個人事業主のための節税メモと対策とちょっとした裏技

ポイント
  1. 今からでも間に合う節税方法
  2. これから始めたい節税方法
  3. 将来に向けてのビジョンを見いだす

目次 [非表示]

皆様、昨年度の決算はいかがでしたか。
日々帳簿をきちんとつけている方、大量にたまったレシート類の山を前に憂鬱な気分に陥っている方、人それぞれでしょう。

また、業績についても、思った以上に利益が出て確定申告時の税金の支払いが心配な方、
今年一年は不本意な業況で来年のリベンジを期している方、これまた、人それぞれかと思います。

特に、思った以上に利益がでている方にとっては税金の支払いはとても不安が伴うと共に、なんとか安くならないかと思案している方も多いかと思います。実際に、すでに終わってしまった年度の節税を今から行うことはほとんど不可能ですが、全く不可能な訳でもありません。

本日は、そんな個人事業主のあなたのために確定申告の際における今からでも間に合う節税方法と、今年度の節税対策についてレクチャーいたします。


あわせてこちらもお読みください。
起業時に知っておくべき税金に関するまとめ

今からでも間に合う節税方法

1.とにかくレシートをかき集め

みなさん、お買い物の際にもらうレシートはとってありますか?とっていない方がいれば、今からの節税対策は無理なので今後はできるだけとっておくようにしましょう。きちんと保存している(といってもどこかの箱やファイルに無造作に格納されている状態でもOK。人によってはお財布の中に溜まっているかもしれませんね。)皆さんであれば、とにかく片っ端からレシートに目を通してみてください。

よく見たら、事業に関係する支払が混ざっていませんか。その文房具代、郵便代、電化製品の購入代金…事業のために使ったものではありませんか?事業に使っているものであれば、経費に算入することができます。なお、ここでのポイントは「事業に関連」しているかどうかです。

例えば郵便代でも、親戚や友人に出した年賀はがきの代金は経費に算入することはできませんが、取引先に出しているものであれば経費算入することができます。といったように、事業に関連しているものを探していけばそれなりに日ごろ何気なく支払っているものの中でも経費算入できるものが見つかるはずです。塵も積もれば山になります。経費が増えれば、その分利益(厳密には「所得」という)が減りますので、所得の金額に応じてかかる税金は減ります

みなさん頑張って経費算入できる支払いを探してみてくださいね。


あわせてこちらもお読みください。
会計サービスの形を追求する専門家が語る、『節税のキホン』とは

2.見落としがちな「交通費」

業種によっては、営業やサービス提供のため外回りが多い方もいらっしゃるかと思います。また、外回りがなくても、自宅外に店舗や事務所を構えていて毎日通勤している方もいらっしゃるかと思います。サラリーマンと違って、個人事業主の方が自分のお店や事務所に出ることを「通勤」と感じられることは少ないかとは思いますが、個人事業主だってれっきとした「通勤」です。

皆さん、外回りや通勤された際の交通費を経費算入していますか?こうした交通費も経費算入できます。タクシーを使った際にはレシートが残るので「経費」という自覚があるかもしれませんが、自家用車や公共交通機関を使った際には、何の記録も残していない方が多いかもしれません。なので、記録がないから経費算入はあきらめるか…というのは早計です。

通勤であれば、ルーチンの行き来ですので1年間にいくらガソリン代や公共交通機関の運賃がかかったか計算できるはずです。ガソリン代であれば距離×一般的な貴方の車の燃費、公共交通機関の運賃は経路検索サイトで簡単に運賃が把握できますよね。これまた、交通費に関しても日々の金額は塵かもしれませんが、集計すれば山になります。ぜひ頑張って集計してみてください。

問題は、お客様や取引先などへの外回りの際のガソリン代や公共交通機関の運賃です。手帳やGoogle カレンダーなどに何月何日どこにいったか、記録は残っていませんか?それを頼りに、Googleマップなどを使ってガソリン代や公共交通機関の運賃を計算してみてみましょう。手帳やGoogleカレンダーなどに記録を残していない、もしくは手帳を捨ててしまった、何月何日どこに行ったか覚えていない…そんな貴方でも、まだあきらめるのは早いです。

皆様、日ごろスマホのGPS(位置情報発信)機能をオンにしていませんか?Google マップには「タイムライン」という機能があり、毎日どこへどんなルートで移動したか記録する機能があることに気づいていましたか?この記事を読んで、初めて気が付き監視されていることの恐ろしさを感じる方、なんて便利なんだ!と感じる方、人によって捉え方は様々かと思います。

私は後者のタイプです。いずれにせよ、タイムラインに残っている行動記録を見てみましょう。忘れていた記憶が蘇ってきませんか?

記憶が蘇ればあとは、交通費の計算をするだけです。ここでのポイントは、「事業に関連する移動」であるということ(なので、個人的に買い物や遊びに出掛けた際の交通費は経費算入NGです。)、「きちんとした根拠と記録に基づいて交通費計上している」ということ、この2点です。交通費の経費算入、頑張ってみてください。

3.「家事按分」という裏技

個人事業主の場合、売上から経費を差し引いて「所得」(いわゆる「利益」のようなもの)を計算し、所得の金額の多寡によって支払う税金の額が変わってくるのはご理解いただいているかと思います。ということは、皆様の生活費は所得の中から賄われており、言い方を変えると「生活費」は経費算入できないということになります。

ところで、この「生活費」については、税金計算の世界では「家事費」と「家事関連費」に区分できるというのはご存知でしょうか。「家事費」は純粋な生活費です。ご飯を食べたり、洋服を買ったり…。一般的な生活費がこれにあたります。問題は「家事関連費」です。「家事関連費」とは、「基本は生活費なんだけど、よく考えてみるとその一部は事業のために使っている側面もあるような支払い」のことをいいます。

典型例は、携帯代金や自宅兼事務所・店舗の家賃、水道光熱費、通信費などです。こうした生活費と事業に関連した支出がまざっているような支払いに関しては、その支出金額の総額から「業務の遂行上必要である部分を明らかに区分することができる」金額を合理的に算出することによって、経費算入することができます。これを「家事按分」といいます。

ちょっと難しい言葉を使ってしまったのでいくつか例を出して説明します。例えば携帯代金。友人や身内との連絡手段として使っている一方で、お客様や取引先との連絡の手段としても使っていませんか。この場合、使用実態に応じて携帯代金の一部を経費算入することができます。

例えば、月の携帯代金が1万円の場合で、通話頻度などの携帯利用頻度が全体の7割ぐらいだとすると、月々7千円が経費算入できます。この利用頻度をどのように計算するかが一番難しいところかと思いますが、それはケースバイケースなので一概に決めるのは難しいかと思います。

例えば、士業を営んでいる私の場合、通話料は大手キャリアの定額プランに加入しています。その理由はお客様との長時間の通話が発生することがあるためです。また、インターネット検索に関しても、ほとんど業務に関する調べ物がほとんどです。さらに、Kindleや楽天Koboなど、電子書籍用アプリを入れて、ほとんどを業務に関連するビジネス書をダウンロードして読むことに使っています。

ですので、携帯代金に関してはほとんどを業務に使っているからということで、代金の9割を経費算入しています。(これが正しいのかどうか、税務署が認めてくれるのかどうかはわかりませんが、自分では合理的と考えているので「9割」としています。)

次に自宅兼事務所・店舗に関してみてみましょう。

家賃に関しては、事務所や店舗が占める床面積の割合で経費算入することが一般的に考えられるかと思います。例えば100㎡で月15万円の家賃を支払っている際、事務所として使用している部分が30㎡だとすると、月15万円×30÷100=4.5万円が経費算入することができます。ここでのポイントは「専ら事務所として占有している実態があるか」という点です。単に自分の部屋で時々作業をする程度であれば、経費算入は難しいでしょう。

完全に仕事だけに常時集中できるようなスペースがあることが前提です。ですので、私物が大量にあったりすると、税務調査の際にNGを食らう可能性がありますので留意しましょう。水道光熱費に関しては色々な考え方があるかと思います。飲食店経営であれば、そもそもメーターを店舗部分と家庭部分に分けておいたほうがいいかと思います。それ以外の場合には、先ほどの自宅兼事務所のように床面積割などが考えられるかと思いますが、個々の実情に応じてより合理的な按分方法を考える必要があるかと思います。

以上が、今からでもできる個人事業主の節税方法でした。
ここからは新年度に向けて、習慣づけたい、もしくは覚えておきたい節税方法をお伝えしたいと思います。


あわせてこちらもお読みください。
まずは利益の把握から!節税の順番はきちんと守るべし

これから始めたい節税方法

1.支払いに電子マネーを利用しよう

皆さん、お財布の中にどれだけ「現金」を持ち歩いていますか?日本人は「現金」志向が強く、クレジットカード決済や電子マネー決済を嫌う傾向が他の先進国と比べて強いと言われていますが皆様はどうでしょうか?私はできるだけ日々の支払手段として現金は使わず、電子マネーを利用するようにしています。電子マネーとは具体的に、Suicaや楽天Edy、WAON、Nanacoなどです。

ではなぜ、電子マネーを利用しているか理由を説明します。

1.いつどこにいくら払ったか利用履歴が残るため
2.ATMからお金を引き出すためにATMを探す手間やATMに並ぶ時間が省けるため
3.楽天やNanaco、Pontaなどのポイントがつくため

特に、楽天ポイントやPontaなどについては、電子マネーのチャージ手段をクレジットカードにすることにより、恐ろしい勢いでポイントが溜まっていきます。私はクレジットカード研究家であり、効率的にポイントをためるノウハウをたくさん知っているのですが、長くなるので別な機会に…

といったメリットを得るためです。一番の動機は2や3なのですが、節税という面で行くと1のメリットは大きいです。

理由は、先の章で経費の集計のために「レシートをできるだけかき集めましょう。かき集めるレシートがなかったら諦めてください」と申し上げましたが、電子マネーを利用した場合、データで利用履歴が残るため、あとからの集計の際に非常に力を発揮します。
 

関連記事