会社設立後の社会保険手続きのいろは!提出する書類と記載のポイント
- 会社を設立したら代表取締役1名だけでも社会保険に加入となります
- 従業員を雇ったら雇用保険と労災保険にも加入となります
会社設立には登記申請や口座開設、役員報酬の決定などいろいろ決定し準備をすることが沢山あります。登記が出来たら一安心かと言えばそうではありません。社会保険に加入することもやらなくてはならないことの一つです。
それでは社会保険とはいったい何なのか?そして手続きはどうしたらいいのか?という疑問が出てくるかと思います。ここではその疑問を一気に解消し準備する書類と記載のポイントをいっきにまとめてご紹介します。
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社会保険といっても何を具体的に指すのでしょうか。
社会保険とは、労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金を総称して社会保険と呼んでいます。そして会社を設立した場合、社会保険に加入することが必須となっています。
会社を設立した場合に社会保険に加入しないといけませんが、社長が一人だけで社員は0人の場合や、社長がいるけれど売り上げがなく役員報酬が0円の場合も社会保険に加入しないといけないのでしょうか。
ケース1 社長が一人だけで社員がいない場合
設立したてで社長が一人だけで、他に役員や従業員もいないという会社は少なくありません。このような場合でも社会保険には加入しなくてはなりません。この場合は、社長だけが対象者(被保険者)となり、加入の書類を役所に提出することになります。
ケース2 社長はいるけれど売り上げがなく役員報酬が0の場合
ケース1に加え起業したての会社の場合で、社長一人だけで会社をやっている場合(従業員もいない。他に役員もいない。代表者だけで会社をやっている場合)売り上げが出る間は役員報酬が0円ということもあるでしょう。この場合でも社会保険に加入しなければならないのでしょうか。
結論から言うと、この場合には報酬が0円なので、社会保険料を天引きする元である報酬自体がない状態です。このため社会保険には加入できません。報酬が発生してから社会保険に加入し、報酬から社会保険料を天引きすることになります。
では次に手続きをする際に必要な書類一式を確認していきましょう。
まず、社会保険加入手続きに必要な書類には次のような種類があります。それぞれの書類がどのようなときに必要なのかを確認しましょう。
健康保険・厚生年金保険新規適用届(以下「適用届」と記載します)
会社を設立して初めて健康保険・厚生年金に会社が加入する際に提出する書類です。意味としては、個人の加入届ではなく会社自体を健康保険・厚生年金に加入させる手続きとなります。
この適用届と一緒に、会社の登記簿謄本を一緒に提出します。この登記簿謄本は90日以内に発行されたものであることが条件なので注意しましょう。書類の白紙は日本年金機構のホームページからダウンロードが出来ます。提出先は会社の住所を管轄する年金事務所となります。(管轄の考え方、調べ方は以下に記載)
健康保険・厚生年金保険資格取得届
適用届と一緒に提出するのがこの健康保険・厚生年金保険資格取得届です。社会保険の対象となる従業員の全員分を提出します。この書類では健康保険・厚生年金に加入させる対象者を具体的に指定し、加入させる手続きの書類となります。
書類の白紙は日本年金機構のホームページからダウンロードが出来ます。提出先は会社の住所を管轄する年金事務所となります。(管轄の考え方、調べ方は以下に記載)
健康保険被扶養者(異動)届
健康保険・厚生年金保険資格取得届と一緒に提出するのが、この書類です。役員や従業員の扶養している人(配偶者や子供、父母など)がいる場合に提出します。誰が扶養に入るのかどうかについては、年金機構のホームページに記載基準となります。
次に、従業員を雇った場合に必要になる書類です。従業員を雇うと雇用保険と労災保険に加入します。以下はこの雇用保険と労災保険の書類となります。
雇用保険適用事業所設置届
これは従業員を雇うようになってから10日以内に提出します。会社を作る際に始めから従業員を雇っている場合には設立日の翌日から10日以内に提出します。また、設立時には従業員は0人で後から従業員を雇うことになった場合には、雇用した日の翌日から10日以内に届け出ます。 この書類の意味は、「会社自体」を雇用保険に加入させる書類になります。提出の際は登記簿謄本の原本も添付します。提出先は管轄のハローワークになります。
雇用保険被保険者資格取得届
従業員を雇用してから10日以内に提出します。従業員の全員の氏名を記載し雇用保険に加入させる書類になります。この書類によって従業員を指定し雇用保険に加入させることが出来ます。提出先は管轄のハローワークになります。
保険関係成立届
従業員を雇用した日の翌日から10日以内に提出します。 添付書類は会社の登記謄本原本、労務者名簿、賃金台帳、出勤簿となります。会社自体を労災に加入させる手続きとなります。提出先は、管轄の労働基準監督署になります。
労働保険概算保険料申告書
労働保険(雇用保険、労災保険)の保険料を国に納付する書類になります。法律では保険関係が成立した日から50日以内に提出しますが、一般的には、保険関係成立届と一緒に提出し、50日以内に納付を済ませるのが一般的な流れです。提出先は、管轄の労基署になります。
社会保険の書類の提出については、健康保険、厚生年金の書類は管轄の年金事務所への提出となります。一方、従業員を最初に雇った場合に必要になる雇用保険、労災保険については手続きの流れにポイントがあります(建設業者や農林水産業以外の一般の企業の場合)。
雇用保険は管轄のハローワーク、労災保険は管轄の労働基準監督署になりますが、従業員の1人目を雇い、初めて会社に雇用保険・労災保険を加入させる手続きをするには、まず労基署へ行って保険関係成立届を提出してからハローワークに提出をします。先にハローワークに行っても手続きができないので注意をしましょう。(※建設業や農林水産業以外の場合です。)
提出先に「管轄のハローワーク」や「管轄の年金事務所」等、管轄のという言葉が出てきます。役所に提出する書類は、全て会社の住所を「管轄している」役所に提出することが必要となります。平たく言うと、会社の住所の“最寄り”のハローワークや年金事務所となりますが、管轄は日本年金機構やなどの各役所のホームページから検索をすることが出来ます。
年金事務所の管轄:日本年金機構のホームページ内で「東京都 管轄」などで検索
労働基準監督署:各都道府県労働局のホームページ内で「東京都 管轄」などで検索
ハローワーク:「ハローワーク 港区 管轄」などで検索
会社を設立し、従業員を雇ったら沢山やることがあります。その中でも社会保険の加入は企業の活動の基本、土台となるものです。今後企業が発展していくためにも社会保険の加入は採用時に大きな訴求ポイントとなります。忙しい中で後回しにすることなく、会社の土台作りと考えて要件と手続きを確認してしっかりと準備をして手続きを進めましょう。
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