3年悩んでのはじめての資金調達。約1億円の資金調達を実施してわかったこと

ポイント
  1. 資金調達を躊躇していた2つの理由
  2. 誰から投資を受けるのか?VCか個人投資家か
  3. 資金調達の動きの中で人として一番大切なことの足りなさに気が付く

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「14日、本社で事業計画を説明する筆者」


今回総額約1億円の資金調達を実施させていただきました。詳細はこちらより。資金調達に対してはとてつもなく悩みました。やったほうがよいのか、そうでないのか。

やる、やらないの躊躇から、やろうと思った理由、実施をしてみての気づきを書きます。(投資を受けることが良い、悪いなどという話ではありません。)

資金調達を躊躇していた2つの理由

資本金5万円で会社をはじめ、何もできない自分達の力のなさを痛感しながら、お客さんにもご迷惑をかけることもあり、「会社とは、事業とは何なのか?」ということを、まだまだ圧倒的に未熟ですが、7年考えてまいりました。もともと僕の病気をきっかけに創業をしたのがウェイビーです。「世界に良い波を起こす」このために会社を、事業をはじめました。

世界にどれだけ良い波をこの7年で起こせたのか?といつも考えていますが、考えるまでもなく、大海に目薬一滴すら、させていないと思っています。ここまで自己資金を基軸に会社をやってきました。本当に皆さんの圧倒的なお力添え、ご協力があってこその会社です。

地道に会社をやっている中で、実はこの3年間くらい、ずっと資金調達(エクイティーファイナンス)のことを考えていました。3年間も何に悩んでいたのかというと、1つは中途半端な規模の資金調達であれば、自分達のキャッシュフロー(売上・利益)を伸ばしていけばよいのでは?と思うと、結局躊躇をしていました。

(キャッシュフローを伸ばすというのは、理屈であって、思うは易しで、計画しても実現しないこともあるわけです。その場合、計画が崩れてしまいます。また僕たちの場合には、7年会社をやっていてキャッシュフローがあるため、このように考えてしまったということです。投資を受けるということとキャッシュを伸ばしていくということは、本来全く違う目的だと思います。)


しかし、「世界に良い波を起こす」この目的から逆算すると、このままのやり方では到底ダメであって(7年やって今の結果なので)、何かを全て変えないといけないと思い、それっぽい正当化した自分の考えなども変えないといけないと思い、資金調達をしようと決めました。(何十回もやろうと決めては、やめようと、繰り返し、今回の資金調達にいたりました。)


もう1つ振り返ってみると、資金調達を躊躇していた理由がよくわかりました。それは、結局は自分の覚悟がなかったんだと思います。本当にできるのか?自信がなかったのかもしれません。この3年間での自分の中で大きな成長がありました。

会社の目的=使命がクリアになったこと、目的までの目標も大分クリアになったこと、目的や目標などを実現できると大きく確信したことがあります。
このことがずっと躊躇していた資金調達をやろうと思った最大の理由でした。
 

誰から投資を受けるのか?VCか個人投資家か

さて、今回の資金調達にあたっては、まずVC6社とMTGをスタートしました。

今から1年以上前の話です。6社のうち2社は最終的に投資OKというところまで進みましたが、今回はVCからの資金調達はやめました。VCの皆さんとのMTGの中で、自分の考えの狭さをとても痛感し、MTGの度に事業計画のPDCAを回しました。

本当に的確という言葉以上の、僕や会社の欠点を客観的に指摘くださり、いつもお客さんに申し上げている、壁打ち相手や、メンターといった存在の重要性を肌身を持って体感しました。VCとは本当に素晴らしい存在だなと思いました。僕たちもこれからVC事業を本格的にやっていこうと思いました。(2018年中にサービスリリース予定)


一応、VCからの投資をやめた理由ですが、1つ目は、資金調達の金額の問題。2つ目は、資金を得ること以上に「新しい仲間をつくる」ことに意味を感じたためでした。(ただ今となってはVCもとんでもない仲間であるというふうに思っています。当時もそのように思っていましたが、VCとのMTGをスタートした1年前と今では全くVC自体の捉え方も変わっています。本当に素晴らしい存在だと思っています。)

資金調達については、経験者の方はじめVCの友人などから話を聞き、どうするのがよいのか?セオリーはあるのか?と自分なりに最大リサーチしましたが、人によって、良い悪いではなく、全く反対のことを言われ、どうしようかな?と悩んだ時期もありました。VCからの投資のほうがよく、個人投資家はやめたほうがよいとか、その逆もです。資金調達の金額もそうですし、バリエーションもそうです。相談する人によって全く違うアドバイスをいただきました。

いろいろな考え方があるので、仕組などを理解した上で、また、一般的にVCや個人投資家による投資の違いなどを理解しつつ、会社や代表の性格などに合わせて決めると良いんだと思います。VCとの話を進めながら、個人投資家や事業会社にお願いしようと思うようになっていきました。そこから投資をしていただきたいと思った方々にアポをお願いし、説明に伺いました。
 

資金調達の動きの中で人として一番大切なことの足りなさに気が付く

今回の資金調達の動きの中で、とても嬉しかったことがあります。投資をお願いしたすべての方が、二つ返事で「投資するよ」と言ってくださったことです。

「伊藤君たちが何かをやるのであればもちろん協力するよ」
「事業がうまくいくかなんてわからないけど、人へ投資をします」

嬉しいときにあまり感情を表に出せないのが、僕の悪いところです。投資家の方々にこのように言われたときも、淡々とありがとうございます、と言った記憶があります。
でも、内心はこんな嬉しいことはないと思っていました。本当にありがたい気持ちでいっぱいでした。

人生において大切にしないといけないことを、資金調達を通じて改めて、一層理解しました。というよりも、理解度が圧倒的に弱かったと思っています。

全てはやはり信用なんだということ。絶対に人との関係は大切にしなくてはいけないと思いました。(このブログを書きながら、「あー、全然できていない」とこの瞬間も反省しています。)


また、資本金5万円でスタートをし、創業メンバー全員借金を積み上げていた中、創業から7か月売上が全くなく、はじめてお客さんにいただいた2万5千円の報酬が今も忘れられません。圧倒的な赤字の中、あまりにも嬉しくて、創業メンバーで回転ずしに行き、いただいた報酬のほとんどを使ってしまったのが本当に良い思い出です。

そのようなこともあり、今回投資家の方々よりお振込みをいただいたときには、その重みをずしんと感じました。お金とはただの紙ですが、誰かの血のにじむような努力の結果であり、ある意味、命のようなものと捉えています。(お金が全ての結果ではもちろんありません。)

お金自体に価値があるわけではなく、その背後のものを考えると、お金を投資いただくことの重さ、お金とは何なのかということをとても考えさせられました。世界に少しでも良い波を起こすべく、投資いただいたお金を大切に使わせていただきます。

最後に

投資家の方ももちろんリスクを承知で引き受けをしてくださっています。投資家の方に投資のリターンを出すことは当たり前です。「投資家とは仲間なのか?」というふうに思われる方もいるかもしれません。いろいろな考え方があると思いますし、フェーズによって変わっていくかもしれません。
会社法の解釈や、投資家それぞれの解釈も違うと思います。

僕たちは投資家=株主という仲間であり、でもお目付け役でもあると思っています。誰のために会社はあるのか?と言えば、会社法では、株主です。間違いなくそうだとある意味で思いますが、会社はお客様や社会のものだというのが今の僕の考えです。まだたったの7年ちょっとの会社ですが、何故会社が今あるのかといえば、紛れもなくお客様はじめ、社会のおかげです。

世界に良い波を起こすことが、結果として、投資家の方々のリターンにも繋がると思っています。偉そうにいろいろと書きましたが、まだまだ何もはじまってもいない会社です。何もできていません。しっかりと会社の使命に向かってやっていきます。


皆さん、引き続きいろいろなアドバイスやお力添えを是非ともよろしくお願いいたします。

株式会社ウェイビー代表取締役社長
伊藤健太

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著者プロフィール

伊藤 健太

伊藤 健太

2009年慶應義塾大学法学部を卒業後に、2010年株式会社ウェイビーを創業。
創業以来、一貫して、中小企業、個人事業主のインキュベーション(成長支援)に従事。
その数1,200社超。「世界を豊かにする経済成長のビジネスインフラを創る」というウェイビーの理念が大好き。
世界経済フォーラムが選ぶ若手リーダー選抜、徳島大学客員教授、スモールビジネス向け書籍7冊出版。