会社が裁判の当事者になるケースを考えてみよう

ポイント
  1. 会社が訴えられるケースというのはどういうものか知ろう
  2. 知識を得て、トラブルを未然に回避しよう
  3. 会社同士のトラブルの際に弁護士の果たす役割を解説

メディアなどでは犯罪を犯した人の裁判のニュースをよく耳にしたりするとは思いますが、裁判の当事者になるのは別に個人に限ったことだけではありません。

会社であっても、何かしらのことをしてしまえば訴えられることもありますし、逆に会社が相手を訴えることもあるのです。

今回は会社と裁判について考えていきたいと思います。

会社が訴えられるケースを考えてみよう

あなたの会社が訴えられるかもしれない3つのパターンを理解しよう

会社自身が裁判で訴えられるのは3つのパターンがあります。

1つ目は取引先から訴えられるケースです。取引をしていく中で損失を出してしまった、もしくは不良品が混じっていたことで相手から訴えられることがあります。また不良品が混じっていたために代金を支払わなかったことで訴えられるというケースもあるなど、様々な側面から会社が何かしらの訴えを起こされることが考えられます。こうなると取引先との関係は最悪な状況になる他、他へ波及する可能性も想定しないといけません。

2つ目は消費者から訴えられるケースです。例えば異物が混入し、何も知らずにそれを食べてしまって体調を壊した、安全対策がなっておらずそれによってケガをした、従業員教育がなっておらずそれによって気分を害したなど様々な理由で会社が訴えられることはよくあります。近年はアメリカの極端なケースを多くの人が知っており、会社側がそう簡単に謝らないような形になり、それならば訴えると大きく打って出る消費者もいます。訴えたこと自体がニュースになるため、リスクになりがちです。

最後は従業員から訴えられるケースです。このケースがとても多く、近年はその内容がかなり多岐にわたります。以前からあったのは解雇は不当という裁判であり、労使を巡るいざこざが背景にありました。賃金の未払い問題も以前からありましたが、最近はサービス残業を巡る残業代の未払い問題もあります。これに加えて過労死に関する問題もクローズアップされ、過労死の環境を作っていたとして会社だけでなく責任者も刑事告訴されるケースが出てきています。

このように、会社が訴えられるケースは以前から比較しても増えており、今後もそのリスクは高いままであると言えるでしょう。いずれのケースでも気をつけたいのは相手から訴えられて、訴状をそのままにしてしまう場合です。いわゆる無視を決め込むケースですが、こうなると相手の言い分が丸々通ってそのまま敗訴となるため、たとえ言いがかりに近いような内容であったとしても真摯に答えなければなりません。これは相手が誰であろうと同じことです。

訴えられた時のリスクについても理解するようにしよう

次に訴えられたリスクを考えないといけません。企業同士のトラブルだった場合にはたいていの場合は同業者によるものなので、業界内で白い目で見られる可能性は十分に考えられます。まして訴えた側が業界内で力を持っている場合には忖度が行われて、こちらに落ち度がなかったにしても多少の迷惑を被る可能性があります。消費者と従業員を相手にする場合は強権的なこともできないわけではありませんが、SNSの発達で強権的なことが広まることも考えられます。

日本では裁判を起こされた時点で何かしらの非があったと思われ、無傷で終わることはなく、何かしらのダメージを負い、潔白が証明されても名誉回復の動きは乏しいのが現実です。訴えられた時点で何かしらのマイナスは覚悟しないといけません。裁判で潔白を証明していけばいいというスタンスは正式な判決が出るまでの数年間にわたって色々なダメージを受ける状況を生んでしまいます。その事実はしっかりと認識しないと後々面倒な状況を生み出します。

大手の会社であれば、法務部が会社の中に存在しており、裁判で訴えられることへのリスクマネジメントを行います。契約書の作成において法的に妥当なものであるかを精査し、裁判のリスクを回避することが基本的な役割です。お客さんからのクレームがあれば法務部とカスタマーセンターが連動して紛争を回避することもあります。他にもコンプライアンスの観点からの社員教育なども行い、将来的なリスクを減らすのがポイントです。

中小企業ではこれらのことに人員は割けないために、顧問弁護士にそのあたりのことを一手に担ってもらうことになります。ちょっとしたことで訴えられる時代であるため、ブレーキをかけてもらうことが重要です。またお墨付きをもらえば一気にアクセルを踏むことができるなど、訴えられるかどうか、訴えられたとしても大丈夫かどうかを見極めてくれます。

こちらも合わせてお読みください
契約書の作成に弁護士は必要なのか?契約書の知識をまとめて解説

会社が訴えるケースを考えてみよう

会社が訴える場合は訴えられる場合と比較して少ない

会社が訴えるケースですが、こちらは訴えられるケースよりも範囲がかなり狭まります。

例えば企業同士の訴訟ですが、こちらは損害を受けたから訴えるという形がほとんどです。中には不良品を送ったので代金は支払わないと因縁を付けられるケースもあり、その時に訴えることもありますが、この場合はどのような契約をしていたかや訴えても勝算があるだけの根拠などが重要になります。むしろ勝算がない中で訴えを起こすことは無謀であり、自分で自分を傷つけることにもなってしまいます。

消費者を会社が訴えるケースはかなり限られており、消費者の行動によって多大なる損害が出た場合にしか訴えを起こすことはあまりないでしょう。例えば、動画配信サイトなどで明らかに虚偽の情報で特定の企業を酷評し、それによって甚大な損害を受けた場合が消費者を会社が訴えるケースになりそうですが、めったにそのようなことはあるものではありません。不法行為が明らかに存在しない限りは消費者を訴えることはなく、その場合もかなりの証拠を積み重ねて裁判に臨むなど相当な準備が必要になります。

会社VS従業員

会社が訴えるケースで意外と多いのは従業員に対するものです。社員が横領したのでそれを弁済するように求めるケースや社員の行動によって会社の看板に傷がついたので賠償を求めるケースなど様々です。以前にあったのは会社が元従業員を訴えるも、逆に元従業員側が反訴するケースです。元従業員側が精神的な病で退職したものの、ウソをついて会社を辞めたと会社側が訴えを起こし、訴えられた側が訴訟になってからさらに体調を悪化させてしまい、反訴に至ったというものです。

この場合では結果的に元従業員側が勝訴し、会社側は自分で裁判を起こしながら反訴で負けるという信じがたい状況に追い込まれてしまいました。絶対に気を付けたいのは会社側が裁判を起こして負けてしまうことです。特許を巡る裁判のようにどう転んでもおかしくないようなものは負けてもさほどダメージはありませんが、明らかに勝算がない裁判を起こし、結果的に負けることで社会的な信頼は急落し、会社の経営に大きな影響を与えてしまいます。

例えば、社員が機密情報や個人情報を漏洩してしまい、それで会社に多大な被害が出た場合には社員に対して裁判を起こし、賠償を求めるというのであれば不法行為が確実にあり、社員が逮捕されて起訴をされた事実などがあってようやく裁判を起こせます。確実に勝てる裁判でなければならず、会社側が訴えを起こす場合というのは根拠を明確に持って裁判に臨むケースです。そうしないと、先ほどのケースのように相手に反訴をされて負けてしまいます。

懲罰的な意味合いで損害賠償を従業員などに仕掛けるケースも見られます。従業員が取引先で失態を犯し、結果的に会社に大損を与えた場合に損失分すべてを従業員に背負わせるような裁判を起こすケースが時折あります。この場合、最高裁の判例を見ても全額を弁済してもらうようなことにはならず、あったとしても4分の1程度の弁済にとどまることになります。しかも、給料から天引きさせれば違法行為になってしまうため、かなりデリケートな問題なのは間違いありません。

こうしたことからも分かるように、明らかに相手に落ち度があり、こちらには落ち度がないぐらいのスタンスでない限りはリスクが非常に大きいことが分かります。言い掛かりに近く、何の根拠もなかった場合には逆に訴えられて負けてしまい、いわば自滅のような状況に追い込まれます。企業側が訴えを起こした場合、その理由は明確な根拠がある場合がほとんどであり、それがスタンダードと思ってよさそうです。

訴えられることが多く、近年は従業員が簡単に会社を訴え、SNSで様々なことを暴露して影響を与えてしまうケースが目立ちます。こうした場合に重い腰を上げることはありますが、そこでも対応を間違えてしまうと従業員を利することになり、返り討ちに遭うなど散々なことになってしまいます。

会社の裁判で弁護士はどのような役割を果たせるのか

弁護士の役割は1つではない

従業員に訴えられるなど、会社は何かと裁判で訴えられることが多いものものです。

このような場合に弁護士は会社の弁護をすることになりますが、その時の役割は様々です。和解でもいいから裁判を終わらせたい企業も多く、和解に向けた交渉に入ることが多いです。和解とは名ばかりで、実際は敗訴に近い内容も多くありますが、和解になることでお互いに円満に話し合いで交渉がまとまった印象を与えます。イメージのためにある程度のところで会社が折れて、それを弁護士が導くというのも役割の1つです。

顧問弁護士などは裁判にならないよう、就業規則や雇用契約書の見直しを行ったり、会社内の状況と法の中身を照合して対応できるようにしたりします。裁判所でも認めてもらえるようなものにしなければ、従業員にその部分をずっと追及され続けて負けてばっかりということになってしまいます。裁判では言われっぱなしにならないよう、相手の落ち度を追及しながら依頼人を守ることを徹底しますが、前提となったものが法から逸脱していてはどうしようもありません。

訴訟となると、数年間はその対応に終始することになります。弁護士はそれを引き受けてできるだけ負担にならないよう、自らで調査を行って備えていきます。当然、逐一の報告というものも行いますが、証言に立ってもらうこと以外で迷惑がかからないようにするのがポイントです。代理人同士で話し合いが行われ、いつのまにか審理が終わって判決が出るのを待つような状況になることもあります。

和解によるソフトランディングな決着や負担を掛けない形での審理など、その役割は色々とありますが、未然に防ぐというのが本来のあるべき姿です。訴訟ということになれば相当な費用を会社側は払うことになり、場合によっては賠償責任を負って、いくらか支払うことになりかねません。特に従業員からの訴えに関して、サービス残業のような従業員の良心に任せた実態はリスクでしかなく、経営を揺るがせる大問題になりかねません。

訴えられにくい体質にすること、万が一訴えられても誰が弁護しても勝ちやすい体質にすること、それによって安心して営業ができるようになること、これが理想的な役割です。法務部がある企業はこれを目指しており、中小企業は顧問弁護士を用意して経営に関することを見てもらうのがあるべき姿です。何か起きてからでいいやというスタンスは致命的な結末を生みかねず、後悔先に立たずという状況を作り出します。

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