弁護士会とは
今回のテーマは、弁護士会、日本弁護士連合会についてです。まずは弁護士会について説明していきます。弁護士会という言葉は耳にすることがあるかと思います。しかしそのイメージは、「弁護士になると必ず入らないといけない」「高額な会費が請求される」などといったような必ずしも良好なものではないかもしれません。
そもそも弁護士会とは、全国各地に(基本的には都道府県ごと)に置かれており、それぞれの地域の弁護士が連携し共通の利益のために活動することを目的としたものです。弁護士会に加入することは、弁護士法31条2項に定められており、弁護士として活動する人はいずれかの弁護士会に所属することが決められています。すなわち、司法試験に合格し修習期間を終えた人は、弁護士としての活動を開始するにあたって弁護士会へ所属することが最初のステップとなるのです。
次に弁護士会の活動内容について見ていきましょう。弁護士会はその会員が協力して法律の研究会や、会員研修、各種委員会活動などに取り組んでいます。こうした活動はそこで学んだ知見を活かして弁護士として活躍するための基礎となるだけでなく、弁護士としての仕事への取り組み方や新しい論題について議論することで、弁護士の社会的役割を洗練させていくことにもつながります。
例えば、東京弁護士会では医療過誤法部や会社法部、食品安全関係法研究部など21の法律研究部があり、定期的に研究や情報交換を行っています。こうした場を活用することができれば、弁護士としての法律知識を深めることや活動領域を広げていくことができます。弁護士はプロフェッショナルとして個人の能力や資質を問われる仕事ではありますが、それを高めていく過程では必ずしも一人での取り組みだけではなく、他の弁護士との学び合いが有効となることもあります。こうした研究会は新しい問題がクローズアップされると、それに際して新規に設立されることもあります。
このように、弁護士という高度に専門的な職業であるからこそ、弁護士間のネットワークが重要となるのです。
また弁護士会ごとに設置している「法律相談センター」の活動も重要です。弁護士は法律に関して幅広い仕事を担当しますが、その中でも市民の暮らしと直結するのは生活の中から生まれた法律にまつわる質問に答えることです。弁護士会は理論的な研究を主催するだけでなく、こうした法律相談にも対応することでその社会的意義を果たしています。
日本弁護士連合会の構成と役割
以上では、各地域の弁護士会の取り組みについて見てきました。
それでは、日本弁護士連合会とはこれとはどのように異なっているのでしょうか。まず明確なのは、その名前からもわかるように日本の全ての弁護士によって構成されていることです。つまり、弁護士は各地の弁護士会に入るだけではなく、日本弁護士連合会の会員にもならなければなりません。日本弁護士会はこのような個人としての弁護士に加えて、全国の弁護士会や外国法事務弁護士なども構成員となっています。
日本弁護士会は、各地の弁護士会よりも一歩俯瞰的な立場から日本の法律関連の問題について研究や審議を行っています。例えば、人権擁護活動や刑事司法の改革などがそれに当たります。一人一人の弁護士が自分の意見をもって活動することはもちろん大切なことですが、日本弁護士会が弁護士の総意として意見を表明することは大きな意義を持っています。弁護士は法曹の一角を占めていますが、そこが国の法律制定や法運営に対して意見を述べることで、大きな影響力を行使することができるのです。