スキルを活かす? 起業する? 50名以上の複業家を見てきて気づいた、複業を軌道に乗せるために外せない5つのコツ

ポイント
  1. 複業の4つの分類を知る
  2. 複業を軌道に乗せるために知っておきたい5つのコツ
  3. 複業はあくまで手段。自分がどうありたいか、実現したいのかに焦点を

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初めまして。藤生 朋子と申します。私が現在勤務している株式会社エンファクトリーでは、約6年前の会社設立時に「専業禁止!!」というちょっとユニークな人材理念を掲げました。わたしの複業歴も、かれこれ約4年ぐらいになります。

最近では、複業(副業)について相談を受けることも増えていますが、その一方で本業との両立が難しく「複業疲れ」に陥ってしまっているというような声も届いています。

そこで今回は、これまでに50人以上の複業家を見てきた経験、そして自身の複業活動の経験から、複業を軌道に乗せるために外せない5つのコツをお伝えできたらと思います。
 

【プロフィール】
株式会社エンファクトリー en Factory LAB. 藤生 朋子
オールアバウト在籍中、Webデザイナーとして新規事業部に携わる。その後、現職のエンファクトリーでは、フリーランサーやパラレルワーカーのチーム支援プラットホーム『Teamlancer』を担当。Webデザイン制作やOpenHR事業への参画、働き方関連のイベントボランティアなど、これまでさまざな複業・幅業活動を行う。

「専業禁止!!」を掲げる企業の複業事情

エンファクトリーが「専業禁止!!」という人材理念を掲げた当時は「複業」という言葉も珍しかったため、「何を言っているかわからない...!」「面白そう!」と、社員の複業に対する捉え方も2つに分かれました。複業に前向きな社員は、会社設立したり、社員同士で新サービスの立ち上げが多かったように思います。

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▲エンファクトリーにおける相利共生の関係性

わたしは、得意の「巻き込まれ力」を発揮し、そのような複業活動をスタートする社員をサポートする複業「複業の複業」がスタートでした。

今では、社員の約6割が複業家として活躍しています。複業をきっかけに独立した社員も多いですが、退職後も「フェロー」としてエンファクトリーの名刺を持ち、ビジネスパートナーとして活動しています。

また最近では、2017年5月からスタートしたパラレルワーカー・フリーランサー・複業家のためのチームビルドサービスとして「Teamlancer」の運営も開始し、順調に登録者数も伸び続けています。

スキルを活かす? 起業する?  複業の4つの分類を知る

複業のスタイルは人それぞれ多種多様です。今回は、本業ある企業内個人が行う複業という前提に、「今の職種か別職種か」「業務委託・雇用か、起業・経営」かの2軸で4つの分類に分けてみました。もちろん、ここで言う「ふくぎょう」は、メイン・サブ=正副ではなく、複数の仕事を持つ「複業」のことを意味します。

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複業としてスタートしやすく、一番多いのが「現職種×業務委託・雇用タイプ」のAのです。本業で得たスキルや専門性を活かす複業となります。わたしも、Webデザインというスキルが社外でも通用するか「腕試し複業」をしています。

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▲複業で関わらせて頂いている、新時代のコミュニティ「100人カイギ」での打ち合わせ

そして、本業と別のスキルで複業を行うのが「別職種×業務委託・雇用タイプ」のBとなり、エンファクトリーでもWebディレクターのスタッフが、興味ある防災の知識を活かし防災専門家として活躍しています。新たなスキルを身に付けるべく、プロボノ的に複業をスタートする「別業種×業務委託・雇用タイプ」のBも多いです。

「現職種 × 起業タイプ」のCは、本業でのスキルを起点に起業(事業・経営)を行うの複業です。本業のEC事業でカスタマーサポートを起点として、オンラインショップを開業・経営したり、Webエンジニアがアプリサービスを提供するといったケースです。

そして、この4つの分類において一番割合も少なく、難易度も高いと思われるのが「別職種 × 起業タイプ」のDとなります。エンファクトリーのケースだと、EC事業のマネジャーがハリネズミカフェを起業・経営しています。

複業に関するご相談で一番多い「興味はあるけど、何をどうやって始めたらいいですか?」=「what」&「how」という質問に対しては、収入は考えず自分の興味アンテナが少しでも立つようなプロボノ活動を見つけて参加してみてもよいかと思います。結果、「あまり心動かなかった」「うまくできなかった」といった結果でもそれが大事な答えです。会社ではないアウェイな環境に身を置くことで「what」「how」から「can」=できること「will」=やりたいこと、この視点に変わっていくでしょう。

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▲イベント「QUM Conference 2018」におけるボランティア活動の様子

また、「C」を目標としている人でもハードルが高い場合は、まず、「A」で現在のスキルを縦軸に深めていき、次に「B」として、マーケティングスキルを蓄えてスキルを横軸を広げ多くの面をとるなどして段階を踏んでみるのもよいでしょう。

複業を軌道に乗せるコツとは?

本業に比べて複業は、自分で期間やゴールを設定しやすいため、仕事の軌道修正も取りやすいです。その分、自分の決断・判断が多くなります。自分の働き方を自分で舵取りすることが大きなポイントです。その軌道に乗せるコツを、5つお伝えいたします。

(1)複業を因数分解し、ゴール設定を行う

複業からどんな経験ができ学びがあるのか、そしてそれらを外でも活かすことができるのか? そこを因数分解しイメージしてから複業行うことをオススメします。関わる期間が短いプロジェクト・タスク単位での複業は、実行して振り返る、そのサイクルを多く作れることのがメリットなので、その部分を意識して行うと「複業レベル」も成長していきます。収益だけに意識が偏ってしまうと、逆にお金以外の学びは何もありません。

(2)本業・複業のボーダレス化

企業における価値が施設や店舗をといった有形資産から、人的資産や知的財産といった無形資産に移り変わってきています。例えば、複業で知り合った人が、本業でのプロジェクトにマッチするのであれば繋げるなど、自分を起点とした関係性資産を本業と複業、複業と複業とセクション立てずにボーダレスに循環させていくと、本業も複業も幅が広がっていきます。複業でのインプットは、会社のメンバーや周囲にもアウトプットしていくことを癖づけてくとよいでしょう。

(4)複業を態度表明化する

現在はSNSなどを通じて、複業活動を発信している人がとても多いです。そこからバイネームで複業の依頼に繋がるケースも増えてきています。周囲に態度表明することで自身の意識が高まり、本業に対しても成果を出すマインドなっていきます。
ちなみにエンファクトリーでは、半年に一度「en Terminal(エンターミナル)」という複業報告会を実施する場を用意しています。まさに複業の態度表明化をするのですが、今まで知ることがなかった社員が持つ価値観を知ることで相互理解が深まり、本業が進めやすくなっていきます。

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▲エンファクトリーでの複業報告会「en Terminal(エンターミナル)」
 

<態度表明の効果>
・複業への意識とコミットが高まり、本業にも成果を出すマインドになる
・周りから複業への応援、アドバイスが得られる
・相互理解が深まり、本業の進めやすくなる
・態度表明を聞く側にも刺激になる

態度表明をすることで、仕事の相談を受けたり、人を紹介してもらったり、ファンになったり、といったプラスの効果があります。まず、一番身近な本業のメンバーに対して態度表明できる場をエンファクトリーでは用意しています。

会社が複業禁止の場合は、プロボノ的な活動を発信してもよいでしょうし、興味あるイベントに参加して参加者と交流し、今自分が思っていることを話す、それだけでも十分な態度表明です。「◯◯会社の山田です」から「◯◯な活動もしている、◯◯会社の山田です」といったように、会社ではなく自分の名前で語っていくことが重要です。人との出逢い方も変わり、その後の繋がり方も変わっていきます。

(5)自立自走するためのコントロール

複業は時間との戦いでもあります。タスクは増えていく一方で、一日は24時間しかありません。次第に時間に追われ、「複業疲れ」という声もたまに聞きます。もちろん、タイムマネジメントも大事ですが、わたしは自然と自立自走できる状況をいかに作り出せるかが重要だと思います。

その状況を作り出すには、複業で自分がワクワクできているか、「やりたいこと・想い」に沿っていることがポイントになります。そして、「やれること」と「やるべきこと」のバランスが上手く掛け合わせができると、「気づいたらこんなに走っていた...!」と、自立自走できるはずです。

複業スタイルも多種多様なので、一人・チーム・家族・企業...だれとどのような座組でやるのか、起業・スキル業務委託・プロボノなのかによって、そのスピードや走り方も違います。自分のペースで自立自走できるか、そこに対しての少しづつアップデートできるとよいと思います。

複業はあくまで手段。自分がどうありたいか、実現したいのかに焦点を当てるべき

多くのメディアで複業が取り上げられていますが、複業は働き方のひとつの手段としてある、そんなイメージです。人生のライフステージによって働き方を選べる、そのうちの選択肢の一つにしかありません。

また、やりたいことは本業でも実現できないか? ということを、複業を始める前にちょっと考えてみてもよいかと思います。やりたいことの実現がショートカットできる近道は、本業でもあるかもしれません。

複業はあくまで手段。その先で自分がどうありたいのか、何を実現したいのか、そこに焦点を当てるべきです。複業で軌道に乗られている方の共通点は、そこにあるように思います。

少しでもみなさんの複業活動におけるヒントになれば幸いです。

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