医療、福祉開業するには許認可が必要!?許認可について徹底解説
- 10種類の医療・福祉関係の許認可について
みなさんが病気やケガをしてしまった際に行く病院や診療所。軽いものであればドラッグストアで薬を買うだけで済ませてしまう方もいらっしゃるかと思います。そして、高齢者のための介護施設。これらは全て、医療や福祉に関する法律によって定められた許可が必要になります。
そして「病院と診療所」「薬局やドラッグストア」の区別や、一言で「薬」や「介護施設」と言っても、これらには法律によってさらに区別され、それぞれの定義がされているのはご存知でしょうか?では、医療・福祉に関する許可について、どういったものがあるのか、それぞれの定義も含めて見ていきましょう。
薬事法という法律で、次のように定義されています。
①医薬品
・日本薬局方(医薬品の規格基準書)に載っているもの
・人や動物の疾病の診断、予防、治療のため使用することが目的のもので、機械器具等でないもの(医薬部外品を除く)
・人や動物の身体の構造、機能に影響を与えることが目的のもので機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品を除く)
例として、医師が処方する薬や、薬局で売っている風邪薬等です。
②医薬部外品
・吐き気等の不快感、口臭や体臭の防止
・あせも、ただれ等の防止
・脱毛等の防止、育毛や除毛
・害獣、害虫の駆除や防止
なおかつ、人体への作用が緩和なもので、医療器具等でないものです。
例として、歯磨き粉や制汗スプレー等です。
③化粧品
人の身体を清潔にすることや、容貌を魅力的にすること、皮膚や毛髪を健やかにするために、人体へ塗擦・散布する等の方法で使用することが目的のもの。例として、ファンデーション等のメイクアップ用品の他にも、石鹸やシャンプー等もあげられます。
④医療機器
人や動物の疾病の診断・予防・治療や、体の構造・機能に影響を与えることを目的とする機械器具です。例として、メガネ、体温計、マッサージ器等があげられます。
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療器具の製造販売業を行うには、各都道府県に申請し、各都道府県知事の許可を取得しなければなりません。この許可を取得するには、いくつかの要件を満たしていなければなりません。
では、その要件を見ていきましょう。
①医薬品
・申請者が薬事法で定められた欠格事由に当てはまらないこと
・品質管理についての基準(GQP)、販売後の安全管理についての基準(GVP)を満たしていること
・総括製造販売責任者、品質保証責任者、安全管理責任者という、品質管理や安全管理等の責任者を置くこと
そして、②医薬部外品、③化粧品、④医療機器の要件ですが、この3種類の要件は、①の医薬品と比べて幾分緩くなっています。
・申請者が薬事法で定められた欠格事由に当てはまらないこと
・品質管理についての基準(GQP)、販売後の安全管理についての基準(GVP)を満たしていること
・総括製造販売責任者を置くこと
①事前相談
品質管理、安全管理の基準等についての相談、確認を行います。
②業者コードの登録
申請者や事務所に業者コードという12桁の管理番号を登録します。
③申請
製造販売許可の申請書と添付書類等を提出し、申請手数料を支払います。
④審査
要件を満たしているか、審査を行います。
⑤許可証の交付
審査を行い、要件を満たしていると判断された場合、各都道府県知事の許可がおり、許可証が交付されます。
医薬品の定義は項目1-1の①にある通りですが、医薬品は大きく分けて2種類に区別されます。医師の診断と処方が必要な「医療用医薬品」と、処方箋がなくてもドラッグストア等で購入できる「一般用医薬品」です。
さらに一般用医薬品は、薬の効き目とリスクの高さの順に、
・要指導医薬品(処方箋は不要だが、薬剤師の説明を受け、使用者本人が購入)
・第1類医薬品(処方箋は不要だが、薬剤師の説明が必要)
・指定第2類医薬品
・第2類医薬品
・第3類医薬品
以上の5種類に分けられます。
医薬品の販売方法も数種類に分けられます。
①薬局
常駐の薬剤師が調剤を行う場所です。
しかし病院や診療所内の調剤所は含みません。
「調剤薬局」をイメージして頂ければわかりやすいかと思います。
医療用医薬品と一般用医薬品の両方を取り扱えます。
②店舗販売
ドラッグストアや薬屋のことで、調剤は行いません。
一般用医薬品のみ取り扱えます。
③配置販売
販売員が各家庭を訪問し、薬箱を配置します。
その次の訪問時に使用した分を集金する販売方法です。
④卸売販売
病院や薬局等の医療機関に販売する方法です。
一般消費者への販売はありません。
医薬品の販売を行うには保健所の許可を取得しなければならないのですが、
・厚生労働省の定めた店舗の構造設備や販売体制の基準
・薬剤師、登録販売員、販売管理者等の配置
・申請者が欠格事由に当てはまらない
などの要件を満たしていなければなりません。
それでは、流れを見ていきましょう。
①事前確認
保健所に、提出書類や要件事項等の確認をします。
②提出書類の作成・準備
申請書や添付書類(店舗の見取図や各届出等)の作成を行います。
③申請
保健所に申請します。
書類の提出と手数料(30,000~35,000円程)を支払います。
④書類審査と実地調査
書類審査を行い、保健所の担当者が店舗の構造設備を確認します。
⑤許可証の交付
書類審査・実施調査を行い、要件を満たしていると判断された場合、許可がおり、許可証が交付されます。交付までは数日かかります。
許可証は店舗の見やすいところに掲示します。
許可の有効期限は6年になります。
薬局の定義は上記の項目2-2にあります。
薬局を開設するためには、その地域を管轄している保健所で許可申請の手続きを行いますが、許可を取得するためには法で定められた基準(要件)を満たしていなければなりません。
薬局開設の要件がどういうものなのか見ていきましょう。
①構造設備
薬局の面積や、薬局内の換気・明るさなどの設備、室内の構造等についての要件です。
②業務体制
常駐し調剤を行う薬剤師の設置、従業員数や勤務時間、医薬品の種類別の販売体制、器具等についての要件です。
③申請者
申請者は、法令で定められた「欠格事由」に該当していないことがあげられます。
以上の要件ですが、詳細は各都道府県又は市区町村のウェブサイトであげているところもあるようです。
手続きの流れを見ていきましょう。ここでは東京都を例に挙げています。
①事前相談・確認、工事着手
各都道府県の保健所で、要件等の確認・相談を行います。
簡単な薬局の図面を持参します。
その後に薬局の工事を行います。
②書類作成・準備
申請時に提出する以下の書類を作成します。
・申請書
・薬剤師や従業員に関する書類等
・平面図や登記事項証明書等の店に関する書類
・勤務表等の業務体制に関する書類
③申請
上記の書類を提出し、申請手数料34,100円を支払います。
④書類審査と構造・設備の確認
書類の審査の後、保健所の担当者が営業所の構造・設備の確認を行います。
⑤許可証の交付
書類審査と構造・設備の確認を行い、要件を全て満たしていると判断された場合、許可がおり、許可証が交付されます。
許可証は保健所で受け取る形になります。
病院と診療所、そして助産所ですが、法令で以下のように定義されています。
①病院
・医師又は歯科医師が診察、治療を行う施設
・入院施設(ベッド)の数は20人以上
②診療所
・医師又は歯科医師が診察、治療を行う施設
・入院施設なし、又は19人以下
病院と診療所の違いは「入院施設の数」になります。
そして助産所は次のようになります。
③助産所
・助産師が助産を行う施設
・入所施設(べッド)の数は9人以下
上記の施設を開設するには、その地域を管轄する各都道府県の保健所の許可が必要になります。そしてその許可を取得するには、法律で定められた要件を満たしていなければなりません。
主に、
・施設又は施設内の部屋の面積や区切り等の構造に関して
・薬の保管や、入院施設、医療器具、換気や明るさ、清潔面を保持するための設備等に関して
・医師や助産師等の従業員に関して
以上のような要件が定められています。
要件に関しては、各都道府県のウェブサイトにあげているところもあるようです。
申請の流れを、東京都を例に見ていきましょう。
①事前相談・確認
保健所で、要件や提出書類の確認を行います。
②書類作成
申請書とその他添付書類(法人に関するもの、施設に関するもの、申請者・従業員に関するもの、業務体制に関するもの等)の作成します
③申請
上記の書類を提出し、申請手数料18.000円を支払います
④書類審査・許可証交付
書類審査を行い、要件を満たしていると判断された場合、許可証が交付されます。
⑤開設届・施設検査
施設が整い、診察を開始できる状態になり次第、開設届を提出します。
その後、保健所の担当者が施設の検査を行います。
⑥その他手続き・診察開始
社会保険等に関する手続きをした後、病院としての業務を開始することが出来ます
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