部下の成長のために上司がすべきこと
- 部下の未来の姿を一緒に考える
- 会社の現状や求めているものをしっかりと共有する
- 評価結果には必ず給与が紐づいている必要がある
マネジメントの重要な仕事の一つに『部下を成長させる』ことがあります。
部下の成長は組織の成長に直結します。特に規模の小さい組織であればあるほど部下の成長は組織にとってとても大きな利益になります。
部下の成長を促すためには、まず会社の現状を部下に正しく伝えること、部下が会社に何を求めているかを正しく把握することが重要です。
そのために有効なのが定期的な面談です。面談は普段は聞けない部下の本音を聞くことができる貴重な機会です。
ここでは、部下を成長させるために面談時に上司がすべきことについてお話していきます。
部下の成長を考えた時、まずは部下に会社の明確な方向性を示すことが重要になります。
また、『部下のなりたい自分の姿』と『会社が求める姿』に乖離がないかなどのすり合わせを行う必要があります。
では、面談時には『何を話し』『何を聞くべき』なのか…
ここでは面談時に重要な4つのポイントに分けてお話していきます。
まず一番はじめに部下の希望する『なりたい自分の姿』についてヒアリングを行います。
例えば『管理職になりたい』『最終的には独立したいのでスキルを身に付けたい』などといった部下の今後のビジョンを聞き出します。
この時に重要になるのが、『いつまでに』『どうなりたい』という具体的な姿を聞き出すことです。
部下の思い描く未来の自分の姿を実現するために会社がどれくらいコミットできるのかが部下の成長のためにとても重要な要素となります。
たまに自分自身のなりたい姿を明確に描くことができない部下がいます。
しかし、自分自身の目標がなければ人は成長することができません。自分の目標がわからないという部下がいる場合は、「なぜこの会社に入ったのか」「何をしている時が一番楽しいのか」などといった現在の行動の根源となる部分を聞き、最初は小さい目標でもいいので、自分自身の目標を考えてもらうことが重要です。
ヒアリングをしていく中で、自分のやりたいことや目指すべきものが明確になる部下もいるので焦らずじっくり話を聞くことを心がけましょう。
もう一つ大切なことは、面談のはじめに部下の希望を聞くようにすることです。
先に上司の話を始めてしまうと部下が本当に言いたかったことを言えなくなってしまう場合があるので注意が必要です。
まずは部下に、会社が『今』どのような動きをしているのか、『今後』どういった方針なのかを共有することから始めましょう。
・自社と他社の違い
・会社の存在意義について
・会社のビジョン
・これから会社が目指すもの
など
入社時には共有されていたかもしれませんが会社の方針というのはその時々で変化します。入社後数年が経っている部下が、現在の会社の方針を知らないということがよくあります。
ものづくりがしたいと思って入った会社なのに、今後は販売のみで製造はしない方針になったなど、入社時に思い描いたビジョンとは違う方向に会社が進んでいることもよくあります。
それを聞いて転職したいと考える人もいますし、逆に新しいキャリアに挑戦できることに新たな目標を見いだせる人もいます。
まずは会社の現状を伝え、部下の認識の違いを改めましょう。
また大きく会社の方針が変わっていない場合でも、再度この会社は何を目指しているのかを部下に共有することは重要なことです。
また、ここで会社としての今後の目標も必ず共有するようにしましょう。
この目標を共有することで部下はより明確に今後の会社の進むべき姿を思い描くことができるようになります。
会社として個人に求めるものや会社として協力できることできないことについて共有を行なっていきます。
個人の希望するものと会社の求めるものが必ずしも一致するとは限らないので、ここは入念に認識をすり合わせる必要があります。
先ほどの例のようにものづくりがしたくて入社した人が将来は職人になりたかったとします。
しかし、会社ではその事業自体がなくなってしまうのであればその人の理想を叶えることはできません。
ここで重要なのは、できないことはできないとしっかりと伝えるということです。
よく、退職して欲しくないために曖昧に「できなくもない…」や「検討する」などといった一時的な回答をする上司がいますが、結果として部下の希望に添えないのであれば退職の時期が少し伸びるくらいで、最終的に引き止めることはできません。
部下も自分の人生プランがありますし、お互いにとって無駄な時間を浪費するのはもったいないことなので、はっきりと伝えることが重要です。
しかし、部下の希望を全て叶えられないと跳ね返してしまっては部下は成長どころかやる気を無くしてしまいます。
上司は部下に様々な選択肢を提示できることが望ましいです。
例えばものづくりはできなくてもイベントの運営などでものづくりに関われる部署がある、または全く別のジャンルになってしまうけれど今後の人生においてとても役にたつ経験ができるなど、部下にとって魅力的な話であることが重要です。
部下と会社の望む成長の方向性が一致している場合は、より具体的にその部下に何を期待しているのかを伝えましょう。
『ゆくゆくはマネージャーとして他の従業員のお手本になって欲しい』『技術者として世の中にインパクトを残す存在になって欲しい』など、部下が自分のイメージできる姿を伝えることが大切です。
その姿を明確にした上で目標をたて、目標にコミットできるようにサポートしていくことで部下の成長速度が一気に上がることになります。
部下にとって給与面の希望を上司に伝えるのはとても勇気がいることです。
部下から何も言ってこないのをいいことに、給与面の希望についてスルーをしている上司も多いかと思いますが、口に出さないだけで給与面に不満を感じている部下は多くいます。
部下の成長を考えた時にこの給与面の希望のすり合わせはとても重要になります。
面談などの際にはかならず上司から部下に聞くようにしましょう。
給与アップに関しては、できるできないは置いておいて、まずは部下が今現在の給与に対してどのように感じているのかをヒアリングすることから始めます。
・今の給与に満足している
・もう少し給与をあげてもらえると嬉しい
・全く満足していない
など、部下の現在の給与に対してどのような想いを持っているかを聞いていきます。
ここで現在の給与に満足していないと回答した部下に対しては、どれくらいの給与が希望なのかをさらに聞いていきます。
部下の希望がわかったら、その給与を会社が支払うためにはどのようなスキルや成果が必要なのかを伝えていきます。
「今は〇〇ができていないのでその給与を出すことはできませんが、次の評価までに〇〇ができるようになれば希望通りにすることができます。」など、何をいつまでにクリアできれば給与アップをすることができるかなどを伝えることで部下は何をすべきか明確になり、さらなる成長に繋がります。
部下の成果に対してどのような基準で評価がなされるのかを部下に最初に伝えておくこともとても重要です。
何をすれば評価されるのかわからないまま走り出してしまえば、部下は多くの時間を無駄にしてしまうとにもなりかねませんし、結果として評価されなければ部下はやる気を無くしてしまいます。
会社としてどのような評価基準で評価が行われるのか、現状何が足りていなくて、今後どうすれば評価が上がるのかなどをあらかじめ共有しておくことで部下自身が何をすべきかが明確になり、成長速度が爆発的にあがるようになります。
また、上司自身、部下を評価する際の基準が明確になり、評価を行いやすくなります。
さらに、最初から評価基準のがお互いにわかっているため、評価時の部下の不満も解消されることになります。
一緒に仕事をしていればこの部下は優しい、気が利くといった人柄の部分にも目がいくようになります。
しかし、評価を行う際は人柄ではなく、仕事に対する行動のみを対象に評価を行うことが重要です。
もちろん仕事を円滑に進める上で人柄というものはとても重要になりますが、人柄の評価というのは上司の感情や主観的な要素を多分に含むため、平等な評価ができなくなってしまします。
仕事に対して客観的にどれだけコミットすることができたのかを基準に評価を行うことが重要になります。
頑張って良い評価を得たのにも関わらず、給与は変わらないというのは部下にとってモチベーションを下げる大きな原因の一つとなります。
これにより部下は成長することをやめ現状を維持することのみになってしましいます。
評価をあげるということは給与も紐づかなければならないのです。
給与が上がれば部下の仕事への向き合い方も変わります。
少しいやらしい話かもしれませんが、1日500円のしごとと1日5万円の仕事だと頑張りがちがうのは当たり前のことだと思います。
もちろん仕事のモチベーションは給与だけではありません。
しかし、昇給は自分が会社の中で正当に評価されていると部下が感じる一番の方法であることは間違いがありません。
これによりもっと良い評価を得れるように部下は成長することができるのです。
部下を成長させるためには
1.部下のなりたい姿を把握する
2.会社の方向性をしっかりと伝える
2.会社の方向性のなかで自分は何を求められているかを伝える→部下の未来の姿を提示する
3.成果の評価についての基準を明確に伝える
4.評価が給与に紐づいている
上記のことが必要です。
実際の面談時には、ヒアリングシートなどを作成し、面談の前に記入してもらい、そのシートを見ながら面談を行うといった方法もとても有効的です。
部下個人が目指すべき姿と会社の求める姿をする合わせ明確にし、評価基準を部下に示した上で評価を行い、評価には必ず給与を紐づける。
これを繰り返し行うことで部下は爆発的に成長できるでしょう。