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経営理念が会社のマーケティング行動をすべて規定するとても大切なものです
理念や目的、ビジョンというものは、ビジネスを進めていく過程で少しずつ明確になっていきます。
経営者としての成長や会社のステージ、お客さまの数によって、見える景色はどんどん変わっていくのです。
もちろん、問題意識も変わっていきます。
ですので、経営理念や行動指針というのも変わっていくものですし、あなたのステージが変わらなければ、実感できないことも多いのです。
とくに独立当初は、主語が変わっても通用するような理念を掲げてしまいがちです。
それでは、実感がわかないのも無理ありません。つまり、リアリティがないのです。僕がまさにそうでした(ただ、〝世界を変える〟でした)。
大切なのは、自分の言葉でつくること。だれでも当てはまることではなく、自分たちにしかできないような理念を掲げること。
その結果、世界観が生まれ、ぶれない商品づくりができるようになるのです。
そもそも理念は、額縁に飾るようなものではありません。すべての行動において、最終ラインとなるような基準でなければいけないのです。
AかBかというときに、いつでも理念をもとに判断する。理念をもとに行動する。迷わない。ぶれない。
そのような理念から、その企業ならではのストーリーや商品・サービスが生まれてくるのです。
理念を徹底した本当の「顧客第一主義」とは
アメリカにある有名な百貨店「ノードストローム」は、顧客第一主義を掲げています。
真偽は不明なのですが、ネット上、本などに書かれているこんな逸話があります。
ノードストロームに車のタイヤを返品したいというお客さまが来ました。店員さんは、何も言わずに「分かりました」と言って返品に応じたのです。
驚くのは、ノードストロームが車のタイヤを取り扱っていないということ。
でも、お客さまがこれを返品したいって言っていたので、その通りに対応する。なかなかできることではありません。
良い悪いは問題ではないのです。「お客さまの言っていることは正しい」という信念こそ、究極の顧客第一主義ということなのです。
ノードストロームの幹部が本を出したとき、「こんな逸話がありますが」と聞いた人がいました。すると幹部はこう答えたそうです。
「真偽は不明だが、ノードストロームの社員としては正しい対応だったと思う」。
これが、理念を体現するということなのです。
理念を額縁に飾っているだけの会社は、「うちではタイヤを扱っていません」と断るはずです。
理念が行動指針になっていないと言えます。
経営理念は、意思決定に活用されることではじめて意味のあるものになります。理念を掲げるということは、ぶれない経営を実践することなのです。
理念がブランドを創る─ルイ・ヴィトンが選ばれる理由
あなたが理念にもとづいて行動すれば、他の会社とは違うバリューが生まれるはずです。
たとえば沈没した豪華客船タイタニックにまつわるエピソードがあります。当時は船で海外旅行をしていました。
ただ、船旅には潮風がつきものです。ですので、カバンのファスナー部分などはすぐに錆びてしまい、壊れてしまいました。
その中で、壊れないカバンがルイ・ヴィトンのものだったのです。海に投げ出されてしまったとき、ルイ・ヴィトンのカバンだけが沈まなかった。
それでみんな、そのカバンにつかまっていたそうです。(真偽は不明ですが)
頑丈というのは物のスペックを表しているのではなく、個別具体的なシーンにおいて、どのように頑丈さが表現されるのか。それが重要です。
もちろん、背景にあるのは確とした理念です。
もちろん、ルイ・ヴィトンは浮き輪としての使用を想定していたわけではないでしょう。しかし、問題はそこではありません。
「お客さまにより長く使っていただくために、頑丈なカバンを提供したい」という想いが、逸話となって表れているのです。
大切なのは具体的なイメージです。それがあなた自身の、日々の意思決定のベースになります。
その意思決定を取り続けた結果、ストーリーが生まれます。そこにブランドの萌芽があるのです。
理念などは商品・サービスづくりの最高のルールのようなものです。
僕たちそこで働く人の行動をも規定するものでありその行動などがまさに商品・サービスとなっているわけです。