フリーランス、個人事業主必見!「法人成り」で節税対策しよう!

ポイント
  1. 所得税は個人の所得に対して課税される税金。法人税は株式会社や合同会社といった主として営利企業の利益に対して課税される税金。
  2. 「所得税は所得の多寡に応じて5%から45%」まで税率が変化するが、「法人税は、法人税率が2段階」しかない。
  3. 所得に応じて、「法人成り」することで節税対策ができる。

サラリーマンにやさしい「給与所得」の仕組み

さきほど説明したのは、個人事業主が事業で得た所得に対する税金のしくみです。次にサラリーマンが給与としてもらった所得に関して説明します。
なお、サラリーマンも「個人」であることには変わりはないので、「所得税」が課される対象となります。

個人事業主が事業で得た所得の事を「事業所得」といいますが、サラリーマンが会社からもらった給与に関しては「給与所得」という所得に分類され、事業所得とは異なる計算がなされます。

具体的には、給与所得は経費の実費を給与総額から原則として差し引けない代わりに、給与総額から「給与所得控除」の金額を差し引いたものをベースに計算を行います。

給与総額から「給与所得控除」を差し引いた残りは、事業所得と同じように累進税率の所得税率によって税額計算がなされます。

「給与所得控除」は給与の総額(正しく表現すると「給与等の収入金額」といいます)の金額の多寡によって一定額が定められています。以下がその金額表です。

定められている金額表

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この「給与所得控除」の趣旨は諸説ありますが、「サラリーマンにも一定の経費が発生しているだろうが、サラリーマンに経費の申告を求めると税額計算事務が大変になるだろうから、給与の総額に応じた概算経費を認めてあげよう」というのが有力説となっています。

「概算経費」という観点で見るとどうでしょうか?人によって捉え方はまちまちかも知れません。

まだまだお得な「給与所得控除」

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自腹で接待ゴルフに通い詰めている営業マンから見れば「少ない!」と思われるかもしれませんが、恐らく世の大半のサラリーマンは自分の労働に付随して発生する経費は会社が負担してくれているはずなので、実際にこんなに多くの経費を自己負担していないのではないでしょうか。

例えば、給与総額が500万円のサラリーマンの場合、上表にあてはめると100万円(500万円×20%)+54万円の実に154万円が「概算経費」という扱いになります。

サラリーマンは会社の一員として働いているはずですから当然経費も発生する訳ですが、154万円も自腹を切ることが果たしてありえるでしょうか。

こうやって考えると、同じ「個人」なのに、個人事業主(フリーランスも個人事業主ですよね)とサラリーマンでは全然不公平だと思いませんか。
実は最近の所得税増税の傾向として、こうした個人間での不公平感を是正しようという流れもあります。

実際に平成30年度の税制改正案(本原稿を書いている2018117日現在ではまだ案ですが、ほぼ内容的には確定です。)

では、平成32年度以降給与所得控除の金額が一律10万円削減される、給与総額850万円で給与所得控除は195万円で頭打ちなどの内容が盛り込まれています。

終身雇用制度が段々と神話化しつつある一方で、フリーランスとして働く方も増えていて、こうした制度改正を支持する人々も増えていることが、こうした改正を後押ししています。

しかし、それでも「給与所得控除」はまだまだお得です。

フリーランスはプライベートカンパニーを

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ところで、前のセクションで「法人成り」について説明しました。

一定の所得規模になると法人税と所得税の実効税率が逆転するから、そうした方にとっては税金計算上のメリットが法人化によって得られると説明しましたが、加えて法人化するとこの「給与所得控除」が使えるというメリットも大きいと言えます。

なぜなら、法人化すると会社から「役員報酬」という名目ですが、実質「給与」を貰うこととなり、税金計算上は「給与所得控除」が使えるからです。
例えば、個人事業主が
500万円の利益を事業から得たとします。

個人事業主の場合だと500万円から個人の税額計算がスタートします。
では、法人が役員報酬計上前の利益が
500万円あり、この全額を役員報酬として個人に払ったとします。

そうすると、先ほどの例で述べた通り、500万円-154万円=346万円が個人の税額計算のスタートラインになります。
なぜなら「給与所得控除」という名の多くの場合実在しない経費
154万円が計上できるからです。

会社の方には利益が残らないので、税金は0円(厳密には所得に関わらず発生する「住民税の均等割」がありますが、少なくとも所得に派生して生ずる税額は0です)です。
ですから、となりの社長は法人をつくるのです(もちろん、節税だけが目的ではないと思いますが)。

こちらもあわせてお読みください。
確定申告って何?個人事業主で経理がわからない方必見!

法人税率の引き下げによる法人税の減税と、所得税の増税は法人と個人の税負担の不平等を埋めるためのものだと述べましたが、この「給与所得控除」を理解すると、いかに不公平であったかが理解できるかと思います。

今後は「給与所得控除」の額は減りこそすれ、増えることはないでしょうから、前述の「法人成り」による節税メリットは少しずつ小さくなっていくはずです。
それでも、明らかに「給与所得控除」はお得なので、覚えておいた方がいいでしょう。

特にフリーランスとして活動している貴方!!プライベート・カンパニーをつくることも考えてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、余談になりますが、現在、賃上げを行った会社に対して法人税を安くするような措置がとられており、平成
30年の税制改正では中小企業を中心に、より使いやすくなるよう税制が改正されることとなっています。

こういう面でも、実効税率としての法人税率が低くなるような施策がとられています。

そもそも、中小企業の6割が赤字でまともに税金を払っていないので、この改正がどこまで有効なのか分かりませんが、儲かっている会社の経営者であれば、税金を払うぐらいであれば、従業員に還元した方がよいと考える方も多いかもしれません。

個人かつサラリーマンに対しては増税傾向ですから、給料が増えると税収も増えますね。こうした施策ひとつとっても「法人は減税、個人(特にサラリーマン)は増税」という枠組みを通してみると、より分かりやすく、身近に感じられるかもしれません。

フリーランスや個人事業主の節税対策について

次は、少し視点を変えて、個人事業主やフリーランスの方々等が使える節税対策を見ておきたいと思います。

念のため、再度計算式を振り返っておきましょう!

個人事業主の所得税の計算方法

まずは、基本となる、この計算式を頭に入れておく必要があります。

実際に行える節税方法について
では、実際にどのような節税方法が使えるのかを具体的にいくつか、見ておきましょう!

経営セーフティ共済への加入

これは、まとまったお金の全てを、その年の経費として計上する事ができる共済となっており、正式には「中小企業倒産防止共済」と言います。
掛金の月額については、
5,000円~200,000円となっており、計上方法は全額経費となります。

そして合計の限度額は40ヶ月分で800万円となっております。
この払い込んだ月の数の文が、経費としてその年に計上する事ができ、翌年の
1年分に関しても前払いにて経費にする事が可能です。

初年度の場合ですと、最大で23ヶ月分、460万円をその年の経費にする事が可能となっております。
また、解約をした場合には掛けた金額は戻るのですが、納付の月数が
40ヶ月経過するまでに解約をしてしまった場合には100%戻らない為、注意してください。

中小機構:経営セーフティ共済

少額減価償却資産の特例

次に、少額減価償却資産の特例を利用する件について見ておきましょう。
これは、
10万円以上となるような高額の消耗品について、資産に計上した上で減価償却費として経費処理をする内容となります。

その年の経費としては、一括で処理をする事は出来ないのですが、30万円未満であれば一括にて経費にする事が可能となっております。
これには少し条件があり、「青色申告者」であると言う事と、限度額としては合計で
300万円と言う事、そして、2018年ですと、その年の331日までに購入した物と言う条件があります。

「国税庁:中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm

青色申告特別控除

これは、所得控除を増やし、節税対策をする方法となります。
青色申告をする方に対し、適用されるものとなっており、控除の額としては
10万円と65万円の二種類に分けられております。

こちらにも満たさなければならない要件があり、「不動産所得、あるいは事業所得を得る事業を営んでいると言う事」と、「正規の複式簿記にて記帳が行われていると言う事」そして最後に、これらに基づいて確定申告に関する必要な書類を、法律で定められている申告期限内に提出をすると言う事が求められます。

国税庁:青色申告特別控除

iDeCo(個人型確定拠出年金)への加入

これは、公的な年金に加え、給付を受ける事ができる私的な年金の1つとなっております。
一般的に皆さんがご存知の「国民年金基金」と同じような形で、国民年金の上乗せをすると言う方法です。

これにも二種類あり、「企業型」と、「個人型」に分類されておりますが、個人事業主の場合であれば「個人型」に加入する事が可能となっております。
月の掛金としては
5,000円~68,000円となっており、控除の内容は「全額控除」となります。

尚、加入できる年齢は20歳~60歳未満となっております。

社会保険料のまとめ支払い

もしも、過去に支払いそびれてしまった国民年金があった場合には、それをまとめて支払う事によって、その年の分の所得控除をする事が可能となります。
また、納税の制度によって、過去
5年分までは納付する事が可能とされております。

国税庁:社会保険料控除

法人成りを考えるか検討しよう!

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ここまでの解説で、個人や法人等の税金面や、その他、あらゆる税について、詳しく解説をさせて頂きました。
そこで、今、ご自身の状況と比較検討し、今法人成りを考えるべきであるか?それとも、まだ事業が軌道に乗るまでは、現状維持を行うべきか?

はたまた、もう少し売上が上がり、フリーランスや個人としても税率が高くなってきた為、近い将来検討する必要があると言う場合もあるかと思われます。
細かい税率を見て頂ければ、すでにご理解頂けている方もいらっしゃると思いますが、まずは、税金の面について、詳しく理解をする必要があると言う事です。

そこで、どのタイミングによってフリーランスや個人事業主の方々が、法人化すべきであるか?を考えれば、一番良いタイミングと言うのは一目瞭然となります。
勿論の事ながら、今法人化して逆に税率が上がってしまうのであれば、法人成りを考える必要はありませんし、その時がくれば!と言うタイミングを見定めて頂きたいと言う事になります。

是非、今の状況とを検討頂き、ここまでの解説を含めた上で、考えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

いかがでしたか。とりあえず、皆様に押さえておいてほしいことは以下の2点に要約できます。

・個人は増税、法人税は減税
・個人のうちサラリーマンは増税(それでもまだまだ税金計算上は優遇されている)

税金は手持資金にいちばんインパクトのある「経費」です。
なぜなら、その金額もさることながら、他の経費は経費を多く計上すればするほど税金は減りますが、税金の金額そのものは何か特別のことをしない限り減らせないからです。 

税金の知識を深めて頂き、手持資金がショートすることがないように願っています。

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