改善思考の限界?成果を出したいならイノベーション思考へ

ポイント
  1. 改善だけでは成果は出せないことを知ろう
  2. イノベーション思考とは?
  3. 頭の中のキーワードを変えるだけでイノベーション思考に

目次 [非表示]

ここでは圧倒的な結果を生み出すために、イノベーション思考の話をします。
社会の大きな進歩によって、日本人が得意としてきた改善思考だけでは、結果を出すことに限界がきはじめています。

改善という考え方と、イノベーションという考え方は、経営者だけが知っておくべき話ではなく、全てのビジネスマンにこの2つの考え方とバランスが問われていますので、
イノベーションというと自分とは関係ない断絶しないようにしましょう。

改善とイノベーションの違い

20世紀の人口が爆発的に伸び、需要が圧倒的に供給よりも強い、すなわち、供給が追い付かないような状況においては、サービス・製品などにおいては生産効率がとても重視されたわけです。つくれば売れる時代ですので、いかに効率的につくることができるかがポイントだったわけです。そのため、サービス、製品の生産効率を高めるためには自社はどこで戦うべきかを明確にして、その領域での学習速度を速めることが勝ちパターンだったわけです。これが1つのことをコツコツやる=改善という日本人の得意なこととリンクをして、最強の時代をつくったわけです。

しかし、今、相対的に日本で求められていることは改善でなく間違いなくイノベーションです。これは改善を否定しているわけではありません。相対的な話で改善にしかほぼ比重がないわけなのでバランスを取りましょうという話です。

イノベーションというのは今の延長線でなく新しいものを生み出そうということです。

オーストリアの経済学者シュンペーターはイノベーションを「新結合」と言いました。
新しいものの結合ということです。ニューコンビネーションです。
あんことパンが結合してあんぱんとなり、あんぱんと正義のヒーローが結合してアンパンマンになりました。これがイノベーションです。

ここで言いたいこととしては、新しい商品・サービスを生み出すことだけを指してイノベーションと言っているわけではありません。もっと広い意味で、今より圧倒的な仕事の仕方、成果を生み出すこと全般においての方法論や考え方としてイノベーション的な思考を持ってほしいという意味ですので、自分は商品やサービスをつくっているわけではないので関係ないと思わないでください。仕事の仕方、考え方の話だと思ってください。

多くのビジネスマンがイノベーション思考ができない理由

イノベーションは1つのことをコツコツやっている中ではなかなか生み出されにくいです。

何故ならば、新しいもの同士の結合だからです。
そのため、今までの延長線にはないものとの結合であるわけです。
1つのことをコツコツやるということは、往々にして、新しいものとの出会いがなくなっていきやすいマインドセットになってしまいます。
1つのことをコツコツとなってしまうと1つしかやってはダメだとなってしまいますし、
日本全体の仕組みとしてそのようになると、ものすごい縦割り型の構造となるわけです。
縦割りなので横が繋がらないですし、ましてや立体的な繋がりなどは起きないわけです。つまり新しいものの結合を起こすという動きが取れることがないわけです。

このような構造的な問題を日本社会、会社は持っているということを是非理解しておいてください。

21世紀の社会にあって、構造的に重要な勝ちパターンとして、知識創造の量と質&スピード重視と言われています。より多くの知恵を生むためには、外にどんどんと開き、組織内&外部より人、モノ、金、情報、データが集まってくる環境をつくることが価値そのものになっていきます。つまりどんどん新しい結合を起こしやすい環境を持っていることが何よりも重要になるということです。

20世紀は1つのことを選択してどんどん深掘りしていくことが勝つためのパターンだったわけで、そのときにおいてはとても合理的だったわけです。大切なことはそれはそれで、今、これからがどうなっていくのかを考えて、マインドセットを変えるということです。

イノベーション思考の基本は「今を疑うこと」

イノベーションを別の言い方をすれば、今の考え方ややり方よりももっと簡単に、楽に、お金をかけず、時間をかけずに問題解決する方法はありませんか?ということです。
今を徹底的に疑うことにあります。

日本はとても均質化発想が強く、トップを伸ばすということよりもボトムアップ的な発想がとても強い国であり環境です。学校で横の人と違うことをやるとKY、空気が読めないと言われ、浮いてしまうような社会です。
周りと一緒が正しい世界なわけです。

努力は当たり前に、買ってでもすべきものと教わっています。
努力しないで成功はないというくらいの感覚です。

もちろん努力は絶対に必要です。ただ、このように根強く考えてしまうと努力が必須=準備が必然的に必要、積み上げていくもの、時間がかかる、いつも何かが不足しているというニュアンスをそもそも持ってしまいます。

そのことによって最短最速最小という発想=イノベーション思考がなくなってしまうのです。

最初から何となく努力が必要と思ってしまうと発想として、もっと良い方法を考えることをなくしてしまうわけです。これがとても危険なわけです。

ズルをするわけではもちろんなく、一刻も早くゴールにたどり着けたほうがいいわけですし、そこにエネルギーも、お金も、時間も本来はかからないのであればそれに越したことはありませんよね。

そのための大切な視点がイノベーション的な発想・考え方になります。

イノベーション思考は、問いを変えればよい

イノベーション発想になるためには、今までの問いかけを是非変えてみましょう。
最初から努力が必要という風に思わないで、今後は、どうやったらもっと「最速最短最少で最大最高最適な成果を出すこと」ができるか?を問うようにしてみてください。

どんどん問うてみてください。
「最速最短最少で最大最高最適な成果を出すこと」と。

考えることが変わっていき、行動も変わると思います。

問題解決の方法に固執をしないで、是非、問いを変えてみてください。
問いが固定で変わらないと、やることも変わりません。

今やっていることを10分の1の時間やコストでできないか、
そもそもどうやったら今やっていることをなくすことができるかなど問いを変えてみましょう。

この劇的な成果を出すためには、コツコツ努力するだけでは足りないでしょう。
劇的な成果を生み出すためには、答えを変えるのではなく問いを変えるしかありません。

どこに努力すべきかといえば、目標にたどり着くことを早く見つけることに使うべきです。
努力の矛先を絶対に間違えてはいけません。目標は1つクリアすれば新しい目標が出てきます。これにはきっと終わりはないのだと思います。つまり永久に努力は必要になるのです。どんどん目標のステージを上げることがとにかく大切です。

改善思考で仕事を続けることの限界と失敗の実例

最後に、改善思考で仕事を続けることで生まれた1つのわかりやすい失敗の話をします。
先にも書きましたが、改善思考を否定しているわけでは全くありません。改善思考も仕事をできるようにしていくという意味においては、間違いなく重要な考え方です。ここで言いたいことは、イノベーション思考を相対的に大切にしてほしいということでした。それは、日本人はそもそも改善がとても得意だからです。改善に比重が置かれ過ぎているからです。

日本の強みとして言われることですが、改善がとても得意だと言われます。
改善のことを進歩と言います。また、進歩に似た言葉でイノベーションというものがあります。ただ、進歩とイノベーションは全く違います。

進歩は今の延長線の中で物事を改善していくことです。
イノベーションは今の延長線にない全く新しいものを生み出すということだと思ってください。

この進歩=1つのことをコツコツやるということで世界で1番の経済的な力を誇った時期があるわけです。ただ最近では進歩では問題は解決しないどころか、進歩が行き過ぎてお節介化・コスト化していると言われるようになってきています。

 

人気NO1旅館が陥った改善の限界

たとえば、日本でナンバー1の旅館の1つに石川県の加賀谷さんがあります。
人気旅館ランキングで1位常連の旅館です。
加賀谷さんに限らず、一般的に旅館というのは、部屋に通していただいてから、仲居さんが部屋に良く来られますよね。

ここで少し考えてみてほしいのですが、
加賀谷さんの数年前の話です。
部屋に通されてから1時間で仲居さんが部屋に何回入ってきていたと思いますか?
僕は正直1回も入ってこないでほしいのですが。

正解はなんと8回です。

こんなことあり得ると思いますか?
8回ですよw7分に1回CMが入るような話なわけです。

もちろんお客さんに嫌な思いをさせようと思って加賀谷さんはやっていたと思いますか?
むしろ逆ですよね。お客さんを喜ばせようと思った結果が8回部屋に訪れるということになったわけです。

これは潰れた旅館の話だと思いますが、
日本ナンバー1の旅館のつい数年前の話なわけです。

これは
「できるだけお部屋に伺って、お茶を差し上げなさい」という

加賀谷さんの創業以来、大切な価値観=マインドセットとされていたものに全て由来します。ここから進歩が繰り広げられたわけです。
この価値観を崩さずに、もっと、もっとと考えて、改善をし、進歩を繰り返した結果が気がついたら8回の訪問になっていたわけです。

よくよく考えてみると、この仲居さんの8回の訪問をほぼ全ての人はマイナス、ストレスに感じるわけです。マイナス、ストレスなことをされているわけですが、この仲居さんの8回の訪問にかかる人件費は誰が払っているのでしょうか。お客さんが払っているわけです。

まさにお節介化、コスト化と言われるわけです。

進歩というのは往々にして自己満足的になってしまいますし、そのコストというのはお客さんが負担をします。行き過ぎると最悪の結果になってしまいます。


参考:日経ビジネス
「日本最高峰の旅館はなぜ自問自答するのか
接客サービスの棚卸しが始まった」
2018年1月19日

茶菓子、抹茶、煎茶、浴衣、観光パンフレット──。従来、顧客が到着して部屋に入ると、客室係が一つひとつ、部屋に持っていった。「失礼いたします」と声をかけ正座でふすまを開け、深々と頭を下げてから客室に入る。到着後の対応だけで、客室係が8回程度は客室を訪問していたという。この儀式のような接客は1時間に及ぶこともあった。「できるだけお部屋に伺って、お茶を差し上げなさい」。
これが長年受け継がれてきた理想の接客だ。

日本は本当に進歩が得意なわけです。ただ、あまりにも進歩が行き過ぎてしまい
あらゆるところでこのような異常ともいえることが起きています。

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著者プロフィール

伊藤 健太

伊藤 健太

2009年慶應義塾大学法学部を卒業後に、2010年株式会社ウェイビーを創業。
創業以来、一貫して、中小企業、個人事業主のインキュベーション(成長支援)に従事。
その数1,200社超。「世界を豊かにする経済成長のビジネスインフラを創る」というウェイビーの理念が大好き。
世界経済フォーラムが選ぶ若手リーダー選抜、徳島大学客員教授、スモールビジネス向け書籍7冊出版。