目次 [非表示]
まれに「営業したくありません」と、商品やサービスを売ることに対して、ネガティブな態度の人がいます。
また売上をつくるために営業しているんだと思っている人もいます。
そもそも、自分のサービスには、相対的、もしくは比較ができないレベルで、自社にしかない価値をつくっていかなければいけません。
その状態に持っていく、キープし続けることが企業の最優先でやるべきことです。
一方で、お客さまにとって価値のある商品やサービスをつくったのにも関わらず、お客さまがそのことを知らなかった場合、お客さまはサービスレベルの低いものを買うことに
なります。つまり、相対的に考えると、お客さまが不幸になっているわけです。なぜなら、もっといい商品があったのにも関わらず、知らなかったのですから。
僕はよく刑法の話をします、刑法でいうと、作為・不作為の概念というものがあります。
作為というのは、「僕がナイフであなたを刺しました、そしてあなたは死にました」というものです。これは明らかに、僕の作為によって起きた殺人、つまり犯罪です。
実は、殺人にはもう1つ種類があります。ここに100mの落とし穴があるとします。あなたがここを歩いてきて、僕は「あ、あの穴に落ちたら死ぬな」ということを認識していたのにも関わらず止めなかったら、刑法上「不作為の殺人」になるのです。なぜなら、死ぬと分かっていて放置した(不作為で殺した)のですから。
マーケティングの考え方も同じです。なぜ営業活動をしないといけないのか。それは、お客さまに対して、不作為の不利益を与える可能性があるからなのです。
素晴らしい商品やサービスをもっている会社ほど、しっかりとお客さまにそのことを伝える努力をしなければ、それは不作為の不利益を与えていることになります。
だから営業活動をしなければいけないのです。
そもそも「お客さまを幸せにする」という考えが本当に身に付いていれば、お客さまを守るために「そんな商品を使っちゃダメです!」と伝えるはずです。
そのように考えることで、義務的に行う弱い営業ではなく、本当に強い営業ができるようになります。
強い営業とは、ゴリゴリした営業という意味ではなく、自分たちのお客さまへの想い、商品・サービスにプライドを持ち、商品への理解があり、しっかりと他社と自分たちとの違いが分かっていて、お客さまに信頼されることです。
多くの営業マンは、自分たちの商品の価値もっと言えばマーケティングをちゃんと理解していないので、「会社の売上になるので売っている」と思っています。
そうではないのです。そもそも会社の売上というのは、お客さまに価値提供できた結果なのです。
マーケティングを理解できていない営業マンは、ノルマへの恐怖や「売りたくない」という感情など、ネガティブな気持ちをもっているのです。
しかし結局は、お客さまを幸せにしたいという気持ちが足りていないだけなのです。
問題を抱えるお客さまの役に立ち、その結果売上があがり、企業が成長し、さらにお客さまの役に立てるようになるのです。
だからこそ、お客さまにしっかりと価値を提供していかなければなりません。
そのような気持ちがあるかないかで、商品やサービスの売れ行きは変わっていきます。
お客さまを幸せにできない限り会社は存在できない
本当にお客さまを幸せにしない限り、自社が存在している必要もないし、存在できません。だからこそ、価値を提供し続けなければなりません。
一方で価値は、時代や環境が変わった瞬間に、変化していきます。
自分勝手な考えをもち、自分たちの都合だけ考えて会社経営をしてしまうと、過去の価値に安住してしまいます。
そういった会社では、「価値を変えていこう」という発想は起きません。
お客さまに対して、「今よりも価値の高いものを提供していこう」という気概が無いためです。
お客さまがいなければ、会社が存在している意味はありません。そもそも存在意義がないのです。これは、ビジネスにおける絶対の出発点です。
人事や経理や営業など、どの会社でも複数の部門を持っているものですが、それもすべてはお客さまを豊かにするという、目的のためなのです。
ある自動車会社のエンジニアが、「私はお客さまとふれあうことがないので、何のために働いているのかわかりません」と言っていました。それでは困ります。
(組織の問題で、規模が大きくなればなるほど、一般的には出てくる問題です。)
すべての部門はお客さまのためにあり、それを理解することで、生産性はじめ役割が変わりもっと価値を生む仕事につながっていきます。
一方で経営者は、自分たちの役目を熟知しています。いわゆる「創業者メンタリティ」があるのです。
この創業者メンタリティが、各部門や新人にシェアされれば、「マーティング=お客さまのために」ということが会社一体となって体現できると思います。
創業者メンタリティの有無が、ビジネスパーソンとしての価値観や、個人の生産性を大きく変えるものとなるのです。
「創業者メンタリティ=マーケティング」と考えても構いません。いい経営者というのは、必ずお客さまを大切にします。
自分のためではなくて、社会に価値提供するという思いをもっている経営者の気概は、マーケティングの定義とイコールなのです。