お客さまの決め方=ターゲット設定で劇的に売れる

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競合が見えていないお客さまを見極める

新しい商品やサービスを開発する際に、忘れてはならないのが「お客さまの設定」です。
どういったお客さまに商品やサービスを提供するのかによって、開発するべきものの内容も変わります。

そもそも、「誰にでも喜ばれる商品やサービス」など、あり得ません。
なぜなら、大きなセグメント(人々の塊、たとえば、大学生、主婦など)ごとだけでなく、個々人においても、嗜好や性格、趣味、考え方などが異なるからです。

全ての人々に喜んでもらおうという気持ちは大切です。
しかし、現実としては順番があり、リソースの少ない起業家にとっての効果的な方法としては、お客さまを絞ってみるとよいです。

たとえば、短期の英語留学のスクール比較でみてみましょう。

1分でも長く英語に触れたい

先日僕自身、フィリピンに2週間の時間を取り短期の英語留学に行ってきました。

今、ものすごく忙くさせていただいていることもあり、14日間の時間を取るのは大変でした。
せっかく時間を取ったのだから、14日間で出来るだけ多く英語に触れたい、1分でも1秒でも長く、英語の勉強をしたいと思いました。

でもいざフィリピン留学について調べてみると、ほとんどの学校が土日休みなんです。
14日のうち4日も休み、10日しか勉強できません。

14日のうち4日が休みとなると約30パーセントの時間が休み。僕はこの段階で「ありえないな」と思ってしまいました。
別に30パーセントも休みいらないなと。むしろ全ての時間やりたいと思っているわけです。

また、ほとんど全ての学校の開始、終了時間は同じで9時から18時までなんですね。
そして1時間休憩。1日の勉強時間は8時間です。

ですので、14日間といっても、4日休みで、稼働は10日で1日あたり8時間、結果学習時間80時間じゃないですか。みなさんどう思われますか?

もし僕だったらこう考えるわけです。

14日間毎日勉強できるプランをつくります。
この14日中10日間や、授業の開始や1日の時間数は誰が決めているのかというと、学校サイドじゃないですか。学校の論理ですべて決まってるわけですよ。

誰に向けて商売やっているのかということがまったく見えてないんです。
仮に、朝の6時―9時から授業が受けられるというオプションがあってもいいじゃないですか。
さらに、もっと勉強したいんだったら24時まで受付します。

14日分の14日、100パーセントの勉強が、こういった形で選べます。
仮に1日12時間×14日間やりますと、学習時間は14日間×12時間で168時間なんです。同じ滞在で。
旅費、宿泊費、食費は2週間の滞在なので、ここは共通です。でもこちらのサービスは、元のプランよりも2倍以上勉強できるんですね。

本当に、「1分でも長く英語に触れたいです」というお客さま向けにやるんだったら、絶対こういうサービスやった方がよいと思いませんか?

英語留学をする人にだって様々な人がいます。
僕のような経営者やビジネスマンが超過密スケジュールの中、とにかく英語を短期で一気に学びたい人もいれば、大学生がフィリピンという国を知りながら英語に少し触れたいとか、定年退職したシニア層の方が趣味で英語を勉強したいなど、それぞれの目的は異なるわけです。

誰に対してサービスを展開するのかで、確実に学校のすべきことは変わってきます。

多くの学校では、学校の場所がどこにあるか、値段、生徒に占める日本人比率などをパンフレットで打ち出していましたが、学校サイドのお客さまイメージはどこもほぼ一緒なのです。

僕であれば、他校よりも同じ期間、同じ渡航費で2倍以上の時間を学べますというふれこみのサービスをリリースします。

ですので、商品やサービスを開発する際には、明確にお客さまを決めるようにしましょう。
いわゆる「ペルソナの設定」=自分のお客さまを明確に決めることです。では、どのようにして自分たちのお客さまを決めればいいのでしょうか。

お客さまの決め方には、大きく2つの要素があると思います。
・自分が興味関心&情熱を持てる人であること
・今後の市場の成長性や、競合他社との状況を考えること
この2つの関係はとても大切です。

いくら今後の市場が伸びるといわれる分野であっても、自分自身が全く興味がない、情熱を持てない分野の場合には、続けることができません。
かといって、情熱はめちゃめちゃあったとしても、その市場やお客さま自体が今後恐ろしい勢いで減っていくとなってしまうと、成長する市場と比較すると、同じアクションに対して得られる結果ということも大きく変わってきてしまうわけです。

そのため、最低限この2つのバランスを考えながら、自分のお客さまなどは決めるようにしたらよいと思います。

まずは、市場をどんどん細分化していき、自分たちが目指す売上を実現できる市場規模までカットします。その中で、1番を狙うというのが1つの方法です。
市場で1番になると、どのような現象が起きるのか。ブランド化です。

どんな分野であっても、人は「1番」であることに魅力を感じます。
その商品やサービスを信頼し、意思決定の重要な要素として判断するのです。
そのようにして、1つの市場で1番になることが、稼げるようになるための秘訣なのです。

面白いもので、稼げる人というのはさらに稼げるようになります。最初3万円稼いでいた人というのは、5万円、10万円と稼ぎが増えていきます。
なぜなら、稼ぎ方のコツが分かるようになるからです。

結局のところ、ビジネスというのは、その積み重ねでしかありません。その稼げる範囲を、自分の体験として広げていくことが大切なのです。

だからこそ、まずは1つの分野で1番になりましょう。特定の地域でも領域でもいいので、そこで1番を勝ち取ること。
そうすることで稼げるようになり、さらなるサービスを開発したり、新しいお客さまをターゲットにしたりと、挑戦することができるようになります。

誰も参入していない市場や分野であれば、1番になるのは難しいことではありません。
そのうえで、お客さまを見極めていく。そうすることで、その後の事業展開も有利に進めることができるようになります。

お客さまの3つの決め方

お客さまや市場を考える上でのポイントとして3つの軸が大切です。

「だれに対して提供するのか」ということ。

「誰」ごとに需要は異なるので、だれに対して価値を提供するのかを考えることはとても大切な要素となります。
誰を考えるにあたり、1つ目は、「MECEを使って市場を細分化する」こと。

市場を細かく分類することによって、これまでにないような価値を提供することも可能となります。
MECEとはモレなくダブりなく分類すること。その結果、新しい市場を発見できることもあります。

たとえば、プロ野球チームを2つにわけてくださいと言ったときに、様々な条件でわけることができます。
EX、セリーグとパリーグ、本拠地が東日本か西日本か、優勝回数が10回以上と以下など多数の条件が出せるはずです。
1つの軸を出して重ならないように分ける方法です。

他が気づいていない分け方ができると自分しか気づいていない誰がみえるかもしれません。

2つ目は、「自分がほしいと思うサービスを提供する」ことです。
自分が生活の中で困ったと思うようなことに対して、サービスをつくる。

その結果、同じような需要をもっている人を発掘することにつながるのです。

僕は大学生の頃に、あるビジネスコンテストで優勝しています。そのときのビジネスプランは、まさにベネフィットに即したサービスでした。
新しい発想によって、今までにない市場をつくるというものだったのです。

具体的には、「日本人に2回目のプロポーズという文化をつくる」という内容のサービスです。そもそも通常の結婚式は、1回だけしか行いません。
それでは、少子化や晩婚化によって、結婚式場が稼げなくなってしまいます。

そこで、ある段階で2回目のプロポーズをし、結婚式も2回目をするという文化をつくってみてはどうかと提案したのです。
タイミングとしては、子どもが巣立ってまた2人に戻ったときです。ちょうど、熟年離婚の手前頃になります。

この頃になると、夫婦関係も冷めきっていることが多いのです。せっかく長い間一緒にいるのに、それでは寂しいですよね。
そこで、お互いの愛をより深めるために、2回目のプロポーズと結婚式をするのです。いわゆる「感謝のプロポーズ」です。

ある程度の年齢になれば、それなりにお金もありますし、当時はできなかったような、豪華な結婚式をあげることも可能です。
定年退職していれば、時間も十分にあります。ある意味で、定年後の新しい楽しみになるのではないでしょうか。

とくに日本人は、自分たちでイベントを開催するのが苦手な傾向があります。そこで文化として定着させることによって、熟年離婚を減らしつつ、結婚式の需要を高められると思い、ビジネスプランとして提案したのです。これがビジネスコンテストで優勝した当時の、僕の事業プランです。

3つ目は、市場自体の成長性というものは大切にされるとよいと思います。

成長する市場なのか、衰退していく市場なのか?ということも是非考慮にいれてみてください。
少し立ち止まってみてマクロ情報(市場の成長性、政治の動きなど)もチェックするようにしましょう。
また法律が変わるタイミングなどには新しい市場が生まれます。

また、日本は人口が減っていますが、人口が減ることや、高齢化していくことで新しく生まれる、大きくなる市場もあるのです。

たとえば、最近、高齢者による自動車の交通事故が多くニュースでみかけます。このようになると、免許の自主返納の数は増えます。
免許を失った人は交通手段がなくなるので新しい交通手段などの市場が生まれるかもしれません。

お客さまにとってのベネフィットは何か

ベネフィットについて考えるとき、欠かせないのが「自分たちのお客さまはだれなのか」「どのような特徴をもち、どのような嗜好があるのか」ということです。

知っておいて頂きたいのですが、1つの商品、1つのサービスで、すべての人を満足させることはできません。
個々人によって、性格から好みまで、すべて異なっているからです。

だからこそ、自分たちのお客さまにフォーカスする必要があるのです。

僕はコカコーラが大好きですが、僕の奥さんはコカコーラがあまり好きでありませんし、ディズニーランドのことを多くの人は好きでしょうが、嫌いな人もいるわけです。

それにも関わらず、「とにかくベネフィットのある商品・サービスを提供すればいいんだ」と考えてしまうと、ビジネスはうまくいきません。
かつて、高い技術力を誇っていた日本のものづくりは、今、世界市場で大きく遅れをとってしまっています。
その背景にあるのは、マーケティング思考、つまり「自分たちのお客さまに対して価値を提供する」という発想の欠如ではないでしょうか。

自分たちのお客さまがだれなのかを知らずに、ビジネスをすることはできません。
まずは、ターゲットを把握すること。そのうえで、自分たちのお客さまが求めているベネフィットを見つけることです。

まずは、そこからはじめてみてください。

機能的ベネフィットと情緒的ベネフィットの両面からお客さまを決める

お客さまに提供するベネフィットという視点で言えば、「機能的ベネフィット」と「情緒的ベネフィット」があることも、理解しておくべきです。

機能的ベネフィットとは、その商品やサービスそのものにそなわっている価値のことです。
たとえば、原材料、機能、性能、操作性、安全性、サポートなどです。機械や電子デバイスなどは、この機能的ベネフィットによって評価される傾向にあります。

一方で、情緒的ベネフィットとは、その商品やサービスを購入することによって得られる、心理的な満足や効用のことです。
たとえば、高級ブランド品に対する安心感や、所有していることによる周囲からの評価などがあげられます。

このように、同じベネフィットでも、お客さまに与える満足の性質は異なります。
それぞれの違いを把握しておけば、どのような改善が効果的なのか分かるようになります。

自分たちが提供しているベネフィットの種類を知り、どの部分を伸ばすことによってよりお客さまに満足してもらえるのか。
そのような発想から、より商品やサービスの付加価値を高めてみてください。
 

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