起業した後にありがちな「成功の罠」

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事業が軌道に乗ってきた経営者においてありがちなのが、「お客さまへのアプローチがおろそかになる」という現象です。
売上があがり、収益があがり、目に見えて利益が増える。そうなると、お客さまへの対応が当初よりも悪くなってしまうのです。(意図せずして)

企業はお客さまがあってこそ存在することができます。つまり、お客さまがいなければ、企業が存在している意味はないのです。

ですので、お客さまへの対応に問題が生じるということは、企業の存続すらも危ぶまれる事態になり兼ねません。その点をいま一度、肝に銘じておいてください。

「初心に帰る」という言葉があります。
こと企業におけるお客さま対応という点に関して言えば、経営者も従業員も、つねに初心に帰る必要を迫られていると言っても過言ではありません。
もっと言えば、初心のままやり続ける必要があります。

問題はどこにあるのか。気の緩みなのか、オペレーションの不備なのか、理念やビジョンが浸透していないからなのか。
そのように、お客さまへの対応がおろそかになっている問題部分を明らかにし、早急に対応するようにしてください。

そもそもお客さまは、大きく分類すると2種類になります。つまり、「新規客」と「既存客」です。
このうち、いずれのお客さまも重要であることに変わりはありません。この新規のお客さまと既存のお客さまに対して、バランスよくリソースを振り分けることができるように社内で体制づくりをしていかなければなりません。

新規営業の重要性とは

お客さまの数が増えてくると、やがて、「新規の営業はもう必要ないのでは」と感じられることもあるかもしれません。しかし、新規のお客さまはつねに必要です。

なぜなら、仕事のスキルも提供できる価値も、すべては数(量)がもとになっているからです。既存客のみでビジネスをまわすということは、顧客の絶対量が増えていかないことになります。
そうなると、商品・サービスの価値のレベルが停滞してしまう可能性があるのです。

数があるからこそ、新しい発見があるのです。新しい発見があるからこそ、商品開発に生かせるのです。そのサイクルを回し続けることが大切です。

自分自身を強くするためには、新規のお客さまがいないといけません。
もちろん既存のお客さまも大事にしなければなりませんが、それだけでは成長し続けることは不可能なのです。

場合によっては、馴れ合いに近い関係性になってしまうこともあるでしょう。

たしかに、収益の面では問題ないと感じることもあるでしょう。既存客のフォローや紹介から集客できるのであれば、それだけコスト削減につながります。
しかしそれでも、将来のことを考えれば、好ましい状況であるとは言えないのです。

ビジネスを大きく成長させるには、絶対的な数が必要です。量をこなすことで、会社も個人も強くなります。
つねに新しいお客さまとふれ合うことで、刺激を得て、情報を得て、新しい価値を提供していけるのです。

循環しない水は、やがて濁ってしまうものなのです。

既存のお客さまに対してのCSの確認を絶対に怠らないようにすること

あなたの今があるのは紛れもなく、最初のお客さまがいてくださったからです。
そのため、既存のお客さまに対してのサービスの強化を、必ず毎年新しくするべきだと思っています。

新規のお客さまと既存のお客さまに同じものを売ろうと思ったときには、最大で10倍以上の営業コストの差があるとも言われるくらい、既存のお客さまは大切な存在です。
あなたのことや会社のことを既に知ってくれている存在なのです。既存のお客さま向けには、そのCS(お客さま満足)を常にカウントし、向上させる施策を取り続けるべきです。

お客さまとの付き合う接点を増やすことです。また、既存のお客さまにアンバサダー(=大使)といかになっていただくかです。
既存のお客さまの圧倒的なファン化ということです。既存のお客さまがあなたの会社の広告塔になっていただけるような仕組みを考えられるとよいですね。

既存のお客さまがアンバサダーになってくれる理由は、やはりCSが高いことにあります。

100の期待値に対して、100ではなかなかアンバサダーになってくれません。100の期待値に対して200を取りに行くような施策を打ちましょう。

既存のお客さまへのフォローアップの部隊を早急につくるべし

いいサービスを提供している会社には、自然と、新規のお客さまが増えていきます。口コミや新規の紹介、情報の露出が増えていくためです。

しかし、そのようなときこそ、お客さまのフォローアップに注意しなければなりません。
ここでフォローに手を抜いてしまえば、一気に信用を失ってしまいかねないのです。

忙しくなればなるほど、お客さまのフォローが弱くなってしまうのは、ある意味では仕方がないことです。
しかし、そのようなときこそ、既存客のフォローに力を入れるようにしてください。

若い会社によくある話ですが、営業は強くガンガンお客さまは増えているものの、そのお客さまに満足のいくサービスを提供できていないという状態がよくありま
す。
どうしても売上を重視するあまり、お客さま満足がついていかないということも本当に多くあります。

そのような状態が続いてしまうと、大きなトラブルが生じて、悪評となってしまうこともあります。

そもそも、新規客へのアプローチも、既存客のフォローも、どちらも本質は一緒ですいずれにしても、顧客満足を高めるための活動に他ならないのです。
つまり、既存客へのフォローがおろそかになってしまうということは、顧客満足に対する意識が欠けているということです。

あえて分けて考える必要はありません。むしろ、「既存客だから時間と労力を割く必要はない」と考える方が、どうかしています。
どちらも大切なお客さまなのです。

たとえ一時的に損をすることになっても、会社の利益を還元するようなイメージで、新規客および既存客に対応するようにしてください。
交流会やイベントなど、ちょっとした工夫でフォローすることが可能です。

新規客へのアプローチと、既存客へのフォロー。その両方に対して、バランスを考慮しつつ、真摯に応対することが大切です。

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