先日ソフトバンクが副業解禁をしたというニュースがありました。大手企業を中心に副業解禁が最近増えてきていますが、副業で社労士資格は「使える」のでしょうか?
現在副業をしている人は〇%
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の133,522人を対象とした調査によると現在副業をしている人は、1つの副業をしている人は8,567人(6.4%)、2つ以上の副業をしている人は2,236人(1.7%)。%だけで見ると少ないように感じますが、副業をしている人は133,522人中、合わせて10,803人(8.1%)となっています。
また、副業をしている人の平均年齢を見ると、副業が1つの人は38.5歳、2つ以上の人は39.2歳。年代別に見ると、30代が38.3%で一番多く、次いで40代が32.8%、10代及び20代が16.7%、50台が10.8%、60代が1.4%となっており、働き盛りの30台、40代が一番副業をしている率が高くなっていることが分かります。
副業をする理由で一番多いのは?
また、現在副業をしている人に対して、副業をしている理由を尋ねたところ、同調査によると「収入を増やしたいから」が52.7%で一番多く、次いで「自分が活躍できる場を広げたいから」が26.8%、「一つの仕事だけでは生活自体が営めないから」が26.5%となっています。
つまり現在副業をしている人が副業をする理由としては、自身の活躍をもっと広げて収入を増やしていき、生活を営むためという理由がうかがえます。では、現状はこのような理由で副業をしている人が、社労士資格を活かして副業にするとどうなるのでしょうか。
社労士資格を副業にするとどうなる??
平均年収を比べるあるサイトによると社労士の平均年収は男性で777.2万円、女性で556.1万円となっています。特別悪いという印象はありませんし、あくまで平均値であり、開業すれば青天井、年収1000万を超える人も少なくありません。そして開業社労士なのか勤務社労士なのか、パートアルバイトなのか否かという点も収入を分ける大きなポイントです。
社労士資格を副業にする場合、副業である社労士業をどのような形態で行うのかが大きなポイントになります。副業として社労士資格を考えたときに、方法としては、①副業として社労士事務所を開業する ②副業として社労士事務所にパートアルバイトで雇用されるという2つの方法が考えられます。
副業として社労士事務所を開業することは可能か?
副業として社労士事務所を開業する、つまり本業として会社員をしながら、個人としての事務所を持つことになりますが、前述した通り、社労士事務所の平均年収は男性が777.2万円、女性が556.1万円です。本業として朝から夜まで労力と時間を使った人の平均がこの金額となることを考えると、副業として個人で事務所を持ち、営業し顧客を獲得して収益を上げるのは、事実上不可能と言えるでしょう。なにより顧客獲得をするための時間を本業で費やしているため、なかなか難しいのが現実です。
副業として社労士事務所にパートアルバイトで雇用される場合
副業として、既にある社労士事務所に短時間で勤務することも検討できます。この点社労士事務所の運営を見てみると、パートアルバイトという非正規社員には手続き業務や給与計算という定型の業務を行い、社員が3号業務というコンサルティングを行うという社労士事務所が多いです。このため、副業としてパートアルバイトとして勤務する場合、社会保険・労働保険の手続き業務、給与計算業務を行う可能性が高いです。AIやシステム化によって給与計算業務や手続き業務といった定型業務は今後システム化されていくことに間違いありません。
今はまだシステム化への移行期だとも言え、需要はあると思われます。ただ、今後少なくても10年後はあるかどうか分からない業務と言えます。この点理解して割り切って副業として行うのであればいいのかもしれませんが、自分の限られた時間を何に費やすのかを考えて選択していくことが必要なのではないでしょうか。
本業×社労士資格=新しいプロダクトの創造へ:第三の選択肢
第三の選択肢として、本業で様々な業種や業務を経験しながら、副業として社労士を活かしながら本業との知識経験を融合したコンサルティングを行うことも考えることが出来ます。例えば本業で飲食業の立ち上げを経験し運営していながら、社労士資格を取得して、副業で「飲食業専門の立ち上げコンサルティング」と銘打って3号業務として行うといった例です。
これであれば社労士資格を活かしつつ、本業の経験も生かしながら第三のビジネスとしてお客様に新たなサービスを提供することが可能になります。そしてその経験をさらに本業にも還元することが出来れば、企業にとってもよい循環に繋がります。
つまり、社労士資格を副業に活かすことは十分可能です。だた、言えるのは単に社労士資格を取得して手続き業務・給与計算業務を副業として行うというのではなく、社労士として身に付けた人事労務についての知識と本業とを融合させて第三の業務、プロダクトを生み出し、それを価値提供して初めて副業として社労士資格を活かすことが出来るということです。前述した副業する理由に多い「収入を増やしたい」という安易な理由で手を出すのであれば、成功することはないでしょう。
とはいえAI、システム化で社労士業務である1号2号業務といった書類作成、提出業務は間違いなく10年後にはシステムに代替されていきます。その点を踏まえて社労士資格のどの部分を活かすのか肚を決めてビジネスに取り組めば、道は拓けてくるでしょう。
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