キャズムを越えるためのマストアイテム〜シニア起業に必要なメンタリティ〜

ポイント
  1. 折れないメンタリティ
  2. 雨の日を晴れの日に変えるポジティブさ
  3. サポーターを呼び込む圧倒的な行動力

起業後の生存率ー起業前の心構えー

中小企業白書(中小企業庁:2017年版)によれば、創業5年後の企業生存率は81.7%となっており、欧米の40~45%を大きく上回る。(詳細はこちらから

少し古いが、ストラテジックプロフィッツ(ダイレクト出版㈱)のブログで2015年6月11日に中谷佳正氏が紹介されたデータでは、5年後の企業生存率が15~20%10年後では5%となっている。(詳細はこちらから

一方でベンチャー企業の場合では、創業5年後で15.0%、10年後で6.3%20年後では0.3%と、非常に厳しいデータが紹介されている。(日経ビジネスオンライン:「創業20年後の生存率0.3%」を乗り越えるには/岩崎博之氏;2017.3.21)(詳細はこちらから

中小企業白書(中小企業庁2017年版)で企業数推移が紹介されているが、1999年以降2014年までに企業数は減少傾向が続き、約100万者減少している。毎年30万者くらいの起業があるわけだから、生存率が80%というのはピンとこないが…

企業が生存していくための大きな要因は資金の確保である。近時、金融機関が起業資金を積極的に取り組むようになったことで、企業の生存率が高まっていることはあるだろう。ただし、それだけでは企業は生存できない。マーケティング、組織や人材確保など、起業の世界は甘くないという環境は昔と変わらない。

起業してから成長軌道に乗せるまで、経営者として何が求められるのか?

【折れないメンタリティ】

キャズム(死の谷)は、特に製造業でよく用いられる言葉だ。試作品をつくり、マーケティングして、市場の反応も悪くない。それでは量産化して本格的に市場に打って出よう!としたときに、量産化技術と資金面で大きな壁にぶち当たる。非常に多くの企業がこの壁を乗り越えられずに沈んでしまう。これを“キャズム(死の谷)”と呼んでいる。自分はサービス業だから、小売業だから関係ないなと思うのは間違いだ。どの業種でもキャズムは存在する。

起業は“仮説”から始まる。あなたの商品やサービスが“社会の困りごとを解決する”として、社会の誰にとって?、どんな困りごと?、必要度が高いか低いか?、解決のアプローチ方法が共感を得られるか?などといったビジネスモデルを精緻に描いて、多くの人からモニタリングしても…どこまでいっても“仮説”は“仮説”だ。実際にビジネスとしてやってみないと成功するかどうかはわからない。

“仮説”と違う事実が出たとき、あなたが“仮説”という“期待”に裏切られたとき、それを受け入れて対策を講じられる…何度も何度も起き上がれるメンタリティを持つこと。これが起業をめざすあなたが持つべき最大の資質である。

【雨の日を晴れの日に変えるポジティブさ】

折れないメンタリティを持つための資質は、日頃から前向きな考えの持ち主であることだろう。それからあらゆるものに感謝する気持ちを忘れないことが重要である。これは気持ちの持ち方に幅が出てくる。起業は一人でできるものではない。いろいろなステークホルダーと関わりを持つことになる。彼らに対して感謝の気持ちで接すれば、以心伝心するものだ。

また、“神様”に対しても感謝を忘れない。“期待外れ”な結果は、「よりよいものを作れ」という神様からの啓示なのだから。そういうメンタリティを持つことで“挫折”に負けない自分がつくれる。

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【サポーターを呼び込む圧倒的な行動力】

ポジティブなメンタリティを持っただけでは、起業の成功を手にすることは到底できない。

“圧倒的な行動力”が事業を成功に導く。シニアにとって圧倒的な行動力と言うと、ハードルが高いと懸念されるかもしれないが、そこのところは経験と人的なネットワークがカバーしてくれるだろう。“圧倒的な”の本質は、量ではなく質である。但し、最低限の量はいる。また、必要なのは瞬発力である。ここぞという時は労を惜しまず労力をかけよう。この行動力のマネジメントは、今後の事業を続ける上で必要な能力となる。

行動力を考えるときに留意すべきは、行動範囲である。起業家の皆さんがこれまで辿ってきた活動の範囲だけで行動していてはいけない。行動範囲がその人の視野を決定する行動パターンもしかりである。今までの皆さんの“立ち位置”を越えて行動すること、ルーチンな行動パターンを変えてみることをお薦めする

今までの行動範囲、行動パターンの中にいる“お客様”は非常に限られている。そこから生まれる“アイデア”はすでに掘りつくされている。そこから生まれるイノベーションには限界がある。皆さんの事業アイデンティティーはそこにあった、と考えるかもしれない。しかし、皆さんのアイデンティティーは実はもっと深い場所にあるはずだ。“立ち位置”を変えないとアイデンティティーは磨かれない

こうした“圧倒的な行動力”と“行動パターンの流動化”を重ねていくと、皆さんの事業に必要なサポーターが自然にあなたの周りに集まってくる。行動力とサポーターの数は必ず比例する。あとは皆さんの事業とサポーターで、いかに有効に化学反応を引き起こすことが出来るか、さらに拡散出来るか、である。それにはあなたの商品やサービスが持つ“社会的課題の解決力”とあなたの“人間力”が決め手となる。化学反応が生まれれば“キャズム”は怖くない。サポーターが素晴らしい“橋”を架けてくれるのだから

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著者プロフィール

西田 隆行

中小企業診断士。1980年大学卒業後信用金庫に勤務。中小企業や小規模事業者へ資金繰りや財務のコンサルティングを行っている。また地域の中核企業、老舗企業の再生に深く関与。「事業を継続するための財務戦略」をメインテーマに活動している。2017年12月から、日本最大の起業・開業・独立者向けポータルサイト「助っ人」(www.suke10.com)の編集チームで、主に「銀行とのつきあい方、資金調達、事業承継」をテーマとしたコラムを担当している。