後で知ってからでは遅い!!外国人労働者を雇用する際に利用できる助成金制度

ポイント
  1. 外国人の労働者を雇用すると企業にもメリットがある
  2. 外国人の労働者に働いてもらい、その恩恵を企業が享受するために
  3. 不法就労には十分に注意する

目次 [非表示]

日本には様々な助成金制度が存在していますが、外国人を労働者として雇用した場合にも申請が可能な助成金も用意されています。

人材を雇用したいと考えているものの、資金面での補助が少しでもあれば助かるといった中小企業の経営者の方は助成金を上手に活用して会社の発展につなげていっていただけたらと思います。

助成金は日本人の労働者を雇用した場合でも活用できるものはたくさんありますが、今回は外国人を雇用した場合の助成金制度について考えていくことにしましょう。

外国人労働者を雇用すると利用できる助成金

人材不足解消にコストの安さが外国人労働者の魅力

業種によっては慢性的な人材不足に悩んでいることも多く、外国人労働者を自分の会社で働かせたい事業主はかなり多いのが実情です。人手が不足していることはもちろんですが、安価に労働力を確保したいという思惑が企業にはあるためです。結果的に最低賃金に迫る賃金であっても外国人労働者がやってくる現状をみると、事業主が雇用をしたくなるのは自然と言えるかもしれません。実は外国人を労働者として雇用をすることにより、助成金を利用することができます。この助成金を利用することで事業主の負担はさらに下がり、より安価に労働力を利用できることから、外国人労働者を雇う場合には必ず知っておきたい部分です。

助成金がある理由と活用できる助成金を理解しよう

そもそもなぜ外国人を雇用すると助成金が存在するのかですが、大きな理由は外国人労働者に対する教育のためとされています。長く日本で働いている場合ならまだしも、来日して初めて働くような環境では日本語も分からず、日本の生活文化も知らず、食文化にも抵抗があるような状況でストレスでいっぱいです。それでいてスキルが不足した状態のため、当然のことながら不安でいっぱいな人がほとんどです。こうした人たちに日本語を教えることや職業訓練を実施していくことでスキルアップにつなげていく、そのために助成金があります。

では、どのようなものが助成金として存在するのかですが、外国人を雇用した際に利用できる助成金は2種類が容易されています。それでは1つずつ助成金について見ていくことにしましょう。

◆中小企業緊急雇用安定助成金
1つ目は中小企業緊急雇用安定助成金です。対象となる企業は中小企業であることは名前の通りですが、直近の3カ月、もしくは前年の同じ時期に比べて生産量が減少していることが支給の対象となります。このケースでは休業手当や出向手当として5分の4が支給されるだけでなく、教育訓練を行う経費として1日6000円がもらえます。会社を立て直すために外国人労働者の労働力を頼る際に積極的な活用が求められるということです。

◆雇用調整助成金
もう1つは雇用調整助成金ですが、今度は大企業を対象としたものです。こちらも生産量が減少していることが条件となっていきますが、重要なのは生産量の減り方です。この場合は5%以上の減少が条件となり、それによって支給がなされます。もらえるお金は、休業手当や出向手当にあたるお金の2分の1、そして教育訓練の経費として1日1200円が支給される形です。中小企業向けのものと比べるとやや小規模な印象を与えますが、規模が全く異なることもあって、この程度のものでも問題はありません。

日本人を対象としている助成金でも外国人を雇用した場合に活用することはできる

外国人労働者を対象としている助成金はこの2つですが、日本人労働者を本来対象にしたものでも外国人労働者に対して適用することは可能です。例えば、トライアル雇用奨励金は要件さえ満たせば1人当たり最大4万円を3カ月にわたって支給してもらえます。これらを最大限に活用していけば、事業主の負担は大きく下がります。特に中小企業の場合にはベテランが辞めてしまうことで屋台骨を大きく揺るがすことになるケースもよくあることです。そんな時に少しでも会社の経営を守ってくれる制度があるのであれば利用したいところです。

これらの条件としては外国人労働者が週に20時間以上働くことや、半年以上にわたって雇用がなされることが条件となっています。当然のことながら、お金をもらいたいがために雇用をするようなことはできません。あくまでも補助的な意味合いがあり、それで会社を立て直すまでのお金にはならないのでそのあたりは注意が必要です。教育訓練には色々と費用がかかることは指摘されており、特に技術職などは当然ながら教える側も大変です。その部分をサポートしてくれる存在というのはとても大きいです。

もらえるものはもらう、そういうスタンスで特に問題はありません。まして人手不足でどうしようもない事業主は、外国人の労働力を確保しながらもお金でのサポートがあってより効率的な経営ができるようになります。しかし、実際にもらうまでには色々と気をつける部分があるのも事実であり、そのあたりをしっかりと確認していくだけでなく、下手をすれば不法就労のアシストをしたような形になるため、注意したいです。

助成金を申請する際に注意しなければいけないこと

助成金を申請するには具体的な根拠が必要となることを理解しよう

助成金を申請する際の注意点は、外国人労働者どうこうとは関係ない部分も多々含まれています。雇用調整に関するものなので、雇用調整の計画がどうなっているのか、具体的なものを提示しないといけません。休業や出向、教育訓練の具体的な計画を立てて計画届を提出しないことには申請しても意味がないというわけです。そしてその計画届の通りに雇用調整を行って、それで支給申請を行います。そのあとに労働局での審査がなされて、支給が決定し、実際に振り込みが行われます。

この場合の雇用調整の計画ですが、休業をさせる場合にはどれだけの期間にわたって、どこの部分を何名休ませるのかなどを検討する必要があります。そして教育に関しても、自分たちで講師を務める形にするのか、それとも外部講師にお任せするのか、教育訓練が終わった後のフォローアップはどうするのかなどを検討し、計画届に書いていくことが求められます。外国人労働者を雇ったから助成金をもらおうという感覚では認められない可能性が高く、計画性が非常に重要です。

外国人を雇用するなら不法就労を防ぐ努力が企業には必要となる

助成金以前の問題でもありますが、不法就労かどうかを最初に見抜けるかどうかです。基本的に外国人労働者を働かせる場合には在留カードを持っているかどうか、なかった場合にはパスポートを見せてもらい、正式な契約は後でという形にして雇用をしていくことになります。確認を怠ると過失が認められ、不法就労を助長したということで罪に問われます。長くそのような状態が続いていれば懲役刑を食らう可能性もあり、そうなると経営を続けていくことが非常に困難な状況になってもおかしくありません。

長く外国人労働者を雇用している事業主はそのあたりの心配をしていない人が多いですが、最近になって事業主になった人は不安がかなり大きいのではないでしょうか。そのような時におすすめなのがハローワークを用いた職業紹介です。ハローワークは国が運営しているものですから、不法就労を防止するために在留カードの確認などは当然のようにしており、ハローワークのお墨付きを得た外国人労働者から選ぶことができます。もちろんそこでも在留資格の確認は必要ですが、確認がしやすく、それでいて不法就労者も極力減らせるというのがポイントになっています。

ちなみに外国人技能実習生に関しても雇用調整助成金を利用することは一部できます。教育訓練にかかる費用が認められていないだけで、それ以外に関しては認められています。例えば外国人技能実習生を受け入れたものの、会社が傾いたために休業を余儀なくされるケースが当てはまります。外国人技能実習生が実質的な労働力となっていることが多く、そのあたりも問題点ではありますが、この場合一番気をつけなければならないのは休業させた後のことです。

この場合は監理団体に技能実習が継続できないことを伝えること、もしくは入国管理局にその事実を伝えることをしないと不正行為に該当してしまうことが言えます。助成金の申請の段階で注意しなければならないのは、最初から休業が目に見えている場合に申請してしまった場合にその事実を突き付けられた際、何も弁解ができず、結果的に不正行為と認定されて技能実習生の受け入れすらできなくなることです。そのことを見越したうえで助成金の申請をしていかないと相当面倒なことになってしまいます。

あやふやなことをすれば不正受給と判断されることも注意点です。もしそんなことになれば、事業主の名称や代表者の名前、不正受給の金額などが明らかになってしまい、社会的制裁を受ける可能性があるどころか、刑事罰を受ける可能性も十分に出てきます。その事実は一生ついてまわることになり、事業主として会社を引っ張っていくことも難しくなります。

助成金はあくまでも税金であり、不正受給は許されません。実地調査を行っており、適当な計画や適当な申告は必ず見抜かれ、指導を受けることになります。申請の段階で細かな計画を立てて、実行できる環境にすることが大事です。

こちらも合わせてお読みください
人を雇うときに知っておきたい助成金一覧【総まとめ】

助成金を有効活用して優秀な人材を確保しよう

中小企業の場合、助成金を利用することで教育訓練でいえば1日6000円は受け取れます。中小企業の中には複数の外国人労働者を雇用するケースもあり、その場合は人数分を受け取る形になります。5人であれば3万円が1日に入る計算です。例えばこの3万円を外部講師を雇うものに使い、それで教育訓練を受けさせることができます。自分たちで訓練をすることも悪いとは言わないものの、外部講師はいわば教えるプロです。教え方がうまく、段階的にスキルをつけさせていくことができるのはとても大きいです。

日本語の教育は重要になってくる

特に日本語教育は非常に重要な意味を与えます。日本語を知らないと、事業主は日本語でしかやり取りできないケースがほとんどのため、コミュニケーションがとれていると思いきや全くとれておらず、とんでもない損害を出したということもよくあります。その一方、コミュニケーションがとりにくいからと解雇したら実はスキルが高く、別の企業で大車輪の活躍していたということもあるなど、日本語教育を怠ってしまったことで大変な結果を招くことが考えられます。

その逆で日本語教育をしたことで他の外国人労働者の面倒を見てもらえ、全体的なスキルアップに寄与するケースもあります。日本語は母国語だから誰でも教えられると思いがちですが、日本人が英語を学ぶような感覚で外国人労働者は学ぶことになります。コストを気にすると自分たちで教えようとし、結果的に取り返しのつかないことになりがちです。だからこそ、助成金を用いて確かな教育訓練を受けさせなければならないということです。このようなことをしていく中で人材確保を行っていき、より優秀な人材を確保していくことになります。

日本語を分かってもらい、そしてコミュニケーションを確実にしていく中で職業訓練を行っていけばスキルは確実に向上します。人材育成は自発的な成長も求められますが、そこまでのプロセスも問われることは日本人外国人に関係なく共通しているものです。だからこそ、助成金を積極的に活用していき、負担を少しでも減らすことが求められています。

外国人を雇用することで無数のトラブルを経験し、一筋縄ではいかないと思わせる部分もあります。不法就労に注意しなければならず、働き方の文化の違いもかなり異なり、そこに対する苛立ちも隠しきれません。それを埋めるために教育が必要であり、コストがかかりますが、そのコストを軽減させるためにも積極的な活用が必要です。

おすすめの関連記事

ー外国人の雇用を考えている起業家へー
外国人を雇用する際のメリットとデメリットを理解して雇用を考えよう

ー経営者が雇用の意識を変えると会社は変わるー
経営者の雇用意識改革

関連記事