何が最適?部下の目標管理方法まとめ
- マネジメントに欠かせない3つの目標管理手法
- OKR、KGI・KPI、MBOそれぞれの特徴とは?
- それぞれの手法に向いている会社と向いていない会社とは?
部下のマネジメントを行う上で重要になる目標管理ですが、ただ闇雲に目標を作成しそれを目指していても、なかなか結果を出すことはできません。
世の中には様々な目標管理手法が存在していますが、どの方法が自社にあっているのかわからない人も多いのではないでしょうか?
また、それぞれの手法にどのような違いがあるかなど、理解されていますか?
ここでは、目標管理の代表的な3つの手法について解説していきます。
目標管理手法を調べた際に、真っ先にヒットするOKR。
GoogleやFacebookやメルカリなどの有名企業も取り入れていることでも注目されている目標管理手法です。
OKRとは、Objectives and Key Resultsの略で、日本語に訳すと「達成すべき目標と、目標達成のための主要な成果」と表されます。
OKRの主な特徴はこれまでの目標管理手法に比べて、高頻度で目標の設定や進捗の確認、評価を行えることにあります。
まず、組織やチームの目標を掲げ、その目標に基づく個人の取り組むべきことを設定します。これにより目標を達成するために何をすべきか、明確なタスクとなって把握することができるようになります。
また、短いスパンで目標を設定していくことを繰り返すので、従来の目標設定手法に比べ、フィードバックの頻度や評価のスパンが短いことも特徴としてあげられます。
OKRは一つのO=目標に、複数のKR=目標を達成するための主要な結果が付随して成り立ちます。
まずは、このO=目標を定めるのですが、目標を定める際は下記のことに注意が必要です。
<Oを作成する時のポイント>
・定性的な目標であること
・社員がワクワクする目標であること
・目線の高い目標であり、全力で挑んだ結果、達成率が60~70%程となること
・1カ月~3カ月(4半期)で達成できる目標であること
Oは、基本的に数値などの指標は入れなくて良いとされています。
また、チームの全員にとってわかりやすくシンプルであることも重要です。さらにチームのモチベーションを維持することも重要なポイントになるので、短いスパンで挑戦しがいのある目標を定めることが必要です。
次にOに紐づく、複数のKR=目標を達成するための主要な結果を設定していきます。
KRはOへの進捗を図るための具体的な指標を意味します。
<KRを作成する時のポイント>
・定量的な指標で、数値で測れること
・1つのOに対し、2~5個程度のKRを設定すること
・達成は難しいが不可能ではないものであること
具体的な数値を設定しないOに対し、KRでは明確な数字を設定し、数値的に測れることが重要となります。
『難しいが困難ではない目標』が望ましいとされ、60~70%を達成していれば成功とされています。
これを、1ヶ月〜3ヶ月(4半期)ごとに繰り返し、評価を行うことでより短い期間でPDCAサイクルを回すことができるようになり、組織の成長スピードが何倍にもなります。
メディア運営会社の場合
O→読む人にとって有益な情報を配信することで、メディアの知名度をあげる
KR→記事数を100記事増やす
→20万UUを目指す
→サイト滞在時間を10%伸ばす
など
KGIとは「Key Goal Indicator」の略称で、日本語に訳すと「重要目標達成指標」と表されます。一方、KPIは、Key Performance Indicatorの略で、日本語に訳すと「重要業績評価指標」と表されます。
KGIとKPIは混合されることもありますが、その大きな違いは、KGIは最終的な目標=ゴールを示すものであり、KPIは中間目標=過程に当たります。
まずは、KGIでゴールを設定し、KPIを設定する必要があるのです。
・具体的な数値を示すこと
・計測が可能であること
・達成可能な数値を設定すること
・KGIと関連していること
・期限を定めること
KGIとKPIを設定する時には、必ず定量的で計測が可能である必要があります。
具体的な数値目標がなければ、目標達成までの進捗把握が難しく、結果が出るまで目標達成ができたかどうかを判断することができません。
KPIで明確な数値を設定することで、目標達成までの進捗把握ができ、早い段階での問題点の改善や方向転換ができるようになります。
そして、KPIを設定し運用を行なってからは、定期的に振り返ることが重要になります。
KGIが変わることは基本的にはありませんが、市場の変化や社会状況によりKPIは定期的に見直しブラッシュアップしていく必要があります。
早い決断ができることで、PDCAサイクルが加速し、目標達成率が何倍にも上がります。
営業部署の場合
KGI→サービスの申し込みを30件獲得する
KPI→毎日100件のメール営業を行う
→ひと月で30件のアポをとる
など
MBOとはManagement by Objectivesの略で、日本語に訳すと「目標管理」と表されます。
マネジメントの生みの親であるピーター・ドラッカーが提唱した理論で、多くの日本の企業が取り入れている目標管理の手法の一つです。
MBOは個人またはチームごとに設定した目標の達成度を個人で管理します。OKRと違い、目標を共有しているのは上司と部下のみで会社全体で共有をしないという特徴があります。
目標達成のために何にどれくらいの時間を使い、結果どのような成果を出したのかを従業員が自ら把握するためのフレームワークであり、会社全体で目標を共有するOKRと違い、従業員個人の目標管理やモチベーションアップに貢献するとされています。
MBOは従業員一人一人の目標を会社の目指すべき目標と連動させることで業績アップを目指します。
具体的に「能力開発目標」「職務遂行目標」「業務改善目標」「業績目標」の4つに分けられており、その達成度を元に上司が評価を行います。
ポイントとなるのは上司が押し付けた目標ではなく、従業員が自ら設定した目標を、組織目標とリンクさせながら、達成していくということです。
従業員が自ら目標管理を行うことで、支配によるマネジメントを自己管理によるマネジメントに換えることを可能にします。
これにより、従業員がモチベーションをなくすことなく目標達成に向かって業務を行うことができるようになります。
目標を管理する3つの手法についてお話してきましたが、それぞれに違いがあり、向いている会社、向いていない会社があります。
OKRの特徴は短期的に目標管理を行なっていくことです。
臨機応変に個人の目標やタスクを変えることができるので、常に変化に対応する会社におすすめの手法です。
特にスタートアップ企業やベンチャー企業など、常に柔軟な対応が求められる会社には効果的と言えます。
逆にあまり変動がないルーティンワークが中心の会社ではOKRはあまり有効ではありません。
KGI・KPIは主に数値での目標管理を行なっていくので、どんな規模の会社でもその効果を発揮することが可能です。
正しいKPIを設定することで、従業員のモチベーションアップにもつながりますし、組織力強化、生産性上昇といった効果が期待されます。
MBOは階層がはっきりと分かれているピラミッド型の会社に適していると言えます。
全社で目標が共有されるのではなく、従業員個人で目標を管理することから、上司と部下の間のみで情報が共有されるため、全員の目標把握が難しい従業員数の多い会社などに向いています。
この手法は日本の多くの企業で当たり前のように行われており、潜在的にはほぼ全ての企業に導入されていると言えるでしょう。
ただし、こちらもOKR同様にルーティンワークの仕事には向いていません。
ここでは、3つの目標管理手法についてまとめてきました。
それぞれの特徴をしっかりと理解し、自社に取り入れるのはどの手法が良いのかを検討することが良いでしょう。
しかし、これらの手法をただ取り入れても従業員が目標を達成できるわけではありません。
どれもあくまで目標を管理するための手法にすぎません。
これらの手法を用いて定期的に目標を見直し、正しく導いていくことがマネジメントを成功させる秘訣なのです。