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新たなブランドの立ち上げには、数々の課題が立ちはだかります。商品力の強化や、競合との差別化、販売体制の構築など、やるべきことが山積み。
自社ブランドを立ち上げて間もない起業家がなにを考え、どんな課題意識を持っているのでしょうか。
今回は日本茶のベンチャーを立ち上げた「Hokuzan」代表の山北 祐士さんにお話をうかがいました。
お茶屋さんとして独立するきっかけ
本日はよろしくお願いします。「Hokuzan」はどのような会社なんですか?
助っ人編集部
山北 祐士
2017年の5月に開業して、お茶を売る仕事をしています。自分で商品を開発して、それを小売や卸売として販売しています。 最近は、お客様が自社商品を開発をされる時に、茶葉を選んだりレシピを作ったりする提案もさせて頂いています。
山北 祐士 Hokuzan代表 2017年の5月に開業。高品質の日本茶を世界に広め、それを根付かせたいという思いから、京都の宇治田原にて事業をスタート。自社ブランド「Hokuzan」の販売や、他社の商品開発などのコンサルティング事業を手がけている。
お茶で起業って珍しいですよね。なぜお茶をやろうと思ったんですか?
助っ人編集部
山北 祐士
私の地元が京都の宇治でお茶の産地だったんですよ。ただ、はじめからお茶に興味があったわけではありませんでした。
就職活動で、自分はなにがしたいのかと考えたときに、漠然とですが、地元のものを販売するような仕事ができたら良いなと思うようになりました。
では、就職はせずにいきなり起業したんですか?
助っ人編集部
山北 祐士
いえ、ひとまず就職は必要と考えたので就職活動をしました。それで、運良く伊藤園に入ることができたんです。 ただ、1年目の面談で地元のお茶を売り出したいと相談したらと、お茶に触れるような仕事に携われるまでには、10年かかると言われたんですね。
さすがにそれは待ってられないなと思って、土日だけ地元のお茶屋さんで働かせてもらうようになりました。
そうなるともう休みはなしですか?
助っ人編集部
山北 祐士
そうですね。そこでお茶の勉強を始めて、やっぱりお茶を扱う仕事のほうが面白いなと思ってそのお茶屋さんに転職しました。
お茶屋さんでの修行期間はどれくらいあったんですか?
助っ人編集部
山北 祐士
じつはお茶屋さんを2つ経験しまして、合計6年になります。
2社経験されたんですね!なにかきっかけはあったのでしょうか?
助っ人編集部
山北 祐士
はい。毎年、京都のお茶屋さんが100人ぐらい集まって行われるお茶の目利き大会があるんですね。 1社めのお茶屋さんにいるときに、試しにその大会に出てみたら、2回目の出場でなんと準優勝してしまったんです。無名の若手だったので何者なんだと会場がざわつきました(笑)
それがキッカケで、お茶の卸売を営んでいる社長から「うちに来ないか?」とお誘いをいただきました。卸売ならさまざまな茶葉を扱っているので勉強になると思って、お世話になることにしました。
準優勝はすごいですね!なにか独自で勉強をなさってたんですか?
助っ人編集部
山北 祐士
多少は勉強もしてましたけど、準優勝というのはマグレでした(笑) その後も上位入賞をキープをしているので、いまは京都のお茶屋さんの中では、自分のことを知ってくれている人が増えたかなと思います。
ブランド力の強化が課題
いまメインで扱っている商品はなんですか?
助っ人編集部
山北 祐士
ハーブティー感覚で飲める日本茶です。普通の日本茶とは違ったことがしたいなと考えて、ハーブを混ぜたお茶を開発しました。
それはどこで販売されているのですか?
助っ人編集部
山北 祐士
ネイルサロンやエステサロンです。施術後に1杯飲んでもらって、気に入った方に購入いただいてます。あとはホテルや旅館などの宿泊施設系と飲食店向けに納品しています。普通のお茶だと「無料」が当たり前ですが、ハーブを入れることによって商品としての価値を感じていただけると考えています。
一番売れている商品はどんなものですか?
助っ人編集部
山北 祐士
やはりハーブ系ですね。ただその中でも時期によって売れ行きが異なります。冬だとジンジャー、夏だとミントやレモンが多いです。
起業からもうすぐ2年で、開発も販売もされているなかで、現状の課題は?
助っ人編集部
山北 祐士
一番は、やはりブランド力の低さです。コーヒーだと無名の人が売ってもそれなりに売れるみたいなんですが、お茶はそもそもの需要が大きくないので、どうしてもブランド力がものをいう業界なんですね。どうやって工夫して売っていけばいいのかまだ模索中です。
やはりブランドを構築していく必要があるのですね
助っ人編集部
山北 祐士
一般消費者の方からすると、お茶ってどこで何を飲んでも同じなんですよね。そんなときに何を見て買うかというと、やっぱりブランドでしかありません。 そのため、どうやって認知度を上げていくのかは常に考えています。
仲の良いデザイナーにフィンランドの方がいてパッケージデザインを考えてもらっています。北欧テイストのデザインなんかも面白いかなと思っています。
売り出し方では、参考にしているブランドはあるのでしょうか?
助っ人編集部
山北 祐士
紅茶のブランドはけっこう参考にしています。戦略として高級路線で行きたいので、例えばJING Teaのような高級茶葉を扱っている紅茶メーカーは特にチェックしています。
同業他社と比べてここは考え方が違うというところは?
助っ人編集部
山北 祐士
数年間の修行で培った知識や技術を活かしたいですね。またベンチャーとして、白いキャンバスに好きな絵を描いていくような感覚で、いろいろなことに挑戦しやすい環境にあるのが自分の強みだと考えています。
比較的うまく行っているなと感じるところはありますか?
助っ人編集部
山北 祐士
いま京都のホテルでハーブ系のお茶を置いてもらっているのですが、買って帰りたいという宿泊客からの問い合わせがけっこうあるらしいんです。 そこで、ホテルの中にショップを作ってお茶を販売したいと依頼をいただくことができました。
すると今後はギフトとしての販売していく可能性があるんですね。
助っ人編集部
山北 祐士
やはりギフトとして販売してもらったほうが単価も高くなります。まだ未知数ではありますが対応していくつもりです。 もしそれがうまく行けば、1つの成功事例としてストックできると考えています。
挑戦できるのが起業の醍醐味
次はどんな仕掛けを考えられているんですか?
助っ人編集部
山北 祐士
やはり理想としては、海外に行きたいです。ただ、現状はキャッシュがないので、日本でそれなりに売上が立ってから、海外に販路を開拓するのが直近の目標です。特にヨーロッパの方に出していきたいです。
アジアよりヨーロッパなんですね。
助っ人編集部
山北 祐士
これは勝手な憶測なのですが、もしヨーロッパでウケたら全世界どこでも行けると思うんですよ。今アジアに進出しているお茶屋さんってたくさんあります。
同じお茶文化があり参入しやすいのですが、そのぶんライバルも多いので、私は先にヨーロッパを攻めようと考えています。
もうすぐ独立されてから2年が経ちます。当初と比べて意識面などで変化したところは?
助っ人編集部
山北 祐士
独立前と比べると、すべて自分の意思で、いろんなことに挑戦できるので、気持ちの入り方が明らかに違います。
逆に、自分から動かないと生きていけないので、給料をもらって働いている人が羨ましくなることもあります。自由に行動できてすごく楽しいのですが、やはり大丈夫かなと不安にもなるので。
さまざまな挑戦をされる中で、これは失敗だったなという経験はありますか。
助っ人編集部
山北 祐士
それはもう数え切れないほどあります(笑) 商品開発で、色々やってみたものの、花が咲かなかったことは多々あります。
例えばお茶以外のものを作ってみようと思ってマグカップを作ったのですが、ブランドもまだ知られていないので、ちょっと早かったなとか(笑) いま思えばやらなきゃよかったと思うことがあるんですけど、そんなに大きな失敗はしていないです。
もし独立したての自分にアドバイスをするとしたら、どんなアドバイスをされますか?
助っ人編集部
山北 祐士
これは今の自分にも言えるんですが、早め早めに動くことを心掛心がけろ、ですね。私はけっこうのんびりとしているので、もう少し計画的に動きたいです。
人を豊かにするものを作る
事業をされている中で尊敬されている人物はいますか。
助っ人編集部
山北 祐士
最も影響を受けたものとしては、スティーブ・ジョブズの伝記です。 iPhoneはまさにそうですけど、
人を豊かにするものを作ることに尽力していた点に、事業家として非常に尊敬しています。
世の中をより良くしていく姿勢は私も目標にしています。
ビジネスをしていく上で大切にしていることってありますか。
助っ人編集部
山北 祐士
家族や親友など、大事な人に自信を持って売れる物しか扱わないのが根本だと考えています。 作りたいものを作るだけでは、自己満足の世界になってしまいます。
新しい商品を開発をするときは、利害関係のないお茶業界の人に飲んでもらい、感想を頂いています。
最後に、これから起業する人たちに向けたアドバイスをお願いします。
助っ人編集部
山北 祐士
”想い”を持つことですね。お金儲けも当然大事なんですけど、起業家ってモチベーションの意味でも”想い”がないと続かないと思います。
儲かればそれでいい方もいるようですが、個人的にはせっかく起業したなら、何か世のためになることができれば良いと思います。
失敗や不安もあるなかで、やりたいことを実現していく楽しさが、起業を考えている方に伝わったと思います!本日はありがとうございました!
助っ人編集部