試用期間と初めての人事異動【総まとめ】〜社長が知っておきたい労働基準法上のルール①〜

更新日:2018.03.05

会社を設立して人を雇うようになると考えるのが「試用期間」と「人事異動」です。今回は試用期間と人事異動についてのメリット・デメリットと注意点について総まとめをご紹介します。

試用期間とは何か?

試用期間という言葉はメジャーになっていますが、そもそも試用期間とは何なのでしょうか。
試用期間は、従業員としての適格性を判断する期間と一般的には言われています。ミスマッチを避けるため、正社員を採用する場合に直ちに正式の本採用とはせず、トライアル期間を作り、その期間中の勤務態度や性格、能力、適性などをみて本採用を決定するための時間だと言われています。

試用期間の長さについては、法律では特に定められていません。
とはいえ、あまりにも長い期間の試用期間は、好ましくありません。また、会社や従業員によっては短縮したり、延長することもあり得ます。特に中途採用者で能力や経験を高く評価された人については、試用期間を短縮したり廃止することも一般的に見られます。一般的には3か月~6か月程度でしょう。

試用期間のメリット

では試用期間はどのようなメリットがあるのでしょうか。

試用期間のメリット

① 試用期間というのは、従業員に対して解約をする権利が企業側に留保されています。解そのため、雇用時に期待していた能力・スキルが発揮されない場合には、試用期間満了時に本採用をしない旨、本人に通知することにより解雇することになります。企業としてはいきなり本採用をするよりリスクが小さいと言えるでしょう。

② その人の人となりを一定期間見て判断が出来ます。例えば学歴や社歴を偽っていたり、遅刻があまりにも多いなどの勤務態度を判断することが出来ます。

試用期間のデメリット

また試用期間についてはデメリットもあります。
試用期間というのは従業員にとってはとても不安定な状況です。そのため、安定した会社からのオファーや内定が出た場合、試用期間中の会社での本採用を辞退されることも考えられます。試用期間については、会社にとっては従業員の能力やスキル、勤務態度を判断するよい期間ではありますが、同時にデメリットも抱えているのです。

導入するにはどうしたらいいのでしょうか

試用期間を設けるには、会社のルールである就業規則で次のように規定をしておきましょう。

条文例:

① 新たに採用された者は入社日より3箇月の期間を定めて試用する。

② 試用期間が満了し、従業員として適格と認められる者は本採用する。ただし、試用期間中に従業員として不適格と認められる者は第〇〇条の手続きにより解雇する。
試用期間を設ける場合には、規則で明記をしておき、同時に雇用契約書で本人に通知をします。本人も試用期間があることを把握しておく必要があるので丁寧に説明をしま      しょう。

試用期間についてのよくある質問

試用期間中はいつ解雇してもいいのでしょうか

試用期間中であるからと言って、いつでも解雇が出来るわけではありません。試用期間中であっても会社側から社員を辞めさせるのは「解雇」に当たります。社員に対する解雇については次のようなルールを守らなければいけません。

解雇のルール

① 30日以上前に予告して解雇する又は、30日以上分の平均賃金を支払い即時解雇する

② 解雇に至る合理的な理由がある

本採用後の従業員に対してはこれらのルールがあります。そして試用期間を設けると、上記のような解雇についてのルールが緩和されるのです。

入社後2週間以内の解雇であれば、①の手続きなしに即時解雇可能
本採用後の従業員の解雇よりは②の解雇についての理由が求められない

このように、試用期間中であっても会社は好き勝手に従業員を辞めさせることは出来ないので注意が必要です。そして、試用期間中については、通常の従業員と同様の「解雇の予告」の規定は適用しないとされていますが、「14日を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りでない。」とあり、14日を超えたときは通常の従業員と同様に解雇の予告の規定①が適用になります

試用期間は何カ月が適当なのでしょうか

試用期間の長さについては法律では何にも言われていません。一般的には3か月~6か月程度の長さが一般的と言えます。

試用期間は延長できるのでしょうか。

最初に設定した試用期間について、延長することは出来るのでしょうか。

試用期間の延長について特に法的な規制はありませんので、延長出来る旨の記載が就業規則上で定められていればその範囲内で延長は可能です。ただあまりにも長い延長の場合は、合理的な理由がないとして無効と言われる可能性があります。

試用期間の間の待遇について

試用期間中の待遇についてです。試用期間中の待遇が本採用後と異なる場合は、これは就業規則に記載して雇用契約上でも本人と確認をしておきましょう。本人としても待遇については大変ナイーブになっていることが多く、後々にトラブルにならないよう書面で残しておくことがポイントです。

人事異動について

会社が従業員の配置をする際に出てくるのが社員を他の部署に異動させるなどの人事人事異動についてです。人事異動には出向や派遣などもありますが、会社を設立して成長過程にある企業の場合は、同じ社内で部署を異動させるケースが多いでしょう。この場合を考えます。
後々のトラブルを防止するためにも、入社の際に、労働契約書又は就業規則に人事異動があり得ることを記載して説明しておきましょう。この時点では人事異動後の 詳細な労働条件を定めることは考えられないため、実際に人事異動が発生した際に、条件の変更があればその際に雇用契約書を取りかわすことになります。

人事異動を検討する際の注意点

人事異動をさせる場合には、会社としては次の点を注意しておきます。

① 人事異動を命じられた従業員について、業務の引き継ぎをスムーズに行うように促す。

② 人事異動後における賃金等の労働条件が変更になる場合は、その旨の手続と労働契約の締結についての記 載の検討を行う

③ 人事異動(配置・昇進)を命ずるにあたり、性別による差別的取り扱いをしないことや間接差別の禁止、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いはしてはなりません。

このように、人事異動をする際にも企業としての注意点や配慮する点があります。この記事を読みながら進めていきましょう。


こちらも併せてお読みください。
従業員を雇ったら考える!就業規則について

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