マネジメントの肝!教える技術を身につける
- 教えることができる人とできない人の違いとは?
- 教え上手な上司が押さえておくポイント
- 教育に正解はない!柔軟な気持ちで教えることが重要
マネジメントの最も重要な仕事の一つに部下を成長させることがあります。
部下を成長させるためには部下を成長させるためには上司の『教える技術』が必要不可欠です。しかし、この『教える』=教育がマネジメントを行う上での大きな悩みの一つでもあります。
教える技術はプレイヤーとしての技術とは全く異なるものです。
優秀な成績をのこした野球選手が名監督になれるわけではないのと同様で、人に何かを教えるためには全く別の技術が必要になります。
ここでは、部下の成長を加速させる『教える技術』を身につけるために必要なことをお話していきます。
『教える』とは、できていないことをできるようにすること、またできていることを更にうまくできるようにすることです。
ただ『伝える』だけで終わらず、伝えたことによって結果が変わるということが『教える』ということなのだということを理解しましょう。
人に何かを教えるときに、自分がこれまでやってきた方法が絶対的に正しいと思いこみ、他の方法もあるのにも関わらず、自分のやり方以外は認めないという人です。
その方法にすべき根拠があればまだいいのですが、理由もなく一つのやり方に固執してしまう人は教えることに向いていません。
教育マニュアル通りに教育を進めたり、身につけた知識のみを信じて教育を行う人は教えることに向いていません。
部下はひとりひとり特性が違います。にも関わらず全員に同じ教育方法を行なっても意味はありません。
また、本などの知識を鵜呑みにし目の前の教育対象のことが見えなくなってしまっていいる人もいます。
知識を取り入れることは大切なことですが、そのやり方がその人に合うかどうかは教育対象のことを理解しなければできないことです。
教育を行う際にどの順番でどの教育をしていくのかを決めることは基本中の基本です。
人に何かを教える際は、料理のレシピと同じ様にどの順番で、どんな作業をすべきかを示すことが必要になります。
この順序立てができていなければ、せっかく丁寧に教えても部下は理解することができず、混乱してしまい、結果として何も身についていないという事態になってしまいます。
人に何かを教えるというのはとても根気がいることです。
1回教えただけで簡単に仕事ができる人はそうそういません。何度も失敗をしながら人は成長していくのです。
さらに待てない人は、詰め込み型の教育を行なってしまうことが多く、部下がキャパオーバーになってしまうことがあります。
1回教えたのに何でできないのだと部下を責めてしまう人は教えることに向いていません。
また、成果をすぐに求めすぎる人も同様に教育ができない人の典型です。
特にマネジメント経験が浅い人は教育の途中で自分の教育方法が正解なのか不安になり、教育対象に対して曖昧な指導をしてしまうことがあります。
これはマネジメントを行う人に自信がないことも原因の一つです。
その結果、何かを教えるときに言い切ることができず結論が出ないままにしてしまい、部下が混乱してしまいます。
冒頭でお話したように『伝える』ことと『教える』ことは全く違います。
部下が理解しているかを確認せずに自分は伝えた=教えたと勘違いしている人が多くいます。
部下と対話しようとせず一方的に情報を伝えることは教育ではありません。
部下に嫌われることを恐るあまり、部下に伝えるべきことを伝えることができない人は教えることに向いていない人です。
教育をする上で時には部下を叱ることも必要になります。しかしそれができない人はなにも教えることはできません。
教育をしていく中で上司は部下にしっかりと何をすべきかを伝えたつもりでも、部下がそれを理解していないということが多く発生します。
また、それが違った形で伝わってしまっている場合も多くあります。
上司は、自分の伝えた内容が正しく部下に伝わっているのか確認することが重要です。
仕事を進めていく中で小さな勘違いは、最終的に大きなミスに繋がり最悪の場合、お客さんに迷惑をかけてしまう事態に至ります。
本当に部下の理解と自分の指示に齟齬がないか、早い段階で認識のずれを無くしましょう。
認識をすり合わせるには、
・例をだして解説する
・教えた内容について逆に部下に説明し直しててもらう
・上司から「この場合はどうする?」などの質問を出す
などの方法があります。
部下の理解度を把握することは仕事をする上でもとても重要なことです。
少し時間がかかりますが、認識のすり合わせは絶対に行うようにしましょう。
部下に仕事を教える時は、何をもってその仕事のゴールとするのかを明確に共有しましょう。
これを中途半端にしてしまうと部下は仕事の終わりが見えず、目標を見失うことになってしまいます。
例えば、
・10件新規顧客を獲得する
・リードを30件獲得する
・イベントを成功させる
などその目標に対して明確なゴールを定めるようにしましょう。
目標を明確にした上でその目標を達成するために必要なロードマップを部下とともに作成します。
ここで重要なのは上司がすべてを決めてしまわないことです。
あくまでも部下主体でロードマップを作成してもらい、上司はそこで足りないことを補足していきます。
これを続けていくうちに部下は一人でもロードアップを作ることができるようになり、部下の業務管理がとてもやりやすくなります。
部下に新しいことを教える際はまず、これは正しいのか正しくないのかを部下がマル・バツで判断できるようにしましょう。
あまりに多くの情報を最初から詰め込んでしまうと部下のキャパシティーがオーバーしてしまい、時間をかけて丁寧に教えても何も理解できなかったということがあります。
教育の段階を定め、その中でマルかバツかで判断できるまでを第一段階と考え徐々に教える範囲を広げていくようにしましょう。
成長速度や能力は人によってそれぞれです。自分が簡単にできたことができない人も多くいます。
私が写真館で店長をしていた時のことなのですが、お子さんの髪を結ぶゴムを結ぶことができないスタッフさんがいました。
もともと結ばれていない1本の紐のようになっているゴムを片方だけリボン結びの輪が残るように結ぶのですがそれが何度やってもできない。
私自身は何も考えずに最初から結ぶことができていたので、なぜそれができないのかわからず、しかも基本の結び方ができなければ次の研修に進むこともできません。
私自身もなぜできないんだとその人に少しきつく当たってしまっていたことも自覚していたので、どうすればいいのか途方にくれてしまいました。
当時の上司に相談すると
「なんでできないんだろうという考えはまずやめること。自分ができたことを誰でも簡単にできないということを理解した上で、様々な方法を提示してあげることが必要だ。」
と言われました。
それから他のやり方をいくつか考案し、その中一つの方法でその人は無事にゴムを結ぶこそができるようになりました。
この経験で自分が簡単にできることを誰しもが簡単にできるわけではないこと、また方法は一つではないということを学び、それからの教育がとても楽になりました。
なんでできないんだろうと思ってしまえばできないことに対して負の感情が生まれてしまい、部下にとっても上司にとってもよくない状況になります。
できない人の目線にレベルをさげるということではなく、決めつけずに様々な視点での教育を行うことがとても重要なのです。
部下を教育する際、上司は事前にしっかりと考えて「何を教えるべきか」シナリオを作るようにしましょう。
その場その場で場当たり的に適当なアドバイスをすると矛盾が生じることも多く、部下に余計な混乱を与えてしまいます。
どの順序で教えることがもっとも有効的なのか、どのように伝えるのがわかりやすいのかなど、構成を考えた上で教えるようにしましょう。
また、事例や部下が自分ごととして考えやすい事例などを交えながら教育をするのも有効的です。
そういった印象付けをすることで部下の理解度がより高まります。
教育の準備は時間もかかりますし大変なことも多いですが、しっかりと育てるという気持ちを持って部下をサポートすることが重要です。
仕事をしていれば失敗は当たり前に起こります。そしてその失敗から学ぶことはとても多く部下の成長にもつながります。
しかし、部下が失敗を怖がる環境というのは部下が成長する上でも、教育をする上でよくありません。
部下が失敗を恐れなくなるために有効な方法の一つに、上司が自分の失敗談をすることがあります。
上司の失敗談を聞くことで部下は「自分が失敗してはいけない」という強迫観念を消すことにも繋がりますし、上司への相談もしやすくなります。
自分の成功話をする上司はよく目にしますが、部下にとっては上司の失敗談の方が親近感が湧くものです。
今、こんなに仕事が出来ている上司が自分と同じように失敗を重ねていたことを知り、部下の自分も頑張ろうというもモチベーションにも繋がります。
有効的に失敗談を交えて教育をしましょう。
ここでは上司の教える技術についてお話させていただきました。
教育には正解がなく、頭を悩ませる上司も多いです。
部下それぞれの能力をしっかりと見極め、伝えるべきことをしっかりと伝えること。
また、伝えただけで満足せずに、部下が伝えた内容を正しく理解しているかを確認することが重要です。
前述のとおり、教育には正解がありません。これは逆に考えれば、決まりがないということです。
部下によっても『良い教育』『悪い教育』は違いまし、合う合わないもあります。
こんな風に教えなければいけない、こうあらなければいけないといった決めつけを捨て、柔軟に部下に向き合うことが教え上手になる第一歩です。