経営者のためのマネジメント講座 相手の成長をイメージする

人の成長につて、ジャン・ピアジェというスイスの心理学者が、発生的認識論というものを提唱しました。
発生的認識論とは4段階の認知論とも言われます。
この理論は、人が成人としての最終的な段階に達する前に、感覚運動期前操作期具体的操作期形式的操作期という4つの段階を経て成長していくというものです。
この考え方は、子どもだけでなく企業に入社したばかりの人やその人にとって、初めとのことを任された場合にも当てはまります。

例えば、感覚運動期とは、周囲の働きかけにより、五感の刺激から、物を認識し役割を覚える段階です。
大学を出ていても、以前の職場で同じ仕事をしていたとしても、あなたの会社で行う仕事のやり方が大学で学んだことや、前職の仕事のやり方と同じとは限りません。
主任やマネージャーなどの役割も人を指導したことが無い人を管理したことの無い人にとっても全く想像がつかない状況です。
なので、まずは経営者がサポートをしながら仕事を割り当て、五感を使ってその人自身がやる方を覚えるよう指導をしたり、一人で仕事をする時間を作り、覚えさせます。

時期は個人差があるので、何とも言えませんが経営者が、細かな指導をしなくてもその人が、自分なりに考えて仕事し始める時期が来ます。
この時期が、前操作期という段階です。
前操作期は、仕事に対して自分なりにイメージをして仕事の区別や取り組み内容が認識できる段階です。この段階が終わると、自分なりに仕事の段取りが出来る具体的操作期という段階になります。

具体的操作期は、論理的な考えができ周囲と協働ができる段階です。
例えば、あなたに対して「〇〇の件は、××まで終わってますが、この後はどうしましょうか?」と仕事の段取りについて相談をしてきたり指示を確認してくる段階です。
この段階になると、経営者も安心して仕事が任せられるでしょう。

雌雄段階は、形式的操作期です。この段階は、これまで蓄積してきた知識や技術の経験を応用し、仕事に対して仮説を立て、結果を予測しながら仕事に取り組みます。
この段階になると、経営者を理解し、非常に近い行動が出来る段階です。

このジャン・ピアジェの発生的認識論ように、人の発達の速さや、達成の度合いには個人の差がありますが、どのような環境や状況にかかわらず4つの段階は普遍的な順序で経験していくと言われています。
経営者がマネージャーとして役割を与えたとしても、その人にとって、人や仕事を管理することが初めての事であれば、直ぐには形になりません。
初めから出来るという前提ではなく、経営者がある程度サポートし、社員の成長をイメージして段階的に仕事を割り振りして経験を積ませるように関わることが大切です。

 

◀︎前の記事次の記事▶︎

 

関連記事

著者プロフィール

権堂 千栄実

権堂 千栄実

中小企業サポートネットワーク(略称スモールサン)キャリア構築プロデューサー

1964年4月 宮城県石巻市生まれ 高校を卒業後、事務職から数回の転職後

1989年7月 日本ソフトバンク(現ソフトバンク株式会社)入社 営業事務で勤務

1993年10月 日本ソフトバンク退社後 OAインストラクターとして活動

1998年10月 結婚を機に福岡へ転居 翌年 長女 出産

2000年1月 派遣スタッフとしてOAインストラクターの仕事復帰

2003年3月 J-PHONE⇒Vodafone⇒SoftBankMobileのブランド移行時の研修プロジェクトに参加。本部研修開発チームのメンバーとして、研修カリキュラムの開発、資格試験の構築、評価試験の運営を5年間担当。

2008年2月 株式会社Campanula 設立
人材開発コンサルタントとして活動開始

社会人でも仕事の中で「初めて」なことがあります。
その「初めて」のことを「自分で出来る」ように、経験の積み重ねるには設計が必要です。

人の「初めて」を出来るように設計することは、事業計画と並列で考え取り組んで行くことです。その人の育成と活用を経営戦略としてご提案します。