起業と印鑑の関係について理解しよう

ポイント
  1. 起業に必要な印鑑
  2. 印鑑登録の手続き方法
  3. 印鑑をなくした場合の注意点

目次 [非表示]

現在のテクノロジーを享受して生活していると印鑑の必要性をあまり感じないことがほとんどであるとは思います。

しかし、日本はペーパーレスが段々と進行しているものの未だに印鑑を重要視する社会であることに変わりはありません。

ここでは起業と印鑑の関係について解説していきます。

起業する時に揃えておくべき3つの印鑑

会社印鑑・法人印鑑などで検索してみると業者がたくさんみつかりますが、印鑑業者では法人の印鑑は1点ではなく会社設立時の3点セットとして販売されていることが多いことがわかります。

印鑑販売業者参考リンク

「ハンコヤドットコム」
「会社印鑑ドットコム」

では3点セットに用意されている印鑑それぞれはどのような意味があるのかを見ていきましょう。

実印

個人でも実印があるように、法人にも実印が存在しています。

実印は商業登記規則というものでサイズが決められているので作成時には注意が必要です。印鑑の大きさは、一辺の長さが1㎝の正方形に収まるもの又は一辺の長さが3㎝の正方形に収まらないものであってはならないとされています(商業登記規則第9条第3項の内容)会社印の実印・代表印は外枠に会社の名前が回文として入り、内枠に代表者の役職名が入ります。

内枠の文字は法人の形態(株式会社・合同会社・NPO法人など)によって変わります。実印は重要な取引契約などの書面や公的機関などで許認可を求める書類に押印するものであり、事業をしているときに頻度が高く使用するものではありません。ですので、いざ使用する時に実印が無くなってしまった!ということがないように大切に保管をしておきましょう。

銀行印

銀行印は名前の通りで、金融機関に会社の口座を開設するときに必ず必要となるものです。会社を設立して事業をおこなうためには金融機関の口座が必要になりますが、銀行印がなければ金融機関の口座を開設することはできません。その意味では銀行印は事業をおこなうための非常に重要な印鑑ともいえるのではないでしょうか。

口座を開設したあとは窓口でお金を降ろしたり・お金を相手先に振り込んだりしない限りはあまり使用することはないでしょう。現在の金融機関の通帳には印影が載せられていませんので、どの銀行印を使用したのかが分からなくなる可能性もあります。銀行印も実印と同じように必要となるときに無くなっていることがないように大切に保管しておくことが大切になります。

実印を銀行印と併用して使用することも問題はありませんが、無くなるリスクなどを考慮すればお金は少しかかりますが実印と銀行印はわけて作成しておくほうが安全です。

角印

事業で日常的に使うことになる印鑑がこの角印になります。取引後の領収書や請求書など、日常的に使用する書類にはほぼ角印が使用されていることは起業を目指す方であれば、理解しているのではないでしょうか。ほんとに角印が利用されているかな?と思うのであれば、個人で消費するものを購入した場合の領収書や請求書などを1度確認してみるといいでしょう。

購入先の会社名の入った角印が書面のどこかには押印されているはずです。

その他に利用されている印鑑

起業3点セットとして販売されている以外にも起業した場合に利用する可能性の高い印鑑についても紹介しておきます。

職印

起業家とは多少異なるのですが、事業を行う点では同じですので職印について紹介します。

職印を利用するのは弁護士・司法書士・公認会計士・税理士・行政書士・社会保険労務士といった国家資格を取得して事務所を運営している士業の方となります。職印は種類こそ1つになりますが、契約書などの重要書類には丸印が利用されることが多く、請求書や領収書など日常業務の書類には角印が利用されることが多くなっています。

士業の場合は士業登録を行う場合に同時に職印の登録もおこないますので資格起業家を目指す方は登録の際に職印が必要なことを覚えておきましょう。

会社の認印

会社の認印は簡単な契約書に使用する場合や社内文書で担当者が確認をしたことを示すために利用するものとなります。

実印のように法律(商業登記規則)でサイズか決められているわけではありませんので、社内で使用する文書に合わせて使いやすいサイズを作成するとスムーズに業務がおこなえます。

会社の実印は印鑑登録を忘れずに!!

会社の印鑑に実印・銀行印・角印とあることは理解した後で印鑑作成後に忘れてはいけないことがあります。

それは会社の実印を登録しておくことです。

あなたも個人の実印を印鑑証明として利用するために登録しているように、会社の実印も印鑑登録しておく必要があるわけです。

ここでは会社の実印の登録について解説していきます。

印鑑届出書を提出しよう

個人の実印を印鑑登録する場合には市区町村役場でおこないますが、会社の実印の印鑑登録は法務局でおこないます。

会社の実印は登録するまでに作成した各種添付書類に会社の代表印として使用した印鑑が実印登録する印鑑になりますので、使用前から実印をどの印鑑にするかを決定したうえで書類に押印するようにしましょう。

印鑑登録は法務局で入手可能な「印鑑届書」に必要な事項を記入して「登記申請書」と一緒に法務局に提出して登録します。登録の時には株式会社であれば代表取締役、合同会社であれば代表社員の個人の印鑑証明書(発行日から3か月以内のもの)が添付書類として必要となりますので事前に準備しておくといいでしょう。ただ、会社設立時の登記の場合には代表取締役・代表社員・監査役などの就任承諾書にも印鑑証明書が添付書類になっていますので、1通の印鑑証明書だけあれば問題なく印鑑登録ができることになります。

印鑑カードとはどのようなもの?

印鑑登録が完了すると印鑑カードの交付を受けましょう。登記申請書を提出した法務局に印鑑カード交付申請書を提出しましょう。印鑑カード交付申請書は法務局でも手に入れられますし、法務局のホームページからもダウンロード可能です。

参考リンク➡http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188219.pdf(法務局印鑑カード交付申請書ダウンロードPDF)

印鑑カード交付申請書を提出すれば、早ければ数十分で会社印鑑の印鑑カードが発行されます。法務局の窓口で手続きが不可能な場合には郵送でも印鑑カードの交付申請は可能です。その場合は返信用封筒と封筒に切手を貼ることを忘れないようにしてください。

また印鑑カードは重要なものですので、普通郵便ではなく特定記録郵便や書留などの追跡や保証があるものを選択するほうが安心できるでしょう。ただ郵送になると、窓口に出向くよりもかなりの時間がかかりますので設立当初などで早く印鑑カードが欲しい場合には法務局の窓口で直接手続きをおこなう方が結果的には時間が早くなります。印鑑カードは、会社の印鑑証明書を取る時に窓口に提出する大切なものです。

会社の実印と同じく無くさないように厳重に保管をするようにしてください。

届出印を変更する場合

実印として届け出た印鑑を変更する場合もありますので、ここでは届出印を変更する場合の方法を見ていきます。

届出印を変更するケースとしては以下の3つの場合が考えられるでしょう。

◆会社設立時には時間等も問題から個人の印鑑を会社の代表者印として届け出たために、後になって会社名の入った印鑑に変更しなくてはいけない時。

◆印鑑をなくしたり、経年劣化によって新しい印鑑に変更しなければいけない時

◆商号変更をおこなったために届出印の変更の必要が発生した時

届出印を変更する場合には、「改印届書」を提出する必要があります。改印届書の提出先は会社の本店所在地を管轄する法務局ですので、間違えないで提出しましょう。変更時の添付書類として、代表者本人の「印鑑証明書」が必要となりますので、事前に印鑑証明書を取得することを忘れないようにしましょう。印鑑証明書は発行後3か月以内のものでなくては受け付けてくれませんので、早すぎる取得も結果的に手間になりますので、時期をしっかりと見極めて取得するようにしてください。

なお代表者本人ではなく会社の従業員などが改印届書を提出する場合には委任状が必要となることも覚えておき忘れないように準備しましょう。

印鑑カードの再交付について

印鑑カードを破損または失くしてしまった場合には、できるだけ早く印鑑カードの再交付を申請する必要があります。

印鑑カードの再交付の手続きは「印鑑カード廃止届書」と「印鑑カード交付申請書」を会社の本店所在地を管轄する法務局に提出しなければいけません。印鑑カードと一緒に代表者印を失くした又は壊れてしまい使用が不可能な場合には改印届書も提出することになります。代表者印が使用できないケースでは印鑑カード廃止届書に代表者印を押印することはできませんので、代わりに代表者の個人の実印を押印して代表者個人の印鑑証明書を添付して提出する必要があります。

印鑑カードは会社の印鑑証明書を経営者であるあなたが知らないところで無断で発行されてしまい結果として悪用される可能性もあります。ですから印鑑カードをなくしたことに気が付いた場合には、すぐに印鑑カード廃止届書を提出して新たな印鑑カードを発行するようにしてください。

印鑑の素材の紹介

印鑑には様々な素材があり、値段も素材によって大きく変化してきます。印鑑の代表的な素材を簡単に挙げておきますので作成の際の参考にしてください。

・薩摩拓植

日本古来の伝統的な素材を印鑑にしたい場合には薩摩柘植がオススメです。

印鑑素材以外にも高級な将棋の駒の材料にもなっています。

・黒水牛

水牛の角を加工し、漆黒に染められた印材です。

印鑑の中では最も実用的な材料となりますので実用性を重視する方にはオススメです。

・ブラストチタン

クルマのマフラーなどにも使用される軽量で硬い素材であるチタンを使用した印鑑です。

高級感があるので、普通と違う印鑑を求める方にはオススメです。

まとめ

起業すると必要になる印鑑について様々な視点から解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

印鑑は日本では古くから使用されてきていますので一種の文化のようになっています。

企業間の契約書などは電子契約書が発達することでペーパーレス化が加速しており、結果として印鑑の必要性も昔ほどなくなっている部分もあります。

ただ、行政機関や金融機関に関しては本人確認を厳格にしなければトラブルが起きたときの影響が大きいので印鑑の存在はこれからも一定の存在感を発揮し続けることでしょう。

会社と印鑑の関係を理解して、電子印鑑と印鑑を上手に使い分けて事業を発展させていくことを願っています。

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