繰越金」です。翌月や翌年に繰り越すという意味でそう呼んでいます。
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では、なぜ繰り越すのでしょうか?

その理由(=使い道)は、2つあると考えております。

一つは、「万一の備え」です。何らかの理由で「売上」が0になってしまうことも考えられます。(まさに執筆時の4月末は、外出自粛要請が出て、観光業やイベント、飲食店の売上が壊滅的な状況です。)
しかしそんな状況でも、「固定費」と「返済」が出ていきます。基本的には、毎月経費はかかり、銀行に返済を支払わなければなりません。そんな時のために、「固定費」+「返済」の数か月分のキャッシュを持っておく必要があります。

もう一つが、「将来の投資資金」です。
例えば飲食店などで、もう1店舗出店するときのためにとっておく資金です。(多くの場合は、出店資金は借入が多いのが事実ですが)

キャッシュフロー経営とは?

以上、「お金のブロックパズル」を使って、会社のお金の流れを見てきました。

ご理解いただけましたでしょうか?

「売上」と「利益」しか見ていないと、または、会社のお金の流れが分かっていないと、気付いた時にはキャッシュがなくなってしまい(=資金ショート)、最悪のケースに陥ってしまうのです。それでは、以上を踏まえて「キャッシュフロー経営」とはどういうことを言うのでしょうか?

繰り返しにはなりますが、冒頭に申し上げたように、経営者は、キャッシュが今いくらあるのか?をタイムリーに把握しておく必要があり、そのために、キャッシュフローがどうなっているのか?を知っておく必要があります。まずはそれができていることが「キャッシュフロー経営」の始まりです。

合わせて重要なのが、逆算思考です。「繰越金」から逆算して利益目標や売上目標を立てるということです。どういうことかと言うと、その期に必要な「繰越金」を決め、必要な「返済」と計画している「設備投資」から必要な「利益」を出します。

そこから、昨年の「固定費」を参考に、必要な「粗利」が分かります。その「粗利」から(昨年の)「粗利率」で割り戻すと、必要な「売上」額が計算できます。

このように、逆算思考で売上目標や利益目標を立てましょう。このVUCAの時代、いち早くドンブリ経営を辞めて、「キャッシュフロー経営」を実践してください。そうすることが、お金の不安をなくし、本業に専念することにつながり、会社の発展を支えることになるでしょう。

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著者プロフィール

佐藤恵介

佐藤恵介

決算書を使わないキャッシュフロー見える化コンサル
HP:http://style-management.jp/
Email:sato@stylemanagement.jp


ドンブリ経営で悩む社長が本当にやりたいこと=ビジョンを実現するために貢献すべく、
主に
・会社の戦略を、数値化・言語化することで見える化
・経営計画、アクションプラン作成をして、毎月の経営数字による進捗確認、問題発見、対策立案を行い、達成までをサポート
・上記の第3者の立場から、社員へ共有し、危機感のズレを解消

を行い、他にも、マーケティング戦略立案サポート、融資サポート、補助金サポートを行っている。
決算書を使わずに、独自のツールでキャッシュフロー見える化。その手法はシンプルで分かりやすいと数字が苦手な経営者からも定評を得ている。
主な支援先は、年商数十億までの、製造業、飲食業、美容業、医療機関など多岐に渡る。

アパレルメーカーにて仕入・生産管理担当を経験後、転職先では、携帯電話・インターネット商材のテレアポや訪問販売等を経験する。その後、「もっとお客様の役に立ちたい!」という思いで、コンサルタントになるべく転職。

調剤薬局・ドラッグストア向けに、経営理念策定支援、中期経営計画策定支援、人事評価制度策定支援、マネジメント能力向上研修などを、100社以上のクライアントに実施。中でも、店舗管理者による売上改善プロジェクトにおいて、毎月のPDCAサポートや成功事例の即時共有などのご支援で、該当クライアント全社にて単月約520万の粗利改善を達成する。
その後、多くの経営者の悩みを聞く中で、「本当に今困っている悩みの力になりたい」、「もっと経営者にとって価値ある貢献をしたい」、と思い、それが実現できるキャッシュフローコーチのノウハウを学ぶ。