“文泊”プロデューサーが語る、ママ起業の意義~ママたちでつくる新しい文化事業~
- 時短勤務で成果を上げるも、企業で働く難しさを感じた
- 時間と距離の問題を解決するコツとは
- 神社仏閣に泊まる“文泊”とは?

「文泊プロデューサー」の浅枝真貴子さんは、神社での体験プログラムを提供しています。海外の観光客にも好評な事業ですが、その準備や運営をする中で、神社を取り囲む地域ネットワークの可能性も感じているとのこと。パワフルに活動を続ける裏側には、時間の大切さを肌で感じる、ママ起業家だからこその視点があります。
― 現在の事業をされるまでの簡単な経緯を教えてください。
浅枝 私は広告代理店と媒体社で社会経験は積んでたんです。リクルートでダイバーシティの第一期生として、第一子を出産した後復帰はしたんですけれども、やっぱり時短勤務って言いながらもけっこう課せられるミッションが大きくて。
初めての時短営業ママとしてそれなりに成績を収めることはできたんですが、第二子の妊娠をきっかけに働き方を見直したいと思い、独立しました。
― なるほど。最初はどのような事業を?
浅枝 今もやっているんですけれども、企業から仕事を受けて全国に研修インストラクターを派遣するなどの委託業者をやっていましたね。
― 個人事業主という形で。
浅枝 そうですね。
― 独立までに、いろいろなハードルがあったと思うんですが、いかがでしたか。
浅枝 やっぱり、会社を辞めると収入が担保出来ないという不安がありましたよね。だから辞めるまでには本当に2年くらい迷いました。一回辞めるともうリクルートに戻れないだろうしとか、いろいろ思いながら。
― 元々リクルートに入社されたのは、将来的な独立や起業を意識されてのことですか。
浅枝 それは確かにそうですね。リクルートの中でも、今で言うアントレプレナーみたいな形で、いろいろと新しい事業もやらせてもらったし、非常に感謝はしています。
ひととおり起業の流れも見せてもらって、プラス営業も基本から鍛えてもらって、やっぱりあの6年間が一番私にとっては力になったと思いますね。
― お子様もいらっしゃるという事ですが、ママ起業家ならではの苦労などは、何かありましたか。
浅枝 やっぱり時間ですね。時間と距離。朝は朝ごはんを食べさせなきゃいけないし、17時には帰って晩ごはんを食べさせなければいけないし、習い事があればベビーシッターの手配もしなければいけないしって、ものすごい足枷があるんですよね。
その中でどれだけ効率よく色んな事をやるかっていう事を一生懸命追求してるので、だらだら仕事をしてる人たちに対しては、申し訳ないですがお仕事をお断りすることもあります。
パンパンと話が進んでいかないと、私の今の生活のリズムの中ではお付き合いできませんみたいなところはありますね。同じ価値観を持って効率よく進めて頂けること。それさえクリアしてしまえば比較的何でも出来るなと思ってますけど。
― 取引先もある意味ふるいにかけられている。
浅枝 そうせざるを得ないんですよね。今は3人の女性のメンバーがいるんですけど、その人たちは皆リモートでやっています。オフラインで月1回ぐらい会いますが、あとは大体スカイプとチャットワークとかを使っています。
その働き方はたぶん、女性たちにとって非常にやりやすいんだろうなと思いますね。それぞれが自分の管轄に対して責任を持つというようなやり方。
― 最近はそういうリモートでの働き方を実現されてる方が少しずつ増えている印象です。その中での問題ってコミュニケーションだと思うんですけど。
浅枝 コミュニケーションは、けっこう最初に伸ばしていく形です。ママたちなんだけど、最初には飲みに行ったりとか、どっぷり何時間も一緒にいるようにする。そういうのが1つあるとお互いのことが知れて、その後オフラインで話をしていても違和感はないかなと思います。
最初からリモートで、リモートだけで完結するっていうのは、過去にもありましたけどあんまり良い結果にならなかったですね。
― ある程度最初の段階でお互いを知りあうことで、リモートが成り立つんですね。
浅枝 そうですね。
ママたちの居場所をつくる
― 現在のママ起業については、どのような印象をお持ちでしょうか。
浅枝 たぶんママ起業家とか何とかってもてはやしてる間は、やっぱり社会はまだそういうのに馴染んでないんだろうなっていうのはありますよね。
だけど別にそれがどうこうとかっていう事もなくて、もっともっと女性が自由に色んな事を発言して行動できるような社会になって行くんじゃないかなと思ってます。女性起業家とかママ起業家という言葉は、あと3~4年もすれば別に普通じゃんみたいな感じになるんじゃないかなと思うんです。
― そうですね。やっとちょっと行政とかも重い腰を上げて、大手企業もちょっとずつ理解を進めてきてるというのは感じますが。
浅枝 会社の中で上手く使う為の女性活用っていうのは、ちょっと分かんないですけど、女性にとってはそんなにピンとくるようなものじゃないかも知れないなと。
洋子さん(近藤洋子さん:日本ママ起業家大学)が言ってる、本来彼女たちがやりたい事を形にするっていう方が本質に近い気はしますよね。ただみんながみんな起業できる訳じゃないと思うので、世の中で女性たちの居場所を作っていくって言うのが大事な課題だと思います。
― 女性の仕事に対する姿勢や、働き方についての考え方は、変わってきたなという印象はありますか。
浅枝 今女性起業家で一括りにされちゃっていますが、大きく2つあると思うんですよ。
ひとつは、右脳型というか、いわゆる古典的な女性の機能を生かしたビジネス。例えばお花のブーケを作るデザインなんか、感性を生かしたお仕事ですよね。
もう一つは、会社でキャリアを積んできた女性が新しいサービスを提供してやっていく形。これは完全にビジネスメインで考え方としては男性的な起業と遜色ないような形でスタートさせる。
考え方は、どこの会社と付き合うかによって変わるんじゃないですかね。今私は文泊以外のIT分野の仕事では大手さんとやらせてもらってますけど、色々アドバイスを求められますし、女性だからって差別されてる感じは無くなってきましたね。
― 「女性だから」という対応が昔はあった?
浅枝 あるところでは未だにありますよね。私の友人で、夫婦で独立して彼女の方が主でやってるんですけど、インタビューされるのは旦那さんの方。男性と一緒にいると、どうしても女性をアシスタントとして見てしまうんですね。
― なるほど、まだそういった先入観は残っていると。そこは今後徐々になくなっていくと良いですよね。
― 現在の事業内容はどんなことをされていますか。
浅枝 今は『文泊プロジェクト』というのをメインで進めています。民泊ならぬ「文泊」ということで、その文化にまつわる体験をさせたいと。
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