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社会に対する介在価値を高めたい~ベトナムで活躍する起業家が見据える未来の働き方とは~

ポイント
  1. “熱気”と“事業意義”がポイント
  2. 「ベトナムで頑張るほうが断然いい」

目次 [非表示]

“熱気”と“事業意義”がポイント

助っ人編集部  

まず、ベトナムで創業するに至った経緯を教えてください。

ソルさん  

そもそも起業思考があって、リクルートに入って3年で辞めて、普通に日本で起業しようかなと思っていたのですが、事業側の事情もあって延びていました。

当時、リクルートでは6年半勤めると、年収1年分を退職金として支給される制度がありました。6年目に入って、退職金をもらって辞めようかなと思っていたとき、偶然Soltec Vietnamという会社の立ち上げをしないかという話が来たのです。とりあえず1回だけでも視察ということでベトナムに来て、その時にそこで決めた感じですね。実は海外起業は全然考えていなかったんですが……。

助っ人編集部  

即決に至った大きな要因はどんなところだったのですか。

ソルさん  

1つ目は、まず熱気ですね。国が若くて成長しているというのは、街中でもいろんな建設現場があったり、そこにいる人たちが絶対的に若く、その街全体が発している空気というか熱気が、経済成長の終わっている日本に比べて全く異質なんですね。感覚的に、日本にいたら一生味わえない空気だなと。

2つ目は、事業意義というか、自分が介在する価値のようなところの最大化という仕事のこだわりです。こちらに来て、新興国の人たちを雇用して会社を成長させていくことで成し遂げられる、社会に対する貢献みたいなものが、自分自身の介在価値を確実に最大化できるという実感がありました。

特に、日本で研修してベトナムに戻って働くベトナム人と話していたとき、「一生懸命頑張っているのに金持ちになれない」と言われたことがありました。それは、新興国が抱えている根源的な社会の負だなと思っていて。つまり、一旦ステータスが決まってしまうと上がれる機会がないのです。それに比べると、日本ではチャレンジする機会がたくさんあると思います。

そういう人たちがちゃんとキャリアを作っていけるような事業をやると、自分自身の社会における介在価値が最大化されるので、こちらに来たいなと思うようになりました。

マネジメントの苦労を経て

助っ人編集部  

リクルートをやめられて、すぐにベトナムに渡ってビジネスを立ち上げられたのですか?

ソルさん  

そうです。専門知識がない状態で、超付け焼刃でスタートした感じだったのですが、逆にそのプロセスがプラスに作用しました。そもそもソルテックベトナムでのプラント事業も、後のエボラブルアジアのIT事業も、全く経験がなかったので、経験はあまり関係ないという意識があります。

今の時点での認識で言いますと、新興国が、先進国ほどマーケットが成熟していないので、事業としてのレベル感が、ある意味甘くても勝てます。それ以前に、マーケットオポチュニティが有利で、商売敵がそもそも強くないので、戦い方があるわけです。

助っ人編集部  

こちらに来て最初の頃に、ビジネスパートナーや社員などで、なにか問題というか、苦労する点はありましたか?

ソルさん  

ベトナム、そもそもアジアは日本から近いので、欧米と比較して考え方も近い部分が多いと感じます。

とはいえ、組織の中での自覚がお互いに違うところもあり、経済的背景なども違う中で、どういうふうに組織調整していくかということが、難しいことかなという気がします。

新卒の従業員で、インターンの経験などもなくてゼロからスタートした場合の給料は、日本人は1,000ドル、ベトナム人は300~500ドルになります。これなんか、どちらにも不満になり得るわけです。日本人からすれば日本の企業水準と比較すると少ないという話になるし、ベトナム人からすれば、日本人というだけで多いという話になります。

日本人の社員に対して一番評価していることは、日本語がネイティブに話せることです。日本人顧客に対しては、それだけで安心してもらえます。それもある意味一つの能力として評価しています。

同様に人事などベトナム人がベトナム語で話せること自体が能力として評価される事業もあり、ある種の先天的なものも含めて適材適所での評価をしています。

基本的には人事制度を1本にして、フラットな組織体系、フラットな人事体系を目指しております。外国人用はこれ、などと階層を作りたくはないですね。

助っ人編集部  

ベトナムの方でいわゆる日本人をマネージしている人は多くいらっしゃるんですか?

ソルさん  

組織構造でいうと部署が違うケースが多くて、ベトナムの方でいわゆる日本人をマネージしている人はあんまり多くないと思います。ソルテックベトナムでいうと、最初はインド人が日本人の上司、というような事例もありましたね。

助っ人編集部  

ベトナムで勤務する日本人の採用はどのようにされているのですか。

ソルさん  

普通に人材紹介会社などを介して日本で行います。今一番力を入れているのは積極的な情報発信による直接応募と知り合いからの紹介などによる一本釣です。また、人材紹介会社を利用しての採用も日本同様活用しています。

選考はスカイプで面接して行うのが圧倒的に多いです。あと、日本に出張した時に会ったり、こちらに来てもらったりというのもあります。

日本的な感じの新卒や中途の採用自体の流れは一緒ですが、何回も面接しないので採用はもっと早く決まります。

「ベトナムで頑張るほうが断然いい」

助っ人編集部  

オフショアの事業の市場は伸びていると思いますが、今後についてはどのように見ていらっしゃいますか?

ソルさん  

マーケットの観点で言うと、日本だけでも経済産業省は2030年までにエンジニアが78万人ほど足りなくなると言っています。今現在でも17万人ぐらい足りないと言われていますので、それを埋めるのは外国人の活用以外ありえないだろうと思っています。日本だけでもすごく伸びるマーケットです。ほかのマーケットを見ても、アメリカは日本よりもコストがはるかに高い。今のアメリカのインドでのオフショア実績は6兆円ぐらいです。

ちなみに、日本全体でIT産業は10兆規模ぐらいと言われています。ですから、日本向けのサプライでいってもまだまだマーケットとしてはありますし、他のどの国も基本的にITのエンジニアは足りないと言っていますので、マクロで言うと超売り手市場です。

助っ人編集部  

生産サイドで言うと、ベトナムのハノイとかでもやられていらっしゃると思いますが、国外の展開は特に考えていらっしゃらないのですか?

ソルさん  

しばらくはベトナムの地方に行くほうが賢いと考えています。

ベトナムはすごいです。大学では情報学がすごく進んでいますし、エンジニアにとって数学が大事ですが、新興国の中でもベトナムはこれらの学力が先進国並に突出して高いのです。それが人材のレベルの高さを支えている背景になっています。

ベトナムで頑張るほうが断然いいと思いますね。

助っ人編集部  

ベトナムで最初はじめられたのは別のことだったと思いますが、オフショア事業を始められた経緯というのはどんなところだったのですか?

ソルさん  

そもそも、来た当初は他の事業展開をやろうとしていたので、プラントをやりながら3ヶ月目ぐらいには、進出コンサルティングとか、現地のローカルの工業団地向けの代理店をはじめていたぐらいです。さらに、ほかの事業もやろうということもあって、探している中でITがすごく良さそうだとなりました。それはマーケットサイドでも大幅に伸びていて、人的リソースも大変潤沢でした。両方が伸びていきそうな市場ということで、理想的でしたね。

プラントはポートフォリオとして初期の投資額が大きくて、回収するのに時間がかかる事業なのです。そこで、基本的に初期投資がそんなに大きくなくて、キャッシュフローでいうと調達があまり必要としないものをやろうと思っていましたので、そういう目線で探していたときに、ITがまさにそこに合致しました。

助っ人編集部  

これまで事業展開してきて、想像通りあるいは想像以上にうまくできた、この部分がイメージと違ってうまくいかなかったなど、その辺の感覚はどうですか?

ソルさん  

進出時に現在時点で設定した目標からすると残念ながら50%程度の達成でした。いろんなボトルネックがあったのですが、目標まで成長させきれなかったのは、目標が想定というよりは、願望のようなものだったためです。

事業の成長に関して言うと、客観的に見たらまあまあ悪くはないと思っています。でも、基本的に想定している通りにはいかないですね。

助っ人編集部  

ビジネス的には人数の増加イコール売上の増加になり、社会的に与えるインパクトの大きさになってくると思いますが、どれぐらいの規模に成長させていくイメージですか?

ソルさん  

今掲げているのでいうと、ベトナムでオフショアだけで1万人体制にはしたいと思っています。今月末現在で,内定ベースも含めて550人程の規模でやっていて、それを5年で1万人ぐらいまでにしたいというのは、経営上出している数字ではないのですが、願望的には掲げたい数字です。

1万人というのは大した規模でもないのです。インドでは、現時点で一番大きなITオフショアの会社で15万人とか、30万とかになっています。

伸びているアジアでチャレンジすること

助っ人編集部  

その先どこにつながるという、大きな夢のようなものはありますか?

ソルさん  

ベトナムに来た時に根源的に感じたのが、機会平等が果たされていないということでしたので、それをとにかく変えたいと思います。人生を終えたときにほんの少しぐらいは貢献できたと思えるところまで事業を続けていきたいです。

うちは出資ベースでもどんどん違うところの領域に参入しようとか、違う国にいく計画もあるので、グループの中で起業家的な人が出てきてほしいなと思っています。あとは、海外で起業している日本人が注目されるような結果が出ないと時代の趨勢とはならないですね。

アジアの市場は明らかに伸びており、シェアをとってそれをキープすると勝手に上がっていく市場なのです。10年とか20年やったときに、本当にここでプレーしてチャレンジしたのが良かったねというのをつくりたいですね。

収入1つとっても、例えば新卒で、1,000ドルで来た人が10年後には数十億円ぐらいの売上で数億円の利益を上げる規模ぐらいの事業をやっていますというのをつくれないと、夢がないから人は来ないですね。

あとは、日本人はリスクをとって来てくれているので、リスクに対してリターンを返してあげたいと思うのです。リスクをとった意思決定は間違ってなかったと感じさせたいです。

助っ人編集部  

最後に、海外を視野に入れて起業をしたいと思っている人たちにお伝えしたいことはありますか?

ソルさん  

うちに来てほしいですね。伸び率で言うと、少なくとも今アジアで活躍している日系企業の中で、うちは直近5年で30倍ぐらいになっていますので、伸び率が一番高いと思います。しかも、その間、一応それなりにうちで培ってきたものもありますし、その中で生まれる人間的成長もあると思います。

うちの場合、事業の創立者として入って、それでいてグループの中でやりたいっていったら、それはそれで歓迎します。それだけ盛り上がる事業で、グループとしての優位性も出せるところは単独でやるより良かったりします。そういうふうに企業内ベンチャーみたいな感じが出てくるのはむしろ喜ばしいことです。

アジアはやっぱり近いですよ。アメリカやヨーロッパのほうが本質的にお互いに分かり合えないかなと思います。だからこそ、ヨーロッパに行ったときに思ったのですが、社会背景は違うし思考性が違う中でこれまで競争してきたのに、アジア市場で勝てなかったら絶対ほかで勝つことなんてありえないと思うぐらい、アジアは親和性があるというか、理解しやすいです。

アジアは一番伸びていますし、人口も一番多いという中で、アジアにチャレンジする人がもっといていいと思います。10年後を見据えたら絶対やるべきですね。

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著者プロフィール

伊藤 健太

伊藤 健太

1986年生まれ、横浜出身、慶應大学法学部卒業。
23歳の時、病気をきっかけに、小学校親友4名、資本金5万円で株式会社ウェイビーを創業。

10年間で10,000人を超える経営者、起業家の「売上アップ」「組織づくり」に携わる。
中小、ベンチャー企業、独立希望者が、 早く、強く、大きく成長できる
01クラウドシリーズを展開中。

2016年10月より、世界経済フォーラム(ダボス会議)の日本代表選抜
2018年9月より、徳島大学客員教授就任
2020年4月より、iU 情報経営イノベーション専門職大学客員教授就任

「自分の力で稼ぐ力を身につける本」
元LINE社長の森川亮氏推薦の「起業家のためのマーケティングバイブル」など著書6冊。
日経新聞、エコノミスト、NHKなどメディア掲載も多数。

Sul_Yoosa(薛 悠司)

Sul_Yoosa(薛 悠司)

SOLTEC INVESTMENTS PTE,LTD, 2002年 慶應義塾大学入学 2004年 有限会社Valcomの立ち上げに参加 2005年 株式会社リクルートに入社。 2011年 Soltec Vietnam Company(ベトナム)を立ち上げ、代表取締役に就任 2012年  Evolable Asia Co.,ltd(ベトナム)創業、代表取締役に就任 2014年  Soltec Investments Pte.Ltd(シンガポール)を設立、代表取締役に就任。この会社は、東南アジアにおける開発を加速するための事業投資として発足。 2014年  AREA誌の選ぶ「アジア活躍する日本人100人」に選出される 2015年 Evolable Asiaを500名体制、東南アジア最大の日系オフショア開発企業に成長させる