フランチャイズオーナーが知っておきたい労務関係の基礎知識~勤務条件編~

ポイント
  1. 未納社会保険料延滞金利率や未払賃金の延滞利息は非常に高率
  2. 同一労働同一賃金を意識しよう
  3. 就業規則作成が必要になる従業員数は…

目次 [非表示]

1.3待遇について

昨今、政府主導で「同一労働同一賃金」の取り組みが進められているのはご存知でしょうか。

これは、正社員とアルバイトがいる職場において、同じ質の労働を行っている際、賃金や教育研修など労働者への待遇について、雇用形態の違いをもって差別的な扱いをしてはならないという考え方です。
詳しくは以下のリンクに記載しています。

同一労働同一賃金
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html

2017年12月現在では事業主の「努力義務」となっていますが、今後法律で義務化され、罰則が設けられる可能性も否定できません。逆に、アルバイト・パートの正社員への転換や賃金テーブルを同一化するなど積極的に同一労働同一賃金に取り組む企業に関しては助成金が支給されることとなっています。

キャリアアップ助成金

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

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人を雇うときに知っておきたい助成金一覧【総まとめ】

1.4勤務条件の文書化について

「常時10人以上の労働者を使用する」事業所は就業規則を作成して所轄の労働基準監督署に届出をしなければなりません。

就業規則には以下のようなことを盛り込みます。

(必ず盛り込まなければならない事項)
·始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇など
·賃金の計算及び支払の方法、賃金の計算期間
(平たく言えば、「時給単価や〇〇日~△△日の分の賃金をXX日に銀行振込で支払います。」といった事項。)
·退職に関する事項(解雇事由も含む)

上記のほか、退職金に関する事項、食事や作業用品の負担、職業訓練に関すること賞与に関することなどを盛り込むことができます。

なお、「賃金」という言葉は「労働基準法」という法律上での用語で、給料や手当、賞与など労働の対価として労働者に支払うものの総称です。賃金の支払いに関しては以下のようなルールがあります

✔通貨払いの原則
→現金で支払うこと。(金券とかではダメ)
✔直接払いの原則
→労働者本人に払うこと。(労働者の家族とかではダメ)
✔全額払いの原則
→今月分を来月以降に…というのはダメ
✔毎月1回以上払いの原則
→3ヵ月まとめて払うのはダメ
✔一定期日払いの原則
→毎月特定の日に支払うこと。「ある時払い」ではダメ。

なお、就業規則に関しては特段の定めがなければ、正社員とアルバイト・パートは同様の扱いがなされます。

正社員用、アルバイト・パート用とで分けて就業規則を設けること自体は認められていますので取り扱いを分けたいときには別途アルバイト・パート用の就業規則を設けなければいけません。ただし、その場合でも先ほどの「同一労働同一賃金」を意識する必要があります。

以上、「就業規則」について触れましたが、仮に就業規則を作成していない場合においても、アルバイト・パートを採用する場合には、時給はもちろんのこと昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無などを採用時に文書で説明しなければならないことになっています。

そもそも、「雇用契約書」を交わしていない事例も多かったかと思いますが、近年はアルバイト・パート労働者を保護するための規制が強化されていますので、注意が必要です。

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