ミレニアル世代のマネジメントで気をつけるべきこととは?
- ミレニアル世代との価値観の違いを理解しよう
- 基本は行動の言語化、言わないでもわかるは通用しない
- 価値観の多様化に柔軟に対応できるマネージャーになろう
1981年以降に生まれ、2000年以降に成人を迎えた、いわゆるミレ二アル世代。
ミレニアル世代に人が働く上で重要なことはお金を稼ぐことよりも『仕事の意義』と捉えている傾向があります。
そのため、マネージャーとしてミレニアル世代の部下を育てる際には、有意義な仕事や達成感を見いだせるかが重要となります。
有意義な仕事や達成感は部下によって違いがあるため、それぞれの部下の目指すべき姿を面談などですり合わせておく必要があります。
この認識がずれているとマネージャーが部下のためにと頑張っても部下にとっては迷惑…なんてことも起こりかねません。
もちろん、全てのミレ二アル世代がお金を稼ぐことに価値を見出していない訳ではありません。そこはミレ二アル世代だからと決めつけず、柔軟に部下と向き合うことも重要になります。
特にミレニアル世代より上の世代の方がミレ二アル世代のマネジメントを行う際は、仕事に関する価値観の違いが発生する場面が多くあります。
ここではミレニアル世代のマネジメントを行う際に気をつけるべきことやポイントについてお話していきます。
ミレ二アル世代とは前述したように1981年以降に生まれ、2000年以降に成人を迎えた人のことを指し、ジェネレーションY、Y世代とも呼ばれています。
その特徴としてあげられるのが、幼少期から青年期にIT革命を経験したデジタルネイティブの最初の世代であるということです。
ミレ二アル世代に人たちは生まれた時からデジタル機器に触れて過ごしてきたため、それ以前の世代と比較してデジタル機器への理解が深く、IT機器に関しても抵抗なく利用することができます。そして、知りたいことがあれば誰かに尋ねたり本で調べるよりも、主にネットを使って情報を得てきました。
それまでは情報を得る方法は本や雑誌、テレビなどが一般的でしたが、ミレ二アル世代の人たちはそれぞれが自分にあった情報をネットから得ることができるようになりました。
全員が同じ情報を得ていた環境から、それぞれ得る情報が全く異なるようになったのです。
さらにSNSの普及により、個人が大勢に向けて自分自身の情報を配信できることになったこともあり、多様な価値観が受け入れられるようになりました。
そのため、ミレ二アル世代は多様性を当たり前に受け入れることができ、これまでの人と同じことが正しいという考えから、個性を持つことを重要と考える人が多い傾向にあります。
こういった価値観がミレ二アル世代の働き方やライフスタイルにも影響を与えています。
前述したように価値観が多様化されているミレ二アル世代のマネジメントでは、固定概念を捨てて新しい価値観を受け入れることが重要となります。
ミレニアル世代より上の世代の方とミレ二アル世代とでは共通点を見つけるのが難しいほどの価値観の違いがあるということを頭に入れておく必要があるのです。
ミレニアル世代のマネジメントを行う際に気をつけなければいけないことは、自分の時はこうだった、当たり前にこういうやり方でやっていたなど、自分の今までのノウハウを押し通すことです。
確かにこれまでの成功体験の中にはたくさんのノウハウが含まれていることと思います。
しかし、恐ろしいほどの速さで進化を遂げ続ける現代において、常に柔軟に時流を捉えることは企業が存続していくためにとても重要なことです。
ミレニアル世代のマネジメントを行う際は自身の経験をリセットし一から新しい仕組みを作っていこうという意気込みで望むことが大切です。
よく、職人さんが出ているドキュメンタリー番組などで、仕事は教わるものではなく自分自身で学ぶものだというシーンが映し出されます。『見て習え』という考えです。
しかし、ミレニアル世代のマネジメントの現場ではこの考え方は通用しなくなっています。
「当たり前にわかるでしょう」ということもしっかりと言葉にして伝えることが重要なのです。
オフィスにゴミが落ちていたら拾いましょう、出社した時はおはようございますと挨拶しましょうなど、社会に出ていれば当たり前のことと思うかもしれませんが、やるべきことは全て言語化することが必要です。
たとえば、朝礼の30分前に皆掃除をしているのだから新人は当たり前に誰よりも早く出勤するものだというようなの考えも全く通用しません。
もし、そのようなルールが明確に定まっているのであれば、言葉でしっかりと伝えなければいけません。
「言わなくてもわかるだろう」「当たり前のことだ」
そもそも、自分の当たり前は通用しないものと考えていた方が良いでしょう。
ミレニアル世代は「ゆとり」と言われる世代の人が多く含まれます。
ゆとり世代と聞いて上の世代の方の頭に浮かぶのは、仕事を頼んでも意欲を感じない、マイペースで何を考えているかわからない、向上心がないなどではないでしょうか。
確かにミレニアル世代の考えは上の世代の方からすれば理解できないことが多いことと思います。
しかし、ミレニアル世代だからと一括りにしてしまうことで部下一人一人の本質を見逃してしまうことがあります。
マネジメントの基本はマネジメント対象を知ることから始まります。
はじめからこの人は〇〇だからなどとフィルターをかけて決めつけてしまうことは絶対にやめましょう。
実際に私もミレニアル世代・ゆとり世代の一人ですが、一括りにゆとり世代と評価されてしまうことにずっと閉塞感を感じてきました。
これは世代に限ったことではありませんが、相手の性質を決めつけることは絶対にやめましょう。
これも少し古い発想だと感じてしまうのですが、規則や権力で縛られた軍隊的発想のチームは組織を育てることはできません。
上司が部下の全てを管理し、上司の意に沿わない行いをした部下の評価を下げるようなやり方では部下は育つどころか一人も残らなくなってしまいます。
強い力で恐怖政治的な組織運営をしていると、一時的にはまとまりがあるように見えることもあるかもしれませんし、やっている本人は気持ちがいいかもしれませんが、結果として多くの部下が離れてしまいます。
また、規則を守ることは大切ですが時に柔軟な対応や判断を下すことができないと、部下の退職をはじめ会社にとって大きな損失を与えることに繋がっていきます。
力ではなく、行動で部下を動かしていく必要があります。
「頑張ればなんとかなる!」「根性で乗り切れる!」などといった精神論や根性論では組織は成長しません。
なぜ、その行動をすることで成果が出るのかを理論立て伝えることができないものを部下に押し付けるのはやめましょう。
実際に今まで成功していた営業の勝ちパターンがあったとします。
今までは感覚的にそれをマネージャーができていたとしても、その感覚を部下は理解できません。
感覚的なものを他人が再現するというのは至難の技ですし、たとえその感覚を自力でつかむことができたとしてもかなりの時間を要することなります。
そこで、今までの成功例を細かく分析し、理論立てすることで、他のメンバーも同様にその勝ちパターンを共有することが可能になります。
・どの時間帯に行っているから勝てるのか
・トークの中にどんなキラーワードを含ませているか
・打ち合わせの時間はどれくらいなのか
・どのような人に対してこの方法は有効なのか
など細かく分析し、部下に共有していくことがマネジメントには重要となります。
また、これらの分析結果は蓄積され、ブラッシュアップされていくことでより大きな成果へと繋がっていくこととなるでしょう。
上司の武勇伝を聞くことは部下にとっては苦痛でしかありません。
確かに今までの経験の中から学ぶこともあるかもしれませんが、「俺たちの時代は〜」などと言われても部下は過去の栄光を自慢しているだけという判断しかしません。
ご自身の時代の話ではなく、今どうすれば目標を達成していくことができるのかを部下と一緒に考えていくことが重要です。
前述した通り、ミレニアル世代とそれ以前の世代とでは仕事に対する価値観が違っている場合があります。
もちろん一括りにミレニアル世代全ての価値観はこれですというものはありませんが、昔に比べて価値観が多様化していることは間違いありません。
部下のマネジメントを行う上で、その部下が仕事に対してどのような価値観を持っているのかを把握するのはとても重要なことです。
様々な価値観を持つ人がいるのだという前提でマネジメントを行うようにしましょう。
仕事の価値観についての違いがあることをお話しましたが、中でも残業や休日出勤などへの考え方はミレニアル世代と上の世代の方ではかなりの違いがあるのではないかと思います。
上の世代の方からすれば残業は当たり前に行うものだという考えの方も多いかもしれません。
しかし、プライベートの充実に重きを置いている部下にとっては残業をするという発想さえない人もいます。
こういった違いを否定するのではなく受け入れていくことがとても重要になります。
仕事の価値観の部分に通じる部分でもありますが、ミレニアル世代は仕事への意義を見出す傾向が強いと言われています。
そのため、自分のやっている仕事が意味がないのではないか、これをやることで何になるのだろうと仕事に意義を見つけることができないことがある種のストレスとなり、離職を考える人も多いです。
特に新人だからと単純作業をひたすらお願いするなどといったことを続けてしまうと部下は仕事へのモチベーションを失ってしまい、すぐに仕事をやめてしまうことがあります。
まずは、その部下がどんなことがしたくてこの会社に入社したのか、今後どうなっていきたいのかをヒアリングし、その中で部下に仕事のやりがいを提示していかなければいけません。
部下自身が自分が会社の中で、社会の中で必要とされていると感じることができれば、やりがいを持って仕事を進めていくことができるようになります。
ここではミレニアル世代のマネジメントについてお話してきました。
世代間での仕事に対する考えかたの違いや、価値観の違いなどから生じるマネジメントの失敗は多くあります。
正しい方法というのは何も一つだけではないと思います。
過去の成功に固執するのではなく、こんな新しい方法もあるのだと、柔軟な気持ちで部下に接していくこともとても重要です。
自分の経験は『今の自分を作ってきたもの』で、『これからの自分を作っていくのはまた新しい経験』だという気持ちで挑んでいくことが必要なのかもしれません。