ものづくり補助金とは何か?設備投資に是非活用しよう①

更新日:2017.12.28

この記事は、8分で読み終わります。
ポイント1:補助金、助成金の違いがわかる!
ポイント2:申請の仕方、専門家との付き合い方がわかる!
ポイント3:どんな人が申請できるのかわかる!

ものづくり補助金って?

 皆様、「ものづくり補助金」はご存知でしょうか。ものづくり補助金は、設備投資によって業績を高めたいと考えている中小企業が、設備投資資金の一部について、国から返還不要の「補助金」を受け取れる制度です。

 ものづくり補助金の制度は平成24年度にスタートした制度で、毎年少しずつ姿を変えながら中小企業の設備投資をサポートしてきました。例年であれば、公募(募集)が11月頃に始まるのですが、今年は衆議院の解散総選挙が10月にあった影響で公募開始時期が来年2月になると一般的に言われています。

企業にとって設備投資は、事業の拡大において必要不可欠なものである一方、資金的余力の乏しい中小企業においては大きなリスクも伴う重要な意思決定になるかと思います。そうした中小企業にとって「ものづくり補助金」は、事業拡大ための非常に強力な資金調達手段であると言えるでしょう。

しかし、一方で国からもらう補助金は当然ながらあなたも含めた国民の税金が財源となっている訳ですから、守らなければならないルールも多数存在しています。また、詳しくは後ほど述べますが、設備投資を行ったからと言って誰でも当然に受け取れるものではありません。今回から4回にわたって「ものづくり補助金」の制度の概要、採択を受けるためのコツ、ものづくり補助金と同時に申請した方が良い事業計画や助成金などについて説明していきたいと思います。


こちらも合わせてお読みください。
資金調達を制する者が起業を制する!?種類、方法、メリットなどまとめました。

ものづくり補助金とは

補助金と助成金の違い(補助金概論)

まず一番最初にご理解いただきたいのは、「補助金」「助成金」は似て非なるものであるということです。どちらも国や地方公共団体から一定の資金援助を受けるという性質は同じであるため、両者を混同してしまっている方をよく見かけますが、まずはこれらの違いから説明したいと思います。公的機関から資金的な援助がもらえるという点ではどちらも同じのように思えますが、補助金と助成金には以下のような違いがあります。

両者を比較した際に一番着目していただきたいのは受給要件の部分で、助成金が一定の条件を満たした場合必ず受給できるのに対して、補助金は一定の選定基準に基づき、応募者の中から選ばれた事業主のみが受給できるという点です。また、補助の目的についても助成金が採用・研修・労働環境の改善といった、ビジネスを進めていく上で必要な資源である「ヒト」に関するものであるのに対して、補助金は新技術の開発、販路開拓、新商品・サービスといった「ビジネスそのもの」が評価の対象となるという点が大きな違いです。

補助金を受給できる対象になる事業

「ものづくり補助金」もその名が示す通り「補助金」であるので、設備投資を行うことをもって補助の対象となる訳ではなく、その設備投資によって如何に新しいビジネスや既存のビジネスの効率化を図っていくかということで、補助金が受給できるか否かが決まってきます。ですから、「ものづくり補助金」は一種の「ビジネスコンテスト」であると言えます。この点は大前提として押さえておく必要があります。

こういったことなので、「補助金使って設備投資したいな」という発想ではダメで、「こういう設備投資ならビジネスがこのように発展していくので、ものづくり補助金の趣旨に沿うものだから補助金申請してみようかな」という発想でなければ、応募してもまず受給者として採択されませんから、ご留意ください。

補助金、助成金についての専門家の関与

社会保険労務士

また、補助金、助成金申請についての専門家の関与についても触れておきたいと思います。助成金の申請に関しては、申請者は一定の受給要件を満たしているかどうか確認しながら、相当のボリュームのある必要書類を作成していきます。申請書の作成にあたっては、申請者自ら行ってもよいし、無資格者の第三者に委任してもよいのですが、申請代行を数多くこなしている社会保険労務士に依頼するのが無難であると思われます。

特に、キャリアアップ助成金などは過去に不正受給が社会問題となったこともあり、申請者自ら申請すると、受理されるまで申請書の提出先である労働局とのやりとりが長引くことが多いのに対して、社会保険労務士に申請代行をお願いするとあっさりと受理されたなんて話をよく耳にします。

一方で補助金に関しては、申請にあたって商工会や商工会議所などの公的機関の支援が必要なものがあります。こと「ものづくり補助金」に関して言えば、経営革新等支援機関(通称「認定支援機関」)が申請書に添付する事業計画書の内容について、一定の実現可能性があるか否かどうかを確認し、申請書にハンコをつくことで申請が可能になります。

金融機関

認定支援機関には、金融機関、地域の商工会や商工会議所、公認会計士、税理士、中小企業診断士などが登録しています。経営者の方々は熱い気持ちをもって設備投資によりビジネスの拡大に取り組む訳ですが、それを具体的に数字に落としこみ、第三者が客観的にみて実現可能性を納得できるような形にするのは一定のスキルが必要です。特に補助金の対象が新規ビジネスに関するものであれば、製品やサービスのニーズに関する市場調査や広報活動といったマーケティングのスキルがなければ実現可能性のある事業計画書は書けません。ですので、専門家のサポートが必要となってくるのです。サポートをしてくれる先として一番多く活用される認定支援機関は金融機関です。

理由の詳細は後ほど述べますが、ものづくり補助金を受けるのに際して、設備投資に関する借入が必要な場合が多いため、金融機関にとってもものづくり補助金を活用して設備投資をしてくれることは、融資の実績作りにつながりメリットのあることなのです。ですので、金融機関にはものづくり補助金のサポートをすることにインセンティブが働くため積極的に申請を応援してくれるはずです。

商工会、商工会議所、独立中小企業診断士

ただし、すべての金融機関がそうであるとは限りません。金融機関によっては中小企業診断士の資格をもった企業支援の専門職員や商工会・商工会議所のOBなどを抱えて積極的に取り組んでいるところもありますが、信金・信組レベルだとそうした専門的スキルをもった行員が不足しているところもあり、そうした場合には金融機関以外のところにサポートをお願いすることになると思います。

具体的には商工会、商工会議所、独立中小企業診断士(「独立中小企業診断士」という資格は世に存在していませんが、中小企業診断士で経営コンサルタントとして独立している人の割合は有資格者全体と比較するとごくわずかなので敢えてこう呼びます。)などにお願いすることになるかと思います。個人的には経営者の一番身近なところにいて、ビジネスの数字を見ている会計士・税理士が専門家として力を発揮すべきだと思いますが、「コンサル能力のある会計士・税理士は全体の1割にも満たない」と、とある税理士団体の幹部が自嘲的につぶやいているぐらいですから、あまり期待はできないかもしれません。

顧問会計士・税理士

しかし、御社の顧問会計士・税理士が認定支援機関であり、かつ、コンサルスキルを持っている先生であればこの方に依頼するのが一番良いかと思います。なぜなら、次回以降説明しますが、ものづくり補助金に限らず補助金全体に関して言えることで、補助金は採択されたあとの事務処理が大変であり、経理処理も独特の工夫が必要になってくるからです。

金融機関や商工会・商工会議所、中小企業診断士は採択までは応援してくれるかもしれませんが、事後の事務処理までとなるとそこまで手を回してくれる先は少ないでしょうし、経理の話も絡んでくるので、どうしても顧問会計士・税理士の協力が必要になってきます。であれば、最初から会計士・税理士に頼んでしまえれば手っ取り早い訳です。御社の会計士・税理士が補助金に強い方であればラッキーですね。

申請に関する専門家の立ち位置

あと、誤解をしてほしくないのが申請に関する専門家の立ち位置です。助成金は専門家が「申請代行」してくれます。助成金の種類によっては就業規則の見直しや評価制度の見直しなどが必要な場合もあり、コンサルも同時にしてくれる専門家もいますが、基本的には「書類作り」のお手伝いです。一方で、補助金は専門家が申請のお手伝いをしてくれ、「書類作り」といえば「書類作り」であることには変わりがないものの、「申請内容そのものについては申請者のもの」であるという点です。

説明がわかりづらかったと思うので、具体的に言うと、補助金申請は補助金の対象となるビジネスを数値計画に落とし込んで行います。従って、貴方のビジネスですから、それを自分の言葉で説明できなければおかしいですし、計画を実行するのも貴方の責任において行うこととなります。

悪徳専門家とは関わらないように

ですから審査機関から事業計画の内容について問い合わせがあった際に、「専門家に任せてあるから詳しいことは知らん」というのは通用しないので気をつけてください。専門家はあなたのビジネスに対する熱い思いを言語化・数値化してくれただけであって、ビジネスの計画は貴方の計画ですから、くれぐれも誤解なきようにお願いします。

また、「補助金申請代行」と称して端から全く行う予定のない事業計画をねつ造して補助金申請を持ち掛け、採択されたらフィーだけもらって音信不通となる悪徳な「専門家?」がいるのも事実です。(この場合、本当に悪いのは依頼している「申請者」なんですけどね…)

さきほども述べた通り、補助金は「採択」されてから実際に補助金を受給するまでのプロセスで結構面倒な事務処理が発生します。なので、アフターフォローなしに音信不通になるのは、ハッキリいって詐欺です。(というか頼んでる方も、国に対する「詐欺」)ですからこうした悪徳専門家とは関わらないようにしましょう。というか、そういう不純な動機で専門家を利用するのはやめましょうw。

受給の対象者

どういう事業主がものづくり補助金の応募が可能なのかは、公募要領に記載されています。毎年少しずつ範囲が変わっていますが、「中小企業」が対象になることは一貫して変わりがありません。では、ここでいう「中小企業」とはどういった先を指すのでしょうか。実は法律によって中小企業の定義は異なるというのはご存知でしたでしょうか。税金の計算上でも「中小企業」の特例が数多く設けられていますが、それとは定義が異なります。基本的には「中小企業基本法」という法律で定義されている「中小企業」は応募対象となります。具体的には以下のとおりです。

ただし、実際にはものづくり補助券の申請における「中小企業」の定義は上記よりも少し範囲が広く、上記の定義では「中小企業」に該当しない事業者でも応募できたりします。ちなみに、平成28年度(昨年度)のものづくり補助金の応募対象者は以下のとおりでした。(一部を抜粋)

 「ゴム製品製造業」、「ソフトウェア業又は情報処理サービス業」、「旅館業」といったあたりが、応募対象者の範囲が中小企業基本法より幅広く取られています。なぜこれらの業種の範囲が広く取られているのかは、政治の話と絡んでくるのでよくわかりませんが、政府が特に支援に力を入れたいと思っている産業であることは間違いのないことかと思います。

「ソフトウェア業又は情報処理サービス業」は労働生産性(定義の説明は次回。)を高めるようなサービス(最近はクラウドでのサービス提供が多いので敢えてシステムとは言いません。)の開発に力を入れて欲しいということでしょうし、「旅館業」はインバウンドに力を入れていることからなんとなく理解できます。また、これらの業種は特に人手不足が顕著なことでも知られていますので、設備投資によって人手不足を補ってほしいという意図もあるのかもしれません。


こちらも合わせてお読みください。
資金のない学生起業家が利用すべき助成金まとめ

政府がどんな産業の支援に力を入れているか

話が少し脱線してしまいましたが、ここで言いたかったことは、貴方のビジネスが、政府が支援に力を入れている産業に属していると門戸が広いということであり、逆から見ると門戸が広い業種には政府が支援に力を入れているであろうから、審査上も有利に働く可能性が高いと言える点です。きっとこういう産業の企業により多く補助金と取ってもらいたいということなんでしょうね。

政府がどんな産業の支援に力を入れているかこんなところからも読み取れるわけです。ちなみに、大企業から出資を受けている場合や、大企業から役員を受け入れている企業の場合には上記の定義に該当しても、応募資格がない場合があるためご留意ください。あと、補足事項として加えるとすると、あまり知られていないことかとは思うのですが、実は開業間もない事業者であっても上記の定義にさえあてはまれば応募できるという点です。ものづくり補助金の申請においては直近2年間の決算書の添付が求められるため、誤解されがちなのですが、開業後2年をみたない事業者であっても申請可能です。

財務的基盤があるかどうか

ただし、もともとこうした決算書の提出を求められる理由が、申請者に補助金申請したビジネスをやり遂げるだけの財務的基盤があるかどうかを審査員が見極めるためだということは理解しておく必要があります。採択したものの、ビジネスをやり遂げる前に倒産してしまってはもっと他の事業者を選んでおけば良かったなんて話になりかねません。そこで、過去の決算書を提出させてきちんとビジネスをやり遂げるだけの資金的余裕があるかどうかをチェックするのです。

ですから、赤字続きの会社や債務超過の会社はものづくり補助金の申請をしても採択は難しいでしょう。税金や社会保険料を滞納・未加入なんて会社は論外で、そもそも応募要件を満たしません。そうやって考えてあいくと、一応開業間もない事業者でも応募は可能なのですが、開業間もない事業者は財務的基盤が弱いでしょうから採択となると可能性は乏しいかもしれません。


以上第1回目は、ものづくり補助金に関して補助金制度の全般的な説明と、どんな事業者が応募可能なのかについて説明しました。次回はどんな「こと」や「もの」に対して補助金が出るのか。最大いくらまで出るのか、ものづくり補助金を実際に受給するまでの手続の流れについて説明します。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

おすすめの関連記事

ー補助金を利用した場合のデメリットとは?ー
見落としてはいけない補助金の3つの落とし穴

ー助成金・補助金をうまく活用しよう!ー
起業を助ける助成金・補助金の一覧と活用方法について
 

記事が役に立ったらシェアしてもらえると嬉しいです!

関連記事

メニューを閉じる