部下のやる気をあげる目標セットと目標達成に必要なタスク化の方法
- 部下が当事者意識を持てる目標を作ること
- 目標達成のためのロードマップを作成すること
- 数字だけに捉われない目標を設定しよう!
マネジメントを行う際に重要なことは、部下の目標を達成させることで会社の目的を達成させることです。
部下に目標を達成させるために必要なことは部下のモチベーションを維持させることです。
部下のモチベーションを維持させるには、部下がわくわくするような目標設定が必要になります。
そして、その目標を達成するためにはいつまでに何をしなければいけないのかを書き出し、一つづつクリアしていく必要があります。
ここでは、部下のやる気をあげる目標設定と目標達成に必要なロードマップの作成の仕方のコツ、さらに日々の業務ベースに落とし込むまでの方法についてお話していきます。
部下の目標をセットし、達成させることはマネージャーの大切な仕事の一つです。
この目標設定を間違ってしまうと会社の目的を達成することも部下を成長させることも難しくなってしまいます。
一方的に会社から渡された目標では、部下のモチベーションをあげることはできません。
部下は出来もしない目標を押し付けられたと感じ、目標にコミットすることが出来なくなってしまいます。
目標を立てる上で重要になるのが、部下の納得感を作っていくことです。
そのためには、自分が目標を作ったという当事者意識を持たせることが重要になります。
目標は気持ちが削がれるような低いレベルの目標や、到底達成できないような現実味がないレベルのものでは意味がありません。
部下の力量に応じた適正な目標を設定する必要があるのです。
そのためには、部下の力量を正確に把握しておく必要があり、日常からのコミュニケーションが重要になります。
適切な目標を作るためには部下のことを知ることが重要です。
部下のことを知るためには上司が部下の話をしっかりと聞くことが必要になります。
上司は話を聞いているつもりでいても、部下は話を聞いてもらえないと思っているケースがとても多いので注意が必要です。
部下の話をしっかりと聞き、その部下の力量や個人のなりたい姿などを把握することで適切な目標設定のためのヒントを得ることができます。
繰り返しになりますが、部下が目標を達成するために最も大切なことは、部下自身がその目標に対して当事者意識を持って挑むことです。
部下が少しでも上司に押し付けられた目標だと感じてしまえば目標への当事者意識が薄れてしまい、目標にコミットすることができなくなってしまいます。
会社の今後の方針やミッションなどを共有した後、上司は口を出さずにまずは部下自身に目標をたててもらうようにしましょう。
しかし、その目標があまりにレベルの低いものであってはいけません。
目標のレベルに疑問がある場合は、部下と再度話し合い、上司部下共に納得できる目標を一緒に設定していく必要があります。
目標を立てる際に重要なことの一つに、より具体的に明確な目標を立てるということがあります。
言葉だけは立派な目標でも掘り下げてみれば明確なものが何もなく、ふわっとした目標になってしまっていることがよくあります。
ここでは明確な目標を立てるためのポイントについてお話していきます。
わかりやすく数字で何件のお客さんを獲得するなどといった目標はわかりやすいのですが、目標が行動ベースのものになっている時は特に注意が必要です。
例えば3ヶ月後にイベントを開催するというミッションに対して「イベントを成功させる」という目標を立てるとします。
しかし、この「イベントを成功させる」という目標は何をもって成功と判断するのか明確ではありません。
イベントの成功を目標とするのであれば、そのためには何をすべきかという部分まで落としむことをしないとふわっとした目標で終わってしまいます。
イベントの成功を大目標とした時、その成功を定義する小目標を設定するようにしましょう。
【大目標】
イベントの成功
【小目標】
・イベントの参加者を100人集める
・イベント参加者から10名の問い合わせをもらう
上記のように数字などを設定してどうなることがこのイベントの成功とするのかを定義するようにします。
ただ、数値での目標設定はとてもわかりやすく管理もしやすいですが、あまり数字にとらわれすぎても目標の本質がわからなくなってしまうこともあるので注意が必要です。
他にも、「〇〇を理解できるようになる」「〇〇を学ぶ」などといった行動目標には必ず具体的にどのような状態になることを目標とするのかまで落とし込むことが必要です。
例えば「〇〇を理解できるようになる」という目標であれば、
・自分一人でお客さんに説明ができるようにする
・お客さんからの質問に対応できるようにする
など、より具体的な小目標を設定することで部下が目標を達成するために何が必要かが明確になります。
字面だけ立派でも中身がない目標はなんの意味もなしません。
ポイントは『具体的』かつ『客観的』であることです。
前項と共通する部分ですが、上司サイドが部下の目標を最終的に評価する際の評価ポイントを設定することもとても重要になります。
例えば部下が「〇〇ができる状態になる」という目標を立てるとします。
それに対して上司は何をもってそれができている状態と判断するのかという基準をはじめの段階で共有しておくことが必要です。
これにより部下は何を目指せば良いのかが明確になりますし、上司も評価を行う際に明確な判断基準がはじめから設定されているので客観的な評価を行うことが可能になります。
また、最初からこういった判断基準を明確にしておくことで部下からの評価に対する不満も減り、マネジメントがやりやすくなります。
目標を設定するとき、まずは最終的に達成するべき大目標を立てます。
例えば営業の目標なら30件の申し込みを取るということが大目標だとします。
しかし、ただ大きな目標を設定しても、その目標を達成するために何をすべきかがわからなければそれを達成することは出来ません。
そこで大事になるのが目標達成のために何をクリアしていく必要があるのかというロードマップです。
そして、そのロードマップから具体的に何をしていくべきかとういう行動ベースのタスクに落とし込む必要があります。
このように、目標を達成するためには何が必要で、いつまでにそれを達成しないといけないのかを逆算することで目標の達成に繋がります。
会議などで大きな目標だけを共有し、実際に何をしなければいけないかを決められないまま動き出すということが多くあります。
上司からしたら部下とは目標を共有したから問題ないと考えるかもしれませんが、目標から逆算した上でロードマップを作成しタスク化までできる部下は案外少ないものです。
以前、地方と連携しておこなったプロジェクトの担当をしていた女性の部下がいました。
私は別の仕事を担当していたこともあり、最初は関わっていなかったのですが、あまりにも進捗がよろしくないということでそのプロジェクトのサポートをすることになりました。
実際に進捗を確認してみると、やるべきことが把握できないまま動き出してしまっていて、すでに何から手をつけていいかわからなくなってしまっているという状態になっていました。
このプロジェクトは最終的に研修イベントを行うというものだったのですが、イベント1ヶ月前にも関わらず、会場は抑えられていない、情報の開示は出来ていない、募集サイトが公開されていないという状況…
逆に何をしていたのかと確認してみると、連日のように来る地方の担当者からの質問の対応や、集客を協力してもらう人の確保などを優先して行なっていたということでした。
確かに質問の対応や集客も重要ですが、まずは会場の確保をしなければイベント自体を行うことが出来なくなってしまいますし、集客してくれるスタッフが揃ったとしても申し込みができるシステムがなければ、せっかく集めてもらった人が離れてしまうことにも繋がります。
しかし、彼女は目の前の仕事をこなすことにのみ集中してしまい先にやらなければいけないことが判断できなかったのです。
まずは、目標であるイベントを行うにあたって必要となることを書き出し、そこからスケジュールを逆算しいつまでに何が必要なのかをまとめることをしました。
そして、そのスケジュール通りに進めていくことで、なんとかイベントは無事に行うことが出来きましたが、あのまま彼女に任せていたらどうなっていたのだろうと思います。
このように部下にただ大きな目標を共有するだけではその目標を達成することは出来ません。
目標を達成するために『どんなスケジュールで』『何を』すべきかまで部下に共有することがとても重要です。
そして、このタスク化をすることが苦手な部下はとても多いのです。
会議などでも目標は共有されるのですが、では実際に何をすればいいのかがわからないということがよくあります。
そんなことくらい自分で考えろと思う方もいるかもしれませんが、そういったことが出来ない人が多いということを覚えておいて欲しいです。
最初は手間がかかるかもしれませんが、こういったことを繰り返し行なっていくことで、最終的には部下が自分で目標を達成するためのタスク化までできるようになります。
特に営業などの場合は月に何件案件を獲得するかなどの数値目標を設定することが多いかと思います。
数値目標は進捗や達成具合を管理するのがとてもやりやすく、多くの目標設定の中に数字が用いられます。
上司からすると数字での目標セットはとてもわかりやすいので、こういった数字での管理がよく行われるのですが、この数字が部下のやる気を損なうこともあるので注意が必要です。
例えば毎日30件電話をかけなければいけない、100件メールを送らなければいけないなどといった毎日のルーティンの中に数字目標を設定してしまうと部下は、ただただ数をこなすことにのみ意識がいき、結果として目的を果たせなくなってしまうことがあります。
毎日30件電話をかける先には月に30件の案件を獲得するという目標があるはずなのに、日々の業務目標を達成することで満足してしまったり、1件1件の電話に対しての熱量も下がっていきます。
ますはどんな根拠に基づいてその数字が必要なのか、数字だけではわからないその行動の意味をしっかりと部下に伝える必要があります。
もっというと日々の数字目標が必要なのであれば、その数は上司が提示したものではなく、部下が自分でその目標を達成するために導き出した数字でなければいけません。
毎日30件の電話をかけることの30という数字にはどのような意味があるのか、ただ30回電話をするだけで目標が達成できるのかなど部下がその根拠を理解しているのとしていないのでは仕事への取り組みが変わってきます。
個人的にはこういった業務の回数などの数字設定は無意味だと思っています。
30回電話をすれば必ず成果が出るというわけではないでしょうし、適当に行なっている30回の電話と真剣に行う10件の電話のほうがよっぽど価値があると思うからです。
結果として目標が達成できていればその手段はなんでもいいのであれば、数を積み上げる意味について今一度考える必要があるかもしれません。
ここでは部下の目標設定で重要なことと、目標を達成するために必要なタスクについてお話していきました。
目標設定ではまずは部下のレベルを正確に把握し、部下に当事者意識をもたせることがもっとも重要です。
そして、その目標をただ共有するだけで終わりにするのではなく、目標達成までのロードマップを共有することが必要になります。最初はかなり手間も時間もかかりますが、何度かサポートをしているうちに部下は自分自身で目標に向かって行動ができるようになります。そうなるとマネジメントをすることがとても楽になるので、ある意味最初は投資の時間と割り切ってしっかりとサポートをするようにしましょう。