医療、福祉開業するには許認可が必要!?許認可について徹底解説

ポイント
  1. 10種類の医療・福祉関係の許認可について

目次 [非表示]

5. 指定居宅介護支援事業者(ケアマネジメント)

5-1. 指定居宅介護支援事業者とは

介護保険等の法令を基にした基準を満たし、これに基づいた支援を行うことができるということを、各都道府県が指定した事業者のことです。
介護支援専門員(ケアマネージャー)とよばれる人が、居宅介護(訪問し食事や入浴、掃除や洗濯等の介護を行うこと)の計画を作成し、その計画に基づいて各介護サービス事業者に連絡や調整、要介護認定者やその家族と介護サービス等の相談を行います。

5-2. 事業の許可(指定)と要件

事業を行うには、各都道府県の指定が必要になります。この指定は、要件(定められた基準)を満たしていなければなりません。
要件は、
・管理者や介護支援専門員等の「人員に関する要件」
・事務室や相談室等の構造、事業上必要な設備や備品等の「設備・構造に関する要件」
になります。

5-3. 申請の手続きと流れ

それでは指定までの流れを見ていきましょう。手続きと流れは、都道府県によって異なる点があります。

ここでは東京都を例にあげています。
事前確認(任意)
申請時の提出書類や、人員や設備・構造の要件等の確認を行います。

申請予約・書類作成
申請は予約制を取り入れている都道府県も多いようです。
そして以下の書類の作成を行います。
・申請書
・登記事項証明や役員名簿、勤務体制や形態、役員名簿や従業者の資格証などの、法人・人員に関する書類
・事務所の構造等がわかる図面と写真等の構造・設備に関する書類

研修
指定前研修を受講します。

指定申請
申請を行います。
上記の書類を提出します。

審査・指定・業務開始
書類を基に審査をします。
そこで基準を満たしていると判断された場合、指定書が交付され、業務を開始することが出来るようになります。

6. 指定居宅サービス事業者(居宅サービス)

6-1. 指定居宅サービス事業者とは

指定居宅サービスとは、各都道府県の指定を受けた事業者が、要介護者の自宅に訪問し介護・看護・リハビリ、デイサービスセンターといった施設に通所させ日常生活のケア等のサービスを行う事業になります。
上記を含めて、
・訪問サービス(自宅に訪問し、生活のケアや看護等のサービスを提供)
・通所サービス(福祉施設に通所させサービスを提供)
・短期入所サービス(福祉施設に短期間入所させサービスを提供)
・住まいサービス(福祉施設に入所させサービスを提供)
・環境整備サービス(車いす等の器具の貸し出し、自宅のバリアフリーへの改修工事費を一部支給等)
の5種類があります。

6-2 事業の許可(指定)と要件

これらの事業を行うためには、各都道府県の指定が必要になります。
この指定は、要件(定められた基準)を満たしていなければならないのですが、
サービスの種類、そして各都道府県で異なる点があります。
要件については、
・事業を行うのは法人であること
・管理者や有資格者等の人員について
・事務室や相談室等の構造や設備について
・運営の体制について
等が共通してあげられます。

6-3. 申請の手続きと流れ

では、指定までの大まかな流れを見ていきましょう。
ここでは東京都を例にあげています。準備から指定まではおおよそ3か月ほどかかります。
指定前研修の受講(3か月前)
研修を受講します。
ここで法令や申請手続きの確認を行います。

書類の作成・準備
指定申請書、その他サービス別の添付書類(事務所の構造、人員、運営に関する書類等)を作成します。

申請(2か月前まで)
上記で作成した書類を提出します。

審査(1か月)
提出した書類を基に審査を行い、事務所内の構造・設備についても担当者が確認を行います。
審査には1か月ほどかかります。

指定
審査で、基準に達していると判断された場合、指定書が交付されます。

7. 指定介護予防サービス事業者(介護サービス)

7-1. 介護予防、介護予防サービスとは

介護予防とは、高齢者の方に対して「要介護状態になるのを防ぐ、極力遅らせる」、「介護が必要な場合は状態悪化を防ぎ、改善を図る」ということを指します。介護予防サービスは上記を目的とした、食生活の改善や、運動やリハビリ等を行い運動能力の低下防止等とったサービスを提供することです。
上記の項目6-1にある、訪問や通所等のサービスの形態の一つになります。

7-2. 事業の許可(指定)と要件

この事業を行うには、各都道府県の指定が必要になります。
指定には要件を満たしている必要になります。
要件の種類は上記の項目6-2とほぼ同様のものです。
・事業を行うのは法人であること
・管理者や有資格者等の人員について
・事務室や相談室等の構造や設備について
・運営の体制について
以上の要件になります。

7-3.申請の手続きと流れ

この手続きも、上記の項目6-3と同様です。東京都を例にあげています。
指定前研修の受講(3か月前)
研修を受講します。
ここで法令や申請手続きの確認を行います。

書類の作成・準備
指定申請書、その他サービス別の添付書類(事務所の構造、人員、運営に関する書類等)を作成します。

申請(2か月前まで)
上記で作成した書類を提出します。

審査(1か月)
提出した書類を基に審査を行い、事務所内の構造・設備についても担当者が確認を行います。
審査には1か月ほどかかります。

指定
審査で、基準に達していると判断された場合、指定書が交付されます。

8. 指定介護保険施設(施設サービス)

8-1. 指定介護保険施設とは

指定介護保険施設とは、要介護の認定を受けた人を対象にした施設で、介護保険法等の基準を満たしており、それに基づいたサービスを行えるということを各都道府県が指定した施設になります。
施設には以下の3種類があり、それぞれ提供するサービスに違いがあります。
・介護老人福祉施設(介護施設)
・介護老人保健施設(リハビリ中心)
・介護老人療養型医療施設(長期入院して療養)
しかし、平成29年6月現在、厚生労働省は2017年度末に介護老人療養型医療施設を廃止し、それに代わる施設の計画を国会に提出しています。

8-2. 事業の許可(指定)と要件

この指定の要件も上記の項目6-2、7-2と近いものがあります。
・厚生労働省で定められた、管理者や有資格者等の人員の基準
・厚生労働省で定められた、事務室や相談室等の構造や設備の基準
・運営の体制について

8-3. 申請の手続きと流れ

手続きですが、項目8-1の下線部分のことがあり療養型医療施設の数も減少してきているため、ここでは介護老人福祉施設と介護老人福祉施設の手続きを見ていきます。
この手続きも上記の項目6-3、7-3と同様です。
指定前研修の受講(3か月前)
研修を受講します。
ここで法令や申請手続きの確認を行います。

書類の作成・準備
指定申請書、その他サービス別の添付書類(事務所の構造、人員、運営に関する書類等)を作成します。

申請(2か月前まで)
上記で作成した書類を提出します。

審査(1か月)
提出した書類を基に審査を行い、事務所内の構造・設備についても担当者が確認を行います。
審査には1か月ほどかかります。

指定
審査で、基準に達していると判断された場合、指定書が交付されます。

9. 指定地域密着型(介護予防)サービス事業者(地域密着型サービス)

9-1. 指定地域密着型サービス事業とは

指定地域密着型サービス事業とは、認知症高齢者や要介護高齢者等が住み慣れた地域で生活を送ることを目的とした、法律に基づいたサービスを提供する事業です。
このサービス特徴は、
・事業者の指定は市区町村が行う
・原則として市区町村の被保険者のみが利用できる
・地域住民と交流が持てるような立地
があげられます。
そしてサービスの種類は上記の項目6-1であげたものと近いですが、
夜間や臨時の際の緊急コールへの対応・訪問、少人数制の介護施設等といった、より柔軟なサービスの提供が可能です。

9-2 事業の許可(指定)と要件

上記の項目6-2と同様です。
・管理者や有資格者等の人員について
・事務室や相談室等の構造や設備について
・運営の体制について

9-3.申請の手続きと流れ

上記の項目6-3と同様です。東京都を例にあげています。
指定前研修の受講(3か月前)
研修を受講します。
ここで法令や申請手続きの確認を行います。

書類の作成・準備
指定申請書、その他サービス別の添付書類(事務所の構造、人員、運営に関する書類等)を作成します。

申請(2か月前まで)
上記で作成した書類を提出します。

審査(1か月)
提出した書類を基に審査を行い、事務所内の構造・設備についても担当者が確認を行います。
審査には1か月ほどかかります。

指定
審査で、基準に達していると判断された場合、指定書が交付されます。

10. 介護付き有料老人ホーム

10-1. 介護付き有料老人ホームとは

介護付き有料老人ホームとは、介護が必要な方の、食事等の健康管理や、掃除洗濯、入浴等のサポートを行い、自宅の代わりに生活していけるサービスを提供する入所施設です。
また、運動機能維持のためのリハビリや、検温・血圧チェック等の医療行為も行われています。
基本的に民間事業が運営し、24時間体制のサービスを行います。

10-2. 事業の許可と要件

介護付き有料老人ホームの開設には、各都道府県の許可が必要になります。
許可を取得するには、以下の要件を満たしていなければなりません。
・設立する場所の条件
・施設内の設備や構造等についての基準
・管理者や看護職員等の人員に関する基準
・運営に関する基準

10-3. 申請の手続きと流れ

では、手続きの流れを見ていきましょう。
事前協議・書類提出
市区町村、都道府県と協議をし、事前相談計画書類を提出します。
この書類は、
・事前相談計画書
・法人に関する書類(登記事項証明書、役員名簿等)
・施設に関する書類(図面、構造・設備概要等)
等になります。

建築確認申請
事前協議の後、都道府県から設立許可が出たら、建築確認申請を行います。

有料老人ホーム設置届出
都道府県に設立の届出を行います。
この際に、
・事前相談結果通知書
・法人に関する書類
・運営に関する書類
・施設の管理や構造設備に関する書類
などを提出します。

特定施設入居者生活介護指定申請
介護付きの有料老人ホームの場合、この指定を受けなければなりません。

開設
申請後、指定を受けた場合、開設することが出来ます。

11. まとめ

医療・福祉に関する許可を見てきましたが、いかがだったでしょうか。みなさんの健康な生活を守るために、様々な基準が定められているのが、お分かりいただけたかと思います。

言い方をかえれば、それだけ安心・信頼して利用できると思います。医療・福祉に関する許可はこれが全てではありませんが参考にしてみてください。

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