就業時間の設定について考える②~交替勤務制・裁量労働制について~
- 裁量労働制は業種の制限があります
- 事業場外みなし労働時間制は現在は導入が困難でしょう
- 育児と介護のような私生活との両立が従業員にとって大事
会社を設立して従業員を雇うようになると、まず考えるのは会社の勤務時間についてです。その中でも交代勤務制と裁量労働時間制について今回ご紹介します。
まず交代勤務先について見てみましょう。
交代勤務制とは、例えばレストランやサビレストランなどのサービス業で、店舗の営業時間は長時間となっています。そのため、早番と遅番に分けてその組み合わせ(シフト)に基づく交代勤務制を実施しています。
この場合、労働基準法によると「従業員を二組以上に分けて交代で勤務させる場合おいては、、就業時転換に関する事項を定めないといけない」とあります。どのような内容で交替制勤務を実施していくか会社でルールを決めないといけないのです。そして就業規則に定めなければなりません。
注意が必要なのは、休日について土曜日・日曜日等と固定で決めるのではなく、都度ごとに決定していく点です。
そのため、就業規則ではこのように記載することになります。
1会社は、第〇条(労働時間)の規定にかかわらず、○○部門においては次のとおり交替制勤務させる ものとする。
2 交替制勤務を命じた場合の始業、終業の時刻及び休憩時間は次のとおりとする。
(早番) 始業 6:00 終業 15:00 休憩 正午から1時間
(遅番) 始業 14:30 終業 23:30 休憩 18:00から1時間
3 交替制勤務の勤務割については、毎月1日を起算日とし、その前月末日までに確定させるものとする
メリット1:メリットとしては残業が少ないという点です。自分のシフトの時間に業務が終了すれば勤務が終了しますので、業務が中途半端で引継ぎができない場合や、緊急度や高く自分にしかできないことが集中していると言うような場合の外は、比較的残業が少なくなります。
メリット2:シフト制で動きますので、平日に休みがもらえます。そのため平日に銀行や役所等の手続きができるというメリットが考えられます。
1:家族や友人と過ごす時間が減る可能性があります。
交代勤務制の場合、勤務時間は朝の9時から6時などと固定で決まっているわけではありません。また、お休みについても土日がいつも休みと言うわけでもありません。そのため、友人や家族と休日が合わないということが発生します。家族や友人と過ごす時間が減ることがデメリットとして考えられます。これについては、従業員側でシフトの希望出す際に、スケジュールをあらかじめ調整して、大切な人と会う時間を作るなど意識的にコミニケーションを取る工夫が必要です。
2:生活のリズムが崩れることが考えられます
交代勤務制で働くと、出社時間や退社時間がバラバラになりがちです。生活のリズムをとることが困難となり、体調を崩してしまう可能性も考えられます。
次に裁量労働時間制について見ていきましょう。裁量労働時間制とは、実際の労働時間がどれだけなのかに関係なく、労働者と会社との間で協定、結び、協定で定めた時間だけ働いたとみなして給与を支払う制度です。
専門業務型裁量労働制とは、業務の性質上業務を行う手順や方法を、時間配分などを大幅減従業員にゆだねるという方法です。そして給与については、従業員と会社とで決めた時間分働いたとして支払います。
この専門業務型裁量労働制については、一定の業種に限られています。現在は19の業務だけに限られていて、例えば新商品などの開発情報処理システム分析などです。
まず労働者と会社が、労使協定という約束事を締結し、それを管轄の労働基準監督所に届け出ます。
就業規則においては、始業就業時刻についての記載と専門業務型裁量労働性を命ずることがあるということを就業規則で記載する必要があります。
まとめると次のような手順になります。
1労使協定を締結
2労使協定を労基署へ提出
3就業規則で記載する事項を記載
労使協定の記載内容はこちらになります。
① 対象業務(厚生労働省令等で定める19業務に限る)
② みなし労働時間(労働時間として算定される時間)
③ 対象業務を遂行する手段、方法、時間配分等に関し、具体的な指示をしないこ
④ 健康・福祉を確保するための措置の具体的内容
⑤ 苦情処理のため実施する措置の具体的内容
⑥ 有効期間
⑦ ④及び⑤に関して労働者ごとに講じた措置の記録を協定期間中及びその期間の満了後3年間保存すること
専門業務型裁量労働制といってもすべてが自由になるわけではありません。例えば法律で決められた1週間に1日もしくは4週間に4日という法定休日や、深夜の労働についてはこのみなし労働時間どうすることができません。これらは、きちんと時間管理をし会社がし、実際働いた時間数に応じて割割増賃金を支払う必要があります。
時間の縛りがないため、従業員としては時間の融通が効くということが最大のメリットです。
つまり育児や介護、その他の事情、たとえば病気と治療との両立をしている方にとっては、働きやすい制度と言えるのです。時間にとらわれない自由な働き方と言うことができ、クリエイティブな仕事や、家庭と仕事を両立したい方にとっては大変適切な制度と言えるでしょう。企業としても優秀な人材を確保しておけるというメリットがあります。
デメリットとしては、会社と従業員との間で決められた労働時間分が支払いがされますが、仕事が立て込んでいる場合については労働時間は無制限になってしまいがちです。
このような場合は、どれぐらい長く働いていても、割増賃金が発生しない、従業員にとっては長時間労働となってしまうというデメリットがあります。